2022年1月上旬・午前10:45頃・晴れ
豪雪地帯の雪国では朝にロータリー除雪車が車道に積もった雪を片付けます。
ロータリーで削り取った雪を道端に吹き飛ばすので、車道の両側に雪の絶壁がそそり立つことになります。
雪が積もるほど、道端の雪壁はどんどん高くなります。
きれいに除雪したばかりの山麓の車道を野生ニホンザル(Macaca fuscata fuscata)の群れが次々と渡り始めました。
この冬に生まれたばかりの子ザル(乳児)は未だ自力では歩けず、母親が運んで遊動します。
子ザルの運搬法には、母親の腰の上に乗るおんぶ型と、母親の腹にしがみつく抱っこ型の2種類あります。
子ザルの気分次第なのか、それとも子ザルの成長段階(体重)によって母親は運搬法を使い分けるのかな?
ニホンザルは垂直の雪壁を一旦降りると車道を走って渡り、反対側にそそり立つ雪壁(高さ150〜180cm)に跳びついてよじ登ります。
まるでSASUKEの世界です。
子連れの母子も苦労してなんとか雪壁を登り切りました。
母猿の高い身体能力に感嘆しました。
激しい運動中でも落ちないように子ザルは強い握力で母親の毛皮にしがみついています。
雄ザル♂など単独個体は、高い雪壁から一気に飛び降ります。
それに対して、重い子ザルを腹に抱えた母ザルは高い雪壁から一気に飛び降りず、半分まで歩いて降りてから路上に飛び降りていました。
重い子ザルを抱っこしたまま高所から飛び降りると、着地の衝撃に母体の前足が耐えられないのかもしれません。
あるいは子ザルの後頭部を硬い路上にぶつけて怪我させてしまうおそれがあることを、母親は知っているようです。
抱っこした子ザルが重くて道端の雪壁を一気によじ登れななくても、少し横にずれて登攀地点を変えてやり直したら、上手く行きました。
子ザルをおんぶした母親が雪壁に跳びついても重くて登れません。
母猿が再び雪壁に跳びつこうとした瞬間に母子のタイミングが合わず、子ザルが地面に降りてしまいました。
路上に取り残された子ザルは悲鳴♪を上げ、慌てて母親の背に追いすがりました。
バランスを崩した母猿は雪壁の途中から滑落してしまいました。
三度目の挑戦で子連れ♀は雪壁をようやく登り切ることができました。
母は強し。
遊動する群れの構成メンバーには、リンゴ落果を口に咥えたままの母猿もいました。
テレメトリー調査のために電波発振器やGPSを仕込んだ黒い首輪を装着した個体が2頭もいました。
アルビノ(瞳が赤くないので白化個体?)の若い個体も群れに1頭混じっていて、雪原でも非常に目立ちます。
アルビノの視覚や運動能力は正常でしょうか?
車道を走って雪壁に突進したものの、登れずにそのまま激突してしまいました。
アルビノは後続の仲間を待ち、登攀地点を変えてやり直したら成功しました。
路上から雪壁に跳びつくシーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@5:13〜)
もっと早くハイスピード動画モードに切り替えるべきだったのですが、遊動する群れの最後の個体になってしまいました。
※ 猿の鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を上げています。