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2024/02/02

営巣地の林床に穴を掘って餌を探すニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年6月上旬 

ニホンアナグマMeles anakuma)が営巣地(セット)で採食するシーンをまとめてみました。 
採食行動または探餌行動だと解釈しているのですけど、後ろ向きだったりやや遠かったりして、口の咀嚼を確認できていません。



シーン1:6/2・午前0:42・(@0:00〜) 
小雨がぱらつく深夜にアナグマ♀が奥にある巣口Rを点検してから、左奥の林縁に向かいました。 
木の根元に穴を掘り始めました。 
ミミズや虫などの獲物を探しているのでしょうか。 
少し奥に歩いてから地面に座って、体を掻きました。 
立ち上がると、二次林を探餌徘徊。 


シーン2:6/6・午前4:01・気温10℃(@0:59〜)日の出時刻は午前4:14。 
4日後の明け方に、♀が身震いしてから奥の二次林へ入って行きました。 
林床のあちこちで浅く穴を掘って餌を探しているようです。 

遠くの田畑(または休耕地)からキジ♂がケンケーンと鳴いて朝一番の縄張り宣言をする声がかすかに聞こえました。(@1:50〜) 


シーン3:6/8・午前4:12・気温14℃(@1:59〜)日の出時刻は午前4:13。 
2日後の日の出直前には、2匹のアナグマ(♀とヘルパー♂)が巣穴の外に出ていました。 
個体識別にあまり自信がないのですが、1頭(おそらくヘルパー♂)が林縁に横たわって体を掻いたり仰向けで毛繕いしている間に、もう1頭(おそらく♀)が手前の巣口Rで地面を浅く掘り返しながら鼻面を土の中に突っ込んでいました。 
巣穴Rを拡張するための穴掘りではなく、採餌のための穴掘りと思われます。 


シーン4:6/8・午前4:13・(@2:59〜) 
続けてトレイルカメラが起動した際には、なぜか暗視モードの赤外線照射が切れてしまいました。 
ちょうど日の出時刻を迎えた林内は未だ真っ暗で、ほとんど何も見えません。 
ちなみに、気温20℃と表示されているのは異常値です。(連続動画撮影によるカメラ自体の発熱)

動画編集で強引に明るく加工してみると、アナグマの興味深い行動が撮れていました。
光量不足のため、まるでモザイク処理したような非常に粗い映像ですが、目を細めて見ると、林縁で仰向け毛繕いしていたヘルパー♂が前足をミズキ?灌木の幹に掛けて後足で立ち上がったのです。 (@3:39〜)
アナグマが2本足で起立するシーンは珍しいです。
立木へのマーキング行動なのかな?
♀はときどき巣材集めの際に落ち葉が足りないと、後足で立ち上がって木の枝や蔓植物から生の葉を前脚で採取することがあります。 
しかし、今回の映像ではヘルパー♂が立ち上がって前脚で届く範囲に若葉は生えてませんでした。
もしかすると、木登りしていたクワガタなどの甲虫を見つけて捕食したのではないか?と想像を逞しくしてみました。 

関連記事(同時期に同所で撮影)▶ 昼間にミズキの幹を下るスジクワガタ♂ 


 一方、手前にいる♀は探餌の穴掘りを続けながら手前に移動しました。 


 ※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2024/01/02

田んぼで代掻きするトラクターを利用して虫を捕食するムクドリとハクセキレイの群れ(野鳥:オートライシズム)

 

2023年5月中旬・午後16:45頃・晴れ 

雪国の田園地帯に水入れが始まり、田植えに備えてトラクターが代掻きしていました。 
作業するトラクターの近くに珍しく野鳥が集まっています。 
ムクドリSturnus cineraceus)の群れの他にはハクセキレイ♂(Motacilla alba lugens)1羽の姿を認めました。 
稲刈り後の刈田は水を抜かれて乾田でした。 
急に水没した上に泥土を撹拌されて溺れそうになった虫を鳥が捕食しに来たのです。 

トラクターが轟音を上げて通り過ぎた直後にムクドリやハクセキレイが飛来して、撹拌したばかりの泥濘に虫がいないか探して啄んでいます。 
獲物はケラやミミズなどと思われますが、映像では遠くてしっかり確かめられませんでした。 
泥の上に浮かぶ藁などに乗れば、ムクドリやハクセキレイはほとんど泥に沈まないで立つことができます。 
トラクターが近づくと、その前方に居た個体は横の畦道に飛んで一時避難してやり過ごします。 
 動画ではスズメの鳴き声も近くから聞こえますけど、スズメは水入れ直後の田んぼに来ませんでした。

