2023/02/02

ニホンイノシシのヌタ場を探せ(2)夜の林道でミゾソバを採食【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2022年9月上旬 

ニホンイノシシSus scrofa leucomystax)がヌタ場で泥浴びするシーンが撮りたくて、林道上の水溜りをトレイルカメラで監視しています。 
ようやく夜にイノシシがまた通りかかりました。 
カメラの設置角度に問題があり、手前に生えた灌木の枝葉が邪魔で、肝心の水溜りがしっかり見えません。 
昼間に設置したときには、これほど枝葉が赤外線で白飛びするとは予想できませんでした。


シーン1:9/5・午後19:49 
林道の真ん中にある水たまりを避けながら、イノシシが林道の左端を歩いて右へ歩いて行きました。 
赤外線の暗視カメラでは、イノシシの体に斑模様がある(四肢が白っぽい)ように見えるのですが、泥で汚れているのかどうか不明です。 


シーン2:9/8・午後18:40頃・日の入り時刻は午後18:02 (@0:11〜) 
3日後の晩に林道を右から登場したイノシシは、林道の下草をムシャムシャと食べています。 
水溜りには決して入らず、その周囲に密生するミゾソバなどをひたすら採食しています。 
今回も泥浴びするどころか、道草を食いながら水溜りを迂回しました。

食事が済むと、林道脇の斜面(法面)を登ってカメラの死角に消えました。 
カメラの背後でハァハァという荒い鼻息♪が聞こえます。 
それで終わりではなく、不思議な霧?が煙のように流れました。 
私の想像ですけど、イノシシが近くの立木にゴシゴシと毛皮を擦り付けた際に土煙が上がったり、短い抜け毛が風で舞ったりしたのかもしれません。
監視カメラをもう1台増やして、逆側からも狙いたくなります。
関連記事▶ ニホンイノシシによる泥汚れ?(1)カラマツの幹

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 
最後だけ音声を正規化して音量を強制的に上げています。




アカバトガリオオズハネカクシがタヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せオオマダラヒロクチバエを狩る

 

2022年9月上旬・午後13:10頃・晴れ 

里山の細い尾根道を縦走中に糞便臭がするので足元を見ると、タヌキの溜め糞場cに新鮮な糞が追加されていました。
関連記事(同所で1年前の撮影)▶ 夜の山道で溜め糞に排便するホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
ここはタヌキの往来が少ないのか、糞が残されているのは珍しいです。
その獣糞に様々な種類のハエが多数群がっていました。 
キンバエ類(クロバエ科:種名不詳)、ニクバエ科(種名不詳)などの常連客に混じって、オオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)が4匹も集まって糞を舐めていました。 


キンバエの種類を私は見分けられませんが、♀♂ともに居るのに、皆が獣糞の吸汁に夢中で求愛交尾しないのは不思議でした。 
1匹だけ来ていたニクバエは遠慮しているのか、獣糞の横のオオバコの葉の上で待機しています。 
タヌキの糞塊自体がときどきモコモコと大きく上下動するのは、糞虫類が地下で活動しているのでしょう。 
右隣の固形糞はなぜかハエ類にあまり人気がなかったものの、1匹のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が獣糞の下に潜り込んだり上を走り回ったりしています。(@0:18〜) 

その後も私がハエ類の活動ばかりに気を取られて録画していると、画面の左下で大事件が勃発しました。(@0:42〜) 
溜め糞場cで獲物を待ち伏せしていた肉食性のアカバトガリオオズハネカクシがいつの間にかオオマダラヒロクチバエを見事に仕留めていたのです。 
狩りに成功した直後のアカバトガリオオズハネカクシは暴れる獲物の胸背を咥えていたのですが、ようやく隙を見て急所の首に大顎で噛み付きました。 
そのまま獲物をあちこち引きずり回し、獣糞の下に運び込みました。 
ただの偶然(行きあたりばったり)かもしれませんが、獲物をライバルに横取りされないように物陰に隠れたのかもしれません。 
ところが再び獲物を運んで移動しました。

