2011/12/01

歩きながら鳴くヒメギス♂♪



2011年11月上旬


林道脇の草むらでヒメギス♂が移動しながら鳴いていました。
翅先が丸いのでイブキヒメギス♂かもしれません。



2011/11/30

オナガの羽繕いと鳴き声♪【野鳥】



2011年11月上旬

柳の樹上でオナガを発見。
群れでけたたましく鳴き交わしています(警戒音?)。
こちらを警戒して次々に飛び去ってしまいました。
手元の野鳥図鑑によると、オナガは秋から冬には群れになるそうです。




2011/11/29

飼育コカマキリ♀dの卵鞘作り@LCD下(60倍速動画)



コカマキリ♀dの飼育記録
2011年11月上旬・室温24℃



前回の産卵@飼育容器天井から8日後、コカマキリ♀dが2個目の卵鞘を作り始めました。
DVDスピンドル容器を再利用した中で飼っていたのですが、この日は止り木の下面に静止して腹部をひくひくさせていました。
ここ数日は食欲が無くなり※、いかにも産卵しそうな気配でした。
※コカマキリ♀を何匹も飼育してみると、食欲が落ちるのは産卵の前兆の一つのようです。
産卵シーンを容器越しではなく直接観察したかったので、容器の外に出してやりました。
水平の止り木を用意して乗せてやるも、気に入らなかったようで卓上をあちこち徘徊します。
ようやくPCモニターの下面(プラスチック)にぶら下がって落ち着きました。
やがて案の定、クリーム色の卵鞘を泡立て始めました。
コカマキリ♀の側面から3秒間隔のインターバル撮影で記録しました。
三脚の設置を焦ってしまい、水平がきちんと取れていませんね…。
夕方の74分間(16:33-17:47)の産卵行動を60倍速の早回し映像でご覧下さい。


産卵シーンを何度も見逃したり、思い通りの産卵基質を選んでくれなかったり(撮影アングルをうまく確保できず)と苦労しましたが、コカマキリ♀を4匹も飼育して試行錯誤の末にようやく満足のいく映像が撮れました♪


このまま室内に卵鞘を放置すると、季節外れに幼虫が孵化してしまいます。
乾いた卵鞘を産卵基質からナイフで削り取り、割り箸に接着剤(木工用ボンド)でくっ付けました。
これを屋外に移して冬越しさせます。



2011/11/28

シロカネグモsp幼体の水平円網を霧吹きで可視化してみる



2011年10月下旬



里山で荒れた杉林の斜面を登っていると、枯れ枝の間に張られたクモの小さな水平円網が風に揺れていました。
網に陽の光が射してキラキラと光り、とてもフォトジェニックでした。
私のカメラの腕ではなかなかこの美しさが伝わりません…。
円網の直径は15cm強、甑(こしき)の高さは地上135cm。
とても小さなクモが網の下面中央に占座しています。

マクロレンズでの接写を試みたものの、網が風で揺れるせいで微小クモにピントを合わせるのは至難の業です。


クモの網を可視化する初めての試みとして、持参した霧吹きで水滴をスプレーしてみました。

極細の糸に水滴が数珠状に乗り、良い具合に可視化されました。
しかし外気の湿度が低いのか、網に付いた水滴がみるみるうちに蒸発してしまいました。
(動画よりも先に撮った写真の方がきれいに水滴が写っています。)

甑の下面に占座していたクモは驚いて網の外に脱出しました。
加湿器のような細かいミスト状の水滴をそっとスプレー出来れば理想的かもしれません。
網に戻ってくる途中で微小クモを捕獲しました。
炭酸ガス麻酔下で接写してみると見慣れない姿。
体長2mmで腹背に格子状の模様があります。




クモ蟲画像掲示板にて問い合せたところ、「アシナガグモ科の幼体で、おそらくシロカネグモ属の一種(Leucauge sp.)だろう」とご教示頂きました。
この仲間は幼体期での写真鑑定は困難なのだそうです。