代掻き作業中のオートライシズム(片利共生の採餌行動)を実際に観察できたのは今回が初めで、いたく感激しました。 
この採餌行動を撮りたくて、ここ何年も私はしつこく田んぼのトラクターを注視していたのです。 
鳥の本や写真集に載っているのに、オートライシズムをなかなか観察できないというのが私の実感です。
 (トラクターが田畑で作業していても、鳥がその周りに必ずしも群がるとは限らない。)
当地の野鳥はたとえ人里近くで暮らすシナントロープでも農民やトラクターをひどく恐れてなかなか近寄ろうとしないのでしょうか?
あるいは、長年の農薬使用によって田んぼで暮らす虫の数が激減しているのではないか?と疑っています。 
過去に遡るのは無理ですけど、有機農法(減農薬)の田んぼで比較すれば検証できるはずです。


関連記事(4、5、7年前の撮影)▶  



※ 動画編集でモザイク処理を練習するため、動き回るトラクターのナンバープレートをモザイク処理してみました。 
動体追尾機能(モーショントラッカー)に頼るよりも、手動でちまちまと数フレームごとにモザイク範囲を指定する方が結局は早いですね。 
Kdenliveを使って編集している私が今回参考にした動画がこちら↓。 


2023/12/26

ゴマダラカミキリばらばら死体の謎

2022年8月中旬

里山の尾根道でゴマダラカミキリAnoplophora malasiaca)の死骸が転がっていました。
頭部、胸部、腹部とバラバラにされた部位が点々と散らばっています。
鞘翅を開げたまま死んでいるのも不思議です。
復元すればほぼ全身が残っているので、野鳥や野生動物が捕食した食べ残しにしては変です。
自然死した死骸がアリによって解体されて巣に運ばれる途中なのでしょうか?
アリの大群は居なかったものの、写真をよく見直すと、頭部の死骸に2匹の黒アリ(種名不詳)が写っていました。
(右触角の先と大顎の下)

スズメの巣を襲って雛を狩り、持ち去るハシボソガラス(野鳥)

 

2023年5月中旬・午後13:30頃・晴れ 

郊外で民家の軒下でハシボソガラスCorvus corone)が何か獲物を啄んでいました。 
近くでスズメPasser montanus)の親鳥が鳴き騒いでいます。 
どうやら、赤いトタン屋根の物置小屋(車庫?)の軒先にあったスズメの巣をカラスが襲い、雛鳥を狩ったようです。 
冒頭のシーンをスロー再生すると、カラスの目の前をスズメがホッピングで逃げて行きます。
おそらく親鳥と思われますが、パニック状態でもありませんし、カラスに反撃して追い払うこともありませんでした。 
スズメが去ると、ハシボソガラスは足で押さえつけていた獲物を嘴で咥え直しました。 
手前に生えたスイバの群落が邪魔で、カラスの口元がよく見えないのが残念です。 
こういうとき撮影アングルを確保しようとして私が下手に動くと鳥は警戒して逃げてしまうので、我慢して撮影を続けます。 
餌食となったスズメの雛は裸ではなく羽毛が生え揃った状態です。 
既に息絶えているようで、暴れたりしません。 

やがてカラスは獲物を咥えて左に飛び去りました。 
車道を渡り、最寄りの2階建ての民家の屋根に止まり直しました。 
撮影中は気づかなかったのですが、1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、計3羽のスズメがカラスを追いかけていました。 
しかし屋根の上でもカラスを遠巻きにするだけで、スズメには為す術がありません。 
カラスを追い払うモビング行動(擬攻撃)には発展しませんでした。 

ハシボソガラスは獲物を屋根の上に一旦置いてから咥え直すと、少し歩いて屋根の縁へ移動しました。 
スズメの雛の頭が嘴から垂れ下がってブラブラしています。 
狩りの直後に獲物を断頭したり翅を毟ったりしないのが少し意外でした。 (近くで見ている私を気にしているのかな?) 
そのままカラスはどこかへ飛び去りました。 
獲物を喉袋には入れず、嘴で咥えたまま運んで行きます。 
行き先を見失いましたが、おそらく自分の巣に持ち帰り、腹を空かせた雛たちに給餌するのでしょう。 


※ 1/5倍速のスローモーションに加工したついでに、1.5倍に拡大しました。

 

