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2019/07/22

ハルザキヤマガラシの花蜜を吸うウスバアゲハ



2019年5月中旬

川沿いの堤防で満開に咲いたハルザキヤマガラシという菜の花の群落で2頭のウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が訪花していました。
翅を開閉しながら吸蜜しています。

最後は菜の花から飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。
腹端に交尾嚢を付けていないので、♀とも♂とも言えません。(性別不明)


ウスバアゲハ@ハルザキヤマガラシ訪花吸蜜

2019/07/21

キアゲハ帯蛹a:羽化の前兆【40倍速映像】



キアゲハの飼育記録(2018年)#10


2018年7月中旬・室温30〜32℃

7月上旬に飼育容器内の隅で蛹化してから8日目。
キアゲハPapilio machaon hippocrates)の帯蛹cの色が変わり、成虫の翅の色が透けて見えるようになりました。
翅芽の黄色や赤の模様が透けて見えます。
これは羽化の前兆です。
予想より早かったのですが、連日の猛暑で完全変態の進行が早まったようです。
撮影のためにプラスチック容器の蓋を開放したので、蛹にとっては暑さが篭もらなくなったはずです。
それまではほぼ密閉状態だったので、中は温室のように暑かったかもしれません。

羽化に備えて、微速度撮影で監視することにしました。
40倍速の早回し映像をご覧下さい。

帯蛹はときどき蠕動しています。
蛹のクチクラの直下に少しずつ白い泡のように空気が入って新成虫の体との間に隙間が出来つつある様子が分かります。
胸背の突起にも空気が入り、白っぽくなりました。

つづく→#11:キアゲハ成虫♂aの羽化【10倍速映像】


キアゲハ帯蛹a:背面
キアゲハ帯蛹a:側面
キアゲハ帯蛹a:腹面(容器越し)

2019/07/18

藤の花に集まるトラフシジミ



2019年5月中旬

川岸でオニグルミの木に巻き付いて育ったフジ(藤)の花が満開に咲いていました。
そこで3頭のトラフシジミRapala arata)を見つけました。

翅を閉じて止まり、後翅を擦り合わせて尾状突起を動かして触角に見せかけています。(自己擬態)
口吻の状態を見ると、吸蜜してはいないようです。
マメ科のフジはトラフシジミ幼虫の食樹リストに含まれるので、産卵に来た♀なのかな?
(今回は産卵行動を観察できませんでした。)
映像から性別を見分けられないのが残念です。

最後に飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


トラフシジミ3@フジ訪花

2019/07/16

ケヤキの若葉を食べ脱糞するマメドクガ(蛾)終齢幼虫♂【30倍速映像】




マメドクガの飼育記録#17



▼前回の記事
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂は桜の未熟果(肥大した子房)を食べられない【10倍速映像】

2019年5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bに次はケヤキの枝葉を与えてみました。
ケヤキは、広食性として知られるマメドクガ幼虫の食樹植物リストに載っている一つです。
幼虫がケヤキの若葉を蚕食する様子を微速度撮影してみました。
30倍速の早回し映像をご覧下さい。
(退屈な食休みシーンは編集でカットしました。)

食欲旺盛の幼虫は、若葉を1枚食べ尽すと、赤い托葉は食べずに次の葉に移動しました。
葉が小さいときは、葉先を手繰り寄せ(折り曲げ)ながら蚕食しています。
未だ小さい葉だと主脈の先にあまり進出すると体重を支え切れないからでしょう。

映像には定期的な脱糞シーンも記録されていました。

終齢幼虫の体長は約40mmまで成長しました。
もうじき繭を紡ぎ始めそうです。


つづく→#18:繭を紡ぐマメドクガ(蛾)終齢幼虫【100倍速映像】




【おまけの動画】
早回し速度を落とした10倍速映像をブログ限定で公開します。


2019/07/14

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂は桜の未熟果(肥大した子房)を食べられない【10倍速映像】




