2014年6月下旬
平地(標高260m地点)の水辺に生えた柳の木(種名不詳)で不思議な光景を眼にしました。
コクワガタ♂(Dorcus rectus)と思われる結構立派なクワガタムシが柳の幹を歩いて下って来ました。
根元に近い幹の内部から大量の木屑が排出されている穴の所でグルリと一周しました。
なんと驚いたことに、コクワガタ♂はその木屑を大顎で挟んで毟り取り始めました。
木の根元を見ると、穴から排出された木屑が驚くほど大量に溜まっていました。
この穴は一体何なのでしょう?
- 誰かが人為的にドリルで開けたのでしょうか? このコクワガタ♂が単独で穿孔したとはとても思えません。この大顎の大きさや形状ではいまいち不器用そうです。
- コクワガタ♀成虫が穴から羽化脱出してくるのを♂が外から手助けし、待ち構えて交尾するのかと一瞬だけ思いました。しかしコクワガタの幼虫は朽木を食べて育つので、柳の生木から出てくる筈がありませんね。
- これからカミキリムシの成虫が穴から羽化脱出してくるのかな?
- 樹液の分泌を促すために樹皮に傷を付けているのでしょうか?
- この木屑は樹液が沁みて舐めると甘いのかもしれません。(私も味見すれば良かったですね…)
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冷涼な気候を好み、山地のヤナギ類などに集まる。本種には、木からしみ出る樹液を利用するというより、みずから樹皮をかじって傷つけ、積極的に樹液を出すという特徴的な行動が、特に♀においてよく見られる。(『樹液に集まる昆虫ハンドブック』p42より)
小島渉『わたしのカブトムシ研究』p24によると、
ヤナギの仲間は樹皮が薄いため、カブトムシ自身が傷つけて樹液を出すことが多いようだ。
謎の穴や木屑に気を取られている間にクワガタムシ♂の姿を根際で見失ってしまいました。
捕獲してしっかり同定したかったのに、痛恨のミス…。
体長の採寸も出来ませんでした。
いくら北国とは言えヒメオオクワガタの生息地にしては標高が低い※ですし、これはコクワガタ♂ですよね?(もし間違っていたらご指摘願います。)
※ 現場はブナ林帯どころかミズナラ林帯よりも標高の低い湿地帯です。
それから、この柳の樹種をどなたか教えて下さい。(映像の1:40辺りで枝葉を写しています。)
つづく