2011年12月上旬
野生ニホンカモシカを追う:前編
山道を下っていると、前方の杉の木陰に妙なシルエットが見えてドッキリ。
何か大型獣が杉の幹の後ろに隠れていて、下半身(胴体と脚2本)だけが見えます。
その場で立ち止まりしばらく撮影しても全く動きがありません。
薄暗いので切り株を見間違えたのかと自信がなくなり、撮り続けながら近寄ってみるとカモシカの顔が見えました!こちらを凝視しています。
身じろぎ一つしないで立ち尽くした後、ようやくカモシカの耳が動いて虫を追い払いました。
緊張が少し解けたのか一度横を向いてから、威嚇するようにこちらを睨み鼻息を荒く何度も吐きました。
方向転換して後ろ向きになり、こちらを振り返りつつ斜面を駆け下りて行きました。
滅多に無い機会なので、追跡開始。
先程までカモシカが居た杉木立に辿り着くと、その先の斜面で振り返っていました。
鼻孔を大きく広げて風の匂いを嗅いでいます。
こちらに背を向けて先に進んでも安全かどうか逡巡している模様。
ときどき耳を動かし、大きく身震いしました。
息詰まる長い対峙の末、ようやく斜面をゆっくり下り始めました。
こちらも撮りながら移動すると、落ち葉を踏みしめる音にカモシカが驚いて立ち止まりました。
鼻息荒く威嚇してきます。
延べ撮影時間11分間の素材を編集して、動きの無い(退屈な)部分をカットしました。
(中編:採食行動につづく)
【追記】
『森の賢者カモシカ:鈴鹿山地の定点観察記』p80 によると、
余裕がある場合には、逃げる方向を確かめるようにまず周辺を見渡し、そのあとで逃げる。侵入者が急に出現した場合にはダッシュで逃避する。逃避には「フィ」と聞こえる鋭い警戒声をともなうことが多い。興奮がさめやらないのか少し逃げ、立ち止まったあとでも警戒声を続けることもある。