2023/01/26

脱皮殻を食べるフクラスズメ(蛾)若齢幼虫

 

2022年9月上旬・午後21:25頃・室温28.3℃・湿度67% 

飼育していたアカタテハ幼虫のために採集してきた食草のクサコアカソフクラスズメArcte coerula)の幼虫が紛れ込んでいました。 
葉裏の主脈にしがみついた姿勢でいつの間にか脱皮していました。 
脱皮の過程を見逃したのは残念です。
脱皮したばかりのフクラスズメ幼虫が方向転換し、自身の抜け殻を食べていました。 
マクロレンズで口元を接写してみましょう。 
脱皮直後のフクラスズメ若齢幼虫の頭楯は、濁った赤茶色(オレンジ色?)でした。 
脱皮殻を完食したら、クサコアカソの葉裏で移動を始めました。 

過去の飼育経験では、脱皮後の終齢幼虫は抜け殻(脱皮殻)を全く食べませんでした。
関連記事(2年前の撮影)▶ 脱皮後の休息中に黒化が進むフクラスズメ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】

どうやら、抜け殻を食べるのは若齢幼虫だけのようです。 
失われたタンパク質を速やかに再摂取するための行動ですから、脱皮殻を食べるかどうかは、その個体の栄養状態によるのかもしれません。 (個体差?)
あるいは、齢が進むとクチクラが固くなり、抜け殻を消化できなくなるのかな? 

野外でフクラスズメの脱皮殻が食草上に見つかりますが、何齢の幼虫が残した抜け殻か調べたら面白いかもしれません。 
(齢数判定には、地面に落ちた頭楯の抜け殻を探し出して採寸する必要があります。)
機会があれば、卵から飼育して脱皮を繰り返す度に見届けたいものです。
 

2023/01/25

里に降りてきたニホンザルの群れは警戒心が強い

 

2022年8月下旬・午後15:50頃・晴れ 

山麓の神社周辺で野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れと遭遇しました。 
里の集落では農作物を荒らす猿害に長年悩まされているために、ヒト(住民)とサルとの間に軋轢があります。 
最近では電気柵やモンキードッグなど効果的な猿害対策がようやく確立されつつあり、群れが里に降りて来る度に爆竹を鳴らしてすぐに山へ追い返しています。 
ほとぼりが冷めるとヒトの目を盗んでまた里に侵入して来るのでイタチごっこですけど、共存するためには仕方がありません。
山中では堂々としているニホンザルも里で出会うと非常に臆病で警戒心が強く、私の姿を見ると一目散に逃げてしまいます。 
猿の行動をじっくり観察したい私としては、あまり面白くありません。 
とりとめもない逃走動画をつないだだけです。 

ちょっと面白いのは最後のシーンです。 
墓地で遊んでいた子ザルの群れが、私に気づいて走り去りました。 
墓地の一角にはサルスベリ(百日紅)の花が咲いていました。 
雨不足なのか散りかけなのか、花のピンクが色褪せています。
和名サルスベリの語源は、木登りが上手なサルでも、滑り落ちるほど樹皮が滑らかという例えから名付けられている[3][4]。(wikipediaより引用)
ニホンザルがサルスベリで木登りできるかどうか検証できる、絶好のチャンスだったかもしれません。 
猿の群れにもっと慎重に近づくべきだったと反省しました。 
しかし採食などの用事がなければ、ニホンザルもわざわざサルスベリの木に登らないでしょう。
子ザルなら互いに追いかけっこしながら木登りするかな?
私は俗説には懐疑的で、サル対サルスベリの矛×盾対決は猿に軍配が上がる(平気で登れる)のではないかと予想しています。


【追記】
上野動物園で試してみたところ、猿は滑らなかったという話もある。(矢追義人『ミクロの自然探検: 身近な植物に探る驚異のデザイン』p82より引用)

夜の溜め糞場で活動する糞虫たち【5倍速暗視映像:トレイルカメラ】

 

2022年8月下旬 

里山の林道に残されたタヌキとアナグマの溜め糞場sをトレイルカメラで見張っていると、監視映像にときどき糞虫の活動が記録されています。 
本来、変温動物の糞虫がいくら動き回ってもカメラのセンサーは反応しないはずです。 
たまたま恒温動物(哺乳類と鳥類)が通りかかったときに、糞虫が写り込んでいるときがあるのです。 
引きの絵では糞虫の動きが遅過ぎて分かりにくいので、5倍速の早回し映像に加工しました。


シーン1:8/22・午後23:45・気温22℃ 
自動撮影カメラが何に反応して起動したのか不明です。 
別アングルのトレイルカメラをチェックすると、この時刻にカモシカが写っていたのですが、こちらのカメラの死角を通ったようです。 

赤丸で囲った画面の中央に注目して下さい。 
スギの落葉が敷き詰められた林道上を、黒っぽい糞虫(種名不詳:センチコガネの仲間か?)がアナグマの溜め糞に向かって歩いています。 
辿り着く前に、トレイルカメラの録画タイマーが切れてしまいました。 


シーン2:8/23・午後19:45頃・気温25℃ (@0:14〜) 
ニホンアナグマMeles anakuma)の顔黒個体が登場し、溜め糞場sをうろついてから帰りました。
関連記事(等倍速の映像はこちら)▶ 同じ日に溜め糞場を別々に訪れる2頭のニホンアナグマ(顔白、顔黒)【トレイルカメラ:暗視映像】

赤丸で囲ったホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞の上を黒っぽい糞虫(種名不詳:センチコガネの仲間か?)が活発に動き回っています。 
後半(@0:36〜)になると、左から別の黒い甲虫がタヌキの溜め糞に向かって歩いて来ました。 
辿り着く前に尻切れトンボに終わったのは残念でした。 

糞虫は餌から発する糞便臭に誘引されてまっしぐらに集まってくるようです。
暗闇ですから、視覚頼りではなく触角の嗅覚による化学走性と思われます。
いつも歩いて溜め糞に向かっています。
本に書いてあるような、糞虫が飛来するシーンはなぜか一度も見たことがありません。

溜め糞に集まる糞虫を狙って捕食する動物や野鳥がいるのではないかと予想しているのですけど、決定的な捕食シーンの証拠映像がなかなか撮れません。


【追記】
中村圭一『たくましくて美しい 糞虫図鑑』を読んで知ったのですが、たとえばゴホンダイコクコガネという糞虫は夜行性なのだそうです。
私は未だ見つけたことがありません。


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