2011/11/27

キドクガ幼虫(蛾)の徘徊@タニウツギ葉



2011年10月中旬
道端に生えたタニウツギ幼木の葉にカラフルな毛虫が何匹も止まっていました。

キドクガ幼虫です。
一匹に狙いを定めて顔正面を接写し始めると、すぐに方向転換してしまいました。
側面から見ると頭部の長い毛束(ツインテール!)が目立ちます。
葉の縁に口を付けるも、摂食行動は見られませんでした。
最後は葉の虫食い穴を通って葉裏に隠れてしまいました。






2011/11/26

サガオニグモ幼体の造網(横糸張りと隠れ帯)



2011年10月下旬


里山の尾根道の横(標高約610m)で小さなクモがちょうど網を張っているところに出くわしました。
自然光下でクモの糸が光って見えるアングルを急いで探し、垂直円網に対して少し斜めの位置から手持ちカメラのまま動画撮影開始。


横糸を張りつつクモの回る向きは一定でした(時計回り)。
一気に横糸を張り終えて甑(こしき)の処理が済むと、小休止してから甑の上に白く目立つ隠れ帯(白帯※)を作り始めました。
細かいジグザグの隠れ帯を上から下へ縦に張り、甑にたどり着くとそのまま下向きに占座。
全く無駄のない所作に惚れ惚れします。
完成した垂直円網の直径は15cm、甑の高さは地上130cm。
枠糸の固定点は枯れた倒木。


風になびく円網を横から撮っていたら、クモがおもむろに甑の穴反転用通路(free zone)を潜り網の反対側に移動しました。
その結果、造網中からこちらに腹面を向けていたクモは、自ら背面も見せてくれました。
風向きや太陽の方向に応じて網のどちらに占座するか決めるのだろうか?

※【追記】
『クモを利用する策士、クモヒメバチ: 身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い』p207によれば、
白帯はかつて、クモを目立たせなくする機能があるとして日本では「隠れ帯」と呼ばれ、網を強化する機能があるとして英語では「stabilimentum(安定化させるもの)」と呼ばれていた。共通する普遍機能がないとわかった現在は、機能の意を含めない「白帯」と呼ばれるようになり、英語でも同じ理由で「web decoration」と呼ばれたりもする。




動画撮影後にクモを捕獲し、記録のため炭酸ガス麻酔下で接写しました。
体長5mmで外雌器も触肢の膨らみもありません。
いつもお世話になっている「クモ蟲画像掲示板」にて、サガオニグモEriophora astridae幼体とご教示頂きました。




2011/11/25

コカマキリ♀dの卵鞘作り@飼育容器天井(微速度撮影)

コカマキリ♀dの飼育記録
2011年10月下旬・室温20℃→18℃



身重のコカマキリ♀dが野外で鉄パイプの下面にぶら下がって何時間も静止して居ました。
いかにも卵鞘を産みそうな予感がしたので、飼育するため夕方に採集しました。
近くに居たアシグロツユムシ♀と同じ容器に入れて持ち帰ると、捕食していました(半分食べ残し)。
コカマキリ♀による卵嚢作製の微速度撮影をなんとか物にすることを今季の目標にしており、これが4匹目(a-d)の飼育です。



産卵を観察しやすいよう透明プラスチックのDVDスピンドル容器で飼うことにしました。
コカマキリ♀dは容器の天井に逆さまにぶら下がる姿勢で、なんとその日の晩に白い卵鞘を泡立て始めました。
夕方に鉄パイプの下にずっと止まっていたのは、やはり産卵の準備だったようです。


透明の容器越しに上から見下ろすアングルでカメラを三脚にセットし、3秒間隔のインターバル撮影を開始。
コカマキリ♀の腹面と卵鞘の裏側という珍しいアングルです(飼育下ならでは)。
まるで白い絵の具を塗るように泡立てていきます。
約2.5時間(PM19:40〜22:15)の行動を60倍速の早回しでお届けします。

卵鞘が完成するとコカマキリ♀は身繕いや徘徊を始めました。
一仕事を終えた♀の腹端に白い卵鞘の泡が付着しています。
ちなみに、この白い産卵痕は野生のコカマキリ♀にも認められます。


