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2019/12/15

交尾中のオオヒラタシデムシ♂が♀の触角を噛んで引っ張る性癖について



2019年8月中旬・午後15:45頃

河畔林の横の砂利道で交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂(Necrophila japonica)が2ペアも居ました。
独身の(あぶれた)個体eが交尾中のペアcに近づいたので、♀の奪い合いが起こるかと期待したのですが、熱愛カップルの邪魔をしたり配偶者を奪ったりせずに慌てて逃げ出しました。
この独身個体eは♀なのかな?(私は外見によるオオヒラタシデムシの性別判定法を知りません。)

オオヒラタシデムシ♂は♀の背後からマウントし、交尾器を結合しています。

▼関連記事(5年前の撮影)
交尾中のオオヒラタシデムシ♂は♀の触角を噛む性癖がある

その場に残った交尾中の♀♂cペアに注目すると、♂は♀の左触角を咥えて引っ張っていました。
一方、その後方で交尾している別の♀♂dペアの♂は、♀の右触角を噛んで♀を保定していました。
交尾中の♂が♀の左右どちらの触角を噛むのか、特に決まりは無くてランダムなようです。
♂は甘噛みしているだけだと思いますが、交尾中に何かのはずみでうっかり♀の触角を噛み切ってしまう事故が起こらないのか、他人事ながら心配になります。

もしかすると、♂の大顎には♀の触角を噛み切らないようにする解剖学的な仕組みがあれば、面白いですね。
例えば♂の大顎は皮むきニッパーの刃先のようになっていて、♀の触角を噛んだときに挟んで収める凹みがあったりするのかもしれません。
♀♂が出会って交尾を始めるところから観察してみたいものです。
♂に触角を咬まれて引っ張られた途端に♀はおとなしく交尾を受け入れる体勢になるのでしょうか?
今回撮影した♀cは交尾中おとなしくしていたのに対して、♀dは交尾中も落ち着き無く動き回るじゃじゃ馬娘でした。

もし実験的に♀の触角を両方切ってしまうと、♂と交尾できなくなるのですかね?
だとすると、♂は交尾後の♀に浮気防止の貞操帯を付ける代わりに、別れ際に♀の触角を噛み切ってしまう戦略を採るかもしれない…と妄想を逞しくしました。
興味深いことに、♂cの左触角が欠損していました。
これは♂同士が喧嘩した結果なのでしょうか?
もし実験的に♂の触角を両方切ってしまうと、♀の性フェロモンを感知できなくなりそうな気がします。
したがって、♀をめぐる闘争でライバル♂の触角を噛み切るのは、有効な繁殖戦略かもしれません。

実はすぐ近くで別の♀♂ペアaも交尾していました。


つづく→交尾中のオオヒラタシデムシ♀♂が別れるまで



オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂d@交尾macro:左触角噛み
オオヒラタシデムシ♀♂c@交尾macro:右触角噛み

エンジュの花で採餌中のオオハキリバチ♀に飛びついて交尾を迫る雄蜂♂



2019年8月上旬・午後16:00

民家の裏庭で満開に咲いたエンジュの蝶形花で採餌するオオハキリバチ♀(Megachile sculpturalis)を撮っていると、面白いシーンが撮れました。
この♀は腹部下面のスコパに黄色い花粉を満載しています。

訪花中の♀に背後から♂がいきなり飛びつき、2匹は一緒に落下しました。
オオハキリバチには儀式的な求愛行動は無く、いきなり♀を捕まえて交尾を試みるようです。
しかし♀が交尾拒否したのか、♂はすぐに諦めて飛び去りました。
顔色が白い雄蜂♂が最後に写っています。
偶然撮れた一瞬の出来事なので、1/5倍速のスローモーションでまずはご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。

花盛りのエンジュの木ではオオハキリバチ♀が採餌活動に勤しむ間、多数の雄蜂♂が交尾相手を血眼になって探しつつ飛び回っています(探雌飛翔)。
既に交尾を済ませて採餌活動に専念している♀にとって♂はセクハラを繰り返し仕事の邪魔をする存在(お邪魔虫)でしかありません。


【参考図書】
佐々木陽一『オオハキリバチの交尾戦略―♂はどのようにして♀を獲得するか』(『無名のものたちの世界III』p40-70に掲載された総説)

オオハキリバチは雄性先熟です。
先に羽化した♂は、遅れて羽化してくる♀といち早く交尾するために巣の近くでひたすら待ち伏せ、♂同士が争うのだそうです。
処女♀をめぐる♂同士の闘争において大型の個体が有利ということが既に分かっています。
この先は私しぐまの想像ですが、あぶれた小型の♂は巣の近くでは勝ち目が無いので、♀が採餌する花の周囲で待ち伏せて、少ないながらも♀と交尾するチャンスに賭けているのかもしれません。
あるいは、このエンジュの大木のどこかに小さな樹洞があって、そこにオオハキリバチの巣があるという可能性も考えられます。




2019/12/03

クズの花で吸蜜中にクズハキリバチ♀が交尾拒否姿勢?【HD動画&ハイスピード動画】



2019年8月上旬・午後

川辺りに蔓延るクズの群落でクズハキリバチ♀(Megachile pseudomonticola)が訪花していました。
とある花穂の周りをぐるぐる回りながら次々に吸蜜しています。
顔が黒く、腹端が尖っているのが♀の特徴です。
腹部下面のスコパ(花粉刷毛)は見えませんでした。