仰向けになったオオマダラヒロクチバエの腹端から細長い器官が伸びています。 
これは♀の産卵管なのか、♂の交尾器なのか、どちらでしょう?(性別判定) 
ハネカクシがハエの腹部に噛み付くと、焦げ茶色の液体が流出しました。 
この色からして、ハエの血液ではないことは確かです。 
吸汁したばかりのタヌキの糞汁だと思います。 
餌食となったオオマダラヒロクチバエは虫の息で、脚だけを動かしていました。 

アカバトガリオオズハネカクシが狩った獲物を巣に搬入したり、異性に求愛給餌を始めたりしたらとても面白いのですが、そのような行動は見ていません。 
ハエは俊敏なはずなのに、油断して逃げ遅れたのでしょうか?
ハネカクシには何か特別な戦法があるのでしょうか?
今回も狩りの瞬間を撮り損ねてしまい、残念無念…。 


仲間が犠牲になっても、ハエの群れは溜め糞場で平然と吸汁を続けていました。 

撮影中は気づかなかったのですが、地味な茶色のカメムシも溜め糞に来ていました。 (@1:36〜)
背側がしっかり撮れていないため、私には種類が見分けられません。
関連記事(9年前の撮影)▶ 獣糞を吸汁するハラビロヘリカメムシ

他には透明な翅の根元がオレンジ色っぽいハエも獣糞を舐めに来ていました。
(@1:36〜)
私のフィールドでは溜め糞場の常連客なのですが、名前をご存知の方がいれば教えてください。 
当てずっぽうでキバネクロバエ、キアシフンバエやキバネフンバエなどを検討してみたものの、どれもしっくり来ません。

2023/02/01

朝のスギ林道を渡るニホンリス【トレイルカメラ】

 


2022年9月上旬・午前(早朝)

里山のスギ林道にある溜め糞場sを監視カメラで見張っていると、ニホンリスSciurus lis)が写りました。 
興味深いことに、3回とも早朝に現れました。
個体識別ができていないので、何匹のリスが登場したのか不明です。 

シーン1:9/5・午前6:38・気温21℃ (日の出時刻は午前5:09) 
朝の林道を手前に向かってチョロチョロと横断しました。 
そのまま林道脇の法面を登ったかもしれません。 
途中で何度も立ち止まってくれたおかげで、しっかり動画に撮れました。 


シーン2:9/6・午前5:14・気温21℃ (日の出時刻は午前5:10) (@0:10〜) 
夜明けの薄暗い林道にリスが登場しました。 
画面奥の斜面を登って来たようで、そのまま対面に見えるスギの大木(胸高直径60.5cm)に跳びつきました。 
木登りしたのかと思いきや、すぐに右下の林床に飛び降り、右へ走り去りました。 


シーン3:9/10・午前6:36・気温21℃ (日の出時刻は午前5:13) (@0:22〜) 
朝の林道を奥から手前へと走って横切りました。 


野生のリスがスギ林に一体何の用事があるのか不思議でした。 
スギ林にリスの食べる物は無いはずだからです。 
実は、現場から50mほど離れた地点にオニグルミの大木が自生していました。 
私がこのトレイルカメラの電池を交換している作業中に、そちらの方角から謎の野生動物がクルミの硬い堅果をガリガリ、ボリボリと齧る音が静かな森に響き渡るのを何度も聞いてます。
今思うと、あれはリスのしわざだったのではないかと思います。
ニホンリスは餌場となるクルミの木を拠点にして、縄張りを朝から探索(遠征?)するためにスギ林を通り抜けていたのだと考えれば納得できます。 
昼行性のリスは日の出とともに巣を出て活動を始めるのかもしれません。(近くにリスの巣がありそうです。)
来季はそのオニグルミの木を重点的にマークすれば、リスの暮らしがもう少し見えてくるのではないかと期待しています。



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