2024/03/19

山道を横切り道端の草に登るタケカレハ(蛾)の幼虫

 

2023年7月上旬・午後15:35頃・くもり 

里山の林道でタケカレハEuthrix albomaculata directa)の幼虫を見つけました。 
砂利道を横断すると、道端に生えたイネ科の草(種名不詳)に辿り着くや否や、葉先から伝ってよじ登り始めました。 
イネ科の草がタケカレハ幼虫の食草ですから、食草に向かって移動していたのは、ごく自然な行動です。 

私が草むらをかき分けて接写しようとすると、タケカレハ幼虫は警戒して動きを止めました。(擬死?) 
大きさの比較対象として、私の左手の指を横に並べてみました。 
このときうっかり指が幼虫の毛先にちょっと触れてしまいましたが、その後タケカレハの毒毛にかぶれた記憶はありません。
(タケカレハの)幼虫は長い毒針毛の束を頭部付近と尾部付近に1束ずつ持っている。カレハガ、マツカレハなどの幼虫とは違い、刺激を受けても、この束は膨らまない。 (wikipediaより引用)
黄色に黒い斑点が並ぶ配色は目立ちますから、おそらく天敵(捕食者)に対して毒毛の存在を誇示する警告色なのでしょう。 
素手で直接触れませんから、近くの葉をちぎりとって、その葉先で毛虫をツンツン突いてみました。 
すると慌てて活動を再開しました。(逃避行動) 
頭部をときどき左右に振って探索しながら、全身の蠕動運動で草の葉身を登って行きます。 
足場の葉が細いため、綱渡り中にときどき体重のバランスを崩して左右に転がり落ちそうになりますが、腹脚および胸脚で葉をしっかり掴んでいるため落ちません。 

「冒頭でタケカレハ幼虫の近くにヤドリバエ(寄生ハエ)が来てたかも?」と野帳に記してあるのですが、映像を見直してもハエは写っていません。 
クロアリをハエと誤認したのかな?

関連記事(11年前の撮影)▶ タケカレハ幼虫に寄生したヤドリバエ科の一種 


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2024/03/18

つづら折れの山道に座り込んで休むニホンカモシカ♂がどいてくれるまでひたすら待つ

 

2023年7月上旬・午後13:20頃・くもり 

里山の急斜面をつづら折れの細い山道を辿って静かに下山していると、前方にニホンカモシカCapricornis crispus)を発見。 
どうやら最近、この山道の左右を誰かがきれいに草刈りしたばかりのようです。 
その山道でカモシカが立ち止まり、毛繕いしていたようです。 
ズームインしてみると、つづら折れの曲がり角でカモシカが向きを変えた際に、股間に睾丸が見えたので♂と判明。
角や耳介にこれと言って特徴はありませんが、すっかり顔馴染みになった♂個体でした。 

こちらを見上げたのに、逃げ出すこともなく、落ち着き払っています。 
私の方が少し高所にいるのに、警戒する素振りを見せませんでした。 
野生のカモシカにしてはあり得ない振る舞いです。
山中でカモシカを追いかけると、最後には上へ上へ逃げますから、敵を見下ろす位置の方がカモシカとしては落ち着くようです。
外敵が急斜面を駆け下りながら襲ってくる方が怖いのでしょう。
近視で私の姿がよく見えてないだけかもしれません。 

カモシカ♂は左耳の裏が痒いらしく、左後脚の蹄で器用に掻きました。 
身震いしてペロペロと舌舐めずりしながら、またこちらを見ました。 
次は体を曲げて、左の脇腹を舐めました。 
吸血性の昆虫に刺されて痒いのでしょう。 

ようやく、ゆっくりと歩き出して、右カーブを曲がりました。(@0:31〜) 
手前に自生するユキツバキ群落の死角に入ると、一旦立ち止まってブルブルッと身震いしました。 
そのままつづら折れの山道を歩き去ります。 
私が足音を忍ばせて追跡すると、次の曲がり角でカモシカ♂に追いつきました。(@0:56〜) 

意外にも、カモシカ♂は山道にどっかりと座り込んでいました。 
手前に自生する茂みの陰に隠れたつもりでいるようです。 
後ろ向きで座っているものの、横目で油断なくこちらの様子を伺っています。 
撮影アングルを確保するために、私が動画を撮りながら左にそっとずれたら、カモシカは気づいて振り返りました。 
私が少しずつ重心移動しても、うっかり枯れ葉を踏んでしまうと、その物音でカモシカに気づかれてしまいます。 
私は動きを止めて撮影に専念します。 

カモシカ♂の濡れた黒い鼻面がヒクヒクと動いています。 
いくらカモシカが近視でもさすがにこの近距離では私の姿は見えているでしょうし、私の体臭も嗅ぎ取っているはずです。 
「またお前か!」と認識しているようです。 
しばらくすると警戒を解いて、谷側に向き直りました。 
私を見上げようとすると、体をひねってかなり無理な体勢になるから疲れるのでしょう。 
それでも油断なく両耳をそばだてています。 

ヤブサメ♂(Urosphena squameiceps)という野鳥がどこか近くでシシシシシ…♪と鳴き始めました。(@1:18〜) 
ヤブサメ♂が断続的に鳴いている他、遠くからホトトギス♂やウグイス♂のさえずる声♪もときどき聞こえてきます。 