クズハキリバチにとってクズは巣材(葉)だけでなく食料源(花蜜および花粉)でもあり、密接な共生関係にあります。
クズの側にとってもクズハキリバチは重要な送粉者ですから、報酬に花蜜や葉片を提供しています。

正当訪花で吸蜜するクズハキリバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:24〜)
今度は薄い黄色の花粉を付けているスコパが見えました。
吸蜜し終わると少しホバリング(停飛・停空飛翔)してから隣の花に着地します。

そこへ左から顔の白い雄蜂♂が飛来しました。
血眼になって交尾相手を探している探雌飛翔のはずなのに、訪花中の♀になぜか気づかずに通り過ぎました。
(♂はクズハキリバチではない可能性もありますが、たとえ別種でも探雌飛翔中の♂はとりあえず手あたり次第に飛びつくはずです。)
すると吸蜜中の♀は背筋を使って腹部を高々と持ち上げ、海老反り姿勢になりました。
同時に左右の後脚も後ろに突き出しました。
これは交尾拒否のポーズなのかな?
羽化直後に交尾を済ませた♀は、忙しい採餌活動を♂に邪魔(干渉)されたくないのでしょう。
今回は接近する羽音に気づくや否や、セクハラ対策で交尾拒否の姿勢になったと思われます。
ただし、♂の有無に関わらず海老反り姿勢は訪花中によく見られるので、ハキリバチ類の単なる癖なのかもしれません。
例えば、「海老反り姿勢になると舌が長く伸びて花の蜜腺に届くようになる」などの解剖学的な理由がある可能性も考えられます。
次はクズハキリバチ♂が♀に飛びつく瞬間を動画に記録できれば、この問題は解決するはずです。


クズハキリバチ♀@クズ訪花採餌

2019/12/01

ニホンザル♀がクリ樹上で自慰行為



2019年7月下旬・午前6:50〜6:55

山麓林縁のクリ(栗)樹上で若いニホンザル♀(Macaca fuscata fuscata)が横枝に横たわっていました。
体を掻いたり欠伸したりと非常にくつろいでいます。
左手で股間を掻いているのは自慰行為でしょうか?(@0:29)
それともデリケートゾーンが痒くて掻いていただけかな?
私をチラチラ見下ろしているものの、羞恥心や罪悪感とは全く無縁です。

その後は寝転んだまま暇潰しに樹皮を引っ掻いていましたが、採食というほど本気ではありません。
(食べ物の少ない冬になるとニホンザルは樹皮をかじって食べます。)

しばらくすると起き上がり、クリの枝に座っていました。
私を不思議そうに見下ろしながら頻りに体を掻いています。
このとき股間に陰核(クリトリス)が一瞬見えたので♀と確定しました。
睾丸はありません。


さて、野生ニホンザルの自慰行為は報告されているのでしょうか?
ネットで検索してみても、意外に情報は少ないようです。
『ニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告』という論文がヒットしました。
2008年にニホンザルの研究者約40人にとったアンケート調査の中で、稀にしか見られない性行動として

7. ♂のマスターベーション(ペニスいじり)
8. ♀のマスターベーション(クリトリスいじり)
という質問項目が含まれていました。
これを尋ねるということは、野生ニホンザルの自慰は研究者でもなかなか見られない行動のようです。
これをまとめた結果が2011年に報告されており、全文PDFが無料公開されていました。

中川尚史; 中道正之; 山田一憲. ニホンザルにおける稀にしか見られない行動に関するアンケート調査結果報告. 霊長類研究, 2011, 27.2: 111-125.
少し長くなりますが、♀の自慰行為に関する部分を引用します。

メスのマスターベーション(クリトリスいじり)は,嵐山,勝山,高崎山で合計 6名が観察していたが,純野生個体群からは屋久島の1名のみであった。その結果,餌付け個体群と純野生個体群の観察頻度の差が 50%を超えたが,餌付けと関連する理由が見当たらない。「雌がその生殖器を何かにこすりつける」マスターベーションは,古くから地獄谷で記載があるが(Enomoto, 1974),調査票には「クリトリスいじり」というかなり限定した定義を併記してしまった。限定したのは,雌間のマウンティング時にみられる自身の生殖器を自身の尾や相手の背中,さらには相手の生殖器にこすりつける行動(Vasey & Duckworth,2006)とは区別して,明らかなマスターベーションだけを抽出したかったためであったが,回答者により従来の定義と限定的な定義のどちらに基づいて解答するかが一致せず,今回たまたま限定的な定義に基づく回答者が純野生群の研究者に多かったせいかもしれない。
私が観察したのは餌付け群ではなく、純野生群です。
じっくり時間をかけて群れに近づき、何時間もついて歩いたら、自然な行動を色々と見せてくれてラッキーでした。



ニホンザル♀@クリ樹上+右横臥休息
ニホンザル♀@クリ樹上+体掻き

2019/11/25

アカメガシワ雌花の周囲で群飛するオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年7月下旬

民家の裏庭に植栽されたアカメガシワの雌株に多数のオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が集まっていました。
雌花に訪花して吸蜜しています。

雄蜂♂の群飛(♂による探雌飛翔)の様子を引きの絵で、240-fpsのハイスピード動画で撮ってみました。(@0:36〜)

