2024/11/19

年末年始の雪山でスギの枝葉に眼下腺マーキングするニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年12月下旬〜2024年1月上旬 

シーン0:12/25・午後12:18・晴れ(@0:00〜) 
明るい日中にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
里山でスギ林の林床(画面の左下隅)にあるニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr1を自動センサーカメラで見張っています。 
 場所は里山にあるスギ植林地の上端部で、斜面を下から上に見上げるアングルなので、奥には落葉性広葉樹も見えています。 
右には渓谷(沢)が流れています。 
雪面にはスギの落葉落枝が散乱しています。 


シーン1:12/30・午前2:37(@0:03〜) 
奥の雪斜面をカモシカが珍しく右から左へゆっくり横切りました。 
一歩足を踏み出す度に雪面にズボズボ潜って、歩きにくそうです。 
立ち止まると、スギの枝葉に眼下腺を擦りつけてマーキングしたようです。 
もしスギの生葉を採食したのなら、枝全体が大きく揺れるはずです。 

その後はカメラ目線になりましたが、溜め糞場sr1には立ち寄らず、スギ立木の奥を通って左に向かいました。 


シーン2:1/3・午前0:47(@0:42〜) 
年が明けた新年の深夜に、スギの木の奥を通って左から登場したカモシカが、垂れ下がった横枝の下に佇んでいました。 
尻を向けているので、脱糞してる可能性もありますが、レンズの一部に結露しているのかハレーション?していてよく見えません。 
スギ横枝が軽く揺れたので、眼下腺マーキングしたようです。 


シーン3:1/3・午前0:49(@2:12〜) 
つづき。 
ようやくカモシカが右へ(谷へ)向かって歩き出しました。 
凍結(クラスト)した雪面に一歩足を踏み出す度にズボズボと潜って歩きにくそうです。 
雪面のクラスト状態が分からない暖地住まいの人は、最中もなかの皮を連想して下さい。 
右奥(谷の右岸)でもスギ?立木の下で立ち止まりました。 
枝葉を採食しているのか、眼下腺マーキングしているのか、遠くて見分けが付きません。 




※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


つづく→

谷の落葉した樹上で警戒するニホンザルの群れ(首輪装着個体など)

 

2023年12月中旬・午後15:00頃・くもり 

野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが山麓の谷に散開し、採食しながらゆっくり遊動していました。 
谷の両側の斜面は落葉樹林です。 
落葉した冬の森は見通しが良くなり、樹上のニホンザルを見つけやすくなります。 
逆にニホンザル達も私に気づいた途端に警戒し、木陰に隠れたり木からスルスルと下りて逃走したりしました。 
地形の上から敵に見下されることにニホンザルは強い不安を覚えるのでしょう。
子連れのニホンザル(母子?)も樹上にいました。 
欲張ってカメラをズームインし過ぎると、手前の茂みのせいで被写体にピントが合わなくなってしまいます(前ピン)。 

最後に見つけた個体は、顔を少し上げたときに、黒い首輪が見えました。 
テレメトリー調査用に電波発信器またはGPSを装着しているようです。 
成獣♀だと思うのですけど、胸の乳首が枝に隠れて見えません。 
落葉樹の曲がった幹に腰掛けていた首輪ニホンザルは、樹上で方向転換して少し右上に登って座り直しました。 
私を警戒して、木の間の死角に隠れたつもりなのでしょう。 
痒い腰を左手で掻いています。 
唇がオレンジ色(茶色?)に染まっているのは、何を食べた跡なのかな? 
頬袋に餌を詰めているようで、口をもぐもぐ咀嚼しています。 

少し遠くて、ニホンザルの鳴き声はほとんど聞き取れませんでした。 
谷の斜面の林床には常緑のササ薮が点在しています。 
常緑の低木群落はユキツバキまたはヒメアオキと思われます。

2024/11/18

年末の大雪で埋もれかけたスギ倒木下の巣穴を何度も訪れる冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2023年12月下旬