2023/12/01

ハシボソガラスは刈田を耕すトラクターを利用して虫を捕るか?(野鳥)オートライシズム

 

2023年4月下旬・午前11:00頃・晴れ 

毎年春になって耕運こううん機(トラクター)が田畑を耕していると、近くに野鳥が集まっていないか気をつけて観察するようにしています。 
騒音を上げて動き回る巨大な機械は、野鳥にとって怪物のように見えるはずです。 
恐怖を克服して野鳥が集まるのは、耕された土に交じって露出したミミズやケラなどの土壌生物をいち早く捕食するためです。 
これはオートライシズムと呼ばれる行動で、片利共生の一種です。
畑を耕している耕運機の後をムクドリ・ハクセキレイなどがついて歩き、掘り起こされた土の中にいる虫を探していることがあります。 鳥が自分の生活のために、他の動物や人の活動を積極的に利用することを「オートライシズム」と呼んでいます。 (平塚市博物館サイトの解説より引用)

大田真也『カラスは街の王様だ』によると、”autolycism”の語源は、ギリシャ神話の泥棒の名前(Autolycus:アウトリュコス)に由来するそうです。


平地の田んぼで水入れする前の耕耘が始まりました。 
作業するトラクターの近くを1羽のハシボソガラスCorvus corone)がうろついていました。 
積極的にトラクターに近づいてきたのでしょうか? 

カラスが頭部の羽毛を逆立てているのは、緊張や恐怖の現れだと思います。 
その状態だとハシブトガラスのようにも見えて紛らわしいのですが、トコトコ歩いて移動する(ウォーキング)ことからハシブトガラスですね。 
ハシブトガラスなら足を揃えてピョンピョン跳んで移動する(ホッピング)はずです。 

土を耕すトラクターの背後に回り込めば虫が捕食できるはずなのに、ハシボソガラスは畦道から反対側の刈田へ逃げてしまいました。 
オートライシズムは後天的に学習する高度な採食行動だと思いますが、この個体は未だ会得していないのかな? 
仲間が集まれば、もっと大胆になるのかもしれません。

鳥のオートライシズムという賢い採食行動は、バードウォッチングの写真集や書籍でたまに掲載されています。
私も動画に撮ってみたいのに、なぜか私のフィールドでは農村部でもあまり見られません。 


当地では収穫期になると爆音器や様々な鳥よけグッズを駆使して農作物を鳥の食害から守りますから、野鳥がヒト(農民)を恐れて近寄らなくなったのでしょうか? 
私が最も懸念しているのは、当地の田畑では長年の農薬使用で虫の数が激減し、トラクターが土を耕しても鳥が捕食したくなる虫がほとんど出てこないのではないか?という可能性です(沈黙の春)。 

ちなみに、水田を区切る畦の側面が水漏れしないよう丁寧に泥が塗りつけられ、きれいに均されていました。
(この作業を正式には何と呼ぶのでしょう?) 

2023/11/22

営巣地付近の地面を掘って餌を探すニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬

ニホンアナグマ♀♂(Meles anakuma) 


シーン1:4/22・午前4:23・(@0:00〜) 
未明にセットに来た♂が林縁で立ち止まると、痒い体を掻きました。 
次に前脚で地面を掘り始めました。 
餌となるミミズを探しているのかな? 
穴掘りの合間に身震いしました。 

私はアナグマ♂の個体識別が未だできていません。 
しかもカメラの電池切れで、尻切れトンボの短い映像しか撮れませんでした。 
そのため、この個体がヘルパー♂なのか、他所から求愛に来た♂なのか、不明です。 


シーン2:4/23・午前5:27・(@0:13〜)日の出時刻は午前4:51。 
早朝にセットの林縁に戻ってきていた♂が鼻面で地面を掘っています。 
地中に潜む獲物の匂いを嗅ぎつけて、捕食しているのかな? 