マメドクガの飼育記録#16



▼前回の記事
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】

2019年5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノ
肥大した子房(緑色の未熟果)にかじりつこうとしばらく頑張っていましたが、果皮が硬くなっているようで結局は歯が立ちませんでした。
その奮闘ぶりを微速度撮影で記録したので、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
未熟果は長径9mm、短径7mmの卵型(楕円球)でした。

実際には10分間以上もカリカリと頑張っていたことになります。


『科学のアルバム:サクラの一生』によると、

 虫のたすけをかりて、受粉した花は、花びらがちったあと、みどり色のかたい実をむすびます。
 実がだんだんと赤く色づいてくると、なかの種もできあがります。
実はみどり色から赤くなり、70日くらいするとじゅくして黒くなる。
 じゅくしたやわらかい実は、小鳥や動物の大こうぶつ。かれらがたべた実は、いろいろなところにはこばれ、ふんといっしょに種だけが、地上にもどります。(p18-19より引用)



桜の未熟果には物理的に幼虫の歯が立たないのではなく、有毒(忌避)物質を含む可能性も充分に考えられます。
園芸種であるソメイヨシノの場合は、果実が熟した後も毒が残っている場合があって危険なのだそうです。
『種子散布 助け合いの進化論〈1〉鳥が運ぶ種子』という本によると、

ピラカンサ、ウメ、サクラなどの未熟果には、青酸配糖体のプルナシンアミグダリンが含まれている。未熟果が毒を持つのは、種子がまだ未熟な時期に捕食されてしまうのを防ぐための植物側の適応である。こうした毒は実が熟すると消失して、鳥が食べられるようになる(p50より引用)


ソメイヨシノ(バラ科)―実をついばんでいたムクドリが飛び立って間もなく落下して死に、胃の中の実からアミグダリンと推定されるシアン化合物が検出された。同様の事例は桜の名所で時々ある。(中略)ソメイヨシノの例は極端だが、これは園芸種なので自然選択はかかっていないと考えられる。(同書p86-87より引用)



このマメドクガ幼虫は広食性でソメイヨシノ花後の子房を大量に食べてしまいましたが、アミグダリンの影響は大丈夫なのでしょうか?
個々の子房に含まれる毒は微量でも体内に蓄積して死亡する(致死性を発揮する)のではないかと心配になってきました。
そこで別の食樹植物に変えることにしました。

つづく→#17:ケヤキの若葉を食べ脱糞するマメドクガ(蛾)終齢幼虫♂【30倍速映像】


2019/07/13

ノダイコンの花蜜を吸うモンシロチョウ♂



2019年5月中旬

河畔林の明るい林床に咲いたノダイコン(大根の内陸性自生種)の群落でモンシロチョウ♂(Pieris rapae)が訪花していました。
翅をしっかり閉じたまま吸蜜しています。
左前翅の縁が破損しているのは鳥に襲われかけたビークマークでしょうか?
最後は満ち足りたように、この群落から飛び去りました。


モンシロチョウ♂@ノダイコン訪花吸蜜
モンシロチョウ♂@ノダイコン訪花吸蜜

2019/07/12

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】



マメドクガの飼育記録#15


▼前回の記事
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便

2019年5月上旬・午前中・室温〜23℃

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノ花後の子房を次々に食べ尽す様子を微速度撮影してみました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
受粉して膨らみ始めた子房だけでなく、それを覆っている萼片や、萎れた雄しべ、雌しべ、果柄も一緒にモリモリ食べています。
食欲旺盛でなによりです。
しかし、桜の若葉は頑として食べようとしません。
桜の葉に含まれるクマリンの芳香(=桜餅の香り)を嫌うのかもしれません。
クマリンには抗血液凝集作用があり、殺鼠剤に使われているぐらいなので大量に摂取すると有毒です。(昆虫にも有毒?)