卵鞘は乾くと固くなって褐色になります。


2011/11/24

ヒロバネヒナバッタ♂の鳴き声♪



2011年10月下旬・気温25℃


里山の尾根に登り、日当たりの良い草地の横で弁当を食べていました。
落ち着くと辺りに茶色のバッタが何匹も居て鳴き交わしていることに気づきました。
シュリリリリ♪という乾いた(渋い)鳴き声です。
鳴いている様子をいざ動画に撮ろうとすると、優れた保護色のため落ち葉や枯葉を背景に静止していると、特に日向ではなかなか見つけられません。
こういうときはカメラの液晶画面ではなく光学ファインダーを直接覗く方が探しやすいです。
望遠で撮ってもすぐに枯葉の下に隠れたり跳ねたりして逃げてしまいます。
なんとか一匹に忍び寄って接写してみると、後脚と翅を擦り合わせて発音していました。
鳴く合間に顔を拭う様子(右前脚で複眼を撫でた)が可愛らしい。

接写した同一個体(映像で冒頭の4分間に登場)を素手で捕獲し、同定のため持ち帰りました。
体長を採寸すると22mm(頭頂⇔翅端)または19mm(頭頂⇔腹端)。
名前を調べてみるとヒロバネヒナバッタ♂(Stenobothrus fumatus)のようです。
虫の音WORLDサイトから鳴き声♪も聞けます。







2011/11/23

コガネグモダマシ♀の造網:足場糸と横糸張り(15倍速映像)



2011年10月中旬・気温15℃

クズとススキが生い茂る堤防の草むらで夕方になるとコガネグモダマシがあちこちで店開きします。
縦糸を張っているクモを一匹見つけたものの、三脚を準備している間にどんどん次の作業に移ってしまいました。
(次回はチャンスを逃さぬよう、取りあえず手持ちカメラで撮ろうと思います。)
放射状の縦糸の次は、網の中央から外側へ足場糸を螺旋状に張ります。
横糸に比べて一時的な足場糸は粗いのですぐ張り終えてしまいます。
次に外側から中心に向かって螺旋状に粘着性の横糸を張り始めました。
このとき足場糸を切りながら作業を進めます。
クモはこちらに背面を向けています。
網の外側部分では螺旋運動の向きを何度か変えていました。
後半になると一定の向きで回ります。
曇り空で夕方のせいか(薄暗い)、自然光では細い糸があまりよくカメラに写りません。
網と糸を可視化するためにもし霧吹きしたらクモは造網作業を中断してしまうだろうか?と思いつつも動画で長撮り。
早回し映像の部分は15倍速です。

クモは途中まで横糸を張り終えると甑に戻って網を引き締め、下向きに占座しました。
このとき一匹の虫を網から取り逃がしています(追い払った?)。
これで完成なのかと思いきや、少し休むと再び横糸を張り始めました。
最後の仕上げが残っていたらしい。
螺旋運動の向きは変わらず(背面を向け反時計回り)。
今度こそ横糸を張り終えました。
クモは完成した円網全体を歩脚で引き締め、ようやく落ち着きました(下向きに占座)。
甑の処理は網の裏側(クモの腹面)から観察しないと分かりませんね。

完成した垂直円網の甑の高さは地上約110cm、枠糸は周囲のススキに固定されています。


撮影後にクモを一時捕獲してみると、体長8mmの♀成体でした。




2年前の観察よりは少し進歩したものの、なんとか造網過程の一部始終を動画に記録したいものです。



2011/11/22

スズメバチに似たスズキナガハナアブ♀の身繕い【ベーツ擬態】



2011年10月下旬

里山でつづら折りの山道を登っていたら、スズメバチにそっくりなアブが羽音を立てて飛来しました。
なぜか私のウェストポーチに興味を示し、二回もまとわり付いて来ました。
一瞬スズメバチかと焦って身を固くしましたが、すぐに擬態(虎の威を借る狐)と気づきました。
アブは近くのクズの葉に止まり、身繕いを始めました。
胸部背面後半にハの字型の黄色紋があり、スズキナガハナアブSpilomyia suzukii)と判明。
左右の複眼が接していないことから♀と思われます。
ベーツ型擬態の見事な一例ですね。
スズキナガハナアブ♀は化粧が済むと飛び去りました。
スズメバチのように刺す真似をするか(行動擬態)確認したかったのに、生憎この日は捕虫網を持参しておらず、指を咥えて見送りました。