シーン3:4/23・午前5:29・(@0:43〜) 
アナグマ♂が少し左に移動していました。 
その結果、手前に自生するマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の茂みの陰に隠れてしまいました。 
林縁のあちこちで地面を引っ掻いてミミズや虫を採食しているようです。 

♀の巣穴の近くで早朝からリラックスしているので、なんとなくヘルパー♂のような気がしてきました。 
夜這い♂は朝になると自分の巣穴に帰るからです。 


シーン4:4/23・午後17:52・(@3:13〜) 
夕方に巣口Rから出てきたヘルパー♂が立ち止まって辺りの様子を窺っています。 
巣口Rを覗き込んでも中には入らず、自分の体を掻きました。 
寝起きでボンヤリしている様子は5倍速の早回し映像でお届けします。 

ようやく右に向かうと、画面の右端で地面の匂いを嗅ぎながら浅く掘っています。 
採食行動でしょうか。 


シーン5:4/23・午後18:31・(@3:57〜)日の入り時刻は午後18:25。 
日没直後になると、ヘルパー♂はセットの右に佇み、右の方を見ていました。 
身震いしてから右に歩き始めます。 右端の林床で穴掘りを始めました。 
お気に入りの餌場で繰り返し採食するようです。 
最後は二次林を右に立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
今回の映像に関して言えば、夜行性というだけでなく薄明薄暮性でも採食行動していました。


2023/11/08

捕食されたクロツグミ♂?の羽毛が散乱するスギ林【野鳥のフィールドサイン】

 

2023年4月上旬・午後15:55頃・晴れ 

平地のスギ林を探索していたら、1箇所に鳥の羽毛が大量に散乱していました。 
狩りに成功した猛禽が獲物の羽毛を毟り取った跡だと思われます。 
辺りに血痕や鳥の死骸(肉や骨)は見当たりませんでした。 
捕食者は、テンやキツネなど肉食獣の可能性もありますかね? 

近くのスギの根本が白い鳥の糞で汚れていました。 
スギ樹上にねぐら入りした鳥が襲われて餌食になったのか、それとも羽根を毟る作業中に猛禽が脱糞したのかな? 

さて、捕食された鳥の種類は何でしょうか? 
白くてフワフワした短い保温用の羽毛と、黒くて長い飛翔用の羽毛が混じっています。 
他に色の付いた羽根は無く、地味な色合いの鳥のようです。
カラスの羽根は真っ黒でもっと長いはずなので、除外しました。 
留鳥のドバトやムクドリにしては生息環境がおかしいです。(スギ林に居るのは変) 
しかし、捕食者が近くの農地などで狩った獲物をここまで運んできてから羽毛を毟った、という可能性もあり得ます。 
鳥の専門家は採取した羽毛を詳細に調べて種類を同定できるそうです。 
今回、私はそこまでしていません。 
DNAバーコーディングの外注キットが安価に普及すれば、羽毛や糞の試料から素人でも同定できるようになるはずです。


犠牲者の黒い鳥が不明で長らくミステリーだったのですが、この森には夏鳥のクロツグミ♀♂(Turdus cardis)が生息していることが後に判明しました。 (映像公開予定)
繁殖のために早くも渡来したクロツグミ♂が捕食者に狩られてしまったのではないか、と推理しています。 
山形県でクロツグミが見られるのは4月下旬ぐらいからとされているので(参考:『やまがた野鳥図鑑』)、例年よりもかなり早い渡来になってしまいます。(温暖化の影響?)

羽根を毟られた時期が私には判断できません。
もしも冬の積雪期に狩りが行なわれたのだとすると、被害者クロツグミ♂説はご破算になります。
もしかして留鳥のヒヨドリですかね?(ヒヨドリの羽根はもっと茶色の気がします)

その後も定点観察に通うと、スギ林床に残る大量の羽毛が少しずつ減っていき、最後には全て無くなりました。 
屍肉食性の昆虫が集まるかと期待したものの、古い羽根を食べる昆虫は全く見ていません。 (※追記参照)
春から初夏にかけて野鳥の繁殖期(造巣期)ですから、産座に敷くための巣材として鳥が持ち去ったのでしょう。 
鳥が巣材集めに通う様子を無人センサーカメラで撮影したかったのですが、今後の課題です。 
限られた台数でやりくりしているので、今回は泣く泣く諦めました。 

関連記事(2、5、15年前の撮影)▶ 



※ いつもの私の悪い癖で、カメラを忙しなく振り回しながら撮影してしまい、酔いそうな動画になってしまいました。 
現場の状況を映像で記録するときは、もっとゆっくりゆっくりカメラを動かさないといけません。 
苦肉の策として、1/2倍速のスローモーションに加工してお届けします。 
落葉落枝を踏みしめる音声が間延びしているのはそのためです。


【追記】
中村圭一『たくましくて美しい 糞虫図鑑』という本を読んで知ったのですが、コブスジコガネの仲間は糞虫の仲間なのに獣糞を食べず、動物や鳥の古い死骸やペリットを食べるのだそうです。
鳥の羽を与えて飼育することが可能だとか。
私は未だ出会ったことがありません。


