2012年5月上旬
カタクリに小さな蜂が訪花していました。
ちょうど他の虫を220-fpsのハイスピード撮影しているときで、そのままの設定で撮りました。
画質は落ちますけど一瞬の出会いをスローモーションで見直すことができます。
ヒメハナバチの一種でしょうか。
花の葯に掴まり、身繕いしているようです。
後脚に白い花粉団子を付けており、吸蜜はしてないと思います。
蜂は忙しなく次の花へ飛び去りました。
カタクリの花をのぞきこむと、花びらのそりかえる部分が黒いすじにかこまれています。
このおくに、みつがあることを、虫たちに教えているようです。
これはハニーガイドと呼ばれ、それぞれの花で、その形や色が、ちがっています。
(森の新聞3 『アリのお花畑』 p18より)
【追記】
Newton special issue『植物の世界 第1号 ナチュラルヒストリーへの招待』p66~67によると、
(カタクリの)花被片が後方に大きくそりかえっているため、蜜を吸いに訪花した昆虫は花被片につかまって体を支えることができず、花の奥から突きでた雄しべと雌しべの束にとまる。昆虫の体を仲立ちにした花粉の交換が行われやすいのである。(しかしヒメハナバチ類は)カタクリには小さすぎるため、あまり有効なポリネーターとはいえない。クマバチやマルハナバチなどの大型のハナバチは、カタクリの最も重要なポリネーターである。
2012年4月下旬
スズメが一羽が電線に止まって鳴いていました。
静かな新興住宅地にチュンチュン♪と鳴き声が響き渡ります。
飛んで庭先に並んだ杭の上に移動しました。
鳴き声の声紋解析
元の動画からデコードしたWAV音声ファイルのスペクトログラムを描いてみました。
周囲の建物に反響して若干エコーがかかって聞こえるのは声紋にどのように現れているのでしょうか。
2012年4月下旬
河川敷でヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis)が地上の枯草に下りて何やら採食していました。
どうやら枯れた蔓植物に残った実を啄んでいるようです。
食事が済むと鳴きながら飛び立ち、近くの木の枝に止まりました。
しばらく川面を眺めてから、上流の方へ飛び去りました。
どれどれ何を食べていたのかな?と近寄って草の実を接写してみました。
ヘクソカズラのような気がするのですが、どうでしょう。
もし間違っていたらどなたかご指摘ください。
匂いを嗅いでみるのを失念…。
ヘクソカズラ生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるらしい。
野鳥も臭みが抜けるのを待ってから採食するのだろうか?(※)
※ 『身近な草木の実とタネハンドブック』のヘクソカズラの項によると、一般に鳥は匂いに鈍感なのだそうです。
日本列島では木の実の運び手として、もともと照葉樹林につく鳥と考えられているヒヨドリが重要な役割を果たしています。多くの木や草の実はヒヨドリの口にあう大きさになっています。(『タネはどこからきたか?』p36より)
『マン・ウォッチングする都会の鳥たち』p222より
ヒヨドリやスズメを都市鳥というのであれば、ヘクソカズラは代表的な都市植物であろう。この種子をヒヨドリなどが食べ、種子散布の媒体となっているのである。
関東地方で採取した野鳥の糞を調べると、ヘクソカズラの種子の出現頻度は80%だったらしい。
【追記】唐沢孝一『果実食鳥による種子散布』によると、
(ヒヨドリの:しぐま註)糞内種子の中には、自然に分布しているヘクソカズラとナツヅタの種子が多く含まれている。ツル植物であるヘクソカズラは、空地や工事現場などを囲む有刺鉄線や人家の金網などに巻きつき、秋〜冬に果実をつける。これを鳥が食べ、フェンスなどで休止して種子散布して分布を拡大する。ヘクソカズラが林縁に多いのも、ヒヨドリが林縁に止まりやすいことと関係している。ヘクソカズラは、直接的な人為の手助けなしに、鳥散布を通して都市環境に適応した植物といえよう。(『現代生態学とその周辺』第4章p212より引用)