もし桜の花が未だ咲いている時期に与えたら、マメドクガ幼虫は花弁も食べたかな?
枝に少しだけ残っていたソメイヨシノの花弁や、散った花弁が枝葉に付着したまま萎れていた花弁も食べるのを目撃しました。(映像なし)


『科学のアルバム:サクラの一生』によると、

サクラは花がちったあと、葉のはたらきで養分をつくり、実を生長させる。
花びらがちっても、がく、おしべ、花柱だけがのこっている。2日から4日で実だけになる。
実は、花の子房がかわったもので、かたい核のなかに種ができる。(p18-19より引用)



つづく→#16:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂は桜の未熟果(肥大した子房)を食べられない【10倍速映像】


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ花後の未熟果

2019/07/10

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便




マメドクガの飼育記録#14



▼前回の記事
桜の果柄を食すマメドクガ(蛾)終齢幼虫

2019年5月上旬・室温24℃

育ち盛りのマメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bがソメイヨシノ花後の果柄を食べながら、規則正しく定期的に脱糞しています。
排便した時刻を記録すると約30分間隔と分かるので、次の排泄時刻を予測できて撮影の準備が楽になります。

果柄の下側にしがみついていた最後端の腹脚(尾脚?)を離して腹部後端を持ち上げると、肛門から黒色または濃緑色(黒っぽい深緑色)の糞をポトリと排泄します。
排便後はゆっくりと姿勢を戻します。

最後のシーンでは、急に仰け反って海老反りの体勢になり、左右に身を捩ると自分の毛束を利用してブラッシング(毛繕い)を始めました。(@2:20)
この身繕い行動は、脱皮直後に見られた「海老反り起毛運動」(私が勝手に命名)と同じです。
体に付いたゴミを払い落とそうとしているのでしょう。
海老反り姿勢から一度元に戻しかけてから再び腹端を持ち上げて黒い糞を排泄しました。

イモムシ・毛虫の糞の形状は、後腸の断面の形状を反映して俵のような塊が花びらのように割れているのが普通です。
しかしこの個体は、終齢幼虫なのに糞が花びらのように割れていない(不明瞭)点が珍しく思いました。
桜の花後の子房や果柄という普通ならマメドクガ幼虫が食べないような粗食のメニューを与えているからでしょうか?
いかにも食物繊維が多く含まれていそうな糞です。

つづく→#15:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂がソメイヨシノ花後の子房を次々に食害【10倍速映像】


2019/07/08

桜の果柄を食すマメドクガ(蛾)終齢幼虫




マメドクガの飼育記録#13



▼前回の記事
桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫

2019年5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bは、ソメイヨシノの小さな子房を完食した後も、続けて果柄を食べ続けます。
果柄が短くなると、ときどき後退しながら食べ進みます。
しかし依然として、桜の若葉には決して口を付けようとしません。

頭楯の横から前方に長く伸びた1対の黒い毛束も見えます。(欠損後に脱皮で再生)

つづく→#14:マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂の排便


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ果柄+摂食
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ果柄+摂食

2019/07/06

桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫



マメドクガの飼育記録#12


2019年5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の終齢幼虫♂bは、脱皮後のほぼ24時間は飼育容器の壁面にへばりついたまま休息していました。
やがて徘徊を始めると、終齢幼虫♂bの体長は28mmに伸びました。
ちなみに、脱皮殻(抜け殻)は食べられることなく容器の壁面に残されていました。

幼虫の旺盛な食欲に応えて、新鮮な食草を与えてやる必要があります。
それまで与えていたイネ科の草は萎れてしまいました。
好物とされるマメ科植物の若葉を調達できなかったので、とりあえず身の回りの植物を何種類か適当に与えてみましょう。
試しにソメイヨシノ(バラ科)の枝葉を与えてみました。
花はほとんど散り終えた後で、若葉が付いています。
しかし桜の葉の縁を味見した結果、気に入らなかったようです。
その後も葉には全く興味を示しません。
マメドクガは広食性とは言え、食草リストに桜は入っていないので、ソメイヨシノの葉に食いつかないのはさほど不思議ではありません。