2011/11/21

クワコ♀(蛾)の羽化と性フェロモン放出



クワコの飼育記録#4
2011年10月下旬・室温22℃


二頭のクワコBombyx mandarina)終齢幼虫から飼育を始め、繭を紡いでから53日後にようやく一頭の成虫(先に営繭した個体a)が室内で羽化しました。

羽化の過程を撮影したかったのに見逃してしまい残念。
それまで繭の中で蛹がひとりでにガサガサ動く音がときどき聞こえていたものの、羽化の前兆などは気づきませんでした。
実験室の自然日長条件で(クワゴの:しぐま註)羽化時刻を調べると、♂と♀でまったく異なる。♂は午前8時〜10時を中心に羽化し、♀は午後2時〜5時を中心に羽化した。筆者は、今までこのように♂と♀で羽化時刻の異なる昆虫を知らない。ちなみにカイコは雌雄同時に羽化する。 (桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』p57より引用)
繭の上側の絹糸をコクナーゼという酵素で溶かしてから穴を押し広げて脱出したようです。

『繭ハンドブック』p29によると、クワコの羽化前の繭上部には予め出口は開いていないらしい。




午前中に気づいたときは既に翅が伸び切っており(前翅長〜20mm)、繭の下にぶら下がって静止していました。
直下に垂れた赤い液体は、翅伸展後に排泄した蛹便でしょう。
櫛状触角の形状に性差があるらしいのですが、私にはよく分かりません。
♂の触角は♀より櫛歯が長いらしい。)
幼虫期はあれほど大食漢だったのに、クワコ成虫の口器は退化しています。



やがて繭に掴まって静止したまま、腹端から何やら黄色い内臓器官を出し入れし始めました。
ヘアーペンシルの形状ではありませんが、フェロモン放出のコーリングを連想しました。
クワコはカイコの原種(交雑可能)※ですから、よく調べられているカイコの配偶行動を参照してみることに。
科学のアルバム『カイコ:まゆからまゆまで』を紐解くとp14に解説が載っていました。
「♂の蛾を激しく引き寄せた、特別の匂いは、♀の腹の中にある、誘引腺という黄色い袋から出されます。♀は羽化するとすぐに、この誘引腺を腹の先から出して、特別の匂いを辺りにまき散らします。♂はこの匂いを辿って♀を見つけるのです。」

これでようやく私にも♀だと分かりました。
クワコの雌性フェロモン(カイコと同じボンビコール:bombykol)を嗅いでも私の鼻には無臭でした。
空中に拡散する微量なフェロモンを検知するために♂の触角は♀よりも発達しているのです。
しかし『ファーブル昆虫記』の有名なエピソード「オオクジャクヤママユの夜」のように、室内に囚われた♀の元に窓の外から♂のクワコが殺到するということはありませんでした。
そのまま♀を飼い続けると後日、産卵シーンも観察できました。
(つづく→シリーズ#5




※【追記】
鈴木知之『さなぎ(見ながら学習・調べてなっとく)』によると、
カイコは中国のクワコを品種改良したものらしく、日本のクワコとは染色体の数やDNA配列が異なるようです。  (p83より引用)




【追記2】
桑原保正『性フェロモン:オスを誘惑する物質の秘密』によると、

 (カイコの)未交尾の♀(処女♀)を♂と交尾できないように隔離しておくと、♀は腹部末端を斜め上後方に突き出し、先端の産卵管壁に一対ある黄色球状の側胞腺(フェロモンを分泌・発散する部分。フェロモン腺)を突出させる。この時、側胞腺は数秒毎の周期的な膨張と収縮をくり返す。この行動はコーリング行動(求愛行動)とよばれ、フェロモンの分泌発散行動である。(p23〜24より引用)
 クワゴの♀はカイコと同じように、昼間に腹部末端にある側胞腺を膨らませてコーリング(求愛行動)し、性フェロモンを分泌する。 (p47より引用)
クワゴは野外の自然状態では、おそらく前日の午後羽化した成熟♀に、翌日午前に羽化した♂が求婚するのではないか (p57より引用)
コーリング中の♀を嗅いでも微量のためフェロモンの香りはまったくない。化学合成したフェロモンは、高濃度の時だけ人間に、弱い油臭さとして感じられる。当然であるが人間には何の作用もない。 (p239より引用) 