【追記2】
捕食者の猛禽はタカ類を想定していたのですが、フクロウStrix uralensis)の可能性も出て来ました。
2024年3月上旬に少し離れたスギ林内で昼間からフクロウの鳴き声を聞きました。

2023/11/02

アナグマの巣穴付近で落ち葉をめくって虫を探すシロハラ♀【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年4月中旬 

二次林でアナグマの巣穴を監視する自動センサーカメラに野鳥が写っていました。 

シーン1:4/10・午後16:28・晴れ(@0:00〜) 
前日の晴れた午後にたまたま撮れた現場の様子です。 


シーン2:4/11・午前5:30(@0:05〜) 日の出時刻は午前5:08
画面の赤丸に注目。 
アナグマの巣口Rの上に被さるように伸びた細い灌木(木性の蔓?)に、早朝から地味な鳥が1羽止まっていました。 
止まり木で辺りをキョロキョロと見回し安全を確認してから、右下の地面に飛び降りました。 
朝の採食行動を始めたようです。 
(なぜか動画編集に失敗してしまい、鳥が画角外に消えた不要部分がカットされず、しばらく暗転が続きます。) 
画角内に戻って来ると、巣穴R付近で落ち葉を嘴で素早く跳ね上げて、隠れている虫を探しています。 
この鳥はシロハラ♀(Turdus pallidus)ですかね? 
せっかく興味深い採餌(虫取り)行動なのに、残念ながら1分間の録画設定時間が切れてしまいました。

シロハラは冬鳥のはずですが、未だ北方の繁殖地に渡去しないで居残っている個体なのでしょう。 
あるいは渡りの途中で立ち寄っただけかもしれません。
『やまがた野鳥図鑑』p160によれば、シロハラは4月上旬まで見れるとのこと。 

2023/10/19

春の池でヤマアカガエルの幼生を捕食吸汁するマツモムシ

 

2023年4月上旬・午後14:15頃・晴れ 



山中の池でトウホクサンショウウオHynobius lichenatus)の卵嚢を水中に見つけて撮ろうとしたら、水面を背泳するマツモムシNotonecta triguttata)が写り込んでいました。 
黒いオタマジャクシを捕食・吸汁していたのに、撮影中の私はなぜか全く気づかずに中断してしまいました。 
明るい日向での撮影では、カメラのバックモニター(液晶画面)が非常に見えにくいのです。 
マツモムシの捕食シーンは珍しいのに、見過ごすとは痛恨のミスです。 

せっかくですので、スロー再生してみましょう。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイする際に、1.5倍に拡大しました。 
餌食となった黒い小さなオタマジャクシは、尻尾を振って必死に暴れています。 
この獲物はトウホクサンショウウオの幼生ではなく、岸辺に産み付けられたヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊から孵化した幼生だと思います。 
トウホクサンショウウオは幼生が孵化するどころか、胚発生も未だ進んでいません。





2023/10/01

早春の河川敷を駆け回り虫を次々に捕食するツグミ(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午後15:40頃・晴れ 

根雪が完全に溶けて枯れ草に覆われた河川敷でツグミTurdus eunomus)が採食していました。 
緑の若草があちこちに生えかけています。 

冬鳥のツグミはしばらく立ち止まって辺りをキョロキョロ見回してから急に走り出し、あちこちの地面を啄んでいます。 
前傾姿勢になって小走りの移動を断続的に繰り返すことから、明らかに種子食の行動ではありません。 
おそらく越冬明けの昆虫や徘徊性クモ類が動き回るのを見つけて捕食しているのでしょう。 
今回のツグミは落ち葉めくりの探餌行動を一度もやりませんでした。 




ニセアカシアの河畔林の方へどんどん遠ざかります。

2023/09/19

早春の公園で落ち葉をめくって虫を探し捕食するツグミ(冬の野鳥)

 

2023年3月中旬・午後12:00頃・晴れ 

川沿いの公園に立ち寄ると、雪がほとんど溶けていました。 
水溜りの横に1羽のツグミTurdus eunomus)を発見。 
飲水や水浴を始めるかと期待して私がカメラを向けたら、ツグミは警戒したのか水溜りから離れてしまいました。 
断続的に小走りし、私から少しずつ離れて行きます。 
走る際には頭を下げて前傾姿勢になります。 

