2015年7月上旬
巣立ったばかりのスズメ(Passer montanus)の幼鳥が民家の板壁に並んでいます。
頬や喉の黒班が薄く、嘴の根本が黄色い※点がスズメの幼鳥の特徴です。
「嘴が黄色い」というと「若くて、まだ経験が少ない」を意味する慣用句になっています。(『新明解国語辞典』より)
成鳥になると頬や喉の黒班が濃くなります。
※ 雛鳥の大きく開けた口の角にある黄白色のこぶの模様は、親鳥が薄暗い巣の中で正しい位置に餌を与える目印として役立っているのだろう。(参考:『鳥はどこで眠るのか』p159)
親鳥が飛来すると、育ち盛りの幼鳥は持ち上げた羽根を細かく震わせながら餌をねだります。
このとき幼鳥は独特の鳴き声を発しているようですが、群れの鳴き声がチュンチュン♪うるさくて、聞き取れませんでした。
童謡「雀の学校」の歌詞に出てくるチーチーパッパ、チーパッパ♪の後半部「パッパ」の意味がようやく分かりました。
チィチィと鳴きながら翼をパッパッと開き、あるいは半開きの翼を小刻みに震わせて親鳥(先生)に餌をねだる。(『スズメ百態面白帳』p89より)幼鳥の方から素早く駆け寄って催促する場合もあれば、じっと座っている幼鳥の所へ親鳥がホッピングで駆け寄って来る場合もありました。
親鳥は口移しで給餌してやります。
親鳥の嘴の端にあった白い粒が、給餌後は無くなっていました。
給餌メニューは穀物や種子のようです。
板塀に並んでいる幼鳥は同じ巣から産まれた兄弟姉妹なのかな?
近所の別な巣から巣立った幼鳥も混じっているのでしょうか?
『スズメ百態面白帳』p72によると、
♀が一回の繁殖で産む卵の個数、一腹卵数(クラッチサイズ)は、普通4〜6個(3個や8個の例もある)。スズメの親鳥は我が子であるという血縁関係をどのように認識しているのですかね?
足輪を付けて個体識別できたら色々と面白いことが分かりそうです。
『スズメ百態面白帳』p90によれば、
何組かの親子が鉢合わせになると、(中略)明らかによその子と思われるものに給餌していることもある。この時期には出来るだけ口を大きく開いて催促した方が勝ちで、親鳥はわが子よその子に関係なく本能的にそのような口に餌を与えてしまうものらしい。巣外給餌が済むと、親鳥は次の餌を探しに飛び立ちますが、幼鳥が後を追って板塀を離れることもありました。
給餌後にしばらく板塀に居残って鳴いたりのんびり休んだり羽繕いしたりする親鳥は、幼鳥の空腹度合いが満たされたと判断したのかもしれません。