2013年7月下旬
山中に咲いたリョウブの花にニトベベッコウハナアブ♀(Volucella linearis)が来ていました。
花蜜を舐めています。
ベッコウハナアブの仲間はスズメバチの巣に寄生する掃除屋・天敵として知られています。
ニトベベッコウハナアブを見つける度に、一瞬「チャイロスズメバチだ!」と見間違えてしまいます。
捕食されないようにベーツ擬態するなら、もっとメジャーな(個体数の多い)スズメバチに似せた方が有効である気がします。
そもそも日本のスズメバチ属(Vespa)の中でチャイロスズメバチだけが独特の体色で、この配色にミューラー擬態した蜂を他に知りません。
もしかすると、チャイロスズメバチの巣に潜り込んで産卵するための攻撃的(?)擬態なのかな〜と想像を逞しくしてみる。
いつか産卵シーンを観察してみたいものです。
2013年7月下旬
民家の花壇に咲いたハナトラノオ(=カクトラノオ)にキムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が数匹、訪花していました。
朝は蜜量が多いのか、のんびり時間をかけて吸蜜しています。
ところがよく観察してみると、花の根元を外側から食い破って穿孔盗蜜していました。
後脚の花粉籠が空荷である点も受粉に関与しないことを物語っています。
筒状の花の入り口から潜り込むには体が大き過ぎる上に口吻が短いので、クマバチはハナトラノオに正当訪花しても蜜を吸えないのです。
途中で花壇に飛来したスズメバチとクマバチがニアミスしました。
スズメバチは訪花吸蜜せず、獲物を探索中のようです。
【追記】
松浦誠『社会性ハチの不思議な社会』によれば、
花蜜を求めて花を訪れるハナバチのなかには、花口から頭をつっこんで吸蜜することをせず、花筒の側部を口器でつき破って蜜を吸い取る行動がみられる。これは「盗蜜」と呼ばれ、クマバチでは古くから知られているが、マルハナバチでもよくみられる。 (p149より引用)