2024/02/23

モリアオガエルの泡巣で吸汁するホソヒラタアブ♀と食卵するアリ

 

2023年6月中旬・午後12:15頃・晴れ 

山中にあるモリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池に定点観察しにやって来ました。 
梅雨時で池の水位が上がり、満水状態です。 
例年なら池畔のマユミ灌木の枝先に卵塊が産み付けられているのですが、いつもの場所には泡巣がありませんでした。 
池畔の灌木を丹念に調べると、モリアオガエルの卵塊をいくつか発見しました。 
定量的な調査をしていませんが、今季は少ない印象です。 

ミヤマガマズミの枝葉にモリアオガエルが産み付けた一つの卵塊に1匹のホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)が止まっていました。
左右の複眼が離れているので♀と分かります。 
翅を広げたまま口吻を伸縮させて、乾いた粘液をしきりに舐めているようです。
タンパク質やミネラル成分が豊富なのでしょう。
吸汁しながらも、腹部を上下に軽く動かして腹式呼吸しています。 

一方、赤っぽい微小なアリ(種名不詳)も同じ泡巣の表面をうろついています。 
赤アリがかじっている黄色い粒々は、モリアオガエルの泡巣に含まれる卵です。
ホソヒラタアブは近づいてくるアリを嫌って飛び立ち、軽くホバリング(停空飛翔)してアリから少し離れた位置に止まり直しました。 
アリ自身にホソヒラタアブ♀を攻撃する意図(餌場の縄張り防衛)は別になさそうです。 
アリがモリアオガエルの卵を泡巣からほじくり出して自分の巣穴に運ぶかどうか、興味があったのですが、かなりの長時間観察しないと見届けられないでしょう。

ホバリング中のホソヒラタアブ♀がモリアオガエル泡巣の表面にチョンチョンと触れるような思わせぶりな動きを繰り返しているのが気になりました。 
産卵行動だとしたら、大発見です。 
それとも近くのアリを牽制しているのでしょうか? 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると(@2:10〜3:40)、どうやら産卵行動ではなさそうです。  
停飛しながら足の先で泡巣の表面に軽く触れているだけで、腹端は泡巣に触れていませんでした。 
泡巣表面の湿り気を足先の感覚器で調べているのかもしれません。 
ホバリングしながら泡巣の横のミヤマガマズミの葉にも足先で触れたので、どこに着陸しようか吟味しているだけなのでしょう。 
そもそもホソヒラタアブの幼虫はアブラムシを捕食するので、カエルの卵塊に産卵するはずがありません。 

関連記事(14年前の撮影)▶ ホソヒラタアブの幼虫と前蛹


周囲にモリアオガエルの卵塊はいくつもあるのに、特定の卵塊にしか昆虫が集まらないのは不思議です。 
アブ・ハエ類が吸汁目的だとしたら、産みたてで水気の多い白い泡巣を舐めれば良さそうなのに、少し乾いた卵塊が好みなのは何故でしょう?
わざわざ唾液を吐き戻しながら乾いた卵塊を舐め、吸汁しているのです。
出来たてフワフワの泡巣の上をアリが歩けないのはなんとなく予想できます。

関連記事(10年前の撮影)▶ モリアオガエルの泡巣に集まるハエ 
キンバエ類、ニクバエ類、ベッコウバエの仲間など大小様々のハエが来ていました。 



 
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水際に自生するミヤマガマズミの枝葉に群がってまさに抱接・産卵中のモリアオガエル♀♂も見つけました。
新鮮な泡巣は真っ白です。
モリアオガエル♀♂が粘液や尿を後脚で泡立てている最中に虫は来ていませんでした。
日が経って乾いた泡巣は黄色っぽくなります。

2024/02/22

育児に疲れて深夜に巣外で独り横になって休むニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月中旬・午前3:45頃 

深夜未明にニホンアナグマMeles anakuma)成獣が単独で巣外の林縁で休んでいます。 
横臥したまま体を掻きました。 
目を閉じたり開けたりしているので、横臥でうつらうつらと居眠りしているようです。 
動きに乏しいので、一部は5倍速の早回し映像でご覧ください。 

下腹部に陰茎がちらっと見えたような気がしたのでヘルパー♂かと思ったのですが、左右の目の大きさが異なる(右目<左目)上に、腹面に乳首が見えることから、♀のようです。 
(右手前に生えた灌木が邪魔で、しっかり観察できません…。) 
幼獣4頭の育児でお疲れの母親♀が巣外でしばし休憩しているのでしょう。 

※ トレイルカメラの電池が消耗していて、細切れの映像しか撮れなくなりました。
それでもアナグマが身動きする度に健気に起動して、短時間ながらも録画しようとします。


川岸でカルガモの雛5羽を見守る♀(野鳥):羽繕い・羽ばたき練習・ストレッチ運動

 

2023年6月中旬・午後14:10頃・晴れ 

街なかを流れる川の岸辺でカルガモAnas zonorhyncha)の親子群を見つけました。 
手前から奥に向かって流れる川の岸近くの浅瀬で5羽の雛が集まり、各々が羽繕いしています。 
そこは幼い雛でも立てるほどの浅い水深です。 
羽繕いの合間にときどき立ち上がって素早く羽ばたくのは、飛翔筋を鍛えるための運動かもしれませんが、カルガモ成鳥でも見られるように、羽繕いの後のルーチンと思われます。 
それから、短い翼を伸ばしたり、片足立ちになって後脚を伸ばしたりして、ストレッチ運動するときもあります。 
水かきのついた足で体の痒い部位を掻く行動も見られました。 
身だしなみを整えると、首を曲げて自分の背中の羽毛に差し込み、休息体勢になりました。
欠伸をしている雛もいます。 

その間、親鳥♀だけが石垣の護岸に上陸して佇み、プールの監視員のように油断なく5羽の雛を見守っています。 
黒い過眼線のおかげで、♀がどこを見ているのか分かりにくいのですが、横目で私を警戒しているようです。 

1羽の雛が母親♀の元へ行こうとしても、石垣の護岸を登れません。 
♀の足元で石垣の隙間を啄んでいるのは、小さな虫を捕食しようとしているのでしょう。 
川面にはアメンボ(種名不詳)が滑走していますが、カルガモの雛たちは捕食しようとせず見送りました。 

兄弟姉妹の群れから1羽だけ離れていた雛鳥が川に戻って嘴を川の水に浸し、羽繕いを始めました。 


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