地面は枯れ草や落ち葉に覆われ、溶け残った残雪が未だ少しあります。 
そんな環境でツグミが立ち止まると、見事な保護色で見つけにくいのが実感できます。 
私のカメラでは被写体としてツグミを自動認識・追随できません。 
公園の築山に植栽されたカシワには茶色の枯れ葉が枝に残ったまま(カシワの特徴)ですが、一部の枯れ葉は落ち葉となって地面に散乱しています。 

やがてツグミは地面に散乱する落ち葉を丹念にめくって獲物となる虫を探し始めました。(@0:51〜) 
急に振り返って駆け寄ると、地面に居た虫を捕食しました。(獲物の正体は不明 @1:04〜) 
落ち葉をめくるというよりも、嘴で横に素早く跳ね除けることが多いです。 
落ち葉の葉柄を咥えて持ち上げて移動させることもありました。(カシワの落ち葉は裏返らず)(@2:09〜) 
それから、苔や芝生に覆われた地面に嘴を素早く突き刺して、穴を掘ることもありました。 

雪が完全に溶けた築山を駆け上がると、大きな庭石に登りました。 
見晴らしの良い高台から周囲をしばらく見回すと、庭石の背後に下りて姿を消しました。
どうも私に対する警戒を最後まで解いてくれなかった印象です。    



2023/08/26

雪深い河畔林でニセアカシアの枝をつついて虫を探すエナガの群れ【冬の野鳥:トレイルカメラ】

 

2023年2月上旬・午後15:35頃・くもり・気温4℃ 

雪深い河畔林でニセアカシア(別名ハリエンジュ)大木の下にある溜め糞場bLを監視するカメラにエナガAegithalos caudatus)の群れが写りました。 
ニセアカシアの枝に生えた鋭い棘を全く気にせずに、少なくとも2羽以上の群れが枝から枝へ忙しなく飛び回っています。 
落葉したニセアカシア灌木の細い幹や巻き付いた細い蔓に止まり、樹皮を嘴でつついています。 
越冬中の小さな虫をちまちまと捕食しているのでしょう。 
ときどき群れ内で鳴き交わす声も聞こえます。 

夏なら溜め糞に集まる様々な食糞性昆虫を捕食しようと野鳥が集まってくるのですが、寒い厳冬期に虫は活動していませんし、しかもこの日は積もった雪の下に溜め糞が埋もれていました。 

※ エナガの鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
しかし、近くを流れる川の音もうるさくなってしまいました。 


関連記事(3、10年前の撮影)▶ 

2023/08/16

ヤマオニグモ(蜘蛛)の垂直円網に囚われて暴れるヒグラシ

 

2022年7月中旬・午後14:00頃・晴れ 

里山の斜面を直登する細い山道が廃れて使われなくなり、左右から灌木の枝が伸び放題になっていました。 
そこを少し整備すると、ヤマオニグモAraneus uyemurai)などが網を張るようになりました。 
クモの巣に捕らわれたセミが逃れようと必死に羽ばたいて暴れていました。 
(私が獲物をクモの網に給餌したヤラセ映像ではありません。) 
鳴き声を発してないので♀かもしれません。

同定のために暴れるセミを手にとってじっくり接写すべきでしたが、夏の廃道登山でヘロヘロにへばっていた上に先を急いでいたので動画に撮っただけです。 
腹部全体が茶色く透けて見えるのでエゾハルゼミまたはヒグラシだと思うのですが、エゾハルゼミは時期的に少し遅いです。 
周囲でカナカナカナ…♪と寂しげに鳴き交わしているのは、ヒグラシ♂(Tanna japonensis)でした。 

セミがかなりパワフルに羽ばたいても、粘着性のあるクモの横糸は強力で切れません。 
獲物が疲れておとなしくなるまで、網の主はどこかに避難しているようです。 
以前ここにヤマオニグモAraneus uyemurai)が造網しているのを見ています。 


2023/08/15

深雪に潜って獲物を探す冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年1月上旬・午後18:03・気温-4℃ 

里山のスギ林道はサラサラの(乾いた)新雪に覆われ、道端に突き刺さっていたスギ落枝も完全に埋もれました。 
左下から登場した冬毛のホンドテンMartes melampus melampus)が立ち止まると、深雪に頭を突っ込んで穴を掘り始めました。 
テンの体が完全に新雪の中に埋もれました。 
おそらく雪の下にトンネルを張り巡らせて冬も活動する野ネズミ(ノネズミ)の気配を感じてテンが狩りを試みたのでしょう。 
深雪の中で方向転換したテンが、逆向きに雪の中から顔を出しました。
口に獲物を咥えていないので、残念ながら狩りに失敗したようです。 

