オニグモ♀の定点観察#5
2015年6月下旬・夜22:31〜23:50・気温19→18℃古い円網を完全に取り壊すと、外側の枠糸と最小限の縦糸だけが残りました。
取り壊しの直後に、オニグモ♀(Araneus ventricosus)は造網を始めました。
赤外線の暗視動画を15倍速にした早回し映像をご覧下さい。
円網全体を画面に収めようと三脚を網から離すと、赤外線が届かなくなり網が見えなくなってしまいます。
網の外枠は画角からはみ出してしまいますが、ご了承下さい。
外灯の強い逆光がレンズに入らないようにする必要もあり、クモの背面から狙い網の右斜め下から見上げるアングルがベストでした。
この個体は常に網の手前側に居るのですが、外灯の眩しい光が目に入らないようしているのかもしれません。(環境の明るさ・照度を正しく知るため?)
長撮りしている間に赤外線投光機のバッテリーが減り、後半は光量が激減してしまいました。
肝心のクモの糸が明瞭に写っていないかもしれませんが、クモの動きだけでも記録されてれば良しとします。
途中でビデオカメラのバッテリーを交換したら少し明るくなりました。
まず、新たに縦糸を張り始めました。
次に、クモの背側から見て時計回りに螺旋を描くように、網の中央から外側に足場糸を張りました。
甑の周りに足場糸を少し張ってみて、縦糸の本数が足りないと分かると臨機応変に付け足します。
ここまで使った縦糸および足場糸には粘着性がありません。
足場糸を張り終え枠糸に達すると、今度は逆の反時計回りで網の中央に向かって螺旋を描くように、粘着性の横糸を細かく張り始めました。
横糸を張りながら足場糸を切って進みます。
この横糸張りに最も長い時間を要します。
食べ残し(ラッピングした蛾)を甑に付けたまま残していたので、甑に戻ったオニグモ♀は捕食を再開しました。
一仕事終えて空腹だったのでしょう。
通常ならば造網の仕上げとして甑に集中した放射状の縦糸を食い破る処理を行うはずですが、残念ながら見られませんでした。
(この過程はクモの腹側から観察するべきだったかもしれません。)
完成した巨大な垂直円網を写真に撮ると、無駄のない美しさに惚れ惚れしますね。
縦糸の本数を数えると21本でした。
造網性クモが網を張替える一部始終(取り壊しと造網)を観察したのは初めてでした。
地面から甑までの高さは222cm(5日後に測定)。
興味深いことに、円網の左下外縁部で何箇所か破れた穴が開いたまま修繕されていませんでした。
面倒臭くて修復をさぼったのかな?
♀がせっせと造網する振動は、軒下に潜む♂(水平網?に占座)に伝わっていたはずです。
♂には♀の動静が文字通り手に取るように分かっているのでしょう。
網の張り替えが終わっても♂は求愛しにやって来ませんでした。
観察を打ち切って帰ったので、その後の♂の様子は知りません。
後で思うと、この♂に個体識別のマーキングを施すべきでした。
【おまけの動画】
同じ素材で早回しの速度を少し下げた10倍速映像です。
▼関連記事
垂直円網に横糸を張るオニグモ♀:15倍速動画
4年前の9月に撮った映像で、そのときは夕方から造網を開始しました。
つづく→#6
完成直後の巨大な垂直円網 |
未修復の破損部 |
軒下に潜む♂(画面右上) |
腹面・全景 |
腹面 |