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2022/02/04

吸蜜のためヒャクニチソウの花から花へ飛び回るクマバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年11月上旬・午後12:00頃・晴れ 

街なかの民家の花壇に咲いたヒャクニチソウ(百日草)キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
訪花中のクマバチ♀を横から見ると、吸蜜するために口吻を伸ばしていました。 
花の盛りを過ぎたヒャクニチソウには花粉がもう残っていないようで、クマバチ♀の後脚の花粉籠は空荷でした。 
11月に元気に採餌活動しているクマバチ♀を見るのは初めてかもしれません。
関連記事(3年前の撮影)▶ セイタカアワダチソウの花で休むクマバチ♀
ヒャクニチソウはもう枯れかけで、葉の緑色も花弁の赤紫色も色あせて薄くなっています。 
ハナバチ類は赤色系の花をあまり好まない(昆虫の視細胞で赤は見えにくい)はずなのに、蜜源が乏しくなる晩秋は好き嫌いを言ってられないのかもしれません。

クマバチ♀がヒャクニチソウの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:52〜) 
日差しが強く、絶好のハイスピード動画撮影日和です。 
吸蜜後は飛び立つ前に前脚で顔を拭うことがありました。
少し飛んだだけで隣の花に移動します。 
花弁が隣接している場合は、省エネのために歩いて移動しました。 

最後はNGシーンです。 
花から飛び立とうとしたクマバチ♀の爪先が管状花に引っかかり、無様に滑落してしまいました。 
幸い、隣接する花に落ちたようです。

 

2021/12/26

アキノキリンソウの花蜜を吸うニトベハラボソツリアブとセスジハリバエ

 

2021年10月上旬・午後15:30頃・晴れ 

里山の尾根道沿いに咲いたアキノキリンソウの同じ株に ニトベハラボソツリアブSystropus nitobei)とセスジハリバエTachina nupta)が訪花していました。 
ニトベハラボソツリアブの性別が私には分かりませんが、単独で訪花吸蜜中は羽ばたきを止めています。 
同じ株の反対側の花でセスジハリバエも吸蜜していました。 

この2種を個別に動画で記録したかったのに、逃げられてしまいました。

2021/12/17

腐生植物ギンリョウソウの花

2021年9月中旬・午後 

里山で急斜面の細い山道を登っていると、山道の脇(標高585m地点)に白いギンリョウソウの花が多数咲いていました。 
腐生植物ギンリョウソウと出会えたのは8年ぶりになります。 
光合成をしないので葉緑素が退化しています。
関連記事(8年前の撮影)▶  
ギンリョウソウの花に群がるアメイロアリ♀ 
ギンリョウソウの花に出入りするアメイロアリ♀
訪花昆虫や種子散布の様子を観察したかったのですが、数日後に再訪したら何者かに盗掘されたのか群落ごと無くなっていました…。
こんなことなら、動画にも撮っておくべきでしたね。

2021/12/10

虫カビ(ボーベリア)に感染して死んだフキバッタ

 

2021年9月上旬・午前11:45頃・くもり 

里山の尾根道で丈の低い笹の茎にフキバッタの一種がしがみついたまま斃死していました。
黒変した体の節々(関節)から昆虫病原糸状菌の白い菌糸が吹き出していました。 
おそらくボーベリアBeauveria bassiana)の仲間が感染して死んだと思われます。 

この日は途中の山道でもあちこちで同様の斃死体を目撃しています。 
いつか微速度撮影でバッタの感染個体が植物をよじ登って死んでボーベリアの白い菌糸が湧き出る様子を記録してみたいものです。

2021/12/06

ホツツジの葉から飛び立つヨコジマオオハリバエ

 

2021年9月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の尾根道沿いに自生するホツツジの灌木でヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が葉の上で休んでいました。 
ハリバエの名前の通り、腹部から長い剛毛がツンツンとハリネズミのように立っています。
身繕いでもするかと思い動画を撮り始めたものの、すぐに飛び去ってしまいました。 


2021/12/02

タヌキの溜め糞に来た謎の微小な寄生蜂?【名前を教えて】

 

2021年8月下旬・午後15:10頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山道に残した溜め糞に来る昆虫を観察していると、撮影中は全く気づかなかったのですが、微小な蜂が動画に写っていました。 

シーン1: 
画面右上でメタリックカラー(構造色)に輝く微小な蜂が思わせぶりに活動しています。 
糞の上に止まって羽ばたきながら何かしています。 

シーン2: 
タヌキの溜め糞の横で身繕いしているニクバエの一種を撮っていると、画面左上で同一個体と思われる例の微小な蜂が写っていました。 
やはり溜め糞上で何やら活動していて気になります。 

これは寄生蜂の一種なのでしょうか? 
なんとなく、腹端を突き立てて産卵しているように見えました。 
寄主はハエの卵ではないかと想像しています。 
「タヌキの溜め糞に来るメタリックカラーの微小な蜂」をネット検索しても情報がありません。
もしかして、蜂ではなくハエ(双翅目)の仲間ですかね?
小さ過ぎて翅の枚数は数えられませんが、腰がくびれていることから蜂ではないかと予想しました。(双翅目でも蜂にベーツ擬態して腰がくびれた種類がいます。)
これの正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、名前を教えて下さい。

