2023/04/21

棘だらけのオニノゲシの葉を食べるニホンザル♀

 

2022年10月中旬・午後15:15頃・晴れ 

山麓の休耕地に座り込んでいたニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が体の痒い部位を掻いています。 
やがて立ち上がると、目の前に生えていたオニノゲシへ近づいて、その横に座り直しました。 
歩き去る後ろ姿の尻や股間の様子から♀と分かります。 
オニノゲシの株に手を伸ばして引き寄せると、鋭い鋸歯だらけの葉を物ともせずに、太い茎を折って噛み付きました。 
そして棘だらけの葉を1枚根元から口でちぎり取って食べたので、見ていた私はビックリ仰天しました。 
オニノゲシは草食動物に食べられないように進化しているはずだからです。
まず化学的な防衛策として、植物組織内に苦くて粘性の高い白い乳液(ラテックス)を蓄えていて、植物体を傷つけるとこれを分泌します。 
次に物理的な防衛策として、葉縁の鋸歯が鋭くて触ると棘のように痛みを与えます。
このグループの植物で鋸歯のトゲトゲを最大限に(鬼のように荒々しく)強化したのがオニノゲシです。
まるで鉄条網や有刺鉄線を身にまとっているようです。
ニホンザル♀はオニノゲシが備えた二重の防衛策を難なく突破して葉を採食したことになります。 
さすが桃太郎の家来として鬼退治に参加しただけありますね。
猿は乳液(ラテックス)の苦味が気にならないのでしょうか? 
レタスのようなホロ苦さで逆に美味しいと感じるのかな?
しかし、このニホンザル♀はせっかく採取した葉を1枚味見しただけで残りはその場に捨てたので、結局オニノゲシは猿の食害を最小限に食い止めることに成功したという評価になりそうです。 
(瀕死の重傷を負いながらも、オニノゲシ個体の全滅は免れた。) 
あるいは、葉そのものではなく、それに付いていた昆虫を見つけて捕食した可能性もありそうです。 


もしもイモムシを捕食したいのなら、わざわざ痛みを我慢してオニノゲシの葉に触れなくても、手先の器用なニホンザルならイモムシだけを手で摘みとって食べれば良いはずです。
過去の採食記録を後で調べてみると、オニノゲシがしっかり含まれていました。
三戸幸久. ニホンザル採食植物リスト. Asian paleoprimatology, 2002, 2: 89-113.
この文献は全文PDFを無料でダウンロードできるので、参考資料としていつも重宝しています。
ちなみに、ニホンザルの全個体がオニノゲシが好物とは限らないようです。
実はこの直前に近くで撮影した別個体♀は、オニノゲシやアキノノゲシを食べませんでした。(映像は割愛)

私が遠くの被写体を撮る時には、カメラの光学ズームを使うだけで、デジタルズーム機能は画質が劣化するので普段は使いません。 
今回は意外な採食メニューをしっかり見極めるために、デジタルズームを駆使して最大にズームインしてみました。 

ニホンザル♀が立ち去ってからズームアウトしてみると、左下の家庭菜園には葉菜が栽培されていることに気づきました。 
もし私が近くで見ていなければ、猿たちはこれも食害したかな? 
しかし電気柵で囲まれていないということは、ニホンザルが好んで食べる作物をこの区画で育てていないのでしょう。 

すっかり秋になり、原っぱではコオロギ♂が鳴いていました♪

キクイモモドキの花蜜を吸うウラギンスジヒョウモン♂

 

2022年7月中旬・午前9:45頃・晴れ 

民家の庭に咲いたキクイモモドキウラギンスジヒョウモン♂(Argyronome laodice japonica)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
花から花へ飛び回り、翅をしっかり閉じて吸蜜しています。 
少しだけ翅を広げた瞬間に隙間から翅表が見えました。 

キクイモモドキの葉は対生なので、互生のキクイモと区別することができます。

2023/04/20

ニホンカモシカ(黒斑なし)が道草を食う未明【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年10月上旬・午前4:15頃

里山の林道で水溜りのある区間をトレイルカメラで監視していると、約15分後にまたニホンカモシカCapricornis crispus)が左からやって来ました。 
頭をずっと下げたまま、ミゾソバなどの下草をムシャムシャとひたすら食べ続けています。 
採食しながらゆっくり歩いて前進します。 
後半は道端に自生するリョウブ幼木の枝葉の匂いを嗅いだものの、採食も眼下腺マーキングもしませんでした。(@1:33〜) 

このカモシカには右背に黒斑が無く、素人目には個体識別できそうな特徴が何もありません。 
角や耳の形も普通です。 
耳が黒毛で縁取られていますが、他と見分ける特徴としては弱いかな〜。 
15分前に通りかかった個体(右背黒班)とは血縁関係(親子?)にあるのでしょうか? 



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