2023年7月上旬
平地のスギ防風林にあるアナグマの溜め糞場stmpに設置した監視カメラの映像です。
この地点でホンドテンが登場したのは初めてです。
シーン1:7/7・午後16:36・くもり(@0:00〜)
明るい昼間にたまたま撮れた現場の様子です。
画面下端のやや左寄りの所に朽ち果てた切株があります。
画面の右下隅から斜めに左上へ林床に掘られた古い用水路跡の溝にスギの落ち葉が溜まって埋もれかけ、今や獣道となっています。
その溝を挟んで切株の反対側に古い手押し車(猫車)が捨てられたまま朽ち果てて、錆びた金属のフレームだけが残っています。
そのフレームの下がニホンアナグマ(Meles anakuma)専用の溜め糞場stmpとなっています。
シーン2:7/8・午後18:51(@0:04〜)日の入り時刻は午後19:07。
日没前の薄暗い夕暮れに、何か謎の幼獣が2頭、前後して獣道を通り抜けて左奥の茂みへ走り去りました。
トレイルカメラの起動が少し遅れた上にあまりにも一瞬の登場なので、1/3倍速のスローモーションでまずはご覧ください。
直後に等倍速でリプレイ。
幼獣の後に左下からホンドテン(Martes melampus melampus)が登場しました。
テンは朽ちた切株の上に跳び乗ってから、先行する幼獣2頭を追いかけるように、奥のスギ林床を走り去りました。
テンは急いでいたのか、アナグマの溜め糞に全く興味を示しませんでした。
最初に登場した幼獣の種類によって、動画の解釈が変わってきます。
もしもテンだとすると、親子が一緒に夕方のスギ防風林を出歩いていることになります。
謎の幼獣がテン以外の哺乳類という可能性はどうでしょうか?
例えばアナグマの幼獣を狩ろうと、テンが追跡しているのかもしれません。
改めて動画を見返すと、冒頭の幼獣は走り去る後ろ姿しか写っていませんが、尻尾が長くて体型が細長いのでアナグマではなさそうです。
という訳で、私としては「ホンドテンの親子」説を取ることにします。
吉見光治『テン:種をまく森のハンター』によると、
食べ物が豊富な4月から5月、テンは2頭ほどの子を産み樹洞や山の斜面の岩穴などで育てる。7月にはテンの子が巣穴から出歩くようになる。テンの子は家族で過ごしながら、食べられる木の実や、小動物の捕獲方法、危険な動物などを学習し生きる術を身につけていくものと考えられる。 (p2より引用)
動画の撮影日は7月上旬ですから、まさに本に書いてある通り、テンの親が幼獣を連れ歩いて採食法(狩り)などを教育しているのでしょう。