オオハキリバチ♂に比べて♀が圧倒的に少ないのは、なぜでしょう?
オオハキリバチは雄性先熟ですから、この時期は未だ羽化した成虫♀個体数が♂に比べて少ないのかもしれません。
それとも、採餌・貯食活動に励む♀は花粉を出さない雌花があまり好きではなくて、雄花が咲いている雄株の方に行っているのでしょうか?
もしかするとアカメガシワの樹上に小さな樹洞が幾つか開いていて、その巣からこれから羽化してくるオオハキリバチ♀を多数の♂が待機している可能性もありそうです。

クマバチも少数ながら来ていました。

▼関連記事(同じ日に撮影)
アカメガシワで訪花中のクマバチに誤認求愛するオオハキリバチ♂

余談ですが、この日もアカメガシワに訪花するミツバチを見かけなかったのが不思議でした。(花粉の無い雌花は敬遠される?)
今季はミツバチの個体数が激減しているのではないかと非常に気がかりです。




オオハキリバチ♂2@アカメガシワ訪花吸蜜
オオハキリバチ♂@アカメガシワ訪花吸蜜

2019/11/14

アカメガシワで訪花中のクマバチに誤認求愛するオオハキリバチ♂



2019年7月下旬

民家の裏庭に植栽されたアカメガシワの雌株で花が咲くと、花蜜目当てに今年も多数のハナバチが集まって来ていました。
雌花には雄蕊がありませんから、ハナバチは花粉を集めることはできません。

▼関連記事(丁度1年前の撮影)
アカメガシワ雌株の花蜜を吸いに集まるクマバチ♀

おそらく♀と思われるキムネクマバチXylocopa appendiculata circumvolans)がアカメガシワの雌花で吸蜜して回るシーンを動画に撮っていると、その周囲ではクマバチより遥かに多数のオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)がブンブン飛び回っていました。
顔が白く腹端が丸いのがオオハキリバチ雄蜂♂の特徴です。

訪花中のクマバチに背後からオオハキリバチ♂が続けざまにぶつかってきました。
オオハキリバチ♂同士でも空中で出会い頭にごっつんこしています。
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。

この時期は花が咲いた様々な樹木の周囲でオオハキリバチ♂の群飛をよく見かけます。
頻繁に♂同士がぶつかり合ったり別種のハナバチにぶつかったりする行動を観察する度に、私は一貫して「焦りから来る誤認求愛」だろうと勝手に解釈してきました。

▼関連記事
キササゲの花で探雌飛翔し♂同士で誤認求愛するオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】

古い本ですが『無名のものたちの世界III:エソロジカル・エッセイ』(1980)p40〜p70に収録された佐々木陽一『オオハキリバチの交尾戦略―♂はどのようにして♀を獲得するか』という総説を久しぶりに読み直すと、その解釈への自信が揺らいできました。
筆者はオオハキリバチに巣箱を用意してやり、その周囲で繰り広げられる配偶行動およびそれに先立つ♂間の激しい闘争を個体識別して克明に調べ上げています。
ビデオやハイスピードカメラも無い時代になされた見事な研究成果です。
オオハキリバチ♀は羽化の直後に一度しか交尾しないらしく、♂は気が立っていて喧嘩っ早いようです。
オオハキリバチは♂が♀よりも先に羽化する雄性先熟なので、これから羽化する♀の巣穴を見つけるとその横で♂が何日間も待ち伏せするのだそうです。
♀が羽化して来るまでその待機場所を巡って♂同士が激しく争い、勝負は体格で決まるのだそうです。(大型の個体が圧倒的に有利)
それなのに戦っても勝ち目のない小型の♂個体の方が数が多いのは何故か?という謎を筆者は考察しています。
動物行動学をかじっていれば、小型♂はスニーカー戦略を採るのではないかと私でも予想できます。
しかし筆者は巣箱の周囲で小型♂による特別なスニーカー戦略(♀の横取り)を見ていないようです。

更に少し意地悪なことを言うと、自然界では有り得ないほど密集した巣箱周辺で観察したハキリバチの行動は不自然なところがあるかもしれません。
また、筆者は訪花中のオオハキリバチの行動についてはあまり調べていません。
一方、私はオオハキリバチの営巣行動を定点観察したものの、翌年の羽化および配偶行動は見逃してしまいました。


以上を踏まえて、今回私が撮った訪花中の映像についてもう一度考え直してみましょう。
もしかするとアカメガシワの大木のあちこちに小さな樹洞があり、そこにオオハキリバチの巣があるのかもしれません。

(オオハキリバチの営巣は借坑性。)
そこから処女♀が羽化してくる日まで、多数のオオハキリバチ♂が待機して群飛の状態になっている可能性が考えられます。
つまり誤認求愛ではなく♂同士の排斥行動(闘争)という解釈です。
アカメガシワ樹上で巣の有無を調べたいところですが、他所様の庭木ですから勝手に登る訳にはいきません。
しかし私は、誤認求愛という初めの解釈をどうしても捨てきれません。
巣の周囲では勝ち目のないオオハキリバチの小型♂が採餌のために訪花する処女♀を待ち伏せしているのではないでしょうか。
オオハキリバチの小型♂にとって♀との配偶行動は出会い頭のスピード勝負ですから、そそっかしく誤認求愛が頻発しても不思議ではありません。


