2015年7月下旬
キアシナガバチ巣の定点観察@軒下#1
東向きの軒下にキアシナガバチ(Polistes rothneyi)のコロニーを新たに見つけました。
結構大きく発達した巣ですが、残念ながら梯子がないと近づけない高さです。
在巣のワーカー♀はのんびり身繕いしたり、育房を点検したりしています。
巣盤中央の育房に上半身を深く突っ込んでいる蜂が居ますね。(栄養交換ではないようです)
帰巣した蜂に姉妹が殺到したので、もしかすると肉団子を分配したのかもしれません。
ズーム性能が弱いハンディカムでは、よく分かりません。
蜂の巣の近くに張られたクモの網が蜂の出入りを妨げているかどうか、興味があります。
つづく→#2:巣上で餌を分配するキアシナガバチ♀♂
2015年10月下旬
山間部の道端でカワミドリの群落に2頭のキタキチョウ(Eurema mandarina)が訪花していました。
花が散りかけで分かりにくいのですけど、時期を遡ってここに咲いている花を思い出すと、おそらくカワミドリだと思います。
この蝶は常に翅を閉じて止まり、滅多に翅表を見せてくれません。
翅裏が日光で白飛びしてしまうのが悩みです。
ハナバチの仲間も飛来してニアミスしました。
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翅表の紋様をチラ見せ(奇跡の写真)。 |
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葉で休むとき(日光浴?)も翅を閉じたままです。 |
2015年10月上旬
花を食べる造網性クモの謎#10:
ジョロウグモ♀(Nephila clavata)の網にアメリカセンダングサの花を給餌してみました。
頭花を網に投げつけたら、甑から急行したクモが毒液を注入するために噛みつきました。
歩脚の先で慎重に花を触れて調べています。
窓の外に店開きしているクモにとって、未知との遭遇のはずです。
しばらく噛み付いて味見した結果、どうやら花の味が気に入ってくれたようです。
捕帯を繰り出して梱包ラッピングを始めました。(@3:03〜)
甑に持ち帰る途中で花を再びラッピングし直します。(@6:10)
甑に戻ると、下向きに占座しました。
歩脚の先を舐めて身繕い。
ようやく落ち着いたジョロウグモ♀は花を手元に引き寄せ、クルクルと回しながら調べています。(@8:20〜)
やがて緑色の総苞(萼)に噛み付きました。
花粉や花蜜を本当に摂取しているのかどうか、見ているだけではどうしても分かりません。
ラッピングした糸を体外消化してタンパク質を回収しているだけかもしれません。
食べ滓の花を回収して状態を調べれば、何か手がかりが掴めるかもしれません。
私が少し目を離した隙に(数分後)、いつの間にかジョロウグモ♀は花を網から捨てていました。
やや風が強い日でピント合わせに苦労しました。
逆光のため途中ビデオカメラの補助照明として白色LEDを点灯しましたが、クモは気にしないようです。
実は今回給餌したアメリカセンダングサの花は2日前に採集した萎れかけのものでした。
花の鮮度が落ちた花でもクモは食べることがあるというのは意外で、また新たな謎が生まれました。
不思議なことに、同一個体のジョロウグモ♀に後日同じ実験(アメリカセンダングサの花を給餌)を繰り返しても再現性がありませんでした。
花の種類を変えてノコンギクを給餌しても食べてくれず、異物として捨てました。
野外でジョロウグモの網を見つける度にアメリカセンダングサの花を投げつけてみたのですけど、他に食べてくれる個体は見つかりませんでした。
アメリカセンダングサ花を捕食するのがイシサワオニグモだけの食性ではないことが判明したのは収穫です。
▼関連記事
アメリカセンダングサの花を食べるイシサワオニグモ♀(蜘蛛)の謎
花を食べてくれる個体は、梱包ラッピングに先立って長時間噛み付いていることが特徴かもしれません。
つづく→#11:
【追記】
吉田真『クモはどのようにして餌を捕らえるか?』によると、
ジョロウグモ属のクモでは、捕帯による固定はみられず、固定はもっぱら噛みつきによってなされます。 (ポピュラー・サイエンス『動物たちの気になる行動(1)食う・住む・生きる篇』p46より引用)