代わりに花後の赤い萼片と花糸に食いついたので驚きました。
萼を食べ尽すと、膨らみかけた緑色の子房が露出しました。
幼虫はその子房も齧り始めました。
桜にとっては、葉を食害されるよりも痛手が大きいでしょう。
子房を完全に食べ尽くすと、マメドクガ幼虫は食休み。

つづく→#13:桜の果柄を食すマメドクガ(蛾)終齢幼虫


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ花後子房+摂食
マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b@ソメイヨシノ花後子房+摂食

ソメイヨシノ花後子房
ソメイヨシノ花後子房
ソメイヨシノ花後の萼など

2019/07/04

マメドクガ(蛾)幼虫は毛束を失っても脱皮で再生する



マメドクガの飼育記録#11


2019年4月下旬〜5月上旬

マメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫bを野外で採集してきたときから一部の毛束に欠損がありました。
頭楯の左右両側から前方に真っ直ぐ生えているはずの長くて黒い毛束が、どういう訳か右側だけ根本から無いのです。
原因は不明ですが、前回の脱皮の際に抜け殻から毛束を引き抜くのに失敗して千切れてしまった可能性もありそうです。
終齢幼虫に脱皮した後、下に落ちていた仮面のような頭楯の抜け殻を見ると、亜終齢では毛束が左右非対称であったことが明らかです。
しかし脱皮した終齢幼虫では、毛束が左右対称に回復していました。
再生した右の毛束は、左の毛束と比べても長さに遜色はありません。
右の毛束の先端がやや折れ曲がっているのは、脱皮直後で毛が未だしっかり伸びていないからでしょう。

事故(怪我)や発生の異常(奇形)などで脚や触角など体の一部が失われても、脱皮の際に再生するのは節足動物でよく見られる現象です。
マメドクガ幼虫にとってこの毛束は、アンテナ(触角)代わりに重要な働きをしているのかもしれませんね。
しかし右側の毛束が無くても、徘徊、食餌などの行動にあまり支障は無さそうでした。
もし両方の毛束を切り落としてしまったら、幼虫の探索行動に異常を来すのでしょうか?
天敵のヤドリバエや寄生蜂が産卵を試みても着陸しにくいように、毛虫は体の周囲にバリアのように長い毛を生やしているのかもしれません。
オサムシなどの捕食者に食べられないための防御になっているという説もあります。

ちなみに、脱皮直後にノギスで採寸した幼虫の体長は18mmで、脱皮前からほとんど成長していませんでした。
逆に2mmほど縮んでいました。
しかし食事を再開すると、どんどん成長します。


つづく→#12:桜の花後の子房を食べるマメドクガ(蛾)終齢幼虫


マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂b:毛束再生@容器壁面+脱皮直後
マメドクガ(蛾)亜終齢♂b:頭楯の脱皮殻

2019/07/03

春にセイヨウタンポポの花蜜を吸うキタテハ秋型♀



2019年5月上旬

川沿いの農道の端に咲いたセイヨウタンポポの群落でキタテハPolygonia c-aureum)が訪花していました。
意外にもこの組み合わせは初見です。
越冬明けのはずなのに、翅が擦れたり破損がなくて状態の良い個体でした。
翅をゆるやかに開閉し、花上で向きを変えながら吸蜜しています。
後翅翅裏の外縁が濃褐色なのは、♀の特徴です。(参考:フィールドガイド『日本のチョウ』p222-223)
飛んでもすぐに隣の花へ移動します。
地面に倒伏した花にも訪れました。
後半は翅を閉じて吸蜜するようになりました。
日差しが強くて暑いのかな? 