2011/11/20

ナシケンモン終齢幼虫(蛾)の徘徊@鉄パイプ



2011年10月下旬・気温12℃



林縁で鉄パイプの上を毛虫が一匹這い回っていました。
ナシケンモンViminia rumicisというヤガ科の幼虫(黒色型)です。
現場で採寸すると、体長31mm。
図鑑『イモムシハンドブック』によると終齢幼虫の体長は30-35mmらしいので、おそらく終齢なのでしょう。

真っ黒な頭楯を左右に振って辺りを探りUターンを試みます。
長い白髪の生えた頭をときどき高々と持ち上げて様子を窺います。
夕刻で冷えてきたのか、動きが鈍くなりました。
我々のような温血動物が鉄パイプに触れると体温が奪われ殊更に冷たく感じますが、毛虫のような変温動物にとっては気温と同じ体感のはずです。


10月上旬に撮った褐色型のナシケンモン幼虫@ヤナギ葉 












2011/11/19

ススキの種子を食すコバネササキリ♀

2011年10月中旬



動画とは別個体


綿毛を付けたススキの穂にキリギリスの仲間(産卵管の長い♀)が何匹も止まっていました。
種子を食べているような気がしたのですが、秋風で穂が激しく揺れそのままではとても口元を接写できません。
こういう悪条件の際の常套手段として、いつものように茎ごと切り落として地面にそっと置いてみました。
しかし長い触角で異変を感じたのか、♀は跳んで逃げてしまいました。


気を取り直し、別個体で再挑戦。
次善の策として今度は左手でススキの穂を押さえながら接写してみました。
(映像はここから。)



確かに口器がもぐもぐ動いています。
側面から観察すると、ススキの種子に口を付けている決定的証拠映像が得られました。
産卵に備えて栄養豊富な種子を食べているのでしょう。
やがて綿毛の中をゆっくり移動し始めました。

直翅目を見分けるのも苦手なので、キタササキリ♀褐色型にしては翅が短い?と思いつつ、動画撮影後に同一個体を採集して持ち帰りました。
落ち着いてよくよく調べてみると、どうやらコバネササキリ♀(Conocephalus japonicus)らしい。


触角が恐ろしく長い。死後は変色が進み、長い産卵管も縦2本に割れてしまう。







2011/11/18

ベニシジミがセイタカアワダチソウに訪花吸蜜



2011年10月中旬



土手に咲くセイタカアワダチソウの花にベニシジミLycaena phlaeasが止まって蜜を吸っていました。
翅がやや擦り切れ色褪せた個体です。
風が時折吹いて激しく揺れるので、望遠マクロのみ。





2011/11/17

オニグモ♀亜成体の白昼造網(横糸張り)と隠れ家への隠遁



2011年10月中旬 午後13:50頃

橋の欄干でせっせと造網中のクモがいました。
急いで三脚を立てて準備します。
太陽光で網や糸が光って見えるアングルをなんとか見つけて動画の撮影開始。


クモはこちらに背面を向け、網の外側から内側へと螺旋状に横糸を張っています。
早回し部分の映像は10倍速。)
若干の秋風が吹く日でしたが、幸い枠糸の固定点が堅牢な構造物なので、被写体が風で揺れる影響は最小限に抑えられました。


横糸張りは撮影中、時計回りで一定でした。
しかし網の右下部分の横糸を見ると、初めの段階では何回か回転の向きを変えていることが分かります。
クモは休憩せず一気に仕上げました。
横糸を張り終えたクモは仕上げに甑(こしき)部分の余分な糸を食い破りました。※
そのまま占座するかと思いきや網の外に退散しました。
網の枠糸を辿って欄干の支柱を探すとネジの陰に身を潜めていました。
明るい昼間は天敵(野鳥やクモバチなど)を恐れているのかもしれません。

完成した垂直円網の大きさは直径約22cm、甑の高さは地上90cmでした。
(数m下には川が流れていますが、橋の路面を地面とみなしました。)

オニグモの甑(こしき)についてクモ生理生態事典2010』によると、
造網作業の最後に,網の緊張を平均化するために,中心部(こしき)にほぼ円形に穴をあけたり, 2~3の放射糸に糸を継ぎ足してひきしめたりするので,不正形の穴があいている.これはオニグモ類には共通した習性である.



