2023/03/19

ノスリがハシブトガラスのモビングで杉防風林から追い立てられ携帯電話基地局の鉄塔へ逃げ込むまで(野鳥)

 

2022年9月下旬・午後16:00頃・晴れ 

黄金色の稲穂が実る田んぼの端で1羽の猛禽がスギの防風林に飛び込んで枝に止まりました。 
遅れて飛来したハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が猛禽に対して軽くモビング(擬攻撃)を加えました。 
それに対して猛禽が威嚇・牽制するために大きく広げた翼の下面の斑紋からノスリButeo japonicus)と判明しました。 
ハシブトガラスは同じスギ防風林でノスリよりも上の横枝に止まりました。 (戦いに有利なポジション)
ノスリは隣の横枝にピョンと跳んで移動しました。 
そのままカラスの真下に居ると、糞をかけられたり嫌がらせを受けるのでしょうか? 
この後はしばらくカラスはノスリに対して何もちょっかいをかけませんでした。 
それでも地味に神経戦が続いているようです。 

スギ樹上で西日を浴びながらノスリは眼下の田園地帯を見渡しています。 
 やがてノスリが足元の横枝に絡みついた蔓植物(イワガラミ?)の葉を嘴で啄みました。(@0:49〜) 
戯れに何か虫を捕食したのかな? 
次にノスリは右足を上げて顔を掻き、身震いしました。(@1:02〜) 
その後、嘴が半開きのままなのは、西日を浴びて暑いのでしょう。(@1:20〜) 
ノスリに動きがないので私がカメラをズームアウトすると、ハシブトガラスはいつの間にか居なくなっていました。 

ノスリを正面から狙えるように、私は農道を移動して防風林に少し近づきました。 
再びカメラを向けても、ノスリはなかなか逃げ出そうとしません。 
遂にノスリが防風林から飛び立ちました。(@2:25〜) 
右へ急旋回すると、羽ばたきと滑空を交互に繰り返しながら右へ飛び去りました。 
ノスリの背後から、カラスが追いかけてきます。 
このカラスがそれまでどこに居たのか不明ですし、先程のハシブトガラスと同一個体かどうかも定かではありません。 
カラスが背後から急襲するも、ノスリはひらりと身をかわしました。 
カラスがノスリを追い越してしまっても、ノスリが逆襲することはありませんでした。 
軽い空中戦の間も、鳴き声は聞き取れませんでした。 
カラスのモビング(擬攻撃)はそこまでで、それ以上しつこくノスリを深追いすることはありませんでした。 
カラスの縄張りから追い払われたノスリは、遠くに立つ携帯電話基地局まで逃げてくると、鉄塔の中段にようやく着地しました。 
この鉄塔もノスリがよく止まる、お気に入りの場所のひとつです。 
カラスの繁殖期はとっくに終わっているはずなのに、天敵のノスリに対して容赦なく嫌がらせ(モビング)して追い払っていました。

ノスリが防風林から飛び立ち、追いすがるカラスとの空中戦をかわしながら電波塔に辿り着くまでのドラマチックな飛翔シーンを、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:21〜)
ノスリの右上の枝にハシブトガラスが止まった。

山道の溜め糞場を横切るオオキノコムシ

 

2022年9月下旬・午後15:10頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする細い林道(作業道?)に残されたタヌキの溜め糞場dを久しぶりに見に来ました。 
この山道は斜面の谷側にあるスギ植林地と山側にある雑木林との境界線になっていて、林床には広葉樹の枯れた落葉や落枝が散乱しています。 

黒光りする大型の甲虫が1匹、林道を歩いて横切りました。 
右の触角が途中から欠損した個体です。
溜め糞の糞便臭に誘引されて来たのかと思いきや、糞虫とは違って獣糞そのものには興味がないようです。 
林道上に転がっている落枝を挟んでタヌキが新旧2つの糞塊を残していて、オオキノコムシはその間を通り抜けました。 

甲虫に疎い私はキノコムシの一種だろうとしか現場では分からなかったので、逃げられないうちに採集しました。 
見たこともない巨大さに感動しました。(体長Xmm)
帰宅してから図鑑で調べてみると、オオキノコムシEncaustes cruenta praenobilis)と判明。
オオキノコムシのなかまでは飛び抜けて大きい。触ると甘い香りを出す。16〜36mm。北海道〜九州。5〜9月。サルノコシカケに集まる。( 『くらべてわかる甲虫1062種』p77より引用)
捕獲した際に甘い匂いを放ったかどうか、私は気づきませんでした。
現場の周囲を見渡すと、林道上に放置された倒木の多くが秋の雨で水気を含んで朽ちていて、キノコも発生していました。 
しかし、サルノコシカケは見当たりませんでした。 

