2023/02/23

砂防堰堤の上で取っ組み合いして遊ぶ幼いニホンザル

 

2022年9月中旬・午前11:00頃・くもり 

里山から流れ出る渓流を跨ぐように作られたコンクリート製の砂防堰堤に野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集まり、互いに毛繕いし合ったり思い思いにくつろいでいました。 
2頭の子ザルが取っ組み合いを始めました。 
本気の喧嘩ではなく、仲良しの遊び仲間がレスリングのような格闘遊びをしているようです。 
格闘中に鳴き声を発していませんでした。(少なくとも私には聞き取れませんでした。) 
もし堰堤の縁から落ちたら結構な高さなのですけど、ニホンザルは高さへの恐怖は無いようです。
私に隠し撮りされていることに気づくと、堰堤の少し奥に移動して死角に隠れました。 
私もそっと移動して撮影アングルをなんとか確保します。 
相手を組み伏せようとしたり、甘噛みしたり、逃げる相手を追いかけたり、疲れ知らずの子ザルは延々と寝技を続けています。 
子ザル同士の無邪気なプロレスごっこのように見えて、実は群れ内での力関係(序列)がこうして決まっていくのかもしれません。
ようやく一戦を終えると、堰堤を右に遊動して仲間と合流しました。 

この2頭にひたすら注目して格闘遊びの一部始終を長撮りすれば良かったのですけど、巨大な堰堤のあちこちで多数のニホンザルが様々な行動をしていたので、何を撮るべきか目移りしてしまいました。


飛べ!セスジスカシバ♂(蛾)

 

2022年9月中旬・午後12:40頃・晴れ 

里山の斜面に繁茂するクズの葉の端にセスジスカシバ♂(Pennisetia fixseni fixseni)が止まっていました。 
見事なベーツ型擬態で、私もズームインしてみるまでは蜂(スズメバチまたはアシナガバチ)かと思いました。 
触角の分岐が発達しているので♂と分かります。 
側面から見ると、腹端の毛束(ヘアペンシル?)がよく目立ちます。 

葉上でじっとしているので、もしかして死骸なのかと疑い、指で触れてみました。 
右触角に軽く触れるとピクッと避けたので、生きていました。 
私がしつこく触わっても、なかなか飛んで逃げようとしません。 
翅を閉じていて分かりにくいのですが、「透かし翅」になっていません。 
羽化直後で翅から鱗粉が落ちる前の個体なのかな? 

セスジスカシバ♂は葉上を歩いて移動してから、準備運動なしにブーン♪と飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、羽ばたきが早過ぎて、「透かし翅」かどうかしっかり確かめられませんでした。 
ハイスピード動画で撮るべきでしたね。 

※ 後半は羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。



2023/02/22

ミゾソバなど林道に生えた下草を食べに連日通うニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 

2022年9月中旬

里山の林道でいつも水溜りができているジメジメした区間を監視できるように、自動センサーカメラを新たに設置してみました。 
これまでは林道脇の法面から水溜りを見下ろすようなアングルでしたが、反対側から狙ってみます。 
すると、意外にもニホンカモシカCapricornis crispus)の採食シーンが3日連続で長々と記録されていました。 
初日は日の出直後に現れ、2〜3日目も時間を遅らせながら午前中に登場しました。 


シーン1:9/16・午前5:25〜5:30・(日の出時刻は午前5:18)
右から登場した時にはカメラに対して近過ぎて、林道で何をしているのかよく分かりませんでした。 
左に一度通り過ぎてから、すぐにまた同一個体?が戻って来ました。 
角が未だ細くて若い個体のようです。 
右側の背中に黒点の模様があります。 
左尻の上に白い毛が生えています。
これらの特徴は個体識別に使えるかな? 
後ろ姿の股間をいくら目を凝らして見ても、外性器が毛で覆われていて性別不明です。 

今度は画面の中央で下草を採食してくれました。 
この餌場がよほど気に入ったのか、ほとんど移動せずにのんびりと下草を食べ続けます。 
後日、現場検証すると、その辺りの湿った林道にはミゾソバが大群落を形成して地面を覆い尽くしていました。





ミゾソバの茎を途中から食い千切った跡(食痕)がそこら中で見つかります。
カモシカは下顎にしか切歯(門歯)が無いために、ノウサギの食痕のようにスパッと鋭い切り口にはなりません。




他にはトリアシショウマヌスビトハギが疎らに生えていました。 
トリアシショウマ@ヌタ場


この時期は花が咲き終わった植物が多くて、私には種類を見分けられなくなります。 
奥に見える山側の斜面には、シシガシラという常緑の羊歯が生えていますが、カモシカはシダ植物を食べないようです。 

本を読むとカモシカは草食獣の中でもgrazerではなくbrowserとされていて、てっきり草はあまり食べずに灌木の葉が好きなのかと思っていました。 
(ちなみにシカがgrazerです。)
カモシカがミゾソバをモリモリ食べるとは意外でした。
同時期に別の地点で出会った個体の直接観察でもミゾソバの花や葉を食べていました。

平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』という本は、生後間もないニホンカモシカ幼獣♀を保護した飼育観察記録です。 
様々な植物を与えて食べるかどうか克明に調べ上げていて貴重な資料なのですが、ミゾソバは「テスト回数3〜7回で採食しなかったもの」リストに含まれていました。(p48:表2) 
つまり、ミミ♀はミゾソバが嫌いで食べなかったという結果です。 
これは明らかに私の今回の映像記録と異なるのですが、ニホンカモシカの個体差または地域差による好き嫌いとしか言いようがありません。 


シーン2:9/17・午前7:42〜7:50・日の出時刻は午前5:19(@4:39〜) 
翌朝にもカモシカが下草を食べにやって来ました。 
林道を左から右へゆっくり歩きながら採食しています。 
同一個体が戻って来たのかと思いきや、右の背中に黒点模様が無いので、おそらく別個体でしょう。 
角の発達具合から、素人目には成獣に見えます。 
左の尻に白毛もありません。 


シーン3:9/18・午前9:30頃(@9:14〜) 
3日目の朝もカモシカが採食に来ました。 
この林道は餌となる下草も多いし人通りも少ないので、安心して採食できるお気に入りの餌場なのでしょう。 
右の背中に黒毛の部分があり、左の尻が白いので、初日の若いカモシカと同一個体のようです。 


3日間で2頭の個体が餌場に代わる代わる登場していました。 
ヒトや車の往来が途絶えた林道(廃道)でも下草が野放図に繁茂せずに通年きれいに保たれているのは、カモシカなど草食獣のおかげ(採食圧)なのだと気づかされました。
画面右端に見切れている浅い水溜りでカモシカが水を飲むことはありませんでした。
しかし、泥濘と化した浅い水溜りにニホンカモシカの蹄跡がくっきりと残されていました。





※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
フルカラーの新機種で記録できなかったのは残念です。



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