2015/08/04

夜中に造網するオニグモ♀(蜘蛛)【暗視映像の早回し】



オニグモ♀の定点観察#5

2015年6月下旬・夜22:31〜23:50・気温19→18℃

古い円網を完全に取り壊すと、外側の枠糸と最小限の縦糸だけが残りました。
取り壊しの直後に、オニグモ♀(Araneus ventricosus)は造網を始めました。
赤外線の暗視動画を15倍速にした早回し映像をご覧下さい。

円網全体を画面に収めようと三脚を網から離すと、赤外線が届かなくなり網が見えなくなってしまいます。
網の外枠は画角からはみ出してしまいますが、ご了承下さい。
外灯の強い逆光がレンズに入らないようにする必要もあり、クモの背面から狙い網の右斜め下から見上げるアングルがベストでした。
この個体は常に網の手前側に居るのですが、外灯の眩しい光が目に入らないようしているのかもしれません。(環境の明るさ・照度を正しく知るため?)
長撮りしている間に赤外線投光機のバッテリーが減り、後半は光量が激減してしまいました。
肝心のクモの糸が明瞭に写っていないかもしれませんが、クモの動きだけでも記録されてれば良しとします。
途中でビデオカメラのバッテリーを交換したら少し明るくなりました。

まず、新たに縦糸を張り始めました。
次に、クモの背側から見て時計回りに螺旋を描くように、網の中央から外側に足場糸を張りました。
甑の周りに足場糸を少し張ってみて、縦糸の本数が足りないと分かると臨機応変に付け足します。
ここまで使った縦糸および足場糸には粘着性がありません。
足場糸を張り終え枠糸に達すると、今度は逆の反時計回りで網の中央に向かって螺旋を描くように、粘着性の横糸を細かく張り始めました。
横糸を張りながら足場糸を切って進みます。
この横糸張りに最も長い時間を要します。

食べ残し(ラッピングした蛾)を甑に付けたまま残していたので、甑に戻ったオニグモ♀は捕食を再開しました。
一仕事終えて空腹だったのでしょう。
通常ならば造網の仕上げとして甑に集中した放射状の縦糸を食い破る処理を行うはずですが、残念ながら見られませんでした。
(この過程はクモの腹側から観察するべきだったかもしれません。)
完成した巨大な垂直円網を写真に撮ると、無駄のない美しさに惚れ惚れしますね。
縦糸の本数を数えると21本でした。
造網性クモが網を張替える一部始終(取り壊しと造網)を観察したのは初めてでした。
地面から甑までの高さは222cm(5日後に測定)。
興味深いことに、円網の左下外縁部で何箇所か破れた穴が開いたまま修繕されていませんでした。
面倒臭くて修復をさぼったのかな?

♀がせっせと造網する振動は、軒下に潜む♂(水平網?に占座)に伝わっていたはずです。
♂には♀の動静が文字通り手に取るように分かっているのでしょう。
網の張り替えが終わっても♂は求愛しにやって来ませんでした。
観察を打ち切って帰ったので、その後の♂の様子は知りません。
後で思うと、この♂に個体識別のマーキングを施すべきでした。



【おまけの動画】
同じ素材で早回しの速度を少し下げた10倍速映像です。

▼関連記事
垂直円網に横糸を張るオニグモ♀:15倍速動画
4年前の9月に撮った映像で、そのときは夕方から造網を開始しました。

つづく→#6


完成直後の巨大な垂直円網
未修復の破損部
軒下に潜む♂(画面右上)
腹面・全景
腹面

樹上で雨宿りするスズメ(野鳥)



2015年6月下旬・夕方

梅雨らしく激しい土砂降りの雨です。
メタセコイアの樹上で数羽のスズメPasser montanus)が雨宿りしていました。
ときどき身震いして羽根の水を切ります。
ヒヨドリの鳴き声の方が喧しいですけど、スズメも群れの仲間と鳴き交わしてるようです。

カメラを警戒しているのか、ずぶ濡れのスズメがホッピングで枝を上へ上へ登って行きます。
樹冠の方が枝葉が茂って雨があまり当たらないのかな?
それとも、このままここを夜のねぐらとするのでしょうか?

後半に登場する個体は(@0:47〜)、嘴の根本が黄色いので幼鳥のようです。
『カラー自然シリーズ26:スズメ』によると、

巣立ち雛は、だんだん体が締まってきて、しゃんとした若鳥になります。頬や喉のあたりのうす墨色も、しだいに黒くなって、親鳥の色に近くなってきます。しかし、嘴の黄色い部分は、後まで残ります。


※ かなり暗い映像だったので、動画編集時に自動色調補正で明るくしてあります。



2015/08/03

円網の上側を取り壊すオニグモ♀【蜘蛛:暗視映像】




オニグモ♀の定点観察#4


2015年6月下旬・夜22:17〜22:31

垂直円網の中央(甑)で蛾を食べていたオニグモ♀(Araneus ventricosus)が食べかけの獲物を再び糸でラッピングしてからこしきに固定しました。
前夜に張って古くなった円網の下側は既に取り壊してあるのですが(#2参照)、残った円網の取り壊しをようやく再開しました。
もし私が蛾を給餌しなければ、クモは円網全体を一気に取り壊したのかもしれません。
クモにしてみれば毎晩の円網張り替えの予定が狂ったのかもしれません。
それとも栄養補給しないと造網の糸が作れないぐらい空腹だったのでしょうか?

赤外線の暗視カメラで記録した動画を4倍速にした早回し映像でご覧下さい。
動画編集で早回し加工するついでに自動色調補正で糸を強調してあります。

網の糸に付着した小さな虫を糸と一緒に食べながら破網しているようです。
糸をリサイクルしてタンパク質の補給になります。
不要な糸を噛み切ったり、歩脚で切ることもあります。

甑から引き糸を伸ばしながら古い網を壊しつつ外縁に向かって進みます。
枠糸に引き糸を固定すると、甑に引き返します。
これで新しい縦糸が二重に張られることになります。
甑に戻ると引き糸を固定し、別方向に取り壊しを行います。

網の上部を取り壊すついでに、軒先に潜むオニグモ♂を追い払ったように見えたのが興味深く思いました。
残念ながら赤外線投光機の光が届かず、そのシーンはピンぼけになってしまいました。
♀は網に♂が居候するのを許さないのか、それとも♂がトラブルを避けるため♀とのニアミスを回避しただけかもしれません。

このオニグモ♀個体は昨夜張った円網を取り壊さないまま朝になると隠れ家に移動し、暗くなってきてから網に戻って来たのです。
網の張り替えは夜更けに行っています。
円網を毎朝畳まないのは北国のオニグモの特徴らしい。
クモ生理生態事典 2011』サイトによるとオニグモは

・夕方から活動を始め,張ってあった網を破損 の状態によって2~3日おきに張り替える
・関西の種は原則的には殆ど毎日のように網をたたんで,屋根裏に潜み,昼間は網を残しておくことが少なく, 関東の種は毎日ではないが時々朝網をたたみ,北方の種は殆ど毎日朝網をたたむ習性がない

【おまけの動画】


早回し加工していないオリジナル映像の完全ノーカット版です。
長編になりますけど、クモの動きをじっくり見たい方はこちらをどうぞ。

網を完全に取り壊しても、ラッピングした食べ残し(蛾)は捨てずに甑に付けたままです。
引き続きクモは縦糸を張り始めました。
造網性クモが網を張替える一部始終を観察できたのは初めてです。

つづく→#5:夜中に造網するオニグモ♀(蜘蛛)【暗視映像の早回し】


ランダムに記事を読む