2022年8月下旬
監視カメラを設置している里山スギ林道の溜め糞場sで、同じ日に3回もニホンアナグマ(Meles anakuma)が現れました。 しかも別個体が1頭ずつ登場しました。
シーン1:8/23・午前1:45・気温22℃
アナグマが溜め糞場sに来たのは3日ぶりです。
深夜の林道を右からやって来たアナグマは、自分たちの溜め糞の匂いを嗅いだだけで、排便せずに素通りしました。
スギの根元で軽くスクワットマーキングしてから、左へ立ち去りました。
全身が白っぽく見える(アルビノ?)いつもの個体でした。
シーン2:午後19:43・気温25℃ (@0:11〜)
日が沈んで晩になってから登場した個体はいつもと違い、赤外線の暗視映像でも顔の黒い過眼線がくっきり見えます。
いかにもアナグマらしいアナグマです。
今までの暗視映像でアナグマが白っぽく見えていたのは、赤外線投光器が強過ぎて白飛びしていたのではないか?という懸念が拭えませんでした。
しかし、そうではないことがこれではっきりしました。
同じ機種のトレイルカメラでも顔の黒い縦縞の有無によって、少なくとも2頭のアナグマ(顔白と顔黒)が見分けられることになります。(個体識別可能な形質)
老齢になると毛皮の黒い毛が白髪化するのですかね?
それとも近親交配による近交弱勢でアルビノが生まれるのかな?
金子弥生『里山に暮らすアナグマたち』というバイブルを読むと、
養殖場に飼育されている顔面の白黒模様がないアナグマ。アナグマの顔の白黒模様は、地理的亜種の判別に使われるほど形質が安定しているが、養殖場では無軌道な地域個体群の交雑や近親交配の影響からか、このような黒い顔のアナグマが増え、死亡率が高いという。(p166に掲載された写真のキャプションより引用)
という記述がありました。 これは韓国のアナグマ養殖事情についての文脈で、ニホンアナグマとは別種(Meles leucurus アジアアナグマ Asian badger)らしいです。
珍しく左からやって来たアナグマ(顔黒)は、タヌキが残した溜め糞sの手前で立ち止まると、スギ落葉の匂いを嗅いでいます。
タヌキの溜め糞を迂回しながら下草の匂いを嗅ぎました。
一旦画面の死角に消えてから、ぐるっと回って画面の右下から再登場。
アナグマの溜め糞の匂いを嗅いでから右へ立ち去りました。
この個体は結局、排便もスクワットマーキングもしませんでした。
ちなみに、画面中央やや下に黒々と写っているタヌキの溜め糞の上を黒い糞虫が活動しています。 (別の記事に改めて取り上げます。)
シーン3:午後19:47・気温29℃ (@0:52〜)
わずか3分後、右からアナグマ(顔黒)が再登場。
どうやら同一個体が戻って来たと思ったのですが、左後脚をヒョコヒョコと跛行しています。
下草にスクワットマーキングするための姿勢ではなさそうです。
暗闇の林床で何か棘のある落枝でも踏んで怪我したのでしょうか?
嗅覚でタヌキの溜め糞に気づくと迂回し、画面左下の死角に消えました。
今回も結局、溜め糞場sで排便もスクワットマーキングもやりませんでした。
まとめると、この日8/23に登場したアナグマはおそらく2頭で、溜め糞場sに排便はしませんでした。
顔白と顔黒の2頭がこの辺りを縄張りとする♀♂ペアなのかな?
アルビノっぽい顔白が♂ですが、顔黒が♀かどうか確認できていません。
アナグマもタヌキのように♀♂ペアが一緒に行動することはないのでしょうか。
タヌキの残した溜め糞を匂いで嗅ぎつけると、アナグマは必ず迂回しました。