クマバチ@アカメガシワ雌株+訪花吸蜜

2019/10/27

ベニシジミ夏型♂の求愛と♀の交尾拒否@トウネズミモチ花



2019年7月上旬

トウネズミモチの生垣で吸蜜中のベニシジミLycaena phlaeas daimio)♀の側で♂が求愛していました。
ともに翅表が黒っぽい夏型です。
ベニシジミの性別は翅型で見分けるらしく、前翅頂が尖った方が♂、丸みを帯びた個体が♀なのだそうです。

♂に迫られた♀は閉じていた翅を細かく羽ばたきながら茂みの奥に逃げ込んで交尾拒否の意思表示をしました。
シロチョウ科の♀がやる交尾拒否のように腹端を持ち上げているかどうか興味があったのですけど、翅に隠れて見えませんでした。
ベニシジミ♂はあっさり諦めて飛び去りました。
求愛行動および交尾拒否を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

振られた♂は近くのトウネズミモチの花に止まって休んでいます。
吸蜜はせずに、閉じた翅の後翅を互いに擦り合わせています。
次の新しい♀が飛来するのを待ち構えているのでしょう。


ベニシジミの求愛行動について詳しい解説は、こちらの記事をご覧下さい。

▼関連記事(5年前の撮影)
ベニシジミ春型の求愛と交尾拒否【ハイスピード動画】



【追記】

渡辺守『チョウの生態「学」始末』という専門書によると、

 一定の空間を占有し、侵入してくるライバルの♂を追飛などの行動で追い払い、やってくる♀と交尾しようとする「縄張り」行動を繁殖戦略に採用している種も知られている。ベニシジミの場合、幼虫の寄主植物であるギシギシやスイバの生育している湿潤な草地において、♂は静止場所一帯で排他的な占有行動を示し、通過する♀に交尾を試みている。

 





ベニシジミ夏型♀(右)@トウネズミモチ訪花吸蜜+交尾拒否vs♂(左)@求愛

2019/10/22

探雌飛翔中のトンボエダシャク♂(蛾)がツルウメモドキ葉裏の蛹を調べる



2019年6月下旬

川沿いでオニグルミの木の周囲をトンボエダシャク♂(Cystidia stratonice stratonice)が探雌飛翔していました。

クルミの木に巻きついて育ったツルウメモドキという蔓植物の葉裏に目立つ黄色の蛹があり、それにトンボエダシャク成虫♂が興味を示しています。
腹部が細長く、腹端に黒い毛束(ヘアペンシル)を持つのが♂の特徴です。
そしてツルウメモドキはトンボエダシャク幼虫の食樹植物です。
♂は交尾相手の♀が羽化するのを待ちかねて、蛹を調べて回っているのでしょう。
この様子だと、おそらく羽化直後の処女♀と交尾すると思われます。
羽化の直前になると成虫の翅の色が透けて蛹が黒くなるらしいのですが、未だその前兆が無いので、♂はすぐに飛び去りました。
あるいは何らかの方法で(フェロモンや匂い?)♂の蛹だと知り、興味を失った可能性も考えられます。
この蛹に割れ目は見つからないので、羽化後の抜け殻(羽化殻)ではないと思います。
一連の探雌飛翔を1/5倍速のスローモーションでまずはご覧下さい。

トンボエダシャクの繭や蛹がどんな見た目なのか、飼育経験のない私は知らないので、インターネット検索で調べてみました。
しかしヒロオビトンボエダシャクCystidia truncangulata)の蛹の写真しかヒットしません。
トンボエダシャクと同じCystidia属の近縁種なので、おそらく蛹も似ているはずです。
目の粗い粗末な繭を紡いでその中で蛹化するそうです。


参考ブログ:
キレイな黄色~ヒロオビトンボエダシャク前蛹~蛹20190520~28 @KONASUKEの部屋
羽化したヒロオビトンボエダシャク・・・! @今日も、こっそり自然観察!

話の流れがなるべく分かりやすいように記事をすっきり書きましたが、実は蛹が付いていた蔓植物がツルウメモドキだと分かったのは後の話で、トンボエダシャクに教えてもらった次第です。


今回私が撮った写真をよく見ると、黄色い蛹の頭部は左を向いています。
白い絹糸で紡がれた粗い繭の中で蛹の頭部付近にある、しわくちゃのゴミのような白い物体は前蛹の脱皮殻でしょう。
普通なら腹端付近に残る気がするのですが、なぜ前後逆に残っているのでしょう?
蛹化した後にツルウメモドキが育って繭を固定した葉が傾き、脱皮殻が繭内で移動したのかな?
細かいことが気になってしまいました。
手の届かない高所にある繭なので、飼育したくても採集できませんでした。

梅雨時にトンボエダシャクやヒロオビトンボエダシャクが群飛する様子は季節の風物詩です。
今季はあちこちで群飛を見かける度に意識して撮影するようにした結果、少しずつ色々なことが分かって面白かったです。
次は交尾を観察したいのですが、幼虫や蛹から飼育しないといけないかもしれません。