再び撮影アングルを確保するために、私が慎重に左へ移動する度に、カモシカ♂はすかさず振り返って見上げました。(@2:30〜) 
舌をペロッと出しただけで、顔の向きを谷側に戻しました。 
まるでカモシカ♂と「だるまさんが転んだ」をして遊んでいるようです。 
急斜面の山道で立ち止まって長撮りする私は足元が不安定なので、手足の筋肉が疲れてきます。 
カモシカを刺激したくないのはもちろんですが、足場が安定した平らな地点まで隙を見て少しずつ移動したくてたまりません。 
(軽量化のために、この日は三脚を持ってきてませんでした。)
カモシカはもう振り返らなくなりましたが、私が左にそっと移動する度に谷側を向いたまま緊張して神経を研ぎ澄ませています。 
いざとなったらすぐに立ち上がって逃走する準備はできているのでしょう。 
山道に座ったまま居眠りすることはありませんでした。
私も突っ立ってないで、もしも山道に座って撮影したら、カモシカは安心して長居してくれたかな? (次回に試してみることにします。)

カモシカ♂が呼吸する度に胴体が膨張収縮を繰り返しています。 
胴体の皮膚の一部が不規則にピクピクッと動くのは、飛来する吸血性昆虫が体に止まらないように追い払う行動です。 
座っているカモシカの口元を見ても反芻していないということは、リラックス状態では無さそうです。 

山道に座って休むカモシカ♂の頭部に後方からズームインしてみても、傷や欠損はありませんでした。(@7:28〜9:00) 
木の幹でゴシゴシと角研ぎしたばかりなのか、細かい木屑(樹皮のカス?)が角の根元に付着しています。 

実は最近、同一個体のニホンカモシカ♂と出会った際には、私が山道を下から通せんぼした形になり、困らせてしまいました。 
関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ 細い山道に座り込んで反芻するニホンカモシカ♂ 
このときは結局、カモシカ♂が山道から逸れて行き、私に道を譲ってくれました。 
そのときとは上下関係が逆転していて、今回は私がカモシカを見下ろす位置に立っています。 
実は同一個体のカモシカ♂がそのときのことを根に持って、私に対する仕返しとして山道を長時間塞いでいるのかもしれません。 (通せんぼ)
だとすれば、向こうも私を特定のヒトとしてしっかり個体識別した上で記憶し、少し意地悪な感情や悪戯心をもっていることになります。 
「やられたらやり返す。倍仕返しだ!」 
あるいは、山中でよく出会う私を人畜無害だと信頼してくれた上で、逆に興味津々で観察しているのかも知れません。 
少しずつ近づいてくる私の意図を察した上で、度胸試し(チキンレース)のつもりで座っているのでしょうか。 
私に対して鼻息を荒げる威嚇行動を一度もやりませんでした。 
野生動物に餌付けしなくても、ブラインドに隠れなくても、長い年月をかけて信頼関係を築けばここまで近寄れるようになり、長時間観察できる、と身をもって証明できました。(「ヒト付け」という手法です)

座位休息しているニホンカモシカ♂のほぼ全身が見えるようになりました。 
カモシカの座った横の地面には、踏みしだかれた下草が見えます。 
周囲の葉に食痕は見当たりません。 
この山道は昼間も登山客の往来が少ないので、もしかするとカモシカの寝床(ねぐら)なのかもしれません。

遂に、カモシカ♂が前脚、後脚の順に立ち上がりました。(@12:00〜) 
このときも股間の睾丸を確認できました。 
私を振り返って見上げると、舌舐めずりしてから左脇腹を舐めました。 
次は右後脚の蹄の先で顎の下をそっと掻きました。 
こんな繊細な掻き方もできるのか、と感銘を受けました。 
同じ右後脚の蹄で次は右脇腹を掻きました。 
目の前の灌木の枝葉の匂いを嗅いだものの、眼下腺を擦り付けるマーキングはしませんでした。 
再びこちらを見上げて舌舐めずり。 
カモシカがよくやる舌舐めずりは、どんな意味があるのですかね? 
フレーメン反応の一種なのかと思ったこともあるのですが、どうでしょう? 
ナーバスになっている緊張の現れなのかな? 
つづら折れの山道をゆっくり歩いて右へ下り始め、手前に生えた灌木の茂みの死角に消えました。 





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ナンテンの花で採餌するトラマルハナバチ♀

 

2023年7月上旬・午前11:05頃・くもり 

街なかで民家の軒下に植栽されたナンテンの灌木にトラマルハナバチBombus diversus diversus)のワーカー♀が訪花していました。 
この組合せは初見です。 
吸蜜・集粉する蜂の後脚を見ると、花粉籠に橙色の花粉を満載していました。 

焦った私がレンズを近づけ過ぎてしまい、トラマルハナバチ♀を警戒させてしまったかも知れません。 
レンズを掠めるように飛び去る際にブーン♪という低い羽音が聞こえました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:11〜)


ヒメハナバチの一種♀も同時に訪花していましたが、互いに無関心でした。 

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