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2020/03/06

夕方の池で連結産卵するギンヤンマ♀♂



2019年9月下旬・午後16:25頃

林に囲まれた夕方の溜池でギンヤンマAnax parthenope julius)の連結ペア♀♂が産卵していました。
この時間帯でギンヤンマの産卵行動を観察したのは初めてです。
薄暗い上に逆光でトンボを撮ったので、ほとんどシルエットしか見えません。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか迷ったのですが、閃光に驚いて逃げられてしまうと困ります。
岸からでは被写体にフラッシュが届かない距離だろうと判断し、諦めて動画撮影を続けました。
動画編集時に彩度を少し上げたらようやくギンヤンマに特徴的な体色が見えるようになりました。

枯死したガマやヨシなど抽水植物の枝(茎?)にしがみつき、下側の♀が腹端だけを水中に浸して植物組織の中に産卵しています。
頻繁に飛び立つと少し移動してから別の茎に止まり直し、あちこちで同様に産卵を続けます。
♀の腹端が着水すると、池の水面に波紋が広がります。

連結態で飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、必ず♀が♂よりも先に羽ばたき始めることが分かりました。
産卵時の主導権は、やはり♀が握っているようです。

しばらくすると、ようやく一箇所に落ち着いてじっくり産卵するようになりました。
それまでは、産卵基質の状態が気に入らなかったのでしょう。(未産卵?)
そこへ単独のギンヤンマ(あぶれ♂)が飛来しました。(@1:41;探雌飛翔)

(※ 黄昏飛行と呼ぶには未だ時間帯が早いでしょうか?)
あぶれ♂が♀♂ペアの上空でホバリング(停飛)すると、連結態の♂がその場で軽く羽ばたいて、あぶれ♂を撃退しました。
産卵に専念している♀は、特に交尾拒否行動をしませんでした。
トンボの♂は交尾しても♀が産卵してくれるまでは、自分の精子で確実に受精したという保証がありません。
尾繋がりしている状態であれば、ライバル♂に♀を奪われる心配は無くなります。(交尾後ガード)
逆に、あぶれ♂の存在が産卵警護の必要を生むのでしょう。
交尾後もライバル♂が居なければ、♂は連結態を解除して(次の♀を探しに行き)♀は単独で産卵することもあります。

▼関連記事
池で単独産卵するギンヤンマ♀
ギンヤンマ♂♀の連結産卵

一方、水面を泳ぎ回るアメンボが近づいても産卵中のギンヤンマ♀♂は気にしません。

あぶれ♂がもう来なくなっても、ギンヤンマの翅が小刻みに震えています。
日が落ちて気温が下がり、胸部の飛翔筋を震わせて離陸前の準備運動をしているのかもしれません。
(風で翅がはためいているだけかな?)


ギンヤンマ♀♂@池:枯茎+連結産卵
ギンヤンマあぶれ♂@池+探雌飛翔

2020/02/28

ウコギの生け垣で交尾するヤマトシジミ♀♂



2019年9月下旬・正午頃・晴れ

郊外の民家のウコギ(おそらくヒメウコギ)の生け垣で交尾中のヤマトシジミ♀♂(Zizeeria maha)を見つけました。
腹端の交尾器を結合したまま翅をしっかり閉じて静止しています。

私にはこの状態で性別を見分けられないのですが、片方の個体だけが閉じた翅を互いにゆっくりと擦り合わせていました。
ちなみに、ウコギはヤマトシジミの食樹植物ではありません。


次に機会があれば、交尾に至るまでの求愛行動を観察してみたいものです。
(ヤマトシジミの)交尾行動では、オスがメスに接近し、翅をほぼ水平に広げて震わせて交尾を促し、同時に腹部を曲げて交尾体勢に入る。メスは既交尾の場合翅をばたつかせて拒否行動をとるが、未交尾の場合は動かない。メスの生涯交尾回数は1回から2回程度とされる。オスはテリトリーなどは作らない。オスの交尾行動の解発には翅表よりも翅裏の色彩が重要である[15]。 (wikipediaより引用)

