2023年3月上旬〜中旬
河畔林の笹薮に残された溜め糞場rpに単独で通って来るホンドタヌキ(Nyctereutes viverrinus)の記録です。
シーン1:3/3・午後18:39・気温0℃・(@0:00〜)
自動撮影カメラを設置した当日の晩に早くもタヌキが現れました。
登場シーンを撮り損ねましたが、オニグルミ大木の根元にある溜め糞rpをチェックしただけで右へ立ち去りました。
早春の残雪は凍結していてタヌキの足は潜らず、足跡も残りません。
オニグルミ大木の背後に回り込んでから左の笹薮を通り抜け、左下に姿を消しました。
しばらくすると、行動を共にしているパートナーらしき別個体のタヌキが画面の右奥を左に移動しました。
赤い丸に注目してください。(@0:33 白い目が光っているだけ)
シーン2:3/6・午後22:31・気温0℃・(@0:44〜)
3日後の晩に、河畔林の雪原を歩いて右からタヌキがやって来ました。
溜め糞rpの匂いを嗅いでから、カメラ目線で(北向き)排便しました。
脱糞中にクゥーン♪とかすかな鳴き声が聞こえます。(@1:16〜)
画面に写っている個体の口の動きと鳴き声が同期しているかどうか(リップシンクロ)、はっきりしないので、近くで待っている別個体の鳴き声かもしれません。
用を足したタヌキは右に立ち去りました。
シーン3:3/6・午後22:33・気温6℃・(@1:29〜)
1分半後に別個体が右から歩いて来たものの、溜め糞場rpの匂いを嗅いだだけで手前に立ち去りました。
溜め糞場rpに軽く小便してマーキングしたようにも見えますが、定かではありません。
タヌキが居なくなった直後に、甲高くクゥーン♪と2回続けて鳴く声が聞こえました。(@1:43〜)
発情期のタヌキ♀♂が鳴き交わしているのでしょうか?
シーン4:3/7・午後23:25・気温0℃・(@1:51〜)
翌日も深夜にタヌキが現れました。
右から溜め糞場rpに来て匂いを嗅ぐと、右へ引き返しました。
シーン5:3/8・午前5:35・気温-3℃・(@2:18〜)
翌日は夜明け前に登場。
(ちなみに、日の出時刻は午前5:59。)
溜め糞場rpで北西を向いて排便すると、右上奥へと早足で立ち去りました。
シーン6:3/8・午後20:34・気温4℃・(@3:05〜)
15時間後の晩に現れた個体は、西向きで排便し、右に立ち去りました。
小雪がちらついています。
シーン7:3/10・午前0:30・気温2℃・(@3:36〜)
深夜に溜め糞場rpに来て先客の糞の匂いをチェックすると、珍しく南向きで(肛門をカメラに向けて)軟便をボトボトと排泄しました。
脱糞後のタヌキがカメラを振り返り、クゥーン♪と鳴いたようです。(@4:16〜)
ただし、この個体の鳴き声かどうか定かではありません。
(どうやらタヌキは腹話術のように口を閉じたまま鳴くようです。)
北向きの風に乗って白いフワフワした物体がカメラに向かって降ってくるのは、雪だと思うのですが、もしかすると早春に特有の雪虫のような現象かもしれません。
シーン8:3/11・午後18:53・気温7℃・(@4:36〜)
溜め糞場rpに右からやって来たタヌキが、南向きで立派な一本糞を排泄しました。
タヌキの健康状態も分かるのが溜め糞観察の特長です。
個体識別ができるようになれば、もっと面白くなりそうです。
その後タヌキは残雪を踏みしめながら、カメラに向かって真っ直ぐ歩き去りました。
カメラの背後で小声で鳴きました♪(@5:20〜)
シーン9:3/11・午後19:32・気温5℃・(@5:25〜)
40分後に別個体と思われるタヌキが右から登場。
オニグルミ大木の根元まで来てから少し引き返し、残雪の上でクゥーン♪と掠れ声で遠吠えしました。(@5:37〜)
パートナーを呼んでいるのか、求愛の鳴き声なのか、初めて聞く鳴き声でした。
オニグルミ大木の背後を左へ立ち去った後にも、かすかにクゥーン♪という甲高い鳴き声が聞こえました。
シーン10:3/11・午後19:51・気温6℃・(@5:25〜)
20分後、右奥の暗闇から白く光る目が現れました。
溜め糞場rpにまっしぐらにやって来たのに、匂いを嗅いだだけでした。
左の笹薮を通り抜け、オニグルミ大木の背後を回り込んで右奥に立ち去りました。
シーン11:3/15・午前9:45・気温13℃・晴れ(@5:25〜)
よく晴れた朝にたまたま撮れた現場の様子です。
カラスが鳴き交わす声♪が聞こえます。
林床の左半分は雪が完全に溶けました。
右半分には残雪が広がっています。
根雪に埋もれて倒伏していた笹薮が起き上がり、溜め糞場rpを隠すようになりました。
昼間は笹薮が風に揺れてカメラの誤作動が頻発し、悩まされるようになりました。
林床の下草に笹薮が発達しているということは、当地にニホンジカ(ホンシュウジカ)が生息していないことを物語っています。
カモシカと違ってニホンジカは深雪の中での移動や採食が苦手なため、冬季の主食である笹薮が雪の下に埋もれてしまう多雪地帯には進出できないのだそうです。
日本各地でニホンジカが増え過ぎた結果、山林の植生がシカの食害で荒廃してしまう話をよく耳にします。
雪国では冬の厄介者とされる大雪によって鹿から植生が守られていることになります。
もしもこれから地球温暖化が急速に進行して冬の降雪量が減ると、東北地方日本海側にも鹿が分布を広げてくるかもしれません。
シーン12:3/16・午前4:18・気温-2℃・(@7:09〜)
未明に右から来て立ちすくんだタヌキがカメラ目線で警戒しています。
起動したトレイルカメラの存在を警戒しているのか、なかなか溜め糞場rpに近づこうとしません。
笹薮の茂みの陰で身震いすると、クゥーン♪と小声で鳴きました。(@7:42〜)
ようやく警戒を解くと慎重に溜め糞場へと近づき、念入りに匂いを嗅いで回ります。
残念ながら尻切れトンボで録画が打ち切られました。
シーン13:3/17・午前2:39・気温3℃・(@8:09〜)
翌日も未明(丑三つ時)にタヌキが登場。
溜め糞場rpで南東を向いて排便を始めるときに小声でクゥーン♪と鳴きました。
カメラの手前で勢い良く生育する笹薮のせいで、溜め糞場rpが隠されつつあります。
溜め糞場の周囲に笹薮が生い茂っている方が、タヌキは安心するようです。
用を足すと、右の雪原を歩き去りました。
シーン14:3/17・午前5:38・気温2℃・(@8:54〜)
3時間後、日の出直前にタヌキが再び登場。
(ちなみに、日の出時刻は午前05:45。)
排便しないで溜め糞場rpを通り過ぎると、オニグルミ大木の下で立ち止まり、クゥーン♪と淋しげに鳴きました。
残雪を横切って右上奥に歩き去りました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施し、音声を正規化して音量を強制的に上げています。
3/3〜3/17の2週間、タヌキが排便時に向いていた方角をまとめてみました。
西1回、南西2回、南4回、南東1回、東1回、北東0回、北1回、北西2回
確かにイヌと同様に、タヌキも南北方向を向いて排便する傾向がありそうです。