背後の田んぼは既に水入れした後で、カエルの鳴く声が聞こえます。
ノスリと思われる猛禽類も遠くで鳴いています。
のどかな春の田園風景でした。
撮影後にタンポポの萼が反り返っている(セイヨウタンポポの特徴)ことを確認しました。


キタテハ秋型♀@セイヨウタンポポ訪花吸蜜
キタテハ秋型♀@セイヨウタンポポ訪花吸蜜
キタテハ秋型♀@セイヨウタンポポ訪花吸蜜
キタテハ秋型♀@セイヨウタンポポ訪花吸蜜

2019/07/01

マメドクガ(蛾)終齢幼虫♂への脱皮【10倍速映像】



マメドクガの飼育記録#10


2019年5月上旬

▼前回の記事
脱皮前の眠で微動するマメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂【100倍速映像】

マメドクガCifuna locuples confusa)の亜終齢幼虫bの脱皮がようやく始まりました。
10倍速の早回し映像をご覧下さい。
脱皮開始時刻は、午前9:23でした。
プラスチック製の飼育容器の壁面に予め体を絹糸で固定し、斜め下に前進しながら脱皮しました。
後方に抜け殻(脱皮殻)が残されています。
体が千切れたように一瞬見えて、焦りました。

まず、胸部のクチクラが割れて新しい上半身が下に現れました。
頭部から前に伸びる左右1対の毛束がピョンと伸びました。
幼虫が前に抜け出る場所にも予め吐糸で足場を張り巡らせてあり、その用意周到さに感心します。


昨年の飼育個体aで脱皮を観察したときには、私の不注意で脱皮中に落下してしまいました。
今回は無事に脱皮の一部始終を動画に記録できて満足です。

脱皮殻から完全に抜け出ると終齢幼虫bはすぐに、体を海老反りにしてくねらせ、背側に生え揃った毛でブラッシングするように起毛運動を行いました。
これは昨年の飼育個体aでも観察された行動です。

▼関連記事
脱皮直後のマメドクガ(蛾)幼虫による海老反り起毛体操

このとき黒い頭楯の抜け殻がポトリと下に落ちました。
新しい頭楯の色は白っぽい褐色で、これから次第に黒化します。

休憩を挟みながら起毛運動を繰り返します。
腹背中央で縦に2つ並んだ茶色の小さな毛束も、よく見るとピコピコと動いていて、可愛いらしいです。
背脈管(昆虫の心臓)の拍動に伴う動きなのでしょう。

やがて終齢幼虫♂bは方向転換すると、壁面で上向きになりました。
幼虫の中には脱皮殻を食べてしまう種類もいますが、この個体は抜け殻に口は付けず、そのまま休止しました。
午前11:25に測った室温は23.6℃、湿度33%。

※ 微速度撮影に特有の画面のチラつきを抑えるために、動画編集時にdeflickerフィルターをかけました。

採集時に見つけた前回の脱皮殻の写真も比較のために掲載予定。

つづく→#11:マメドクガ(蛾)幼虫は毛束を失っても脱皮で再生する

マメドクガ(蛾)幼虫b@容器壁面+脱皮直後・全景

マメドクガ(蛾)幼虫b@容器壁面+脱皮直後
マメドクガ(蛾)幼虫b@容器壁面+脱皮直後macro

2019/06/29

脱皮前の眠で微動するマメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂【100倍速映像】



マメドクガの飼育記録#9


2019年5月上旬

▼前回の記事
マメドクガ(蛾)幼虫はイネ科の草も食べる

食欲を失ったマメドクガCifuna locuples confusa幼虫bは、食草として与えたイネ科植物を離れ、飼育容器のプラスチック壁面に斜め下向きで静止したままになりました。
照明の当てる角度を工夫して透明な容器をじっくり見ると、幼虫がいつの間にか自身の周囲に大量の絹糸を口から吐いて体軸方向に対して直角に張り巡らしていました。
市販されているこの飼育容器の形状は独特で、一方の側面は平面で、反対側の面は外側にやや湾曲しています。
マメドクガ幼虫は、脱皮のために平面の壁面を選択しました。
これから脱皮する前に、滑りやすいプラスチック壁面でずり落ちないように吐糸で足場を用意しておくのでしょう。
初めはプラスチックに擦り傷、引っかき傷(擦過傷)を付けたのかと早とちりしました。