ヤマトシジミ♀♂@ウコギ葉+交尾
ヤマトシジミ♀♂@ウコギ葉+交尾・全景

2020/02/26

スズバチ♂の探雌飛翔とミネラル摂取【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午前10:40頃・くもり

平地の砂利道を低空で飛び回るスズバチOreumenes decoratus)を発見。
いかにも♀が巣材の泥玉を作りそうな場所(採土場)なのに、右往左往するばかりでいつまで経っても地面で巣材集めを始めません。
着陸したスズバチをよく見ると雄蜂♂でした。
交尾相手の♀を待ち伏せしているようです。

地上で休息中に前脚で触角を拭って身繕いしています。
ときどき地面を舐めているのは、土に含まれるミネラル(塩分)を摂取しているのでしょう。
♂の蝶では珍しくない行動ですが、蜂ではあまり見たことがありません。

▼関連記事(6〜7年前の撮影)
土を舐めるジガバチ♂
ヤマジガバチの労働寄生#4:ミネラル摂取

路上でしばらく休むと方向転換して飛び立ち、探雌飛翔を再開。
砂利道から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:08〜)


つづく→野菊の花蜜を吸うスズバチ♂


スズバチ♂:顔@砂利道+ミネラル摂取
スズバチ♂:背面@砂利道+ミネラル摂取

2020/02/19

コミスジの求愛飛翔?(その2)



2019年9月中旬・午後14:18

両側にニセアカシア(別名ハリエンジュ)等の灌木が立ち並ぶ川沿いの小径でコミスジNeptis sappho)と思われる2頭の蝶がのんびりした独特の飛び方で乱舞していました。
おそらくコミスジ♀♂による求愛飛翔だと思うのですが、今回も交尾には至らず、飛び去ってしまいました。
2頭の乱舞を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

コミスジ幼虫の食草はクズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物なので、成虫がこの辺りを飛んでいるのは不思議でも何でもありません。

▼関連記事
コミスジの求愛飛翔?(その1)
コミスジ♀♂の交尾と連結飛翔


コミスジ?2@求愛飛翔?

2020/02/10

クルマバッタモドキが♀1♂2で交尾【HD動画&ハイスピード動画】



2019年9月中旬・午後13:55頃

川沿いの堤防上の舗装路で3匹のクルマバッタモドキOedaleus infernalis)が身を寄せ合っていました。
すぐ横が河原の草むらになっています。

私が近寄っても3匹は全く動きません。
中央の大型の個体が♀で、その両側に♂が並んでいます。
腹端の交尾器が翅に隠れてよく見えないのですが、どうやら左側の♂Lと♀が交尾中でした。
クルマバッタモドキの交尾シーンは初見です。
それにしても、♀をめぐって2匹の♂同士が争わないのが不思議です。
もしクルマバッタモドキ♀が複数回交尾するとしたら、♂Rは順番待ちしているのでしょうか?
隙を見て♀と交尾するスニーカー戦略なのかな?
バッタの交尾は♂が♀の背中にマウントして行なうと思ったのですが、どうしてこの♀♂Lペアは横に寄り添っているのでしょう?



▼関連記事
コバネイナゴの交尾
褐色型トノサマバッタ♂♀の交尾

お邪魔虫♂Rが登場したせいで変則的な体位になったのでしょうか?


(クルマバッタモドキの)オスはメスを見つけるとすぐには背に乗らず、まずメスの機嫌を伺うようにしながら前羽を後ろ足でこすり発音し、メスがそのまま逃げなければ背に飛び乗ることが出来る。交尾する気がないメスは飛んでオスから逃げてしまう。背に乗ってからもしばらくはメスの機嫌を伺い続け、メスに気に入ってもらえた時点でやっと交尾が成立する。オスは腹部をS字状に曲げてメスの腹の先を掴み、交尾が行われる。 (wikipediaより引用)

この3匹を後方から観察すると、ちょっと面白い行動が見られました。
♂が♀に近い側の後脚を動かして発音しているようなのですが、風切り音のせいで私には鳴き声が聞き取れませんでした。
♀への求愛なのか、それともライバル♂への牽制なのかな?
♂Lは左後脚を欠損しているので、解釈に注意が必要です。

