2024/03/27

夜の渓谷で鼻息を荒らげて威嚇するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

前回の記事:▶ 雪崩に埋もれた渓谷を深夜に連れ立って渡る2頭のニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】 

里山の渓谷(沢の源流部)が厳冬期に雪崩で埋もれ、そこを野生動物が恐る恐る渡っていました。 
春以降も引き続き定点観察したかったのですけど、トレイルカメラの台数が足りなくなり、泣く泣く引き払いました。 
他所のプロジェクトがようやく一段落ついたので、夏の渓谷を無人センサーカメラで監視することにしました。 
夏には切り立った崖を登り降りして沢を渡る野生動物の足跡や蹄跡が地面に残っています。(フィールドサイン)

 

冒頭のシーンは明るい昼間に撮れた現場の様子なのですが、ひどいモアレが生じてしまいました。
こんな症状は初めてです。
古いトレイルカメラを騙し騙し使い続けてきたので、いよいよ寿命なのかも知れません。
カメラを設置しながら試写したつもりなのですけど、夏の日差しが眩しすぎてカメラの液晶画面がよく見えず、ろくに確認できていませんでした。
こういうときの対処法として、液晶画面を覆う日除け(液晶サンシェード)を後に自作することになります。
幸い、夜の暗視映像には影響を及ぼしませんでした。


2023年7月上旬・午後21:25頃 

真っ暗な晩にトレイルカメラが起動すると、沢の流れる水音に混じってフシュ、フシュ♪と聞き馴染みのある音が渓谷の対岸から何度も鳴り響きました。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が対岸に現れたようで、立ち止まって何度も鼻息を荒らげているようです。 
しかし、威嚇の対象が不明です。 
まさかトレイルカメラの存在に気づいて警戒し、威嚇しているのでしょうか? 
あるいは夜の獣道で他の野生動物と遭遇したのかもしれません。
残念ながらトレイルカメラの旧機種は赤外線の光量が弱くて対岸までほとんど届かず、暗視映像ではカモシカの2つの目が点のように白く光っているだけです(赤丸@0:05)。 
動画編集時に試しに自動色調補正してもカモシカの姿は見えてこなかったので、その処理はキャンセルしました。 
それでも熱源の動きを検知するセンサーの感度には感心します。
カモシカが此岸に向かって渓谷を渡ってくれるかと期待したものの、そのまま90秒間の録画時間が終わってしまいました。 

ひょっとすると、同じ日の昼過ぎ(午後13:20〜13:40; 約8時間前)に私とつづら折れの山道で遭遇した♂と同一個体という可能性があります。 
明るい日中に出会ったときには、鼻息を荒らげて私に対して威嚇することは一度もありませんでした。

 関連記事(同日の撮影)▶  


※ カモシカの鼻息威嚇が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【追記】
渓谷の深さの計り方。
沢の源流部で深い渓谷を渡るために、ヒトも野生動物も両岸の切り立った険しい崖を登り降りしなければいけません。
有蹄類のニホンカモシカが渡る場合は、「義経の鵯越の逆落し」のような迫力のある動画がトレイルカメラで撮れるのではないかと期待しています。
ところで、渓谷の深さをどうやったら測れるでしょうか?
長いロープを使うなど色々と考えてみたのですが、携帯したGPSで標高の表示をリアルタイムで見ながら実際に渡ってみると、両岸と谷底の高低差はわずか4〜5mでした。
私の個人的な体感としては10m以上ありそうだったのに、拍子抜けしました。   




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ナンテンの花で採餌するヒメハナバチの一種♀

 

2023年7月上旬・午前11:05頃・くもり 

街なかで民家の軒下に植栽されたナンテンにヒメハナバチ科の一種♀(種名不詳)が訪花していました。 
通常マクロモードでカメラのレンズをそっと近づけても、訪花中の蜂は逃げませんでした。 
口吻を伸ばして吸蜜する蜂をよく見ると、後脚の花粉籠に黄色い花粉団子を満載しています。 
採餌の合間に身繕いして、体毛に付着した花粉をまとめて花粉籠に移します。 

トラマルハナバチ♀も同時に訪花していましたが、互いに無関心でした。 

2024/03/26

久しぶりに旧営巣地に戻ってきて巣穴を調べるニホンアナグマの母子【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年7月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)の母子がどこか別の巣穴に転出した後も旧営巣地(セット)をトレイルカメラで監視し続けていると、遂にある日の未明にアナグマ家族が戻ってきました! 