ノギスで採寸すると、幼虫の体長は約20mmでした。
このとき亜終齢だったことが、後に判明します。
ちなみに『イモムシハンドブック1』p85によれば、マメドクガ終齢幼虫の体長は、35〜40mmとのこと。

脱皮するまで、微速度撮影で愚直に監視します。
100倍速の早回し映像をご覧下さい。
脱皮前のみん状態の幼虫は「微動だにしない」ように見えても、実際にはときどき蠕動していることが分かります。


つづく→#10:終齢幼虫への脱皮


マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫b@飼育容器壁面+足場糸+脱皮前眠・全景
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫b@飼育容器壁面+足場糸+脱皮前眠
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫b@飼育容器壁面+足場糸+脱皮前眠
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫b:腹面@飼育容器壁面+足場糸+脱皮前眠

2019/06/28

ベニシジミ春型の羽化不全個体(後翅の奇形)



2019年4月下旬

川沿いの土手の草むらで春型ベニシジミLycaena phlaeas daimio)の羽化不全個体を見つけました。
前翅はきれいですけど、後翅が左右ともにしわくちゃのままです。
蛹から羽化した直後に後翅の伸展が失敗したのでしょう。

スイバの花穂の先端に止まり、翅を広げて日光浴していました。
スイバはベニシジミの食草の一つですが、産卵中ではなかったです。
(♀かどうか、性別を見分けられていません。)

最後は飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでご覧ください。
意外にも、後翅が著しい奇形なのに飛翔能力に異常は認められませんでした。
飛翔シーンをハイスピード動画でも記録したかったのですが、飛んで逃げたベニシジミを見失ってしまいました。

この土手では他にも多数のベニシジミが居ました。
訪花中ではなく縄張りを張っていようで、♂同士の空中戦も目撃しました。


ベニシジミ春型:羽化不全個体@スイバ花穂
ベニシジミ春型:羽化不全個体@スイバ花穂
ベニシジミ春型:羽化不全個体@?葉

2019/06/24

ヒメオドリコソウに訪花するツメクサガ(蛾)



2019年4月下旬

川沿いの土手に咲いたヒメオドリコソウの群落でツメクサガHeliothis maritima adaucta)が訪花していました。
吸蜜しに来たのでしょうか。
少し飛んで別の花に止まり直しました。

てっきり花蜜目的の訪花かと思いきや、映像を見直すとこのとき腹端を曲げて素早く産卵したようにも見えました。

しかしピントが合う前の一瞬だったので、定かではありません。
しかも本種の食草はマメ科植物なので、シソ科のヒメオドリコソウに産卵するはずはありません。
辺りにはシロツメクサやムラサキツメクサ、クサフジ、クズなど他のマメ科植物がいくらでも生えていますから、適当に卵を産み付けても孵化した幼虫が自力で食草に辿り着けるのかもしれません。
アングルが悪いので私が横に動いたら、警戒したツメクサガは飛んで逃げてしまいました。
(そもそも、この個体が♀かどうか、私には外見で見分けられません。)

飛び立つ瞬間を1/10倍速のスローモーションでリプレイ。


ツメクサガ(蛾)@ヒメオドリコソウ訪花吸蜜

2019/06/20

マメドクガ(蛾)幼虫はイネ科の草も食べる

マメドクガの飼育記録#8



▼前回の記事
休眠越冬を始めたマメドクガ(蛾)若齢幼虫の微動【100倍速映像】

前年から飼育下で越冬させていたマメドクガCifuna locuples confusa)の幼虫aは、春になってもなぜか目覚めませんでした。
恥ずかしながら私は虫の飼育がいつまで経っても上達せず、特に冬越しさせるのが鬼門です。