私が右足の靴をそっと近づけると、右側の♂Rが真っ先に逃げ出しました。
触っていないのに警戒し、跳んで逃げました。
その瞬間を240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@1:23〜1:57)
一方、交尾中の♀♂Lカップルは靴で軽く触れても無反応でした。
更に指で♂Lに触れて♀♂逆向きにしても逃げませんでした。
しつこく触れると、ようやく跳んで逃げました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、触れられた♂Lが先に跳んで逃げ、続いて♀も跳びました。

時間に余裕があれば♀♂カップルの邪魔せずに交尾を最後まで見届けたかったのですが、先を急ぐ別の用事があったので、雑な撮影になってしまいました。
色々と手出しをしたのは、現場では日差しが強くて影になってしまう上に、長い翅に隠れて交尾器の結合の有無が最後までよく分からなかったからです。


クルマバッタモドキ♀1♂2背側@路上+交尾
クルマバッタモドキ♀1♂2側面@路上+交尾
クルマバッタモドキ♀♂背側@路上+交尾


2020/02/05

ミカドトックリバチ♀♂の交尾



2019年9月中旬・午後12:50頃

公園に植栽されたムクゲ(白八重の品種)の葉に乗ってミカドトックリバチ♀♂(Eumenes micado)が交尾していました。
やや小柄な雄蜂♂が♀の背後からマウントしています。
互いの腹部は交差しているものの、腹端の交尾器は結合していません。(未交尾状態)
少し離れた位置から撮っている私を警戒しているのか、なぜか進展がありません。

交尾中はミカドトックリバチの♀♂を同時に観察できる絶好の機会です。
よく見比べると、まず黄色い頭楯の形に明らかな性差がありました。
下に居る♀の頭楯は、メルセデス・ベンツのエンブレムのような、三菱のマークのような形状をしています。
一方、上に居る♂の頭楯は面積が広く形も複雑です。
♂は触角の先端が鈎状に曲がっていて茶色、触角第1節目(根元)の前面が黄色でした。
こうした性差は、今後フィールドで単独個体を撮影した際に性別を見分けるための手がかりとなりそうです。

(黄紋にはもちろん個体差があるかもしれません。)
図鑑を見ても雌雄の見分け方が記述されていないことが多いので、自分で調べるしかありません。


参考サイト:平群庵昆虫写真館「ミカドトックリバチ(2)

側面からも撮ろうとこっそり回り込んだのですが、手前に生えたムクゲの葉に隠れて体の黄斑がよく見えません。
ようやく♂が腹部を長く伸ばして♀の腹端に絡みつき始めました。
ところが♀は葉上で落ち着きなく向きを変えると、♂を背負ったまま飛び立ちました。
♀は交尾拒否しているのでしょうか?
飛び立つ瞬間を1/5倍速でスロー再生してみると、♀が主導権を握って先に羽ばたき始め、少し遅れて♂も羽ばたいていました。
どこに飛び去ったのか見失ってしまい、残念ながら交尾を最後まで見届けられませんでした。


ミカドトックリバチ♀♂@ムクゲ葉+交尾

ミカドトックリバチ♀♂:顔@ムクゲ葉+交尾
ムクゲ花(白八重)
ムクゲ花(白八重)・全景
ムクゲ(白八重)幹+葉

2020/02/04

ミヤマアカネ♀♂の交尾



2019年9月中旬・午前11:10頃

交尾中のミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)が川沿いのコンクリート護岸の斜面に止まっていました。
私が近づこうとすると警戒し、尾繋がりのまま少し飛んで移動しました。
(冒頭は飛翔シーンの1/5倍速スローモーション。)
交尾ペアは更に少し飛んで移動すると、水際に生えた垂直に伸びた枯れ茎に止まり直しました。

♀は腹端を♂の副性器に結合していて、2匹はトンボに特有のハート型の交尾姿勢になっています。(※追記参照)
♀は全体重を♂に預けていて、6本足で♂の腹部にしがみ付いています。
♂は交尾中も頭部をグリグリ動かして周囲を油断なく見回していました。