トンボエダシャク?(蛾)蛹@ツルウメモドキ葉裏
トンボエダシャク?(蛾)蛹@ツルウメモドキ葉裏

ツルウメモドキ:赤い実@10月下旬に現場を再訪
ツルウメモドキ:赤い熟果@10月下旬に現場を再訪

2019/10/19

花が咲いたキササゲの周囲を飛び回るオオハキリバチ♂の群れ【HD動画&ハイスピード動画】



2019年6月下旬

黄色い花が満開に咲いたキササゲ高木の周囲を多数のオオハキリバチ♂(Megachile sculpturalis)が群飛していました。
この立派な庭木は、2階建ての民家の屋根よりも高く育っています。


▼関連記事
キササゲの花蜜を吸い飛び回るオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】
キササゲの花で探雌飛翔し♂同士で誤認求愛するオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】


あまりにも忙しなく飛び回り狂乱状態のようなので、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:25〜)
キササゲの樹冠を飛び交う蜂の群れをスローモーションで見ると、雄蜂♂の探雌飛翔であることが推察できます。
蜜を吸ったり花粉を集めたりすることが目的であれば、花から花へ飛び回るはずです。
ときどき♂同士が♀と誤認して互いに追飛しています。

未だ♀が羽化していないらしく、この日は交尾シーンどころかオオハキリバチ♀を1匹も見ていません。

なぜかミツバチやマルハナバチのワーカー♀がキササゲに全く訪花していない点も気がかりです。
好みの蜜源ではないのでしょうか?
他の種類の花でもなんだかミツバチの数が少ない印象です。
蜂群崩壊症候群に関する本を読んだばかりなので、日本でもミツバチの数が激減しているのではないかと心配でなりません。


2019/10/17

花が咲いたマメガキの周囲でトンボエダシャク♂が群飛(蛾)



2019年6月下旬

トンボエダシャク♂(Cystidia stratonice stratonice)と思われる多数の昼蛾がマメガキの周囲を忙しなく飛び回っていました。

日本大百科全書(ニッポニカ)で「トンボエダシャク」を調べると、

成虫は年1回、初夏に発生し、昼間、食樹の近くを飛び回る。
と書いてあります。
しかし、トンボエダシャク♂が群飛する場所はどうやら樹種には拘らないようです。

▼関連記事(1年前の撮影)
スギの林縁を飛び回るトンボエダシャクの謎(蛾)

ここマメガキでは吸蜜しに来る♀を多数の♂が待ち伏せしているのでしょう。
互いに高速で追飛(追いかけっこ)しているシーンもありました。
同種の♂を見つけても♀と誤認してしまうのでしょう。
(それとも♂同士で縄張り争いがあるのかな?)

▼関連記事(同じ日に近くで撮影)
イタドリの花畑で探雌飛翔するトンボエダシャク♂(蛾)と誤認求愛

とにかく高速で忙しなく不規則に飛び回るので、撮影には難儀しました。
公開した映像は1/5倍速のスローモーションです。
リアルタイムでお見せすると手ブレが酷くて酔いそうなので、カットしました。

後で思えば、マメガキの樹形全体が分かるような引きの絵でトンボエダシャクの群飛を撮った方がよかったですね。
しかし、撮影地点からこれ以上後ろに下がろうとすると公道からはみ出てしまうのです。
こういうときに広角レンズが活躍するのでしょうか。(私は持っていません)


2019/10/15

イタドリの花畑で探雌飛翔するトンボエダシャク♂(蛾)と誤認求愛



2019年6月下旬
▼前回の記事
イタドリに訪花するトンボエダシャク♀♂(蛾)の羽ばたき【HD動画&ハイスピード動画】

イタドリの群落で花蜜を吸っているトンボエダシャク♂(Cystidia stratonice stratonice)を撮っていると、探雌飛翔している別個体の♂が繰り返しちょっかいをかけてきます。
訪花中の個体の背後でちょっとホバリングしただけで相手が♀ではないと分かるらしく、すぐに離れて行きます。
しかしすぐにまた次の♂が飛来して誤認求愛が繰り返されます。
トンボエダシャクはおそらく♂が♀よりも早く羽化する雄性先熟で、この時期は成虫の性比が圧倒的に♀<<♂となり、♀不足の婚活なのでしょう。
♂の細長い腹部の先端にはヘアペンシルと呼ばれる黒い毛束があり、性フェロモンを放出しています。

1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみても、素人目には特に目立つ求愛行動や交尾拒否行動(他の♂に絡まれたときに自分が♂であることのアピール)はしていませんでした。


トンボエダシャク♂2(蛾)@イタドリ訪花吸蜜+探雌飛翔:誤認求愛
トンボエダシャク♂2(蛾)@イタドリ訪花吸蜜+探雌飛翔:誤認求愛

2019/10/13

交尾したまま飛ぶモンキチョウ♀♂と三角関係



2019年6月下旬

堤防の草地をモンキチョウ♀♂(Colias erate poliographus)交尾器を連結したまま飛んで逃げています。
1/5倍速のスローモーションで見ると、翅の黄色い♂が主導して羽ばたいています。
白い翅の♀は翅を閉じたまま♂に引きずられるように大人しく連れて行かれています。
♀♂ペアがイネ科の草に翅を閉じて止まりました。
そこへ別個体の♂が飛来して求愛するも、交尾中の♀♂ペアは閉じていた翅を少し開いて拒否しました。
横恋慕したお邪魔虫の♂はすぐに諦めて飛び去ります。

