2021年11月上旬・午後14:50頃・晴れ
浅い川で水浴するコハクチョウ(Cygnus columbianus bewickii)の小群(成鳥5羽+若鳥1羽)を240-fpsのハイスピード動画でも撮っていたら、興味深い行動が撮れていました。
前回の記事:▶ 川の浅瀬で盛大に水浴するコハクチョウの群れ【野鳥:HD動画&ハイスピード動画】
シーン1:(@0:00〜)
水中に体を横倒しにして水浴びを始めた幼鳥(嘴がピンク色)が体勢を立て直すと、急に川面を突進し始めました。
左右の翼を同時に羽ばたきながら川面を走るのは、離陸前の助走と似ています。
幼鳥は画角の外に出てしまったのですが、私が慌てて流し撮りすると、いつの間にか成鳥(嘴が黒と黄色)も幼鳥と少し並走してから立ち止まりました。
水浴中の群れに近づいた外敵を追い払うために、2羽が協力して威嚇したのでしょうか?
ハイスピード動画の撮影中はレンズをズームアウトできないために、肝心の相手(追い払った仮想敵)が写っていません。
一体何が起きたのか、恥ずかしながら私も今となっては覚えていません。
もしも異種間の興味深い小競り合いが勃発したのであれば、きっと私は野帳に記録したり、音声メモを動画に吹き込んだりしたはずです。
もしかすると、水浴中の幼鳥が隣りにいた成鳥の機嫌を損ねて追いかけられたのかもしれません。
幼鳥に追いついても成鳥は嘴でつつくなどの直接的な攻撃を加えませんでした。
羽ばたきながら川面を凄い剣幕で突進。
シーン2:(@0:45〜)
騒動のきっかけは、またもや幼鳥の水浴から始まります。
自分で川の中に横倒しにひっくり返り、もがくように水浴びをしています。
起き上がると左右の翼を同時に羽ばたいて水面に打ち付けながら走り回ります。
今回は直線的な突進ではなく、左に旋回しながら川面を走ります。
元気の有り余っている幼鳥が、水浴のついでにはしゃいでいるのかな?
それを隣で見ていた成鳥が、同じく激しく羽ばたきながら水面を走って幼鳥を追いかけ始めました。
更にもう1羽の成鳥も同様に駆け寄ってきました。
川ではしゃぐ若鳥を成鳥たちがたしなめているのか…?とどうしても擬人化してしまいます。
それとも、川面が少し混み合っているので、自分が水浴するためのスペースを確保したいのでしょうか?
コハクチョウの群れ内で互いに威嚇し合っているのか、何か攻撃的な誇示行動(ディスプレイ)のような気がしてきました。
群れ内の順位を決める争いがあるのですかね?
白鳥の性別を私は見分けられないのですけど、♂が激しく走り回って♀の気を引こうと必死でアピールしているのかもしれません。(求愛誇示?)
擬人化すると、男子が合コンを盛り上げようとしてやる団体芸のようなものなのかな?
夕方の水浴タイムが終わると、コハクチョウの群れ内での小競り合い(?)は見られなくなりました。
手元にあるハクチョウ関連の資料を読み返してみても、似たような行動の記述は見当たりません。
毎日次々とオオハクチョウが越冬地に到着する頃には、家族同士でけたたましい口論が繰り返され、時には派手なけんかもする。勢力の強さは主に餌を採る権利と結びついているようである。けんかはふつう数分間つづき、翼の“手首”で相手を叩いたり、相手の肩をかんだりする。その間、幼鳥たちやほかのグループのハクチョウは喧しくはやし立てる。負けたほうはおとなしく退散するので、相手を傷つけるようなことはめったにない。日が経つにつれて順位が確立され、いさかいは少なくなる。概して、そのシーズンに早く到着した大家族がトップの座を占めることが多い。(嵯峨悌二『白鳥 (クォークスペシャル)』p91より引用)喧嘩中の写真が載ってないので文章から想像するしかないのですが、私が今回観察した行動とは違うようです。