背後に見える小川には小魚の群れが泳いでいました。


※【追記】
昆虫学者はこれを環状交尾態と呼ぶ。
(『虫たちの謎めく生態:女性ナチュラリストによる新昆虫学』第10章:トンボのタンデム飛行は恋のさやあて p215より引用)



ミヤマアカネ♀♂:側面@交尾:枯茎
ミヤマアカネ♀♂:背面@交尾:枯茎
ミヤマアカネ♀♂@交尾:枯茎・全景

2020/01/25

エンジュに訪花中のクマバチ♀に誤認求愛するオオハキリバチ♂



2019年8月中旬・午後13:05

公園にそびえ立つエンジュ大木の梢でキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。(性別不明)

その横をオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が高速で通り過ぎました。
交尾相手を探しているようです(探雌飛翔)。
吸蜜中のクマバチの背後から再びオオハキリバチ♂が飛来しました。
オオハキリバチ♂はホバリング(停空飛翔)で狙いを定めると、クマバチの背後から勢い良く飛びつきました。
そのまま2匹ともエンジュの花から転がり落ちました。
オオハキリバチ♂は空中でクマバチをすぐ離したので、解放されたクマバチはすぐに花へ戻って来ました。

探餌飛翔中のオオハキリバチ♂が焦ってクマバチを同種の♀と誤認して求愛したのでしょう。
反射的にしがみついたものの、すぐに誤りに気づいて離したようです。
それとも、蜜源の縄張りから他種のハナバチ類を追い払う占有行動という可能性はどうでしょうか?
それならエンジュの花に戻って来たクマバチにオオハキリバチ♂が執拗に攻撃を繰り返すはずです。

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。


クマバチ@エンジュ訪花vsオオハキリバチ♂@誤認求愛

2020/01/21

連結打空産卵するノシメトンボ♀♂ペアとあぶれ♂の小競り合い【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:40頃


▼前回の記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

雨上がりで湿ったスギゴケ群落で連結打空産卵しているノシメトンボSympetrum infuscatum)の♀♂ペアを撮影していると、あぶれ♂(独身♂)がときどき飛来してちょっかいをかけます。
しかし、それほど激しい縄張り争いや♀の強奪は起こりませんでした。
連結ペア♀♂は華麗に身をかわすと、少し場所を変えるだけで平然と産卵を続けています。
同様のシーンは240-fpsのハイスピード動画でも捉えられていました。(@0:40〜)

♂は♀の首根っこを掴んでしまえば、ライバル♂に奪われる心配は無いのでしょう。
交尾後も連結態で産卵する種類のトンボは、♂が♀を交尾後ガードしているのです。
(♀が単独で産卵する間、♂が少し離れたところで見守り警護する種類のトンボもいます。)

ノシメトンボのあぶれ♂は疎らに生えた背の高い草のてっぺんに止まって周囲を見張っているようです。
縄張りへの領空侵犯があるとすかさずスクランブル発進して追い払いに来るのでしょう。
次回はあぶれ♂の行動に注目して撮影してみるつもりです。

それにしても、湿った苔に産み付けられた卵から孵化してもヤゴが育つのか、呼吸可能なのか、心配になります。
もっと水量が多くないとこんなコケ群落に産卵しても無駄死にではないか?と思ってしまいます。
卵の捕食者は水中よりも苔群落の方が少なくて安全なのでしょう。
トンボについて未だ色々と勉強不足なので、ヤゴの飼育をしてみたいものです。


2020/01/17

交尾相手を足蹴にするエサキモンキツノカメムシ



2019年8月下旬・午前10:15頃

川沿いに生えたヌルデの葉に乗って交尾中のエサキモンキツノカメムシ♀♂(Sastragala esakii)を見つけました。
下側に居る大型の個体がおそらく♀なのでしょう。
その♀が後脚で相手の腹端を蹴るような(擦っている?)謎の動作を繰り返していました。
この♂とはもう別れたくて交尾器の結合部を引き抜こうとしているのでしょうか?
それなら♀は嫌がって♂を引きずるように歩き回っても良さそうなものです。
ところがしばらくすると、♀も動かなくなりました。
その間、上側に居る♂はひたすら静止しています。

