2022/04/16

雪山のスギ林で夜明け前に活動する謎の小動物【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2021年12月下旬・午前5:27・晴れ・気温10℃ 

スギ山林の林道に設置した無人センサーカメラ(トレイルカメラ)の記録です。 
夜明け前の暗闇で謎の小動物が活動していました。 
写真+動画モードに設定していたのですが、初めに1枚撮った写真には何も写っていませんでした。 
おそらくカメラの起動が間に合わず、被写体はスギ木立の陰に隠れてしまったのでしょう。 
動画モードに切り替わってからしばらくすると、スギ木立ちの奥を小型の哺乳類が左右に移動していました。 (右へ行ってから、左に戻って来た。) 
赤外線の暗視映像で眼球が白く光って見えます。 
やや遠い上に全身が写ってないので、正体不明です。 
なんとなくニホンノウサギLepus brachyurus angustidens)のような気がするのですけど、どうでしょうか? 
画面の奥は下り斜面です。 
ノウサギ?は新雪に覆われた斜面を左右にトラバースしながら餌を探していたようです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
画角が斜めに傾いたままなのは、スギの枝からドサッと落ちた雪の塊がカメラを直撃したせいです。

杉林の林床という環境は微気象が安定していて、気温もそれほど下がらないようです。
川沿いと違って霧は発生しませんし、雪が降ってもなかなか氷点下の気温にならない?

2022/04/14

雪山の杉林を通るニホンイノシシ【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2021年12月下旬 

里山の杉林の林道沿いに設置したトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で撮れた映像の中でニホンイノシシSus scrofa leucomystax)が2回登場したシーンをまとめました。

関連記事(12月中旬の撮影)▶ 杉林の獣道を往来する野生動物たち【トレイルカメラ:スライドショー】

前回は私の設定ミスで写真しか撮れなかったのですが、ようやく証拠動画が撮れました。 
出現頻度はカモシカより低いものの、確かにイノシシが山形県の雪山に生息していることが分かりました。 

トレイルカメラを写真+動画モードに設定すると、撮影時の気温データを取得できます。 
ところが肝心の動画を録画開始するまでに数秒のタイムロスがあり、一長一短です。 


シーン1:12/24・午後19:35・気温4℃ 
杉林を突っ切る林道をイノシシが左から登場しました。 
雪で埋もれたタヌキの溜め糞場sで立ち止まり、雪面の匂いを嗅いでから右へ立ち去りました。

シーン2:12/30・午前8:31・気温5℃・小雪 
イノシシは夜行性という訳ではなく、明るい日中も活動するようです。 
今度は進行方向が逆で、右から左へカメラの前を横切りました。 
早足の移動だったようで、動画モードの起動が間に合いませんでした。 
小雪がちらついています。

カメラの画角が斜めになっていました。 
どうやらスギの枝に積もった雪の塊が落ちた際にカメラを直撃し、画角が変わってしまったのでしょう。 
それでもタフなトレイルカメラは愚直に監視任務を遂行してくれました。
これ以降、年明けのカメラ回収時(1月上旬)まで野生動物は何も写らなくなりました。 
再び落雪がカメラを直撃したようで設置角度が極端な下向きになり、林道の手前の雪面しか写らなくなっていました。
こういう事態を防ぎたいのであれば、トレイルカメラを落雪から守る頑丈な屋根を設置する他ありませんが、現実的ではありませんね。



2022/04/13

タヌキ溜め糞に含まれる未消化の種子を探す野ネズミ【暗視映像:トレイルカメラ】

 

2021年12月中旬
前回の記事:▶ タヌキの溜め糞場にクルミの実を埋めて貯食する野ネズミ【暗視映像:トレイルカメラ】

落葉した河畔林でタヌキの溜め糞場をトレイルカメラで長期監視している記録の続きです。
夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が3夜連続で登場したシーンをまとめました。 
タヌキの糞の中に大量に含まれる未消化の種子を野ネズミが食べに来ているのではないかと考えています。

果実を食べ歩き、溜め糞場に通って排便するタヌキは植物の種子散布に貢献しています。
一方、野ネズミが溜め糞場で未消化の種子を食べているのなら、種子捕食者になります。 
もし野ネズミが溜め糞場で見つけた種子の一部をどこか別な場所に運んで貯食し、春までに食べなければ、種子を更に遠くへ散布して植物の分布を広げたことになります。 
タヌキの溜め糞場をめぐる様々な生き物のつながりは、調べれば調べるほどに奥が深いことが分かってきました。 


