2015年10月上旬
道端にアカマンマ(イヌタデの俗称)の花が咲いています。
イヌタデの群落でベニシジミ(Lycaena phlaeas daimio)を見つけました。
ベニシジミの幼虫はタデ科を食草とするのを思い出しました。
行動を注意深く見ていると、腹端を曲げて根際の茎に擦り付けていました。
私は外見でベニシジミの性別を見分けられないのですが、おそらく産卵中の♀でしょう。
その後は葉表に出てきてしばらく休息も兼ねて日光浴していました。
しばらくすると、再び葉裏に隠れてしまいました。
茂みの奥に潜り込むため、説得力のある決定的な産卵シーンの映像が撮れず、もどかしい思いをしました。
撮影後に卵を探してみればよかったですね。
幼虫越冬らしいので、飼育してみるのも面白そうです。
【追記】
(ベニシジミの)♀は食草の根元に潜り込んで産卵する。(p28より引用)
2015年9月上旬
キアシナガバチ巣の定点観察@トウカエデ枝#11
前回の記事と時系列が逆になってしまいました。
台風18号が日本列島を横断中で大雨が降っている日に話は遡ります。
嵐の中、キアシナガバチ(Polistes rothneyi)の巣の様子を見に行くと、在巣の蜂は♀一匹のみに減っていました。
台風とは無関係に、どうやら時期的にコロニーが解散しつつあるようです。
外役に出たまま嵐で帰れなくなっている個体も少しはいるでしょう。
在巣のキアシナガバチ♀は巣盤の下面に掴まっているだけで、排水行動はしていません。
育房内にもう幼虫や蛹(繭)が無いせいか、あるいは内役しない新女王なのかもしれません。
上に枝葉が生い茂っているため、台風の豪雨でも巣は直接雨水に濡れることはありません。
巣柄の付いた横枝の上面は雨で濡れています。
台風が通過した後も巣は無事でした。
つづく→#12:解散したキアシナガバチの巣@トウカエデ枝【暗視映像】
2015年10月上旬・午後18:13〜18:15
いよいよ羽化したクスサン(Caligula japonica japonica)成虫が飛び回る季節の到来です
1頭の大きなクスサンが夜の交差点を照らす外灯の虜になり、周りを乱舞していました。
絵に描いたような走光性ですね。
オレンジ色の光が眩し過ぎて、ビデオカメラのAFも眩んでしまうのか、どうしてもピンぼけになりがちです。
さて、このオレンジ色の外灯はナトリウムランプだと思うのですが、それでも夜行性の蛾を誘引してしまう(改善の余地がある)のですね。
紫外線を発しないので蛾などの昆虫が集まらず、汚れにくいのでメンテナンス上有利(wikipediaより)
道路の街灯の色は何故オレンジ色がおおいのですか?(Yahoo知恵袋より)
道路照明には夜行性の昆虫が群がり寄る心配がありますが、昆虫は特に紫外線に感応し黄色の光の波長域には感応しません。従って黄色の単色光だけを出すナトリウム灯には昆虫は近づかないのです。
▼関連記事
クスサン♂(蛾)の悲劇:走光性と光害問題
【追記】
松原始『カラス先生のはじめてのいきもの観察』という本を読むと、昆虫の走光性(飛んで火に入る夏の虫)についてコンパクトに解説されていました。
昆虫は光源に対して一定の角度を保って飛ぶという、極めて単純な誘導システムを使うと考えられている。
月に対して一定の角度を保って飛ぶだけで、短時間なら、昆虫は直進できる。だから、彼らは夜空に浮かぶ明るい光源を目印にするのだ。だが、この光源が思ったより近かったら、どうなるだろう?
光源に対して90度より小さい角度を保って飛んだ場合、ムシの飛跡は螺旋を描きながら光源に近づき、最後は衝突する。 90度より大きい場合は、螺旋を描きながら光源から遠ざかる。光源から遠ざかる場合があったとしても、そういう虫は闇の中に消えてしまうので、我々の目に止まらない。90度ぴったりの場合は、円軌道を描いて光源の周囲を回り続けることになる。 灯りに向かって飛びこみ続ける鬱陶しいムシは、本来ならちゃんと機能するはずだったルールに従っているにすぎない。言ってみれば、光源なんてものを手の届く距離に作り出した人間の犠牲者なのだ。 (p147-149より引用)
下線部でも特に90度より大きい場合について書かれた解説はあまり読んだことがなかったので、そう言われて初めて気付かされました。(目から鱗)