シーン0:12/22・午後13:12・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
平地のスギ防風林で画面の奥に向かって根こそぎ倒れたスギの根元に掘られた謎の巣穴をトレイルカメラで見張っています。
画面のほぼ中央にぽっかり開いているのが、問題の巣穴bです。 
丸木橋のように見える水平の倒木で遮られて見えませんが、その下をくぐったすぐ左奥に、ニホンイタチMustela itatsi)が越冬する「根曲がり巣穴a」があります。 

巣穴bもイタチの越冬用巣穴ではないかと予想していたのですが、ホンドテンMartes melampus melampus)の登場シーンをまとめました。


シーン1:12/23・午後20:01(@0:03〜) 
晩に雪が降ってます。 
現れたのは、イタチよりも大型なテンでした。 
初めは巣口bを覗き込んでいたのですが、手前に向かって新雪を軽快にラッセルしながら出てきました。 
赤外線の暗視映像(モノクロ)でテンの冬毛は真っ白に見えます。 
てっきり巣穴bから外に出てきたのかと初めは思いましたが、周囲に残ったラッセル跡を冷静に読み解くと違いました。
奥のけもの道から来て水平倒木の下をくぐり、巣口bを点検してから手前に来たようです。 


シーン2:12/23・午後21:12(@0:16〜) 
1時間10分後、小雪がちらつく晩に、巣口bで獣が動いています。 
手前に積もった雪が邪魔で、残念ながら巣口bがよく見えません。 
その後は、右上にピョンと跳び上がって姿を消しました。 
今回もイタチではなくテンでした。 


シーン3:12/24・午前2:15(@0:36〜) 日付が変わった深夜、雪がほぼ降り止んでいました。 手前の深雪に足跡が新しく付いています。 巣口bから再び右上にピョンと跳び上がり、立ち去りました。 手前の獣道から来て、巣口bを点検してから通り過ぎたようです。 


シーン4:12/24・午前2:52(@0:45〜) 
37分後、水平倒木の手前の雪面を右から左に横切りました。 
新雪にテンの足跡が残ります。 


シーン5:12/24・午前2:57(@0:52〜) 
4分後に、倒木の右下からテンが顔を覗かせていました。 
これまでとは逆の経路で登場したようです。 
監視カメラに気づいて警戒したのか、その場で不格好に方向転換してから右上に立ち去りました。 

ところがしばらくすると、再びテンが戻って来ました。 
巣口bに飛び降りたものの、巣内には入らずに新雪をかき分けながら手前に向かってきます。 


シーン6:12/27・午前10:58・晴れ(@1:16〜) 
3日後の昼間には、積もった雪がだいぶ溶けていました。 
積雪に埋もれかけていた巣口bが、前よりもよく見えるようになりました。 


【考察】
個体識別できていませんが、とりあえず同一個体のホンドテンが何度も来ているということにします。
謎の巣穴bが気になって、繰り返し訪れて様子をうかがっているようです。
トレイルカメラを警戒しているのか、「穴があったら入りたい」というほど積極的ではありません。
ホンドテンが巣穴bに入る決定的瞬間の映像が撮れないことには、そこに住んでいると確証がもてません。 

もしかすると越冬用巣穴bの乗っ取りが目的なのではなく、野ネズミなど穴居性の獲物を探しているのかもしれません。

並んで風倒した2本のスギ倒木の根元に掘られた2つの巣穴a、bが何m離れているのか、真面目に計測すべきなのですが、巣口の近くまで私が近づいたことを示す足跡や匂いを残したくありません。
巣穴の主である野生動物が警戒して二度と近寄らなくなってしまうのでは、元も子もありません。
無人センサーカメラでの動画撮影を最優先にして、巣穴から少し離れた地点に機材を設置しただけです。

野生動物は水平倒木を丸木橋のように渡るのではないかと予想していたのですが、ホンドテンはその下をくぐり抜けただけでした。


つづく→


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