2012/02/16

ヤマガラがブナの堅果を採食【野鳥】



2012年1月中旬

雪山の尾根でブナの樹上にヤマガラParus variusを発見。
かすかに鳴き声も聞こえました。
足元の枝に嘴を擦り付けたり、枝から枝へ飛んで移動したりしています。



もう一羽が奥の枝に止まっていることに気づきました。
嘴で熱心に何かをコツコツ叩いています。
初めは啄木鳥かと思ったのですが、ヤマガラでした。
ブナの実を脚で枝に押さえ付け、嘴で殻斗を叩き割ろうとしているようです。
中の堅果が目当てなのでしょう。






【参考動画】
NHKクリエイティブ・ライブラリーより
「ヤマガラ 枝にとまってブナの実をついばむ


2012/02/15

雪原に直立して辺りを見渡す野生ニホンザル



2012年1月上旬

遊動する群れを追ってニホンザルMacaca fuscata fuscata)の母子が雪原を歩いて来ます。
この白毛の子猿は母猿におんぶせず自力で歩いて付いて来ます。
勝手に母子関係かと想像したのですが、違うのかもしれません。
車道の脇の電柱まで辿り着くと、母猿が後脚ですっくと立ち上がり辺りを見回しました。
直立すると電波発信器付きの首輪が目立ちます。
山里の猿害対策として群れの遊動を随時把握するためにテレメトリー調査をしているのだろうか。
首輪を付けた猿は小声で鳴いてから(クーコール?)車道を横断しました。
雪が壁のようにそびえ立つ対岸も身軽に登ると再び二本足で直立して振り返り、見張りを務めました。
どなたかこの首輪付き猿の性別を教えて下さい。
(股間が赤いのは♂の陰嚢なのかな?)
後続の母猿は子猿をおんぶして運んでいます。

更に続々と猿が雪原を突っ切り車道に向かって来ます。
車道の手前でまた一頭が直立し、車の通過と横断のタイミングを見計らっているようです。
ヒト基準で見ると、直立と言ってもやや中腰の姿勢です。
それでも安定したバランスでしっかり立っていられるようです。
至近距離で野生のニホンザルが仁王立ちする姿を目の当たりにして静かな感動を覚えました。
「立った立ったクララが立った♪」
短い観察でしたが、ニホンザルの二足歩行は見られず、常に四足で歩行していました。



2012/02/14

雪面に残るニホンノウサギのフィールドサイン(足跡、糞、尿)



2012年1月中旬

スノーシューで雪山を歩くと雪面に様々な動物の足跡やフィールドサインを見ることができます。
なかでも一番多く目にするのがニホンノウサギLepus brachyurus)の足跡。
大きな後ろ足の跡が必ず前足より前方に揃って付くので、進行方向が読み取れます。
この足跡は雑木林の奥へ向かっていました。
ときどき丸い糞も残されています。
これを見るといつも日の丸弁当を連想してしまいます。
このように一粒だけ残されているのは走りながら排泄した糞です。
立ち止まって一ヶ所にまとめて何個もポロポロと排便することもあります。


雪山を脱兎のごとく走るニホンノウサギの実物はまだ一度しか目撃したことがありません(一瞬だけ)。
保護色の冬毛でじっと隠れているときはとても見つけられず、走り出すとカメラを構える暇もなく林に姿を消しました。
夏は一度も見たことがありません。
姿は見れなくても雪面を縦横無尽に駆け回る足跡を見ると、身近な里山でこれほどニホンノウサギの生息数が多いのかと驚かされます。

動画にはありませんが、同じ日に別の場所でノウサギの足跡を辿ると唐突に濃いオレンジ色に雪が溶けている所がありました。
どうやら立ち止まって小便をした跡のようです。
体調の悪い個体が排泄した血尿なのかと少しギョッとしましたが、ノウサギの尿は普段からこのような色なのでしょうか。
写真で記録する前に「何これ血痕!?」とオレンジに染まった雪を一掘りして現場を乱してしまいました…。

上:足跡、左下:糞、右下:小便跡

どうも私のカメラはお任せ設定で雪景色を撮ると白飛びしてしまい、雪面の微妙な陰影や凹凸、肝心の足跡があまり良く映ってくれません。
前に使っていたカメラには専用の雪景色モードがあって重宝していたのですが…。
偏光フィルターを買ってレンズに装着しないといけないのかと悩み、snowmeltさんのブログ「北のフィールドノート」でお尋ねしたところ、マニュアル設定で露出を補正する方法を教えてもらいました。



【追記】
『ウサギがはねてきた道』p240によると、
野ウサギを雪の上で追跡していると、橙色の分泌物が雪ににじんでいるのが、しばしば見つかる(ユキウサギ、ノウサギ、ヤブノウサギ)。日本の猟師は、これを「赤ション」(赤い小便)と呼んでいる。冬季にしかみられないことから、♀が発情したしるしとされる。 赤ションは、鼠蹊部の腺から分泌される物質で、かびくさいにおいがある。この腺は、ヤブノウサギでは雌雄にあるが、♀の方が大きく、繁殖期にさらに発達する。広大な行動圏を単独で動きまわる♀は、においと色の信号によって、異性を引き寄せ、近づく交尾日を赤ションで伝えている可能性は高い。

つまり、赤ションは♀が♂を引きつけるマーキングなのだそうだ。(『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』p195より)

『ニホンザルの生態:豪雪の白山に野生を問う』p80によると、
猿の泊まり場で翌日、雪が赤みを帯びた橙色に染まっている直径20〜30cmの円が、たいていの場合、5つ前後かたまってあるのは、大人の(ニホンザル)♀の月経血の混ざった尿ではないかと思われる。ウサギの尿はこれと同じような赤っぽい色をしているが、赤みの帯び方がサルよりも弱く、慣れれば見分けるのは簡単である。
『Winter Field Guide SNOW FOREST 冬の森へ』p68によれば、
早春、繁殖期になると、♀はオレンジ色の分泌物を雪上に残します。このにおいは、数百メートル先の♂をも興奮させるといいます。


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