2011年12月中旬・気温1℃
山中の建物外壁に止まっていた冬尺蛾♂(前翅長14mm)。
ウスモンフユシャク♂(Inurois fumosa)かな?と予想をつけ、虫我像掲示板にて確認してもらいました。
どこかにぶつけたのか、左前翅中央の鱗粉が剥げて薄くなっています。
指で軽く触れると少し壁を登ってから急に羽ばたいて逃げました。
冬尺蛾と言えば翅を退化させた♀の適応戦略が話題になります。
私はむしろ♂が低温下でも飛べる秘密に興味を覚えます。
夏から秋にかけて見られる大型の蛾(ヤママユガ科やスズメガ科など)は胸部の飛翔筋をしばらく震わせて入念に準備運動してからでないと飛び立てないのに対して、この冬尺蛾♂は危険に際して直ちに飛び立つことが出来ました。
先程の蛾が近くの壁に止まったので、今度は試しにハイスピード撮影(220 fps)してみました。
飛び立つ瞬間をスローモーションで見ると、体に触れられたウスモンフユシャク♂は脚で壁を蹴り、空中で羽ばたきます。
一回の羽ばたきでフレームアウトしてしまいました。
やはり準備運動なしで飛べるようです。
配偶行動が始まる(♀を求めて飛び回る)夕刻まで壁に止まって休んでいたのでしょう。
実は、少し離れた白壁に無翅の♀(同属であるウスバフユシャクの一種;Inurois sp.)も見つけました。
関連記事→「ウスバフユシャクの一種♀を見つけた!(無翅の冬尺蛾)」
♂♀は互いの存在には気づいていないようで静止していました。
もし求愛交尾したら♀の方も同種と判明したのですが、私が触れたせいで♂も♀も壁から居なくなってしまいました。
暗くなるまで粘って待つか、いっそのこと採集して飼育下で配偶行動を観察すればよかったと後悔…。
2011年12月下旬・気温2℃@雪面
雪山のベンチ(標高〜570m地点)に積もった新雪の上をゆっくり歩いていた虫です。
体重が軽いと脚が雪に潜らず、ラッセル不要で羨ましい…。
きっとタマバチの一種だと思うのですが、有翅型を見つけたのは初めてかもしれません(種名不詳)。
採集してみると、体長〜3mm。
翅脈がシンプルと言うか著しく退化傾向にある点が興味深く思いました。
特に後翅は痕跡程度の翅脈しかありません。
【追記】
「あおもり昆虫記」サイトにて、素人目には似たようなタマバチの写真を見つけました。
2011年6月上旬
オオフタオビドロバチ飼育記録
2010年軒下に竹筒トラップを仕掛けてオオフタオビドロバチ(Anterhynchium flavomarginatum)の営巣活動を観察してから、育房内の前蛹を採集・飼育しています。
室内飼育と言ってもプラスチックのピルケース内で放置しているだけです。
本種の幼虫は育房隔壁の裏打ちで絹糸を使う以外は繭を紡がないので、蛹を直接観察できるのです。
前蛹の状態で越冬した後に、ようやく蛹化しました。
これは育房4bから得た蛹です。
羽化直前で黒化が進み、既に翅も伸展しています。
脚だけがピクピク痙攣しています。
触角第一節の前面が黄色であることを確認できました。
体全体が薄皮を被ったような印象です。
腹端に見える突起が何なのか気になります。
後に成虫♂が羽化してきました。
公開し忘れていた昔の動画です。
終齢幼虫→前蛹→蛹→成虫と蜂の子が育つ過程をまとめた動画を編集してから…というつもりが、別件で忙しくなったりHDDが壊れたりですっかり面倒臭くなりました。
このままではお蔵入りになりそうなので、この映像一つだけでもリリースします。
やはり鉄は熱いうちに打たないと駄目ですね。