諦めたテンは、元気に雪道を右へ走り去りました。 
前後の足を揃えて細長い胴体を尺取り虫のように伸縮させて跳びはねるように走ります。 
1/3倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:16〜) 
それにしても、雪深い厳冬期になるとテンの登場頻度が急に上がりました。

雪山で野生動物が残した足跡を追跡(アニマルトラッキング)していると、足跡が乱れた狩りの痕跡が見つかることがたまにあります。 
今回ホンドテンが雪面に残した足跡および穴掘り跡をもし見つけたら、狩りに失敗したと正しく読み解けるでしょうか? 

熊谷さとし『動物の足跡学入門』によると、
 雪の深い地方にすむテンは、雪の中に「テンの雪室ゆきむろ」とよばれるウロ(ほら穴)を掘る。テンは嗅覚が強いので、雪の下にある食べ物をとるために掘った跡だと言われているけど、俺はシェルターなのではないか?と思っているのだ。(p167より引用)

つづく→ 厳冬期の雪山でスギ林道を駆け抜ける冬毛のホンドテン【トレイルカメラ:暗視映像】

2023/07/25

初冬の河畔林で虫を捕食する野ネズミ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬・午後19:30頃 

夜の河畔林で溜め糞場rvの近くをウロチョロ徘徊して餌を探していた野ネズミ(ノネズミ)が落ち葉の下に隠れていた何か黒っぽい細長い虫?を引っ張り出しました。 
少し離れた場所に運ぶと、ゆっくり平らげました。 
1.5倍に拡大してリプレイしてみましょう。(@1:01〜) 
更に、動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しました。 
野ネズミに噛まれて暴れている獲物は、ミミズではなく明らかに昆虫のようです。 
なんとなくハサミムシの仲間かな?と思うのですが、この画質では確定できません。 


2023/07/24

夏の夜の水場でコウモリが狩りに成功?【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年8月上旬・午後21:45頃 

里山の水場をトレイルカメラで見張っていると、夜な夜なコウモリ(種名不詳)が飛来します。 
奥の森から飛来したコウモリが此岸で急旋回して引き返しました。 
このときは水面に触れていないので、飲水行動ではありません。 

飛び去るコウモリの足に何か細長い物がぶら下がっていました。 
1/4倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。 
動画のフレームレートが25fpsでは何が起きたか、いまいちよく分かりません。
どうやらコウモリは此岸の灌木の辺りで素早く狩りをしたようです。 
泉から水草を採取して行ったようにも見えますが、この池に水草は生えてないので除外できます。 
池の上に張られたクモの網にかかって暴れていた獲物をコウモリが掠め取ってきたのではないか?と想像しました。 
あるいは網に占座するクモそのものを網ごと狩ったのかもしれません(一網打尽)。
破れたクモの網がコウモリの足にまとわりついたまま飛び去った、という解釈です。 
コウモリの狩りの成功シーンらしきものがトレイルカメラで撮れたのは初めてです。 
どこか安全な止まり木に逆さまにぶら下がってから、落ち着いて獲物を食べたり、足にべっとり付着したクモの巣を毛繕いで取り除いたりするのでしょう。


後半は続きの5倍速の早回し映像です。 
蛇足かもしれませんが、コウモリが飛び去った後も何事もなかったように水面に多数のアメンボが泳いだり、周囲を夜蛾が飛び回ったりしています。 

つづく→

2023/07/21

オニグルミを運ぶ野ネズミがフクロウに襲われ危機一髪【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年12月上旬 

オニグルミ堅果の給餌は6回目になります。 
今回はカラマツ大木の根元の右側に、果皮を剥いたクルミ40個を山盛りに並べて置きました。 
餌場を左から右に移動したのは、少しでも監視カメラに近づけて、野ネズミがクルミを選ぶ行動の詳細を観察するのが目的です。 
右側の餌場Rは狭いので、なるべく小さなクルミを選んで山積みにしました。 

その日の晩に夜行性の野ネズミ(ノネズミ)が早速現れて、いつものようにせっせと餌場通いを始めました。 
貯食のためにクルミを1個ずつ持ち去っていると、大事件が勃発しました。 


シーン1:午後22:43・気温11℃ 
野ネズミが給餌場Rでオニグルミ堅果を選んでいると、どこからともなくキョヨヨヨ♪と奇妙な鳴き声がしました。 
木の枝が風に揺れて軋む音なのでしょうか? 
途端に野ネズミはパッと画面右を向いて警戒しました。 
そのまま物音を立てないようにフリーズしています。 
やがて野ネズミは警戒を解くと、1個のクルミを咥えて右斜面を駆け上がりました。 
それと同時に再び謎の音声が録音されていました。 
(カメラを固定したシナノキの幹を樹液が流れる音?? 風に揺れる枝と枝が擦れる音?) 