保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ編』によると、

交尾したまま飛翔する場合は、♂、♀のどちらか一方が飛び、他方はぶら下がっている。♂も♀も翅を使って同時に飛ぶことはない。
このように交尾しながら飛ぶときに♂が飛ぶか、♀が飛ぶかは種によって一定していて、属や科についても通則がある。(中略)ここで←♀+♂の記号は、♀が飛翔し、♂は交尾したまま♀に連行され飛翔しないことを示す。 (p88より引用)


Donzel (1837)は「交尾中の飛翔形式は一つの属のすべての種類について一定しており、従って属の限界を決定する重要な特徴となり得る」と強調しており、後世これはDonzel説と言われている。(p89より引用)


ただし、かなり古い図鑑(1972)なので、もしかすると最新の知見では変わっているかもしれません。

この表記法に従えば、モンキチョウの連結飛翔は「←♂+♀」タイプとなります。

▼関連記事(1年前の撮影)
交尾中に連結飛翔で逃げるモンキチョウ♀♂


モンキチョウ♀♂@イネ科葉+交尾

2019/10/12

キササゲの花で探雌飛翔し♂同士で誤認求愛するオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年6月下旬

オオハキリバチMegachile sculpturalis)は♀よりも雄蜂♂の方が先に羽化します(雄性先熟)。
民家の庭木として植栽されたキササゲで満開に咲いた花の周囲を多数の♂が飛び回り、交尾相手を探しています。(探雌飛翔)
顔が白くて腹端が丸みを帯びているのが雄蜂♂の特徴です。(腹面にスコパ無し)

探雌飛翔はエネルギーの消耗が激しいため、オオハキリバチ♂はときどきキササゲの花で吸蜜します。

▼関連記事
キササゲの花蜜を吸い飛び回るオオハキリバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】
そんなときに飛来した別個体の♂が背後から飛びついてくることがよくあります。
性別をじっくり見分ける間もなく、♀と誤認して♂にも交尾を挑んでしまうのでしょう。(♂の悲しいさが
すぐに誤りに気付いて相手を離し、飛び去ります。
訪花中に飛びつかれた♂はその勢いで花から転がり落ちたりして良い迷惑ですが、そそっかしいのはお互い様です。
栄養補給して探雌飛翔に戻った♂が今度は誤認求愛する番です。
オオハキリバチ♂同士の誤認求愛は240-fpsのハイスピード動画でも撮れていました。(@0:51〜)

これほど♂が焦っている(慌てている)ということは、オオハキリバチの配偶行動は巣から羽化した♀をとにかくいち早く確保した♂が交尾できる仕組みなのでしょう(早い者勝ち)。
儀式的な求愛行動は無さそうです。
この日は私もオオハキリバチ♀の姿を1匹も見ておらず、♀は未だ羽化していないようです。




求愛飛翔で乱舞するスジグロシロチョウ♀♂



2019年6月下旬

草刈りされた堤防と河畔林の空間をシロチョウ科の2頭が互いにもつれ合うように乱舞していました。
求愛飛翔のようですが、交尾には至らず別れました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、♂が♀を一方的に追飛しているのではなく、互いに追い求めているように見えます。

林縁ということで、モンシロチョウではなくスジグロシロチョウPieris melete)またはヤマトスジグロシロチョウPieris nesis)の可能性が高いと思います。


▼関連記事(1年前の撮影)
スジグロシロチョウ♀♂の求愛飛翔【HD動画&ハイスピード動画】

ちなみにこの30分後、堤防で訪花するスジグロシロチョウを撮っています。

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ベニシジミを追い払いクサフジの花蜜を吸うスジグロシロチョウの仲間

スジグロシロチョウsp♀♂@堤防/林縁+求愛飛翔

2019/10/05

キスを交わして怒りを鎮めるハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)




送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#21



▼前回の記事
巣箱で育雛するハシブトガラス親鳥♀♂の活動【10倍速映像】

2019年6月下旬

8日ぶりの定点観察で営巣地に向かう途中、橋の袂でハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の親鳥♀♂が待ち構えていました。
私はしつこく巣箱を覗きに来る要注意人物として、すっかり顔を覚えられてしまったようです。
1羽は橋の上の車道を照らす外灯の支柱の天辺に止まり、私を見下ろしてカーカー♪(「この橋渡るべからず」)と鳴いています。
(このとき近くの送電塔#KN7の巣箱に親鳥の姿は無いことを確認しました。)

電線に止まっていた別個体αが飛び立つと、怒って鳴きながら私の頭上を飛び越えて、少し離れた電柱の天辺に止まり直しました。
つがいのもう1羽βが私の真上の電線に止まり、嗄れ声で警戒声♪を発し続けています。
今日は特に機嫌が悪いのか、下手したら私の頭上に糞をかけてきそうなぐらい険悪な雰囲気です。
嘴の中が黒いので成鳥と分かります。(巣立った幼鳥ではありません)

やがて同じ電柱の天辺のケーブルに親鳥♀♂が並びました。
ここから意外にもハシブトガラスの♀♂つがいは人目も憚らずいちゃつき始めました。(@1:41〜)
仲睦まじく何度もキスを交わしています。
もしかすると口移しで餌を吐き戻して求愛給餌をしたのかもしれませんが、このアングルではよく見えません。
キスの直後は尾羽根を上下に震わせています。
これは嬉しい興奮を表す感情表現のようです。


