2023/02/01

ヒメスズメバチ♀の探餌飛翔:獲物となるアシナガバチの巣をガードレールで探索

 

2022年9月上旬・午前10:25頃・くもり 

山麓の農村部で用水路に沿って設置されたガードレールの周囲をヒメスズメバチVespa ducalis pulchra)のワーカー♀が飛び回っていました。 
特に袖ビーム(ガードレールの端の丸まった部分)などの物陰でホバリング(停空飛翔)して、重点的に何かを探しているようです。 
ヒメスズメバチはアシナガバチの幼虫や蛹を専門に狩ることで有名です。 
獲物となるアシナガバチの巣を探索しているのだと分かりました。 
この個体は過去の成功体験を元に、ガードレールにはアシナガバチの巣があると学習したのでしょう。 
対岸のガードレールも抜かり無くチェックしています。 
余りにも忙しなく飛び回るヒメスズメバチ♀を流し撮りすると、見てるだけで酔いそうになるので、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
今回は残念ながら狩りのシーンを観察できず、ヒメスズメバチ♀は飛び去りました。

実際に私も道端のガードレールでアシナガバチの巣をいくつも見つけたことがあります。
特に車道の反対側の面が狙い目です。

2023/01/31

夜の池畔で林道の下草や灌木を採食するニホンカモシカ【トレイルカメラ:細切れの暗視映像】

 

2022年9月上旬〜中旬・夜 

トレイルカメラで見張っている山中の水場に夜、ニホンカモシカCapricornis crispus)が登場しました。 
レイルカメラの電池が消耗してくると、暗視映像をわずか数秒間録画しただけで切れ、恒温動物の動きに反応して再び起動する、という挙動を健気に繰り返します。 
そのため、細切れ動画のつなぎ合わせになってしまいました。 

シーン1:9/10・午後21:19 
左岸の奥の林道にカモシカが立ち止まって体を曲げ、左脇腹を口で毛繕いしていました。 


シーン2:9/10・午後21:20 
右岸に移動したカモシカが体を曲げて、右脇腹を口で毛繕いしています。 
なんとなく、蚊に喰われた脇腹が痒くて掻いているのではないか?と想像しました。 
池畔の灌木に眼下腺マーキングしているようにも見えますが、それなら灌木の細い枝葉が揺れるはずです。 


シーン3:9/12・午前1:55 (@0:07〜) 
カメラの電池残量がいよいよ限界を迎え、たった1〜2秒間しか暗視動画が撮れなくなりました。 
仕方がないので、これ以降は1/3倍速のスローモーションに加工してからつなぎ合わせます。 

霧の立ち込める深夜に現れたニホンカモシカが対岸の林道で立ち止まり、頭を下げて下草を採食しているようです。 


シーン4:9/12・午前1:55 
林道で下草を食べています。 
この映像だけでは、夜霧のせいで角がよく見えず、ニホンジカのようにも見えてきました。 
「草食獣と言ってもカモシカはgrazerではなくbrowserなので、下草を食べないはず」という本で読んだ生半可な知識に邪魔されて、迷いが生じました。 
ちなみにニホンジカはgrazerで、ここ多雪地帯では生息できないことになっています(極めて稀にしか見られません)。 
しかし後日に、カモシカが林道の下草を夜な夜な採食する証拠映像がバッチリ撮れました。(映像公開予定) 


シーン4:9/12・午前1:57 
カモシカは対岸の林道を少し前進し、泉の水が沢の源流となって流れ出る辺りで草を採食中でした。 


シーン5:9/12・午前2:08 
林道を左へ立ち去る獣の白い目が光って見えました。 


シーン6:9/12・午前2:13 
いつの間にか左にまた戻って来て、対岸の林道で下草を食んでいます。 
やがて、下草よりも背丈の高い灌木の葉を採食し始めました。 
また頭を下げて採食メニューを下草に戻しました。 
急に頭を上げて警戒しました。 
また灌木の葉を採食しています。 
右岸の奥(画面の右上隅)を白い目が移動して行きます。 