シーン0:7/7・午後16:21(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
巣穴Rを見張っているカメラの映像です。 


シーン1:7/9・午前3:56(@0:03〜) 
うっすらと夜霧が立ち込めています。 
 巣口Rの周辺でアナグマの幼獣が遊んでいるようですが、画面がぼんやりしていて、はっきり見えません。 
そこへ右から続けざまに別の幼獣2頭がやって来て、懐かしの我が家に入巣Rしました。 


シーン2:7/9・午前3:59・気温21℃(@1:03〜) 
巣穴Lを見張っている別アングルの暗視映像に切り替えます。 
やはり、夜霧がうっすらと立ち込めています。 
母親♀と思われる成獣が営巣地をうろついていました。 


シーン3:7/9・午前4:00(@1:16〜) 
母親♀は左下にのそのそと立ち去り、巣口Rで遊んでいた幼獣もばらばらについて行きます。
アナグマの親子が夜の二次林で餌を探し歩く途中でたまたま旧営巣地に立ち寄っただけのようで、本気で戻ってくるつもりはないようです。 

小雨が降っているのかも知れません。 
右手前に生えている細い枯れ木が暗視カメラの赤外線を反射するせいで画面が白飛びしてしまい、目障りですね…。 


シーン4:7/9・午前4:13・気温22℃(@2:11〜)日の出時刻は午前4:21。 
夜が明ける直前からカナカナカナ…♪とヒグラシ♂(Tanna japonensis)が鳴き始めました。 

巣口Lでアナグマの母子が対面しています。 
母親♀が先導して獣道を辿って右奥に立ち去りました。 
…と思いきや、幼獣が独りで戻ってきました。 
名残惜しそうに旧営巣地の地面の匂いを嗅ぎ回りながら左へ向かいました。 
母親から離れて単独行動するのも怖くないようです。 


シーン5:7/9・午前6:20・気温22℃(@3:00〜) 
とっくに夜が明けた時刻なのになぜか暗くて、暗視映像のままトレイルカメラが起動しました。 
霧はだいぶ晴れたようです。 
アナグマ親子の群れが再び戻ってきていました。 

巣口Lに潜り込んでいたアナグマの幼獣が外に出てきました。 
左の広場で仲間(母親♀?)と合流し、体を掻いています。 


シーン6:7/9・午前6:21・気温21℃(@3:51〜) 
ようやく母親♀と4頭の幼獣が勢揃いした様子をしっかり見ることができました。 
ここで生まれた幼獣4頭が、1頭も欠けることなく無事に成長していて安心しました。
巣口R付近で遊んでいます。 

授乳を求めて♀の腹の下に潜り込もうとした幼獣が拒まれて、巣口Rの窪みに転がり落ちました。(@4:00〜) 
離乳の時期が近いのかも知れません。 

♀と幼獣1頭が続けざまに巣穴Rrの奥に入り、残る幼獣3頭は広場で勝手に遊んでいます。 
あちこちで地面を軽く掘り返して、餌となる虫を探しているようです。(探餌徘徊) 
しばらくすると、巣穴Rrから幼獣と母親♀が逆の順番で外に出て来ました。 

林縁で母子が相互毛繕いしています。 
この幼獣は甘えん坊なのか、頻りに♀へじゃれついています。 


シーン5:7/9・午前6:23・気温21℃(@5:51〜) 
ようやく奥の灌木林に朝日が射し込み始めました。 

そう言えば、母親♀が我が子にアロマーキングしなくなっていることに気づきました。 
幼獣自身の臭腺や肛門腺が発達してきたのでしょう。 

巣口Rで遊ぶ幼獣の1頭が立ち上がって細い枯木の幹に前足を掛けました。 
巣材集め行動の萌芽なのかもしれません。 
母親♀は二次林内をぶらついて餌を探しています。 
♀が巣材集めをしないということは、この巣穴に再び住み着くつもりはないようです。

ヘルパー♂は別行動らしく、姿が見えませんでした。 

※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 



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