エサキモンキツノカメムシのトレードマークとなっている胸部小楯板のハートマークは、上の♂が黄色で下の♀が白色でした。


▼関連記事(12年前の撮影)
エサキモンキツノカメムシの交尾


エサキモンキツノカメムシ♀♂@ヌルデ葉+交尾
エサキモンキツノカメムシ♀♂@ヌルデ葉+交尾。左上で別個体が訪花中

2020/01/16

川辺りで激しく縄張り争いするハグロトンボ♂



2019年8月下旬・午前10:05頃

平地を流れる川の支流(正式用語は「側方流」?)で多数のハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が激しい空中戦を繰り広げていました。
メタリック・グリーンに輝く長い腹部が♂の特徴です。(♀は黒色)
あまりにも激しく飛び回るので、途中で見失ってしまうことも多く、流し撮りに苦労しました。

2匹の♂同士が空中で争ったり相手を追い回したりして縄張りの端に来ると、今度は隣の縄張りの主♂が参戦し、三つ巴の争いになります。
止まった場所を中心とした縄張りにライバル♂が領空侵犯すると直ちにスクランブル発進し、縄張り争いの連鎖反応が目まぐるしく繰り広げられます。

激しい縄張り争いに疲れたのか、川岸に生えたタニウツギ灌木の葉に3匹の♂が止まりました。
休戦状態でも漆黒の翅を素早く開閉して誇示しています。
強く反り返った腹端を持ち上げるのも威嚇誇示なのかな?(腹端下面が白いことに注目:後述)

図鑑『日本のトンボ』p47によると、

(ハグロトンボの)成熟♂は日中、川辺の植物や石に静止して縄張り占有する。気温の高い日には、時おり翅をパッと開く
今回は気温を測り忘れました。

1匹の♂が川岸のヨシの葉に止まっていると、隣の縄張りから飛来しました。
するとヨシの葉の上に止まったまま腹端を高々と持ち上げ、黒い翅を羽ばたかせました。
これは侵入したライバル♂に対する威嚇誇示なのでしょう。
その傍で侵入♂は挑発的にホバリング(停空飛翔)します。
すると縄張りの主は堪らずヨシの葉から飛び立ち、追いかけっこが始まりました。
近くに居たもう一匹の♂も参戦し、狂乱状態になります。
あちこちで争いの連鎖が勃発するので、どこにカメラを向けたら良いのか目移りしてしまいます。

ハグロトンボ♂の空中戦を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:40〜)
清流の水面に映る影の羽ばたきも美しいですね。
2匹の♂が羽ばたきながら空中でかなり接近し、互いに向き合いつつ一瞬ホバリングしていました。
一方が逃げ出すと他方が追いかけます。
一体どうやって勝敗が決まるのか、私には分かりませんでした。

コンクリートのブロックで護岸された水際では2匹のハグロトンボ♀が並んで休んでいました。(@4:05)
ハグロトンボ♀は腹部も含めて全身が真っ黒です。
左の♀個体が翅を閉じたまま静止している間、右の♀個体は真っ黒な翅をパッパっと開閉してアピールしています(誇示行動)。
翅に偽縁紋が無いので、アオハダトンボ♀ではありません。
産卵中の♀は見ていません。
この小川には小魚の群れが泳いでいるので、もしハグロトンボ♀が水中に産卵したら、ほとんど魚に捕食されてしまうでしょう。
だからハグロトンボ♀は植物の組織内に産卵するのでしょう。
♂は縄張り争いに明け暮れるばかりで、近くに居る♀と交尾しようとしないのは、とても不思議でした。
おそらくこの辺りは最強の♂の縄張りで、♀を囲ってがっちり警護しているのかもしれませんが、私は見落としました。


ハグロトンボ♂を片端から捕獲して個体識別のマーキングを施してから放ち、縄張り争いを長時間観察したら面白そうです。
目立つ色で翅にペイントしてしまうと、ハグロトンボの行動(種の認識)に悪影響を及ぼしてしまうかな?
(胴体にペイントしたら大丈夫?)