2019年4月下旬

川沿いの堤防に立つ小屋の東側で新たに越冬明けの別個体bを見つけました。
地面から少し上のコンクリート基礎に脱皮殻(抜け殻)が残されていて、その手前に生えたイネ科の雑草にマメドクガの亜終齢幼虫bが居ました。
イネ科の葉先に食痕があったので驚きました。
マメ科作物の害虫として悪名高いマメドクガ幼虫がイネ科も食べるとは意外に思いました。
非常に残念なことに、このときカメラのバッテリーが切れていて、証拠写真を1枚も撮れませんでした。
食草ごと採集して持ち帰り、飼育下で再現させてみましょう。
一緒に採集した抜け殻(脱皮殻)の写真を掲載予定。

ちなみにイネ科植物の穂が育つまで待って1ヶ月後(5月下旬)に現地を再び訪れると、幼虫が食べていたのはカモガヤ(=オーチャードグラス)と判明しました。




カモガヤ@マメドクガ(蛾)幼虫b採集地・全景
カモガヤ穂@マメドクガ(蛾)幼虫b採集地



「草むしり」と称して、近所に生えていたイネ科の雑草(種名不詳)を根こそぎ毟り取ってきました。
そのままプラスチック容器(豆腐パックの再利用)に入れて水をやり、マメドクガ幼虫bを放しました。
幼虫の大きさと比較するために豆腐パックを採寸すると、出っ張った縁も含めて13×15×4.5cm。
飼育環境に数日間慣らした後で、イネ科植物の葉を食べている証拠映像がようやく撮れました。


食欲旺盛の幼虫は葉縁に脚で跨るようにしがみつき、一心不乱に葉を蚕食しています。
頭楯は真っ黒です。

頭部の横から生えている黒くて長い毛束が、この個体は右側だけ欠損しています。
飼育容器内に再現した草むらを元気に徘徊します。
撮影時の室温は22.1℃、湿度33%。

「マメドクガ」という和名は少し誤解を招くかもしれません。
必ずしも名は体を表さず、実はもっと広食性であることが分かりました。
いつもお世話になっている「みんなで作る日本産蛾類図鑑」サイトを参照すると、マメドクガの「幼虫食餌植物」として以下のように列挙されていました。

マメ科:ダイズ、フジ、バラ科:カイドウ、ニレ科:ケヤキ、ユキノシタ科:ウツギ、ブナ科コナラ属:コナラ、クヌギ、ニレ科:エノキ、バラ科:バラ
既知の食草リストにイネ科は含まれていませんでしたので、ささやかながら新しい知見になります。
ここ北国では、春になって根雪が溶けても本来適した食草がなかなか生えてこなくて、あまり好き嫌いを言ってられないのでしょう。



つづく→#9:脱皮前の眠で微動するマメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂【100倍速映像】


マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b:側面@イネ科植物sp葉+食害
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b:顔@イネ科植物sp葉+食害
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b@イネ科植物sp・全景
マメドクガ(蛾)亜終齢幼虫♂b@イネ科植物sp・全景

2019/06/18

秋風の強い堤防で休むモンシロチョウ



2018年11月中旬

河原の堤防に咲いたブタナの群落で訪花していたモンシロチョウPieris rapae)が吸蜜後に少し飛び、花が散った後の綿毛(冠毛)に着陸しました。
閉じた翅が秋風に煽られながらも、必死にしがみついて休んでいます。

もう1頭は、なぜか土手の枯れた芝生に着陸して休んでいました。
この個体も翅を閉じているので、日光浴ではありません。
強い風に飛ばされないようにするだけで精一杯なのでしょう。


【追記】
この花の名前を長らくオオジシバリだと思い込んでいたのですが、外来種(帰化植物)のブタナと分かったので訂正しておきます。


モンシロチョウa@ブタナ花後冠毛+休息
モンシロチョウa@ブタナ花後冠毛+休息
モンシロチョウb@土手:芝生+休息

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