2021/01/31

タヌキの轢死体に群がるハエと蛆虫

 

2020年9月下旬・午後15:10頃・晴れ 

山麓の農村部を走る舗装された車道のセンターライン付近でホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が死んでいました。 
車に轢かれた死骸(ロードキル)です。 
猛スピードで走り去る車が途切れる隙に、タヌキの轢死体に近寄って調べてみました。 
遺体の損傷が激しく、強い腐敗臭が辺りに漂っていました。 
うつ伏せ状態でペシャンコに踏み潰されています。 
全身の骨格があまりにも不自然な体勢なので、死後も(大型)車に何度も踏み潰されたのではないかと思います。 
死体の状態が良ければ骨格標本を作りたかったのですが、これでは駄目です。
開いた口の奥には白い歯が見えます。 
歯を見ただけで年齢が分かるぐらい私もタヌキに詳しくなりたいものです。 

生物分解が進む遺骸からは腐った体液が滲み出すはずなのに、この死骸は全体に乾いた印象です。 
夏の太陽に照らされて熱くなる舗装路に何日も放置されたせいでしょう。 
路面に血痕などはありませんでした。 
雨で洗い流されたのかもしれません。 

タヌキの顔にハエ(クロバエまたはキンバエの仲間)が何匹も飛来しました。 
大小様々の白いウジ虫が死骸を這い回り、生物分解(体外消化)に勤しんでいます。 
死骸を離れ路上に落ちて蠢いている(ワンダリング)のは老熟幼虫でしょう。 
蛹化のため地中に潜りたいはずですけど、舗装路では不可能です。 
長距離(蛆虫にとっては大冒険)を這って危険な車道を横断し、道端の地面に辿り着く個体はどれだけ居るのでしょうか? 

車の自動運転の実現に向けて研究が進められていると聞きますが、ゆくゆくは対人、対車両だけでなく野生動物も轢き殺さないで済むように緊急回避するようプログラムして欲しいものです。(倫理学や人工知能のトロッコ問題) 
野生動物と共存するためには、交通量の多い車道を安全に渡れるように獣道との交差点を上手くデザインしてやることで(立体交差や獣専用トンネルなどの設置)ロードキル問題が解消される場合もあります。
ただし今回の現場に適用するのは無理そうです…。
「(夜の)車道に突然飛び出して来る野生動物を常人の反射神経と運転技術ではとても回避できない」というのが問題なので、自動運転という技術革新で解決するしかないと私は期待しています。

雨天でもホシホウジャク(蛾)がダリアの花で吸蜜ホバリング【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年10月中旬・午後16:20頃・くもりときどき小雨 

小雨がぱらつく薄暗い夕暮れに、民家の庭の花壇に咲いた色とりどりのダリアの花にホシホウジャクMacroglossum pyrrhosticta)が訪れていました。 
激しくホバリング(停空飛行)しながら吸蜜しています。 
途中から小雨が一時激しくなったので、ビニール傘をさして撮り続けました。 
ホシホウジャクは多少の雨天でも平気でホバリング吸蜜を続けています。 
とにかく薄暗いので、手持ち夜景モードに切り替えて動画撮影しました。 

吸蜜ホバリングの妙技を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみましょう。(@4:51〜) 
口吻にオレンジ色の花粉が付着しています。 
次の花に向かう際は、伸ばしていた口吻がゼンマイ状に丸まります。 
停飛中は空気抵抗を減らすために、脚は後方に引き付けたままです。 
吸蜜ホバリングしながら腹端から脱糞したように見えたのですが(@6:55)、雨粒の可能性もありますかね? 

ダリアのおそらく同じ品種で色違いの花が並んでいる中で、蛾は花弁の色で選り好みしているのでしょうか? 
私がこれまで本から得た知識では、白が一番人気で次が黄色、赤が不人気と予想されます。 
12分間ほど撮影を続けた結果をまとめてみました。 

色別の訪花数: 
白 23 (つぼみ1を含む) 
黄 11
赤 9 (濃淡の赤をまとめた) 

次に、下見しただけで吸蜜せずに飛び去った例を除いてみました。 

色別の吸蜜数: 
白 14 
黄 7
赤 8 

赤い花にも結構訪れていたのがとても意外でした。 
同じ花に戻ってきて吸蜜することがあるのですが、その度にカウントしました。 
後で思うと、この庭の花壇に咲いていたダリアを色別に全て数え上げるべきでしたね。 
蛾が花色によって選り好みしている訳ではなく、単に咲いていた花の中で白が圧倒的に多かっただけかもしれません。(その場合、ランダムに訪花すると結果的に白が多くなります。) 
花蜜の量も花色別に調べたいところですが、そこまで行くと素人の手に余ります。 
赤い花は一般に人気が無くて他の昆虫(ライバル)が敬遠する(見えない)らしいので、花蜜の存在を一度学習してしまえば、独り占めできることになります。 
薄暮性のホウジャク類は、色の見え方(色覚)が他の昼行性の昆虫と少し違うのでしょうか?(赤が見える?)
初めホシホウジャクはダリアの花の裏面に誤って訪れることがありました。(@0:07〜0:13) 
しかしすぐ間違いに気づいて表面に回り込み、吸蜜しました。 
後半になると学習してそのエラーが減りました。 
花の裏面の中央部には緑色の萼がありますから、色で学習できるのでしょう。
未開花の蕾からも一度だけ吸蜜していました。(@4:04) 
舌状花の花弁が無くても訪花するということは、中央にある(筒状花の)雄しべの黄色が目 印(蜜標)になっているのかな? 
しかし、そのシーンをよく見直すと、ダリアを支える竹竿が水平に設置してあり、近くの花から散った白い花弁がその上に乗っていました。 
蛾はこの落花の花弁を目印にして、蕾を訪れたのかもしれません。
落花を取り除くとホシホウジャクは蕾に来なくなるだろう、というのが私の予想です。
園芸植物に疎い私は、このキク科の花の名前を知りませんでした。 
ネット掲示板で質問したところ、ダリアの仲間と教えてもらいました。 
愛好家が多く、数多くの品種が作出されているそうです。 

2021/01/30

身繕い中のキイロスズメバチ♀に噛み付く勇猛果敢なクロヤマアリ♀

 

2020年10月中旬・午後12:30頃・晴れ 

峠道の路肩に溜まった落ち葉の上に乗ってキイロスズメバチ♀(Vespa simillima xanthoptera)が身繕いしていました。 
時期的になんとなく、ワーカーではなく新女王のような気もしますが、採寸していないので定かではありません。 
日光浴しながら、前脚で顔や触角を拭って化粧に余念がありません。 
後脚で翅や横腹を掻き、後脚同士を擦り合わせています。 

そこへクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀が通りかかりました。 
圧倒的な体格差があるのに、恐れ知らずのアリはキイロスズメバチ♀の正面から立ち向かいます。
前脚に素早く駆け上がり、敵に噛み付きました。 
奇襲を食らったキイロスズメバチ♀は反撃もせずに慌てて飛び去りました。 
振り落とされたアリは興奮したように辺りを駆け回っています。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
アリがスズメバチに対して単独で喧嘩を売るとは驚きました。
もしかして、落ち葉の下にアリの巣口があったのでしょうか?

ランダムに記事を読む