人工的な色を塗るのではなく翅に小さな切れ込みを入れて個体標識するという手もあります。

今回はてっきりハグロトンボ♂だと思い込み、撮影しただけで採集していません。
しかし映像を見直すと、本当にハグロトンボ♂なのか、気になる点がありました。
葉に止まったときなど、上に反り返った腹端の下面(腹面)が白い個体が居ました。
これはアオハダトンボ♂(Calopteryx japonica)の特徴です。
ここには2種のトンボが混棲しているのでしょうか?
しかし図鑑『日本のトンボ』によれば、アオハダトンボは準絶滅危惧種NTらしく、山形県南部に分布するという記録は無いようです。
今回同じ水域で見かけた♀は間違いなくハグロトンボでした。
撮影した8月下旬はアオハダトンボ成虫の出現期(6〜7月)にしては遅く、ハグロトンボ成虫の出現期(7〜8月)に合致しています。

この同属2種は出現期をずらして棲み分けをしているのでしょう。
今回は強い日差しが反射した結果、ハグロトンボ♂の腹端が白く見えただけ、という可能性もありそうです。(苦しい言い訳?)
来季は念の為にトンボを採集してしっかり同定するつもりですが、秋の台風で川がひどく増水したので棲息環境が破壊されてしまったかもしれません。
川底から湧き水が出て、年間を通して水温が安定していることがハグロトンボのヤゴの生育に必要なのだとか。(参考:月刊かがくのとも2014年6月号・吉谷昭憲『はぐろとんぼ』)



ハグロトンボ♂@タニウツギ葉+翅開閉誇示
ハグロトンボ♂2@タニウツギ葉+翅開閉誇示(左の個体は上に曲げている腹端腹面が白いのでアオハダトンボ♂かも?!)
ハグロトンボ♀2@小川岸+翅開閉誇示

2020/01/12

ジャノメチョウ♀♂の求愛飛翔



2019年8月下旬・午前11:40

雑草の生い茂った土手からジャノメチョウMinois dryas bipunctata)が飛び立つと、別個体を追いかけたり互いにもつれ合うように激しい乱舞を始めました。
しかし2頭はすぐに別れ、土手を飛び越えて姿を消しました。
♂同士の縄張り争い、それとも♀♂ペアによる求愛飛翔のどちらでしょうか?

1/5倍速のスローモーションで再生してみると、1頭の後翅裏面に目立つ白帯があるので♀、他方が♂のようです。(図鑑によれば例外もあるようですが、今回は難しく考えないようにします。)
ハイスピード動画に切り替える間もなく、逃げられてしまいました。


ジャノメチョウ2@求愛飛翔・乱舞

2020/01/10

コミスジの求愛飛翔?



2019年8月下旬・午後12:37

河畔林の横に開けた日当たりの良い草地でコミスジNeptis sappho)と思しき2頭の蝶が乱舞のように激しく飛び回っていました。
翅には白黒の模様があり、羽ばたくテンポが遅い独特の飛翔です。
この日は日差しが強くて、動画では翅の色が白飛びしてしまい、肝心の蝶にピントが合っていません。

(コミスジは)パタパタと数回羽ばたき、数秒ほど翅を水平に開いて滑空する特徴的な飛び方をする。(wikipediaより引用)

この広場はカナムグラという蔓植物の群落で一面が覆われていました。
カナムグラはキタテハ幼虫の食草として知られますが、コミスジには関係ありません。
コミスジの幼虫は、クズ、ハギ、フジ、ニセアカシアなどのマメ科植物を食べて育つのだそうです。

飛び回る2頭の性別を見分けられないので定かではありませんが、なんとなく♂同士の縄張り争いではなく、♂が♀を交尾に誘う求愛飛翔だと思います。
いずれ着陸・静止した際に同定用の写真を撮るつもりでしたが、残念ながら飛び去って見失いました。

2頭の乱舞を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:03〜)


コミスジ?2@飛翔乱舞
コミスジ?2@飛翔乱舞

2020/01/04

連結打空産卵中にほとんど羽ばたかないノシメトンボ♀の事例【ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:46


▼前回の記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

湿地帯のスギゴケ上空で連結打水産卵するノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)を240-fpsのハイスピード動画で撮っていたら、興味深いカップルがいました。

♀がほとんど羽ばたいていないのです。
良く言えば省エネ飛行と言えるかもしれません。
しかし♂の負担が増しているはずです。
♀のやる気が無いのか、早くこの♂と別れたくて(ペアを解消したい)サボタージュしているのでしょうか?
それとも産む卵が体内に残っていないのかな? 