隠れ家のクモを採集してみると、どうやらオニグモAraneus ventricosus)のようです。
触肢の形状から♀と思ったものの、腹面の外雌器にコガネグモ科成体♀特有の垂体が見当たりません。
体長も未だ13mmと小さいことから、亜成体♀と思われます。


オニグモの造網(網の張り替え)は通常暗くなってから行われるとされているので、今回の気の早い造網(午後)は興味深く思いました。



2011/11/16

カメノコテントウの飛び立ち(ハイスピード動画)




2011年11月上旬


林縁の草むらでカメノコテントウAiolocaria hexaspilotaを発見。
手に乗せてしばし鑑賞します。



翅をパカッと広げて飛び立つのを期待して、ハイスピード動画(220 fps)にて長撮りしました。
薬指の先に誘導したらようやく飛んでくれました。
そろそろ集団越冬する時期かもしれません。


関連記事(12年後の撮影:240fps)▶ 飛べ!カメノコテントウ【FHD動画&ハイスピード動画】





2011/11/15

クロマダラエダシャク(蛾)幼虫の尺取歩行



2011年10月中旬



黄色、黒、白の縦縞模様に身を纏った見慣れないイモムシを一匹、柳(種名不詳)の葉の上で発見。
派手な(毒々しい)模様は外敵への警戒色なのだろうか。
この日は風が強く枝が激しく揺れて観察しにくいので、柳の小枝ごと切り落としてそっと地面に置き、じっくり接写しました。


葉の縁に止まり真っ直ぐ伸びた状態で大人しく擬死していた幼虫は、しばらくすると警戒を解いて動き始めました。
Ω字状の尺取歩行からシャクガ科の幼虫(尺取虫)と判明。
どうやら口から細い糸を吐きながら徘徊しているようです。
じきに繭を紡ぐのだろうか※。


帰ってから検索してみると、トビネオオエダシャクPhthonosema invenustarium幼虫だろうと分かりました。

頭楯全体が黒く、柳を食樹とすることから、クロマダラエダシャクAbraxas fulvobasalis)の幼虫に訂正します。
食草・食樹のリストにしっかりヤナギ科も含まれています。
幼虫を採集して飼育すれば良かったのですが、余力がなくて今回は見送りました。


※ 体長の採寸値31mmはトビネオオエダシャク終齢幼虫の体長55mmよりも小さいので、未だ若い個体のようです。
幼虫が口元から吐いている糸は、クモが歩き回る際の「しおり糸」のような命綱かもしれません。
長い糸で宙吊りになった尺取虫を林の中でときどき見かけますし。


▼関連記事(4年後にほぼ同じ場所で撮影)
クロマダラエダシャク(蛾)幼虫の尺取り運動と命綱の働き










2011/11/14

キイロスズメバチ♀がアシグロツユムシ♂を狩る



2011年10月中旬

一匹のキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が道端の草むらで探索飛行していました。
蜂を目で追っていると、いきなり虫に飛びかりました。
(映像はここから。)
獲物を仕留めたその場で肉団子を作り始めました。
スズメバチは狩りに際して毒針は使わず、大顎のみで攻撃および解体(食肉処理)を行ないます。
キイロスズメバチのワーカーはカメラに背を向けて作業しているため、残念ながら肝心の口元がよく見えません。
餌食となったのはキリギリスの仲間です。
心眼ではおそらくアシグロツユムシPhaneroptera nigroantennata)で、産卵管が無いことから♂成虫。
茂みを慎重にかき分けながら必死で接写を続けると、働き蜂は獲物から不要な長い翅を噛み切りました。
ようやく側面からのアングルではっきり見えるようになった矢先に、キイロスズメバチは完成した肉団子を咥え巣へと飛び立ちました。

2011/11/13

イカリモンガの翅表を撮りたい!(ハイスピード動画)




2011年11月上旬

林縁の道端に咲いた野菊の群落でイカリモンPterodecta felderi)が何頭も集団で吸蜜していました。
類は友を呼ぶ?