もし私が採集しなければ、オオキノコムシはそのまま斜面の谷側に向かっていて、雑木林のエリアから杉林のエリアへと移動したことになります。 
好物のサルノコシカケを探しているのなら明らかに逆方向に行くべきだと素人考えでは思うのですが、ある程度はランダムウォークするのですかね? 
キノコ狩りをしない私はキノコに関して全く疎いのですが、調べてみると「サルノコシカケ」という和名のキノコは存在しなくて、サルノコシカケ科を含めていくつかの科を含む総称名なのだそうです。
しかもサルノコシカケが生える木は針葉樹と広葉樹の両方あると知って驚きました。
なんじゃそりゃ!(唖然)
スギの木に生えるサルノコシカケなんて見たこと無いのですけど、私が知らないだけで、あるのですかね?
DNA解析が登場する前の古い時代のキノコ分類学の名残らしく、混乱を招く総称(俗称?)は今後廃れていきそうです。
キノコムシ類の生態も面白そうですし、まずはキノコについてこれから少しずつ勉強していかないといけません。
「通い慣れた裏山にも未踏のフロンティア(自然観察のネタ)は幾らでも広がっているなぁ」と嬉しいやら気が遠くなるやら…。


採集したオオキノコムシの標本写真を後で載せます。
体長を測ること。


【追記1】 
この溜め糞場dの存在は数年前から気づいていたのですが、小規模のまま消失することもあり、季節消長が不安定でした。 
後日トレイルカメラを設置して、確かにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜に来て排便したことを確認しました。(映像公開予定) 


【追記2】
YouTubeのコメント欄にて、kiokuima氏より「オオキノコムシは溜め糞場に生えた菌類を食べに来たのでは」との示唆をいただきました。
しかし、あちこちの溜め糞場を通年観察しても、キノコムシ類を見かけたのはこのときだけでした。
(獣糞の中に潜り込んでいるのだとしたら、見落としていそうです)
私は糞生菌やアンモニア菌にも興味があるので、溜め糞場に生えるキノコを今後も探し続けます。


【追記2
サルノコシカケの仲間の写真を探したのですが、キノコ類の写真をあまり撮っておらず、古い写真しかありませんでした。
2018年7月中旬、同じ山域の林道脇で立ち枯れしかけたクリの幹に生えているのを見つけました。
上面よりも下面に多くの黒い甲虫(おそらくキノコムシの仲間)が群がっています。






2023/03/18

雨夜のスギ林道で撮れたアライグマの尻尾?【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年9月下旬・午後22:35頃・雨・気温16℃ 

里山のスギ林道でタヌキとアナグマの溜め糞場sをトレイルカメラで監視していると、雨が降る晩に謎の野生動物が記録されていました。 

カメラの死角(手前側)から何やらガサゴソ♪と物音がしています。鼻息? 
残念ながら全身像は一度も写りませんでした。 
謎の獣が方向転換した際に、太い尻尾だけチラッと写りました。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみると、尻尾にくっきりとした横縞模様がありました。 
したがって、これはアライグマProcyon lotor)と判明しました。 
在来種の哺乳類で横縞模様の尻尾を持つ者はいません。

【追記】
ネコの尻尾という可能性もあり得ますけど、ふもとの飼い猫がこんな山奥まで登ってくるとは考えにくいです。
 

私は外来種のアライグマをフィールドで見かけたことが未だ一度もありません。 
遂に山形県の山林にまで分布を広げてきたようです。 
日本各地でアライグマは在来種を圧迫したり農作物を食害したりと問題となっているので、心配です。

林道脇の法面でアライグマが一体何をしてたのか、気になります。 
スギの木の根元の崖を掘り返して餌を探していたのでしょうか? 
杉林で雨宿りしに来たのかもしれません。
林道の逆側のアングルからも別のトレイルカメラで狙っていたらスクープ映像が撮れたのに、残念無念…。 
アライグマがもしタヌキとアナグマの溜め糞場sに興味を示していれば、必ずトレイルカメラにしっかり写っていたはずなので、溜め糞を避けるように迂回したことになります。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
冒頭は短くまとめたハイライト、後半は全記録です。 
画面に何も写って無いのにアライグマの動く物音が聞こえるだけのシーンが続きます。 

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