シーン2:午後22:54・気温10℃(@0:50〜) 
少し間隔が開きましたが、10分後に野ネズミが餌場Rに戻って来ていました。 
選んだクルミを持ち去ろうと、カラマツの根元を右に回り込んでから右斜面を駆け上がる途中で立ち止まると…。 
左上からフクロウStrix uralensis)が音もなく急降下し、野ネズミに奇襲しました。 
斜面の下草にバサッと舞い降りたフクロウは、辺りをキョロキョロ見回してから左上に飛び上がりました。 
飛び去った後もキョヨヨヨ♪と謎の鳴き声が聞こえました。 
どうやらフクロウの鳴き声だったようです。 
フクロウがこんな鳴き声を発するとは知りませんでした。 
調べてみると、この鳴き声はフクロウ雛の餌乞い♪(参考サイト:さえずりナビ)と似ています。 
今回聞こえたのは、親鳥に給餌をねだる鳴き声の名残りなのかな? 
狩りの未熟な若鳥なのかもしれません。(素人の勝手な想像です) 
それにしても、シーン1でフクロウが鳴いた理由が全く分かりません。
鳴き声で獲物に気づかれたら、警戒されたり逃げられたりしてしまい、狩りは台無しになるはずです。
このカラマツや周囲の樹木にフクロウが営巣できそうな樹洞はありません。

襲撃の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイし、狩りの成否を確かめてみましょう。(@2:02〜) 
優れた聴覚を持つフクロウは暗闇で獲物が立てる微かな物音だけを頼りに定位して襲いかかります。 

映像でフクロウが意外に小さく見えるのは、遠近感の問題ですかね? 
夏鳥のアオバズクは除外できます。 
耳がないので、トラフズクでもありません。 
今回調べて初めて知ったのですが、フクロウは留鳥で冬季も見られるのだそうです。 

スロー再生すると、野ネズミは紙一重でフクロウの攻撃を交わし、カラマツの背後を通り左斜面の草むらに素早く逃げ込んでいました。 
私が給餌を続けたおかげで野ネズミの栄養状態が良くなり、反射神経や注意力に優れていたのかもしれません。 
フクロウによる狩りは狙いがわずかに外れて失敗に終わりました。
したがって、襲撃後の謎の鳴き声は野ネズミの断末魔ではありません。 
襲撃後にカラマツの背後に生えた羊歯(ゼンマイ?)が右に大きく揺れ動いたのは(@1:45〜)、逃げた野ネズミに再び襲いかかったのでしょうか? 
しかしフクロウはもっと急角度で飛び上がったので、無関係の風揺れと考えられます。 

この野ネズミ個体は、オニグルミ堅果を貯食する場所を毎回ランダムに変えるのではなく、毎回ほぼ同じルートでクルミを運んでいました。 
明らかに油断していたことになります。
捕食者による襲撃リスクを減らすためにも、運搬ルートを頻繁に変えないといけません。


※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 

今年は里山でフクロウが野ネズミを狩る成功例と失敗例がトレイルカメラで撮れて、非常に興奮しました。
自動センサーカメラ(トレイルカメラ)という文明の利器に感謝。



それにしても、野生動物に給餌することの是非について、改めて考えさせられました。
人工的な給餌は特定の種類の野生動物に対する依怙贔屓となり、生態系のバランスを崩すことになりますが、自然界は一人勝ちを許しません。
遅かれ早かれライバル種が必ず現れて、豊富な餌をめぐる競争や縄張り争いになります。
その上、餌場に誘引された獲物を狙って、今回のように捕食者が登場します。
そうした自然界の連鎖反応や弱肉強食の真剣勝負を観察できるのもトレイルカメラの醍醐味です。


餌場に繰り返し現れる常連客に愛着が湧いて名前(愛称)を付けたりするタイプのヒトは、天敵に捕殺されるシーンがトレイルカメラに記録されていたら、精神的に強いショックを受けたり罪悪感に苛まれるかもしれません。
そうなったとしても給餌が招いた結果なので、予め覚悟しないといけません。


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