この綺麗な昼蛾は常に翅を閉じて止まるので、翅裏の錨紋しか見せてくれません。
翅表の紋様を撮るチャンスは飛翔中しかありません。
そこで、花から飛び立つシーンのスローモーションをハイスピード動画(220fps)で撮ってみました。
この構想は何年も前から温めていたもので、スーパースローが撮れるカメラを手に入れるまでお預けでした。
ちなみに通常の動画(30fps)で同様に撮ってコマ送り再生しても、羽ばたいている翅表は映りません。

イカリモンガが飛ぶ様子を肉眼で見ると、前翅の赤い帯がチラチラと明滅して見えます。


野菊の同定は苦手ですが、一本採集して持ち帰り図鑑で調べると、おそらくノコンギクだろうと判明。






2011/11/12

コカマキリ♂が独りで「前ならえ」の練習



2011年10月中旬
以前フィールドで交尾中のペアを見つけて以来、コカマキリStatilia maculata)の♂成虫を見分けられるようになりました。
この日は堤防の石段で続けざまに♂を二匹発見(映像はそのうちの一匹♂cの行動)。


カメラを凝視する顔はなんとも小狡そうな表情に見えてしまいます。
この個体は左の触角が途中で直角に折れ曲がっています。



植物の蔓を少し登ると、立ち止まって奇妙な行動を始めました。
鎌を構える「拝みポーズ」はカマキリにごく普通ですが、カメラ目線のまま「前ならえ」するように繰り返し鎌を曲げ伸ばししています。
後半は上体を反らしながら、まるで天に救いの手を求めるような動きで空を切ります。


撮影後に採集して持ち帰り、飼育中のコカマキリ♀とペアリングさせました。
すると♂が♀に注意深く接近してマウントするまでに同じような「前ならえ行動」を示し、鎌で♀との間合いを測っているように見えました。
(動画はこちら→「コカマキリの危険な情事」)

ちなみに、カマキリが獲物を捕食する際はこんな素振り運動をせずに鎌で一発で仕留めます。
(悠長に練習なんかしていたら獲物に逃げられてしまいます。)




従って、今回の不思議な屈伸行動をあえて解釈するならば、繁殖期で性衝動の高まった独り身の♂が無聊を慰める一種の真空行動※だったのではないかと妄想しました
これまで何匹もコカマキリ♀を飼育してきましたが、少なくとも♀成虫では今まで見たことがない行動です。


※『岩波生物学辞典・第4版』より引用
中枢が強く活性化されているのに鍵刺激が現われないと,閾値がはなはだしく低下して鍵刺激を待たずに反応が解発されてしまうこともあり,これを真空活動(vacuum activity,真空行動)とよぶ.(中略)生得的解発機構とそれに関連するさまざまな概念(固定的動作パターン・真空行動・転位行動・リリーサーなど)は,動機づけのエネルギーの蓄積と解放という生理学的事実に裏付けられていない比喩にもとづくものとして,用いるべきでないとする意見も強い.



2011/11/11

アカヒゲドクガ幼虫の徘徊



2011年10月中旬



登山道の階段で、ツートンカラーの毛虫が活発に動き回っていました。
アカヒゲドクガ幼虫です。
いかにも触り心地良さそうな立派な毛並みです。
しかしドクガ科で人によってはかぶれたりするそうなので、素手で触らない方が無難です。

路上を横断する姿もよく見かけます。(右が頭)2005年10月中旬
アカヒゲドクガ成虫♂(前翅長16mm)2006年8月下旬。名前の通り触角が赤い

2011/11/10

ホソヒラタアブ♀が野菊にホバリング訪花(ハイスピード動画)




2011年10月中旬

道端の草むらに咲いた野菊(種名不詳)に一匹のアブがホバリングしながら訪花していました。
別に撮った写真からホソヒラタアブ♀(Episyrphus balteatus)と思われます。
(左右の複眼が接してないので♀)
ホソヒラタアブは昆虫界でも屈指のホバリングの名手で、交尾も空中で行う程です。
(関連記事と映像はこちら→「ホソヒラタアブの空中交尾:翔んだカップル」)
せっかくなので、ハイスピード動画(220fps)に撮ってみました。
当然ながら、この程度のスローモーション(約1/7倍速)ではホソヒラタアブの高速羽ばたきを見ることは出来ません。