▼関連記事(今回と同じペアによるキス)
ハシブトガラス♀♂つがいの愛情表現:キスと相互羽繕い(野鳥)

鳴く際は喉袋が膨らみ、鳴き止むと凹むので、中に食物は貯めていないようです。
最後はカーカー♪鳴きながら相次いで左に飛び立ちました。



つづく→#22:雛が巣立った後に空の巣箱を調べに戻るハシブトガラス親鳥(野鳥)【10倍速映像】


ハシブトガラス♀♂(野鳥)@電柱+キス:求愛給餌
ハシブトガラス(野鳥)@外灯天辺♪


2019/09/17

2頭の♂に求愛されたヒメシジミ♀の交尾拒否行動



2019年6月中旬・午後15:41

川の堤防に咲いたキリンソウの群落でヒメシジミ♀(Plebejus argus micrargus)が訪花していました。
翅を半開きにしたまま吸蜜している♀を撮っていると、後方より同種の♂aが飛来しました。(@0:15)
♂aは♀のすぐ近くの花上に翅を広げて止まりました。

♀は翅を軽く震わせながら♂に向き直り、♂と正面から顔を見合わせてお見合いする格好になりました。
これは、♂に背後を取らせないため(マウント回避)に♀がやる交尾拒否行動の一つなのかもしれません。
ヒメシジミ♀♂は触角で互いに触れ合っています。
この間も♀は口吻を伸ばして吸蜜を続け、一方の♂は口吻を伸ばしていません。
この♂aの求愛行動は、かなり紳士的ですね。
翅を広げて美しい青色の翅表を♀にアピール(誇示)しているだけです。

そこへもう1頭のヒメシジミ♂bが左から飛来しました。(@0:41)
ライバル♂aが居るので諦めて飛び去ったかと思いきや、すぐにまた左から飛来しました。
ここから先は、多数の蝶が入り乱れてちょっとした狂乱状態になりました。
1/5倍速のスローモーションによるリプレイをご覧下さい。(@1:19〜)

ヒメシジミ♂bは♀の斜め右後ろの花に止まり、すかさず腹端を曲げて伸ばし♀との交尾を試みます。
先を越されそうになった♂aが慌てて♀の翅にしがみついて邪魔をします(交尾干渉)。
そのまま♂aも♀の左側から近づき、腹端を曲げて交尾を試みました。
花上の♀が翅を小刻みに素早く開閉して羽ばたき、腹端を持ち上げ交尾拒否の姿勢になりました。
お邪魔虫のヒメウラナミジャノメ♀♂(Ypthima argus)が乱入してきました。
ヒメシジミ♀は明瞭な交尾拒否姿勢のまま吸蜜を続けています。(色気より食い気)
♂aの方が先に飛び去りました。
♀に振られた2頭のヒメシジミ♂abは諦め切れないのか、近くのススキの葉や枯草に止まって待機しています。

ヒメシジミは翅の色から性別の判定が容易なので、配偶行動を観察するのが面白い蝶です。

▼関連記事
ヒメシジミ♂の求愛と♀の拒絶 @2014年6月中旬
ヒメシジミの求愛飛翔、交尾拒否など @2013年6月中旬
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ヒメシジミの婚活(♀1♂3)@ウツギ花 @2014年6月中旬




ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜
ヒメシジミ♂@キリンソウ訪花吸蜜
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+交尾拒否+♂ab@求愛誇示
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+♂a@ススキ葉
ヒメシジミ♀@キリンソウ訪花吸蜜+♂a@ススキ葉

2019/08/20

ニセアカシアの花の周りを探雌飛翔するウスバアゲハ♂



2019年5月下旬・午後16:30頃

川の堤防沿いに生えたニセアカシア(別名ハリエンジュ)の並木で白い花が満開に咲いていました。

そこで1頭のウスバアゲハ(別名ウスバシロチョウ;Parnassius citrinarius)が忙しなく飛び回っています。
ようやく花に止まっても風で枝が揺れ、吸蜜したかどうかよく見えませんでした。
腹部の交尾嚢も未確認で、性別判定が出来ませんでした。


▼関連記事(吸蜜シーンはこちらの動画がよく撮れています。)
ニセアカシアの花蜜を吸うウスバアゲハ

しかし、なんとなく、交尾相手の♀を探して飛び回っている♂(探雌飛翔)ではないかという気がします。
ニセアカシアはウスバアゲハ幼虫の食草リストに含まれていませんから、産卵目的の♀のはずはありません。
風が吹く中を飛ぶのは疲れるらしく、しばらく飛ぶとニセアカシアの葉に止まって休息しました。


※ いつものように動画編集時に手ブレ補正すると、却って不自然な動きになってしまいました。
仕方がないので、素材をそのまま繋いだだけでお届けします。


ウスバアゲハ@ニセアカシア訪花吸蜜

2019/08/19

ミズキの花の周囲で占有飛翔するクマバチ♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年5月下旬・午前7:40〜8:07

河畔林で花がほぼ咲き終わったミズキ大木の横でキムネクマバチ♂(Xylocopa appendiculata circumvolans)がホバリング(停空飛翔)して交尾相手の♀を待ち構えていました。
クマバチの雄蜂♂は正面から顔を見ると、白い頭楯が目立ちます。(♀の顔は黒い)