ところが、スローモーション映像をじっくり見直すと、♀の腹端から白い卵がひと粒ずつ正常に投下されていました。
このノシメトンボ♀は、疲労や空腹で弱っている個体なのかもしれません。


つづく→連結打空産卵するノシメトンボ♀♂ペアとあぶれ♂の小競り合い【HD動画&ハイスピード動画】


電線で2羽のキジバト♀に続けて求愛して振られる♂



2019年8月下旬・午後11:55頃

川の堤防沿いの工場地帯で3羽のキジバトStreptopelia orientalis)が電線に止まっていました。
初めは同じ電線に左から順に♀β、♀α、♂が並んでいました。
(キジバトは雌雄同色ですが、この後に繰り広げる行動から性別を推定しました。)
右端の♂が鳩胸を膨らませ、左隣の♀αにお辞儀を繰り返しています。(求愛誇示行動)
しかし♀αは♂を見向きもしないで、♂から離れようと電線上を少しずつ歩いています。
♂は首を曲げて自分で羽繕いしました。
これも♀αへのアピールなのかな?

脈が無いと悟った♂は諦めて電線から飛び立つと、少し離れた♀βのところへ移動しました。
ところが♂が節操無く次の♀に求愛する前に、嫌がる♀βは飛んで逃げてしまいました。
♂はしつこく♀βを追いかけて飛び立ったものの、思い直したように引き返し、細長いアンテナに止まりました。
空中ですれ違ったスズメに気を取られたのかもしれません。

電線には先程の♀αが未だ居残っています。
せっかく両手に花のミニ・ハーレム状態だったのに、なんとも求愛の下手糞なキジバト♂でした。
(そりゃ♀に振られるわなー。)



※ 逆光気味なので、動画編集時に彩度を上げました。
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。



▼関連記事
キジバト♀♂の求愛拒否(野鳥)
堤防で求愛・採食するキジバトの♀♂ペア(野鳥)
キジバト(野鳥)の交尾と三角関係 (今回とは異なり♂2♀1の3羽)


キジバト♀♂@電線+求愛誇示

2019/12/27

スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月下旬・午前10:45頃・晴れ

河川敷の一角に苔の大群落が広がっていて、そこでノシメトンボ♀♂(Sympetrum infuscatum)の連結ペアが多数集まり、低く飛びながら産卵していました。

前日の晩に久しぶりの雨が降ったのに、河川敷に水溜まりはできていませんでした。
連日の酷暑で、よほど地面が乾いていたのでしょう。
私は苔について勉強不足なのですが、ノシメトンボが卵を産んでいたのはスギゴケですかね?
もし間違っていたらご指摘願います。
ふわふわしたコケの表面に触れてみたら、それほど湿り気を感じませんでした。
この日の天気は秋晴れで(秋の空)、風も適度に吹いて過ごしやすい撮影日和でした。

240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:10〜)
スローモーションを見て分かったのですが、♀が腹端で苔の表面を打つ産卵法ではありませんでした。
空中で♀が腹端から白い卵をパラパラと放出していました。
ノシメトンボの産卵法は、連結打空産卵です。


打空産卵:Non-contact flying oviposition
例:ナツアカネ

生殖弁による産卵のなかには空中で腹端を振るだけで産卵する「打空産卵」も行われています。その多くは水面上ではなく、岸近くの草原や湿原の上で行う産卵です。卵はやがて雨で流されて徐々に水中に達して孵化します。(『トンボのすべて』p85より引用)



ノシメトンボの産卵法について保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)という50年前の古い図鑑で調べると、

