2023/03/22

泥カラマツの木の下でアカネズミがオニグルミ堅果を食べた痕跡

 

2022年9月下旬・午後12:50頃・晴れ 

関連記事(4ヶ月前の撮影)▶ オニグルミ堅果に残るアカネズミの食痕@河畔林 

根元の幹に泥汚れのついたカラマツの木の下を調べていると、林床に古いオニグルミ堅果が転がっていました。 
両側に丸くくり抜かれた穴が開いていることから、アカネズミApodemus speciosus)の食痕と分かります。 
かなり古い食べ残しのようです。 
この雑木林にアカネズミが生息することの証明になります。 


不思議なのは、近くにオニグルミの木は生えてないという点です。 
現場は里山の斜面なので、オニグルミの落果が山側から転がってきたと考えれば、斜面の山側を重点的に探すべきかもしれません。 
昔は生えていたのにオニグルミの木が最近になって伐採されてしまったのでしょうか? 
それとも野ネズミが遠くからクルミの落果を運んできたのかな? 

さて、この泥カラマツをトレイルカメラで見張っているのは、イノシシが泥浴び(ヌタ打ち)した直後に泥だらけの体をカラマツに擦り付けるのではないか?と予想したからです。 
しかし、当地ではイノシシの生息密度が未だ低いようで、待てど暮せどなかなか現れてくれません。 
諦めて、この地点に設置したトレイルカメラを撤去すべきか悩みます。 
もう少し粘ってみるついでに、泥カラマツの根元にクルミやドングリの堅果を置いて給餌して、野生動物が持ち去る様子を撮影する計画を立てました。 
もしイノシシが来てドングリを食べてくれたら結果オーライですし、あるいはカケス(野鳥)がドングリを持ち去って貯食するかもしれません。 
アカネズミのオニグルミ食痕があったということは、ここにクルミの堅果を給餌しても不自然ではありません。 
周囲にミズナラやコナラの木が生えていることは確認できたので、ドングリの堅果をここに給餌しても不自然ではありません。 
この点を確認しておかないと、山林に勝手に外来植物を植えるのと同じになってしまいます。
リスや野ネズミが持ち去って冬越しのために貯食し、春までに食べ残した一部の堅果からは実生が育つはずです。 
つまりオニグルミを大量に給餌すれば、この森にいずれオニグルミの木が育つことでしょう。(種子散布の手助け) 


カラマツの下の林床を夜な夜な歩き回るザトウムシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬 

里山の雑木林の斜面で泥汚れのついたカラマツを監視カメラで見張っていると、ときどきザトウムシの一種が写ります。 
ザトウムシは変温動物ですから、本来はトレイルカメラが反応しないはずです。 
おそらく、野ネズミなどの恒温動物が横切ったついでに記録されたのでしょう。 
フィールドのあちこちにトレイルカメラを設置してみて気づくのは、ザトウムシはどこにでも出没するということです。 


シーン0:9/19・午後14:18 
明るい昼間に撮った現場の状況です。(参考映像) 
強く湾曲した根元の幹に泥汚れが付いています。(イノシシの仕業?) 


シーン1:9/22・午後21:26・小雨?  (@0:04〜)
画面の赤丸に注目してください。 
カラマツの木を回り込むように、雑木林の斜面をザトウムシが降りてきました。 
極細の長い歩脚でヒョコヒョコと歩行します。 


シーン2:9/24・午後19:36・晴れ (@0:35〜) 
2日後の晩には、逆に画面下から斜面を登りかけたものの、カラマツの根元まで来るとなぜか再び下りました。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 


日本は出版される図鑑の種類が非常に豊富でありがたいのですが、なぜか「ザトウムシの図鑑」がいつまで経っても出ないのが困ります。 
ザトウムシは種分化の問題がややこしいので、初めから専門家が満足するような「完璧な図鑑」を出すのは難しそうです。 
それでも誰か元気な(無謀な)アマチュアが思い切ってエイヤッと「暫定的な図鑑」にまとめてくれれば良いのに…といつも思います。
市場調査で「ザトウムシの図鑑」は需要が無いと予想されてるのかな?(出版社のシビアな経営判断)
写真集の被写体としてもザトウムシは非常に魅力的だと思います。



2023/03/21

砂防堰堤に生えたススキを採食する若いニホンザル♂

 

2022年9月中旬・午前11:10頃・くもり 

里山の谷にある砂防堰堤に集まってくつろぐ野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れを撮影した映像に、興味深い採食シーンが撮れていました。 
相互毛繕いをする仲間から独り離れた左の若い♂個体に注目してください。 

コンクリートの巨大な堰堤の隙間にわずかな土埃が溜まり、そこにススキが自生しています。 
若いニホンザル♂はススキ群落の横で座り込むと、穂のついたススキの茎を手で手繰り寄せて、茎の中央に噛み付きました。 
ススキの葉を食べる猿は珍しくありませんが、もしススキの穂を食べたのなら初見です。 
せっかく面白くなりそうなのに、撮影中の私は全く気づかず、他の個体に目移りしてしまいました。 
数分後にも画面の左奥では同一個体がススキの採食を続けています。
関連記事(0、6、7年前の撮影)▶  
ススキの葉を採食するニホンザル♀ 
ススキの葉を食す野生ニホンザル 
ススキ?の葉先を採食するニホンザル♀(道草を食う猿)
「ニホンザル採食植物リスト」PDFを参照すると、ススキは採食メニューにちゃんと含まれていました。
三戸幸久. ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2002, 2: 89-113.

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