花の手前で飛びながら何度も足で花に触れています。
脚先の感覚器で花粉を味見しているのだろうか。



満足したのか花から飛び立つと、高度を上げて空中でしばらく静止していました。

駄目元で撮ってみたら意外とピントがまぁまぁ合いました。
最後は近くの木の葉に着陸し、ようやく翅を休めました。




2011/11/09

アシグロツユムシ♂の歩行と飛翔



2011年10月中旬

道端のクズの茂みでアシグロツユムシPhaneroptera nigroantennata)が自慢の長い脚で歩き回っていました。
腹端に産卵管が無いので♂と判明。
黒褐色の長い触角をよく見ると、節に白い部分があってお洒落。
採集して鳴く様子を飼育下で観察したかったのに、殺気を感じたのか飛んで逃げられてしまいました。
初めはガードレールの側面に止まっていました。



2011/11/05

ホシホウジャク?の吸蜜ホバリング(HD動画&ハイスピード動画)



2011年10月中旬・夕方


道端に咲いた野菊(種名不詳。ノコンギク?)の群落にホウジャクの仲間が一頭訪花していました。
ホバリングしながら長い口吻で吸蜜して回りますが、個々の花の蜜量が少ないのか次々と忙しなく移動します。




春に新調した私のカメラにはハイスピード動画(220fps)が搭載されています。
(この機種を選んだ理由の一つです。)
今まで使いこなせてなかったのですが、この機会に試してみました。
撮り始めるとピントが固定されるので、蛾の動きに合わせて自分で動きながら調節しないといけません。
夕方なので光量不足により画質が粗いです。
画素数にも不満がありますが、いずれ技術革新で改善されることでしょう。


30fpsのスロー再生(約1/7倍速)でも毎回の羽ばたきを目で捉え切れませんでした※。
HTML5対応のブラウザでご覧の方は、再生速度を更に1/4に落とせます(約1/28倍速)。
胸背中央の黒線は判るものの、特徴となる翅の細かな模様まではとても見えません。
後翅にオレンジ色の紋様があることは分かります。
花に着陸した際も羽ばたきを止めず、前脚を花に掛けるだけでした。
ホバリングしながら体を傾けて(バンク)急旋回する様子が格好良いです。
なんとなく山勘でホシホウジャクまたはホシヒメホウジャクかなと思うのですが、どうでしょう?
同定用の写真を撮る前に逃げられてしまいました。
せっかく捕虫網を持参していたので、躊躇せず採集すれば良かった…。


※『謎とき昆虫ノート』p26によると、毎秒の羽ばたき回数が約100回を超える昆虫ではホバリングと言って、空中で止まることが出来るようになり、ヘリコプターのような動きが可能になる。

2011/11/04

アサギマダラが野菊で吸蜜



2011年10月中旬

ふわふわと空を舞っていたアサギマダラParantica sita)が道端に咲いた野菊(種名不詳)に降り立ち、花蜜を吸って行きました。
年に2〜3頭しか見れないので、出会いの度にいつも胸がときめきます。
アサギマダラは日本列島で毎年、長距離の渡りをする蝶として有名です。
翅に個体識別のマーキングがあるかどうか(放蝶された個体かどうか)目を凝らして映像を見直したものの、どうやら無さそうです。








2011/11/03

秋の空の微速度撮影と飛行機雲



2011年10月中旬
インターバル撮影で10月の青空を撮って100倍速の映像作品にしてみました。
雲には色んな種類がありますね。
女心と秋の空。


ところで「October Sky」(邦題「遠い空の向こうに」)という名作映画をご存知でしょうか。
タイトルが原作「Rocket Boys」のアナグラム(文字の並べかえ)になっているというのは有名な話(お洒落〜)。

理系の魂を熱くする青春映画です。
原作も良し映画も良し、という稀有な作品で万人にお勧めします。
特に若い人は必見!
(最近は教科書にも載っているらしいですね。)
本が好きな人は原作にも挑戦してみてください。
秋の夜長にいかがでしょうか。



原作者のHomer Hickam Jr.氏(NASAエンジニア)に捧げるために、本当は種子島に渡り国産ロケット打ち上げの映像を撮って付け足したかったところですが、空を切り裂く飛行機雲で代用しました。


↓予告編





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