 一般的には開放的な水面に♂♀が連なって産卵するが、時として池畔の雑草の上などにも、水面ですると同じように尾端を打って産卵行動をすることが観察されている。(p185より引用)
…と明らかに間違った記述(連結打水産卵)でした。


最新のトンボ図鑑では打空産卵が定説になっています。

誰がいつ真相に気づいたのか? どうやって定説を覆し学会を説得したのか? という科学史に私は興味があります。
産卵中に決定的瞬間の証拠写真が偶然撮れたのですかね?
1枚の写真だけでは白い点のような卵が空中に写っていても、にわかには信じてもらえない気がします。
その点、素人でもハイスピード動画が手軽に撮れるようになった現代では一目瞭然で、説得力がまるで違います。(百聞は一見に如かず)
それとも、ノシメトンボ♀の産卵弁の構造を解剖学的に検討すれば打水産卵ではなく打空産卵と正しく推測できるのでしょうか?


過去に私がノシメトンボの産卵を観察したのは全て田んぼの稲穂の上でした。
秋の田んぼは水が抜かれていて、まるで湿地のようです。
本種は水のある場所には産卵しないとのことで、納得しました。

▼関連記事
ノシメトンボの連結打空産卵 (5年前の撮影@田んぼの稲穂の上)
ノシメトンボ♀♂の交尾と連結打空産卵 (3年前の撮影@田んぼの稲穂の上)


つづく→連結打空産卵中にほとんど羽ばたかないノシメトンボ♀の事例【ハイスピード動画】



【追記】
一年後に同じ河川敷の少し離れた別の場所で、ノシメトンボが変わった産卵法をしていました。


50年以上前の古い図鑑『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)の記述が間違っていないことが分かりました。
時として池畔の雑草の上などにも、水面ですると同じように尾端を打って産卵行動をする
普通種のトンボでも、行動を見ていくと一筋縄ではいかず奥が深いです。

ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
ノシメトンボ♀♂@連結打空産卵:スギゴケ?+飛翔
スギゴケ?
スギゴケ?
スギゴケ?群落@河川敷・全景
スギゴケ?群落@河川敷・全景
スギゴケ?群落@河川敷・全景


2019/12/17

夏の川で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥)



2019年8月中旬・午後15:12

橋の欄干から私が下の川を覗き込むと、川面に居たカルガモAnas zonorhyncha)の小群(計3羽)が警戒して下流へ逃げて行きました。
(映像はここから)

2羽のカルガモが浅い川で水浴びしています。
その2羽が急に川面で正面衝突し、頭突きで押し合いを始めました。
初めは右の個体が優勢に押していたのに、それを左の個体が上手くいなして右の個体の背後に回り込み、交尾のようにマウンティングしました。
2羽はすぐに別れ、各々が水浴して身を清めています。
その後は下流に向かって川面を泳ぎ去りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

カルガモのこんな行動を見るのは初めてで、この夏のバードウォッチングで最も興味深い一件でした。
外見でカルガモの性別を見分けられないのが残念です。
カルガモの繁殖期は確か冬なので、真夏に交尾するはずはありません。
群れ内の上下関係を決める優劣行動(喧嘩・闘争)なのでしょうか?
猛暑で苛ついていただけかもしれません。

ネットで検索してみると、鳥に疑似交尾という行動があると知りました。

参考サイト:(いずれも冬の観察記録)
擬似交尾をするカルガモ
カルガモの擬似交尾

今回の2羽は求愛行動(ヘッドトッシング)を全くせずに、いきなり頭突きからのマウンティングをしたので、おそらく疑似交尾ではなくて喧嘩だろうと考えています。

▼関連記事(前年の12月に撮影)
池の水面で求愛・交尾するカルガモ♀♂【冬の野鳥】


【参考】:
八木力『冬鳥の行動記 Ethology of Wild Ducks』
闘争@p50-53、求愛行動@p54-57、交尾@p58-59



▼関連記事(同年の秋に撮影)
池で頭突きの喧嘩をするカルガモ(野鳥)

カルガモ2(野鳥)@川面+頭突き押し合い
カルガモ2(野鳥)@川面+頭突き押し合い
カルガモ2(野鳥)@川面+疑似交尾?

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