2017年5月中旬
水路に近い湿地帯の遊歩道で私が縁石に腰を下ろして食事をしていたら、足元の草に気になる虫を発見。
オレンジ色のタカラダニかと思ったら、とても小さな美しいハエトリグモでした。
カタオカハエトリ♂(Euophrys kataokai)は初見です。
頭胸部と腹部こそ地味な灰色ですけど、とにかく歩脚と触肢がド派手です。
枯れ草の間を徘徊しながら濃紺の第一脚を振り上げて誇示行動を披露してくれました。
他の歩脚および触肢は派手な朱色です。
歩きながら立ち止まると、目立つ第一脚を左右交互にあるいは左右同時に広げてみせます。
注意深く見ると、第一脚の先端だけが白いです。
細い枯れ草の茎を下向きに伝い歩くので、腹面しか見えず残念でした。
第一脚が視覚的に目立つ工夫を凝らしているのは、きっとこれを使って同種に対するコミュニケーションがあるのでしょう。
いつか求愛行動や♂同士の喧嘩を見てみたいものです。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
撮影後は枯れ草や草むらをかき分けて必死で探し、ありあわせのビニール袋に採集しました。
後で思い返すと、住居網に潜んでいたようにも思いました。
『クモ生理生態事典 2016』でカタオカハエトリの項目を参照すると、
石の下のへこみに白色の小さな袋状住居を作り,その中に潜んでいることが多い
2017年5月中旬
郊外の交差点で信号待ちをしていると、電柱の最上部で謎の装置を固定するための水平の角パイプにスズメ(Passer montanus)が出入りしていることに気づきました。
角パイプにスズメが2羽止まり、交差点を見下ろしています。
しばらくすると、1羽がその開口端に飛び込みました。
どうやらこの角パイプ内に営巣しているようです。
逆光で少し見えにくいのですが、2本ある角パイプのうち左側は開放端ですが、右の物は開口部に蓋がされています。
おそらく蓋付きのパイプに少しずつ交換することで、野鳥の営巣を防止する対策が進んでいるのでしょう。
この日は先を急ぐ用事があったので、また改めて観察に来ることにしました。
電気に疎い私はこの装置の存在を知らなかったのですけど、柱上トランス(変圧器)ではなさそうです。
箱状の装置の側面にFTASという文字があるものの、ネット検索しても正体不明で困りました。
「入・切」という巨大なスイッチのような物も見えますし、家庭用ブレーカーの親玉みたいな装置でしょうか。
検索で代わりにPASがヒットして、名前が分かりました。
保安点検ドットコムの解説記事によると、
・PAS(気中負荷開閉器)とは、電力会社とお客さまの責任分界点に設置される保護装置のことをいいます。
・PAS(気中負荷開閉器)は、お客様側の設備における電気事故が発生した場合に、近隣への波及事故(近隣を巻き込んだ停電事故)を防ぐ役割をもっています。
名前を知ってから改めて街中の電柱を見て回ると、あちこちに設置されていることに気づきました。
※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。
つづく→電柱の角パイプ内の巣に出入りするスズメ♀♂【野鳥:ハイスピード動画】
▼関連記事(PASとは違う円筒内に営巣)電柱の丸パイプ内に巣材を搬入するスズメ(野鳥)
2017年5月中旬
川沿いに作られた藤棚で紫色のフジの花が満開でした。
常連客のクマバチ♂はこれまでも散々撮っているので、今年は新顔のヒゲナガハナバチの一種の♂に注目しました。
長い触角を有するのは雄蜂の特徴です。
花から花へ忙しなく飛び回り、吸蜜しています。
飛翔中に口吻がとても長く伸びていました。
最後はキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)とニアミスしたシーンを1/8倍速のスローモーションで御覧ください(@0:40~)。
この仲間のハチの種類を同定するには、採集して翅脈を精査しないと無理みたいです。
藤丸篤夫『ハチハンドブック』p92-93によると、
(ニッポンヒゲナガハナバチ;Tetralonia nipponensisの)♂は♀より外見での識別が難しい。
♂は毛色がよく似ていて見分けにくい。厳密には前翅の肘室がシロスジヒゲナガハナバチ;Eucera spurcatipesでは2個で本種は3個になることで識別する。
出現時期は4~5月。シロスジヒゲナガハナバチより出現時期が少し早く、レンゲやフジなどのマメ科の花を好むが、タンポポや菜の花などにも飛んでくる。
実は他に赤いカミキリムシも藤棚で訪花していたのですが、残念ながら撮り損ねてしまいました。