2011/12/30

雪上を疾走するキハダエビグモ♂亜成体【蜘蛛】



2011年11月下旬・気温4℃(雪面)

雪が少し積もった山道で見慣れないクモが雪上をすばやく走っていました。
立ち止まると低温のせいか、体をつついても反応しません。
擬死なのかな?
素人目にはエビグモ科の一種ではないかと思います。
体全体が扁平な(非常に薄い)印象。
触肢が膨らみかけているので♂亜成体でしょうか。
しばらくすると、また突然走り出しました。
轍の窪みにたどり着くと静止。
持久力が無い(長距離を走れない)のかもしれません。
動画撮影後に一時捕獲してみると体長8mm。


いつものように「クモ蟲画像掲示板」にて問い合せたところ、画像のみで確定するのは難しいがサイズと歩脚斑紋からキハダエビグモかもしれないとご教示頂きました。
エビグモ科Philodromus属の一種で、暫定的にキハダエビグモ♂亜成体としておきます。
クモ生理生態事典』によると、キハダエビグモは亜成体で越冬し、冬期は樹皮の下にいるらしい。
ちなみに成体♂の体長は4〜6mmとあるので、今回は大型の個体のようです。
(成体の出現期は5〜8月。)
また、興味深い記述として「樹皮のような淡い茶色から刺激によって腹部後端が黒化する瞬間的体色変化をするが,くり返すと刺激しても黒化しない場合もある」らしいです。
下の組写真は採集2日後に炭酸ガス麻酔下で接写したものですが、確かに雪面で見たときより黒化が進んでいる印象を受けました。



【追記】

映像だけ見ると、クモが「走っている」様子はあまり伝わっていないかもしれません。
雪面で急に移動してはしばらく止まる、を繰り返すのですが予測不能なので何度も動画撮影に失敗しました。
(私のカメラは動画モードの起動が遅いのが難点。長撮りすべきでした。)
走っているのを見たのは確かです。
低温4℃の雪面なのに意外なダッシュ力(短距離スプリント)に驚きました。
見つけてすぐの方が走る勢いが良かったです。
実は現場では「もしや北国では幻のアシダカグモ?!」と内心ときめきました。
動画撮影はそこそこで切り上げて、見失わないうちに採集を優先した次第です。



2011/12/29

水面に浮いて跳ねるエビガラトビムシ?集団



2011年11月下旬

ミニ・ビオトープの水盤で何か黒い物が水面に浮かんでいました。
よく見ると夥しい数の黒い小さな虫が集まっています。
水面に大小幾つもの集団が浮いて離合集散し、ときどき空中にピンピンと跳ねる個体がいます。
カメラを動かしてパンしなくても、風で集団が水面を流されていきます。


大概の生物は平気で苦手意識などは無いつもりだったのに、初めて見る得体の知れない蟲が大群で蠢く様子を接写していたら不覚にもゾワゾワと少し気分が悪くなってしまいました。
単に慣れの問題だと思いますが、この日は採寸したり採集したりする気になれませんでした。
跳躍器で跳ぶ様子をハイスピード動画に撮ればよかった…と帰ってから後悔しても後の祭り。




帰ってから調べてみると、どうやらトビムシの仲間のようです。
以下の記述を見つけてミズトビムシかなと思ったりするものの、全くの当てずっぽうで定かではありません。
ミズトビムシ科のミズトビムシPodura aquaticaはしばしば群をなして水面に浮かんでいるのがみられる種で、全世界に分布する。(小学館『日本大百科』より)

【追記】
『日本動物大百科8昆虫Ⅰ』に掲載された、シロトビムシ科エビガラトビムシHomaloproctus sauteri)の写真が素人目には似ている気がしました。
(一属一種で日本特産の本種は、)冬季の夕方に、地表に出てくることで知られている。トビムシ類の大集団の発現はそれほど珍しくない。 (p54より引用)



全く馴染みが無い生き物だったので、こちらの動画↓でトビムシ全般についてお勉強。




↑【おまけの動画2】
「Slo-mo camera reveals why springtails land perfectly every time」by New Scientist
トビムシの跳躍と着陸の仕組みをスーパースローの映像で解明しています。

2011/12/28

カルガモ群れの水浴と羽繕い【野鳥】



2011年11月中旬

一山越えて湖に下りようとしたら、激しい水音が静かな山中に響き渡りました。
てっきり水鳥が天敵に襲われているのかと思いつつ静かに接近すると、カルガモの群れが水上で羽繕いしています。
湖畔の木陰からそっと覗くと、翼で激しく水面を打って水浴しているようです。
ときおり潜水する個体もいました(採食?)。

欲を出して更に近づこうとしたら目ざとく気づかれてしまい、カルガモは水面を泳いで対岸へと一斉に移動しました。

【追記】
『カルガモ親子はなぜ引っ越す』p208より
カルガモは、♂も♀も同じ黒褐色の羽色である。よく見ると、♂は、背中の方が♀より濃く、三列風切り羽がはっきりと白いというちがいはある。しかし、それでもじっくり見なければわからない程度の差でしかない。



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