シーン7:9/12・午前3:23 
約40分後に別個体?が対岸奥の林道を左から右へ歩いて行きます。 
体格が小柄に見えるのはただの遠近法かもしれませんが、なんとなく幼獣のような気もします。 


トレイルカメラの電池が万全の状態でしっかり録画できなかったのは心残りです。 
貧乏性なのでボツにするには忍びなく、記録に残しておきます。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 

白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

 

2022年9月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の林道の真ん中が謎の白い塊に覆われ、通りかかるたびに気になっていました。 
遠目にはまるで酔っ払いの吐瀉物のようです。 
林床の落葉や落枝などを分解する菌糸の塊なのでしょうか? 
白カビとも違います。(フワフワしていない) 
松ぼっくり(アカマツの落果)にも白い菌糸が侵食していました。 
アニメで見る腐海のような光景です。 

クリーム色の菌糸塊?の真ん中に1匹のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が居座り、それを食べてしました。 
センチコガネは糞虫の仲間ですけど、キノコも好物であることが知られています。 
ということは、キノコ(子実体)になる前の幼菌なのかな?
関連記事(12年前の撮影)▶ キノコ好きなセンチコガネ
森昭彦『ファーブルが観た夢  地球生命の不思議な迷宮』という本を読み返すと、第4章はセンチコガネを扱っています。
キノコ(子実体)も食べるが、菌糸も好きらしいのだ。実際、自然界でも、枯れ葉がつもる森の土に、白い菌糸がびっしりとはびこることがある。センチコガネは、ここに飛来して、うまそうに食べていた。(p222より引用)

しかし残念ながら写真が添付されていないので、「白い菌糸」の様子を想像するしかありません。 

望遠マクロで顔正面から狙うと、頭楯の縁が丸みを帯びているので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと分かります。 
鞘翅は鈍い藍色の金属光沢を帯びていました。 
大顎を開閉して白い菌糸を齧っています。 
食べかけの菌糸が頭部に少量付着していました。 

途中から飛来したハエは何でしょう? 
翅の根元がオレンジ色を帯び、脚も黄色っぽいです。 
素人目にはキアシフンバエと似ているような、似てないような? 
菌糸塊の表面を舐めながら、果敢にもセンチコガネの横から近づき、腹の下に潜り込みました。 
ショウジョウバエのような小型のハエも数匹集まり、菌糸塊を舐めていました。 

センチコガネはハエ類の存在には無頓着でした。 
同じ場所に陣取ってひたすら食べ続けています。 
一生食べきれない量のご馳走です。 
センチコガネが菌糸塊を食べ進む様子を微速度撮影で長撮りしてみたかったのですが、あいにくこの日は三脚を持ってきていませんでした。 
もし粘菌だとすると、菌糸塊?全体が脈動していたかもしれません。 

撮影後に被写体のセンチコガネを採集しました。 
標本写真を後で載せます。 
性別は? 

その後も定点観察に通ったのですが、センチコガネ類は二度と来ていませんでした。 (二匹目のドジョウは採れず)
このクリーム色の菌糸塊はやがて消失しました。 
秋が深まるとキノコの子実体(成菌)が育つかと期待したのですけど、跡地には何も生えてきませんでした。 
毎日チェックした訳ではないので、私が来ない日に、あっという間にキノコの子実体が生えてすぐに消えたのかもしれません。
もしかするとキノコではなく、粘菌の一種なのでしょうか? 
「白い粘菌」で画像検索するとシロススホコリなどがヒットしますが、素人目にはいまいちしっくり来ません。 

謎の菌糸塊?の正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。 
周囲の環境は雑木林の低山(里山)です。 
東北地方日本海側の多雪地帯で、ブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯に属します。



センチコガネとキアシフンバエ?
センチコガネとキアシフンバエ?
採寸代わりに置いたクマよけスプレー(長さ20cm)
松ぼっくりも白い菌糸に飲み込まれつつある


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