クマバチ♀に限らず他の昆虫でも何か飛行物体が縄張りに侵入すると、クマバチ♂はすぐに急行し、追い払ってしまいます。
スクランブルの後はだいたい同じ空域にすぐ戻って来て、縄張り占有行動を続けます。
ライバル♂が来ると空中戦になります。
▼関連記事
満開の桜並木にてクマバチ♂の占有飛翔と闘争

ホバリングするクマバチ♂を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:04〜)
ホバリング中の体軸は水平ではなく、少し上向きで斜めになっていました。
ラストシーンではミズキの隣に立っていたニセアカシアの花の周囲にも少し進出しましたが、ホバリングしながらミズキの方へ戻って来ました。
ミズキの白い花がどんどん散っていて、撮影中も風が吹くと次々に降り注ぎます。

冒頭のシーンでは珍しくクマバチがミズキの花に着地していました。(@0:00〜0:20)
引きの絵で撮ったので、性別が見分けられません。
吸蜜(および採餌)を済ませて花から飛び立つと奥の枝に移動して見失いました。

複数個体を撮影。


クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔
クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔
クマバチ♂@ミズキ訪花+縄張り占有飛翔

2019/08/18

ジョウカイボンの誤認求愛?喧嘩?



2019年5月下旬


▼前回の記事
ミズキの花蜜を舐めるジョウカイボン

河畔林のミズキ大木で2匹のジョウカイボンLycocerus suturellus)が葉や花の上を徘徊していました。

少し飛んで花から葉に移動した個体が別個体とニアミスしました。
出会った途端に相手に正面から飛びつきました。
ジョウカイボンが縄張り争いするとは考えにくいので、誤認求愛(または交尾の失敗)ですかね?
1匹が転がり落ち、交尾には至りませんでした。
残った個体は花に戻りました。
1/5倍速のスローモーションでリプレイをご覧下さい。

ジョウカイボンの性別の見分け方を私は知らなかったのですが、wikipediaによると、

雌雄の区別は一目では分かりにくいが、雌では第1、第2脚の爪の内側に小さな歯があり、雄では触角の第4節から第8節にかけて長い溝があり、また第3脚の脛節が湾曲している。
採集して標本を精査しないと判別できないようです。


ジョウカイボン2@ミズキ葉+誤認求愛?



2019/08/15

ハシブトガラス♀♂つがいの愛情表現:キスと相互羽繕い(野鳥)



送電塔#KN7に営巣したハシブトガラスの観察記録#3



▼前回の記事
幼い雛への給餌と抱雛のため送電塔の巣箱に出入りするハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)

2019年5月下旬・午後17:30および19:10頃(日の入り時刻は午後18:49)

育雛が一段落すると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)の♀♂親鳥は巣箱のある送電塔の天辺から伸びる高圧線に並んで止まりました。
仲良く並んでこちら向きに止まっているつがいが人目もはばからず濃厚な愛情表現を始めました。
まずは互いの嘴で熱烈なキスを交わしています。
喉袋から餌を吐き戻して求愛給餌しているのか?とも思ったのですが、定かではありません。
カラスの性別を見分けられないのが残念です。(交尾をしない限り私には性別が分かりません)
右の個体がキスの直後に尾羽を上下に震わせていて、興奮しているようです。
次は、相手の頭部や背中を嘴で掻いてやったり羽根を優しく愛撫するように相互羽繕いを始めました。
この間の鳴き声は一切聞き取れませんでした。(おそらく鳴いてない)


ハシブトガラスの親鳥♀♂は一旦、高圧線から解散した後も、しばらくすると再びお気に入りの高圧線に仲良く並んで止まりました。
夫婦水入らずの時間なのでしょう。
1羽がカーカー♪と澄んだ声で断続的に鳴き始めました。
鳴く度に尾羽を上下にピコピコ動かすのがハシブトガラスの特徴です。
嘴を軽く触れ合いキスを交わしました。
つづいて自分が羽繕いするついでに、パートナーの羽根にも触れて相互羽繕い(愛撫)しました。
定点観察の初日からハシブトガラス♀♂つがいの濃厚な愛情表現を見せつけられ、いやはやどうもご馳走さまでした。

中村眞樹子『なんでそうなの 札幌のカラス』という本にもカラスの愛情表現について書かれていました。

つがい同士の羽繕いは、見ている方がなんだか照れくさくなるほどです。一方が頭を下げて、日ごろ自分では手が(嘴が)届きにくいところを羽繕いしてもらい、ウットリしています。これをかわるがわる行うこともあります。 (p96より引用)


※ 今回の映像のように背景が空で抜けている場合、動画編集時に手ブレ補正すると却って不自然な動きになってしまいます。

仕方がないので、素材をそのまま繋いだだけでお届けします。


つづく→#4:巣箱のある送電塔でいちゃつくハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)


ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+キス
ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+キス
ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+相互羽繕い
ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+相互羽繕い

ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+羽繕い
ハシブトガラス親鳥♀♂(野鳥)@高圧線+羽繕い



↑【おまけの動画】
3年前の夕刻にも、2羽のハシボソガラスCorvus corone)が山麓の高圧線に並んで止まっているのを見たことがあって不思議に思いました。
今思えば、営巣期のつがいの貴重なスキンシップ・タイムだったのかもしれません。
お蔵入りしていた動画を、この機会にブログ限定で公開しておきます。

ちなみに、動画に映っている送電塔にカラスの巣はありませんでした。

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