2012/01/18

飼育コカマキリ♀に牛乳を与える【冬の代用食】



2011年12月中旬

今季はコカマキリ♀(Statilia maculata)を4匹も飼育していました。
寿命で次々と死んでいく中、♀bの一匹だけが元気に生き残っています。
この個体は9月下旬に成虫を採集して以来、飼育下で5個も卵鞘を産んでくれました。
最も多産かつ長寿の個体ということで、どうしても情が湧いてきました。
しかし冬になると雪国では生き餌を安定して確保するのが極めて困難になります。
ハエ類すらも見当たらなくなりました。
インターネットで検索してみると、カマキリの代用食として牛乳を与えている人がいらっしゃいました。
確かに栄養豊富かつ手軽(入手が容易・安価)で、なかなか良さそうです。
早速私も試してみることに。

毎日給水していた方法と同じで綿棒に浸してからコカマキリ♀bの口元に近づけると、初回は少し嫌がる素振りを見せたものの、すぐに吸い付いて雫を飲み始めました。
(関連記事→「飼育ウスバカマキリ♀への給水
皆さんはスポイトやストロー、注射器、筆など、各自がやり易い方法で与えれば良いと思います。
冷蔵していた牛乳をそのまま与えると体温が下がるので、常温まで戻してから給餌するようにしています。
一日一回満腹するまで飲ませます。
(うちのコカマキリは満腹するともう嫌がって綿棒から顔を背けたり仰け反ったり鎌で押し退けたりします。)
牛乳は腐るので綿棒は使い捨てにします。

果たして寿命がどれだけ伸びるか実験です。
驚くべきことに、この記事を書いた現在(年を越して1/18)もコカマキリ♀bは毎日の牛乳だけで生き続けています。
外は根雪となりカマキリ成虫は当然死に絶えているはずです。
室温は15℃前後、朝の最低室温は約12℃。
ただし活動性は低く、終日止り木で静止しているだけです。
足腰もめっきり弱くなりました。


ご存知の通り、牛乳は栄養素のバランスに優れた完全食品と言われています。
孵化直後のカマキリ若齢幼虫も小さな生き餌の確保に苦労します(飼育経験の未熟な私はいつも失敗)。
もしカマキリ幼虫も牛乳だけである程度まで大きく育ってくれるのなら非常に助かります。


【追記】
最後は牛乳も飲まなくなり、このコカマキリ♀bは1/30遂に大往生を遂げました。
死ぬ一週間ぐらい前に一度だけ、ようやく採れた一匹のハエを飼育容器に投入してみたのですが捕食しませんでした。


餌を牛乳だけにしてから糞にも変化があり、粘り気の強い便を排泄するようになりました。


【参考動画】



↑この方は脱脂綿に牛乳を含ませて給餌しています。


『机の上で飼える小さな生き物』という飼育指南書 p104 によると、
「カマキリがミルクを飲むことは一部の専門家の間ではよく知られていることらしい。」

2012/01/17

ニホンリスが森を走る



2011年12月中旬

杉林の斜面をチョロチョロ動く小動物を発見。
急いでカメラを構えズームしてみるとニホンリスSciurus lisでした。
杉の木の根元に静止していたリスが幹を登り始めました。
…と思いきや、すぐに下りて斜面を駆け上がりました。
あっと言う間に藪へ姿を消しました。
現場では割りとじっくり見れたという体感でしたが、映像を見直すと一瞬の出会いですね。
嬉しくて時の流れが少し遅く感じたという奴です。

ここは2010年夏に樹上でニホンリスを目撃した地点から少し登った場所です。
いつか営巣行動を観察してみたいものです。



2012/01/16

ウスバフユシャクの一種♀を見つけた!(無翅の冬尺蛾)



2011年12月中旬・気温10℃

山中の建物で白壁に止まっている冬尺蛾♀を発見。
日当たりの良い西面で、地上150cmの位置でした。
完全な無翅型を見つけたのは初めて。
翅の痕跡すら残っていません。
腹端に毛束があり、夕刻になると♂を誘う性フェロモンを放出する(コーリング)そうです。

虫我像掲示板にて質問したところ、ウスバフユシャクの一種Inurois sp.)♀で産卵前の個体とご教示頂きました。
有翅♂と交尾中の現場を押さえないと、♀を同定するのは難しいようです。
「産卵前は縦長でもこもこしてますが産卵後はお腹がへこみ、全体が丸くなります」とのこと。

軽く触れたら壁を登り始めました。
壁面がツルツルしていていかにも登り難そう。
案の定、動画撮影中に滑落。
地面で姿を見失ってしまいました。

冬尺蛾の交尾を未だ見たことが無いのですけど、一般に暗くなってから行われるらしい。
近くで見つけた冬尺蛾♂(同種なのか不明)と一緒に捕獲して求愛交尾行動を観察できないかと思案していたので残念。
この♀だけでも採集できれば、飼育下で産卵行動を観察できたかもしれません。


いずれにせよ、この白壁に止まったままでは仮に♂と交尾出来ても食草と異なる無機質な壁面に産卵することになり、孵化した幼虫が困ることになります。


【参考文献】(掲示板で教えてもらった冬尺蛾の総説)
「冬に出現する尺蛾 : 新・フユシャク類の採集」
やどりが (152), 2-28, 1993-02-25
全文PDFが無料ダウンロードできます。)



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