シーン1:12/14・午後19:42 
雪が降る夜には野ネズミを見かけませんでしたが、林床の雪が溶けると野ネズミは活動を再開したようです。 (未だ根雪ではありません。)
落葉に覆われた林床を忙しなく徘徊するものの、なぜかタヌキの溜め糞には近寄りません。 
最近はここにタヌキが排便しに来ないので、果物の種子が供給されないのでしょう。 


シーン2:12/15・午前2:40 
日付が変わった深夜に、野ネズミが再び現れました。 
久しぶりに溜め糞の上をチョロチョロと歩き回ってチェックしたものの、餌は何も見つからなかったようです。 


シーン3:12/15・午前2:54 
約15分後に野ネズミが再登場。 
同一個体が戻って来たのか別個体なのか、不明です。 
画面右端の溜め糞に長居しているので、何か餌を採食したようです。 
カメラのバッテリーが消耗していて、残念ながら尻切れトンボの記録になってしまいました。 


シーン4:12/15・午前3:45 
更に約50分後、野ネズミがまたやって来ました。 
林床に転がっている落枝の上を橋のように渡り、画面下へと姿を消しました。 
すぐにまた戻って来たものの、結局タヌキの溜め糞には近寄らず立ち去りました。 


シーン5:12/15・午前5:37 
画面の左、立木の奥をチョロチョロと徘徊する野ネズミがちらっと写りました。 


シーン6:12/16・午前1:37 
翌日は真夜中に現れました。
河畔林に霧が少し立ち込めています。 
今回、野ネズミは溜め糞の上に長居しました。 
タヌキの糞に含まれる未消化の種子をほじくり出して食べているのではないかと思います。 


シーン7:12/16・午後22:01 
21.5時間後(同じ日の晩)に野ネズミが再登場。
溜め糞場に長く留まって糞を掘り起こし、餌を探しているようです。 
未消化のまま排泄された種子を採食している気がするのですけど、なにせ小さい被写体なので、映像をフルスクリーンで見直しても確信がもてません。 


野ネズミの種類ですが、ヒメネズミかアカネズミのどちらなのか、映像で見分けられる方がいらっしゃいましたら教えてください。 
トレイルカメラを設置する位置をもっと低くして溜め糞場に近づければ野ネズミをしっかり同定できますし、採食行動を間近で記録できそうです。 
しかしそうすると今度はタヌキがカメラをあからさまに警戒して溜め糞場に近寄らなくなりそうなので、悩ましいところです。 
カメラの位置を高くして広範囲を監視する方が野生動物の写る確率が上がる、というトレードオフの関係もあります。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 





【追記】
伊沢正名『ウンコロジー入門』という本を読んでいたら、野ネズミは人糞を直接食べるという話が出てきました。
筆者は毎日のように野糞をして、それが地中で分解される様子を克明に経時観察(発掘調査)しています。
地中ではトレイルカメラが使えないので野ネズミが人糞に来たという証拠写真(映像)はありませんが、状況証拠から見事な推理をなさっています。
虫たちの他にも、ごうかいにウンコを掘り返して食べるイノシシなどの大型獣や、地中にもぐりんこんでこっそりウンコを食べるネズミなどの小型獣もいます。中には地中のウンコをすっかり食べてできた空洞を住み処にして、クリの実を持ちこんで食べていたノグソ跡もありました。(p72〜75より引用)

獣に食べられたノグソの数も(冬場は:しぐま註)夏場より何倍も多く、獣たちの冬場の貴重な食糧にもなっていました。 (p97より引用)

したがって、野ネズミが溜め糞場の地下にトンネルを掘ってタヌキの糞を直接食べていても不思議ではありません。 

私は考えもしなかったことで、とても新鮮でした。

野ネズミに関する本でもそんな話は他所で読んだことがありません。

ただし、タヌキは糞に土をかけて埋めたりしない点が伊沢氏の人糞実験と決定的に異なります。

食性もヒトとタヌキは同じ雑食性とは言え、糞の性質はやはり違う可能性もあります。





 

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