ノシメマダラメイガの飼育記録#23
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ノシメマダラメイガ(蛾)の繭を乗っ取る幼虫【微速度撮影】
2015年7月中旬
兄弟喧嘩で繭から追い出されたノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)の蛹を採取し、隔離して飼育することにしました。
多数の幼虫がウロウロしている過密環境では落ち着いて羽化できないだろうと思ったからです。
共食いされる心配も少しありました。
3日後、蛹の表面をよく見ると光沢が失われ、細かな皺のようなものができつつあります。
蛹のクチクラ層の下に空気が入ったのでしょうか。
いよいよ羽化が近い予感がしました。
ノシメマダラメイガ関連の文献※によると、羽化直前に蛹は灰色になるらしい。
※桑原保正. "メイガ科昆虫の性フェロモンに関する研究." (1971).
微速度撮影で蛹を監視することにしました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
蛹はときどき腹部にかすかな蠕動が見られます。
遂に羽化が始まりました。(@8:08)
蛹の前方が割れて成虫が脱出しています。
ところが繭内で固定されていないため、容器内で蛹が激しく動き回ってしまいました。
そのためにスムーズに抜け出せないで、新成虫は羽化殻を引き摺って歩いています。
こんなことなら、瞬間接着剤で蛹を固定しておけば良かったかもしれません。
羽化殻だけでもコレクションしたかったのですが、行方不明になり残念。
成虫が暴れたせいで、下に敷いたティッシュペーパーに鱗粉が付着しています。
逃げられたために性別も分からなくなってしまいました。
ノシメマダラメイガは普通、夜に羽化するらしいのですけど、今回の羽化は真昼でした。
撮影用に照明を常時点灯していたせいで、日周リズムが狂ったのでしょう。
羽化直後の室温は31℃、湿度47%でした。
次に機会があれば、繭からの正常な羽化を観察するつもりです。
これでノシメマダラメイガの生活史を大体ひと通り観察出来ました。
つづく→#24:ニンニクは貯穀害虫ノシメマダラメイガ(蛾)を誘引する?
2015年7月中旬
郊外を流れる川のコンクリート護岸にハグロトンボ(Calopteryx atrata)が集まっていました。
必ず顔を川に向け、水際でほぼ一列に止まっています。
ときどき飛び立って水面の上を飛び、すぐに舞い戻る、という謎の行動を繰り返しているのが気になりました。
幸いハグロトンボの性別を見分けるのは簡単で、♀は胴体が黒く、♂の腹部は金属光沢のある緑色です。
♀も♂も両方混在しているのに、なぜか求愛や交尾行動は見られません。
ハグロトンボは「ほかのカワトンボ類のような儀式ばった配偶行動はない。」(ヤマケイポケットガイド18『水辺の昆虫』p48より)
wikipediaによれば、ハグロトンボの
羽化後の若い個体は薄暗いところを好み、水域から離れて林の中で生活するが、成熟すると再び水域に戻り、明るい水辺の石や植物などに止まり縄張りを張る。
地上で止まっている時に黒い翅を勢い良く開閉して誇示しているのは以前も見たことがあります。
▼関連記事
・ハグロトンボ♀の翅紋誇示
・ハグロトンボ♂が翅を開閉
『昆虫の研究:トンボの楽園』p8によると、
ハグロトンボは、ふだん羽をとじてとまる。羽を開くのは、近づくなという縄張り争いの信号だ。
もし単純な縄張り争いだとしたら、領空侵犯されても迎撃して追い払わないのは解せません。
隣接個体とのパーソナルスペースを守るためだけに飛び上がっては止まり直し、川岸での居場所を変えているのでしょうか?
京都鴨川の名物となっている堤防に等間隔で座るヒトのカップル※のように、ハグロトンボも川岸で自然に等間隔で並ぶようになるのかな?
※ 興味のある方のためへのリンク集
回転寿司のように水面を流れてくる餌を待って捕食しているのでしょうか?
群れの様子を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみたら(@1:41〜)、飛び上がる謎が解けました。
飛びながら巧みに身を翻して小さな昆虫を空中で狩り、捕食していたのです。
皆が川の方を向いて止まっていた理由もこれで分かりました。
♀♂が集まっていたのに交尾しなかったのは、色気よりも食い気だったようです。
脚で捕らえた獲物を口元に持って行ってから着陸しました。
飛んでる獲物が小さ過ぎて見えないのが残念です。
ただし目の前の水面をアメンボが横切ってもハグロトンボは無反応です。
アメンボは肉食性の水生昆虫だから捕食の対象にはならないのでしょう。
着陸地点は元の位置とは限らず、右に左に移動します。
つづく→引きの絵で撮影