2019/03/07

川で潜水漁を繰り返すカイツブリ(野鳥)



2018年10月上旬


▼前回の記事
カルガモの群れに混じって川面の岸辺で休むカイツブリ(野鳥)

やがて警戒を解いたカイツブリTachybaptus ruficollis)は、対岸でカメラを構えている私から距離を保ちながらも、川面をせかせかと縦横無尽に泳ぐようになりました。
勢いを付けて水中に潜ったのは、小魚や水生昆虫を捕食するためでしょう。
潜水して川面に波紋が広がると、次にどこで浮上するか予想できず、神出鬼没です。
水中で結構長い時間、息を止めていられるようで、見失ってしまいます。
初めは川岸近くで潜水していたカイツブリは、やがて川の中央でも潜水するようになりました。

潜水直後に獲物を何も捕らえていないことが多く、ここはどうも、あまり獲物の豊富な漁場ではなさそうです。
後半で浮上した際にようやく嘴に何か細長い黒っぽい獲物を咥えているのが見えました。(@1:54、2:20)
遠いので獲物の正体は不明です。
運良く再浮上まで記録できた映像を見直すと、潜水時間は最長でなんと46秒間でした。


余談ですが、カイツブリの学名は属名Tachybaptusが「早く潜るもの」という意味で、種小名ruficollisが「赤い頸の」という意味らしく、名は体を現す良い学名ですね。(大田眞也『田んぼは野鳥の楽園だ』p151-152より)


また、この動画では同じ川に生息するカルガモとカイツブリが登場し、潜水ガモと陸ガモ(淡水ガモ)の体型を比較することができます。
カイツブリは潜水ガモなので水に浮かんだときに尻の部分に丸みがあり、陸ガモ(淡水ガモ)のカルガモは尻の部分は上にはね上がったようになっているらしい。
参考:『ヤマケイジュニア図鑑3:鳥』p102 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



【追記】
水野仲彦『野鳥のくらし:卵から巣立ちまで』によると、
(カイツブリは)平たい櫂状の脚指や丸い体形は泳ぎや潜水に適し、約30秒間、水中を動き回ることができる。 (p60より引用)
私の観察では、それより長い潜水時間でした。



2019/03/04

カルガモの群れに混じって川面の岸辺で休むカイツブリ(野鳥)



2018年10月上旬


▼前回の記事
カイツブリが川面で羽繕い後に潜水(野鳥)

川面を逃げて行ったカイツブリTachybaptus ruficollis)は、ヨシの群落が茂った対岸の下で休むカルガモAnas zonorhyncha)の群れに合流していました。
混群と呼べるのかどうか分かりませんが、カルガモの群れにカイツブリが1羽だけ紛れ込んでいます。
同種の仲間が居なくても、警戒心の強いカルガモの群れに混ざれば安心を得られるのでしょう。
体長を見比べると、カルガモの方がカイツブリよりも大型です。

カルガモは嘴を背中の羽毛に差し込んだ姿勢で寝ているようです。
一方、カイツブリは覚醒していて辺りをキョロキョロと油断なく見ています。
カメラを右に振ると、川面の中央部であちこちに浮いて休んでいるカルガモも居ました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

つづく→川で潜水漁を繰り返すカイツブリ(野鳥)


カイツブリ(野鳥)+カルガモ混群@川岸水面+休息

2019/01/26

バラハキリバチ♀の仕業【フィールドサイン】

2018年6月上旬

小ぶりな花を咲かせる赤いバラの園芸種の若葉に丸くくり抜かれた跡が幾つも残されていました。
ハキリバチ科の♀が巣材を集めに来ているのでしょう。
その名もズバリ、バラハキリバチ♀(Megachile nipponica)の仕業かもしれません。
葉の成長に伴って若干変形している可能性もありますが、本で読んだ通りに、葉の切り取られ方は円形および楕円形の2タイプあります。
切り取った跡の縁は日数が経つと茶色に変色するようです。

葉切り跡@赤バラ葉
葉切り跡@赤バラ葉
葉切り跡@赤バラ葉
葉切り跡@赤バラ葉


手元にある『ハチ・ハンドブック』でバラハキリバチについて調べると、

・営巣場所は竹筒や甲虫の脱出孔など既存坑を使うことが多い。巣材は営巣場所の近くで見つかる柔らかい植物の葉で、種名のようにバラの葉を特に好むわけではない。
・春から秋まで2〜3化する。(p89より引用)


蜂そのものを見てないのにバラハキリバチの仕業だと決めつける訳にはいきませんが、一応、予備知識として頭に入れておきます。


6月中旬
10mぐらい離れたブロック塀に別のバラの生垣(赤い花)が植栽されているのを気づきました。
ところが、こちらのバラの葉は全く無傷でした。
ハキリバチ♀はどのような基準で巣材の葉を選ぶのだろう?と素朴な疑問を抱きます。
なるべく巣に近い所で済ませるのか、好みのバラの葉の種類があるのか、葉の柔らかさなどが違うのかもしれません。


8月下旬

バラの葉を切り抜いた跡を見つける度にその葉を取り除くようにすると、次回までに新たな葉切り跡が作られています。
取っても取っても取り切れない…ということは、ハキリバチ♀による巣材集め活動が続いていることを意味しています。

バラの隣に生育したケヤキおよびウワミズザクラの葉にも丸い噛み切り跡があることを新たに発見。
食植性の幼虫の食痕にしては、あまりにもきれいな丸い噛み切り跡です。
切り口がやや変色していることから、古い痕跡と思われます。
それまで私が気付かなかっただけで、ハキリバチ♀がいつからここで巣材を集めていたのか、不明です。


巣材の植物種にはあまり頓着しない種類のハキリバチ♀が活動しているのかな?(1種類とは限りませんね。)
同一種(バラハキリバチ?)でも世代が替わったのかもしれません。
辺りには色々な灌木が鬱蒼と茂っています。
ノリウツギ、タニウツギ、アジサイ、フキ、ツタの葉にはハキリバチ♀にくり抜かれた痕跡は見つかりませんでした。
どういう基準で巣材に選ばれているのでしょう?


葉切り跡@ウワミズザクラ葉
葉切り跡@ウワミズザクラ葉
葉切り跡@ケヤキ葉
葉切り跡@ケヤキ葉

9月上旬
依然として、バラの葉に丸く切り取られた跡が新しく残ります。
さすがにもう見落としとは考えられないので、やはりハキリバチ♀が未だ営巣活動中なのでしょう。



9月中旬
切り取り跡の付いたバラの葉を小枝ごと採集してみました。
方眼紙に載せて採寸してみます。

葉切り跡@赤バラ葉表@方眼紙
葉切り跡@赤バラ葉裏@方眼紙

今季のまとめ
実は私は、ハキリバチ♀が葉を大顎で切り取る行動を未だ見たことがありません。
いつか観察したいと常々思っていたので、巣材の採取地を見つけたのは大きな前進です。
しかし、ときどき、短時間しか見に来れなかったので、今季は活動中の母蜂と一度も出会えませんでした。
巣材集めをする時間帯が決まっているのでしょうか?
近所にあると思われる営巣地の場所も分かりません。
予め竹筒トラップを仕掛けておけば、ハキリバチ♀が営巣してくれるかな?



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