以前、別のタヌキ溜め糞でも謎めいたメタリックカラーの微小な寄生蜂を見かけています。 
このときはキバネセセリ成虫を寄主としているのではないか?という大胆過ぎる仮説を立てました。
関連記事(1月前の撮影)▶ 獣糞で吸い戻し中のキバネセセリ♂の翅に寄生蜂が産卵?!
次にタヌキの溜め糞で金属光沢に輝く微小蜂を見つけたら、同定のために採集してみるつもりです。 
しかし捕虫網を振り回すと、まず間違いなく獣糞で捕虫網を汚しそうなのが嫌ですね。 
だからこそ、今まで誰も注目してこなかった(報告がない)のでしょう。 
マクロレンズで接写したくても、ヒトの気配で蜂はすぐ逃げてしまいそうです。 

【追記】
翌年、注意してタヌキ溜め糞を見て回ると、メタリックに輝く微小昆虫の正体はハエでした。

したがって、この記事の映像に写っているのも寄生蜂ではなさそうです。
ただし、体型が違うので別種のようです。

2021/11/26

ヨコジマオオハリバエ♀♂の交尾未遂?

 

2021年8月中旬・午後15:50頃・くもり

 道端の雑草が生い茂った休耕地に咲いたヒメジョオンヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)が訪花していました。 
動画に撮り始めた途端に、別の昆虫が高速で飛来し、背後から飛びかかりました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイしても、電光石火の出来事で何が起きているのかよく分かりません。 
襲われる直前にセスジハリバエは気づいてヒメジョオンの花から飛び立とうとしていました。 
しかし逃げるのが間に合わず、空中でぶつかった2匹はもんどりうって花から転がり落ちました。 
ハエ類を狩る狩蜂なのかと初めは思ったのですが、おそらく同種のハエが求愛したのではないかと思います。 
蜜源植物の占有行動(縄張り争い)とは考えにくいでしょう。 
ヨコジマオオハリバエは鱗翅目の幼虫に寄生するらしいのですが、それに寄生する別種のハエがいるとしたら面白い話です。

その後、別れたヨコジマオオハリバエTachina jakovlevi)のうち1匹が近くに自生するアカジソ(赤紫蘇)の葉に止まりました。 
両手両足を擦り合わせ、顔も前脚で拭って念入りに身繕いしています。 
前足に付着していたキク科植物の種子の冠毛(白い綿毛)を払い落としました。 
化粧が済むと飛び立ち、近くに咲いた別のヒメジョオン群落に向かったようですが、見失いました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

 

2021/11/19

奴隷狩りで蛹を運ぶサムライアリ♀

 

2021年8月下旬・午前10:30頃・晴れ 

里山の山道(標高約600m地点)で大きな白い蛹を運んでいるアリを2匹見つけました。 
前後にアリの大行列は形成されていなかったのですが、これはサムライアリPolyergus samurai)のワーカー♀が奴隷狩りをしている現場なのでしょうか?
サムライアリはクロヤマアリなどの巣を攻撃して働きアリやその蛹を攫い、奴隷として働かせることが知られる。奴隷とする為の蛹を連れる「奴隷狩り」は、主に夏の蒸し暑い日の午後に行われる。サムライアリの働きアリは奴隷狩りに特化しており、女王の世話、卵や幼虫の世話、餌の回収なども行わない。また、奴隷狩りと結婚飛行以外はほとんど地上にも出ない。こうした奴隷狩りの習性は、アカヤマアリのようなヤマアリ属の一部の種やヤドリムネボソアリなど、いくつものアリで知られている。しかしそれらの働きアリは同時に通常の労働にも従事することが多く、自分でほとんど働かないサムライアリやその同属近縁種とは異なる。(wikipediaより引用)

(サムライアリは)巣からマユ(サナギ)と大きくなった幼虫を持ち帰る「奴隷狩り」を行う。主にマユを持ち帰り、マユから成虫になった働きアリは、サムライアリの巣で一生働く。奴隷刈りは午後行われることが多く、1日に2度、3度出撃することも珍しくない。(文一総合出版『アリハンドブック』p68より引用)
道中で仲間とすれ違いました。
落枝に隠れてサムライアリ♀の行く先を見失ってしまいました。 
今回の奴隷狩りはあまりにも小規模ですけど、寄主の巣穴を襲撃して奴隷の蛹をほとんど狩り尽くした後なのか、それとも未だ午前中なので、これから午後にかけて奴隷狩りが本格化するのでしょうか? 

このとき私は他に用事があって急いでいたので、サムライアリの巣穴も、寄主(クロヤマアリ?)の巣穴も見つけられませんでした。 
すぐ近くの地面に(蟻の巣口にしては大き目の)穴が開いていたのですけど、アリは出入りしていませんでした。

2021/11/15

スキバツリアブ♀が砂利道で産卵前の尾端接地行動【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前8:40頃・晴れ 

山道を登り始めたばかりの地点でスキバツリアブ♀(Villa limbata)を発見。
砂利道の上を超低空でホバリングしています。 
夏の強い日差しを浴びて、羽ばたく影もはっきり見えます。 
着地すると腹端を曲げて地面に擦りつけます。 
その間は羽ばたきを止めていました。 
ツリアブの仲間は産卵前に♀が腹端の砂室に砂粒を取り込んで卵を予め砂でまぶしておく習性があるらしい。 
尾端接地行動を何度も繰り返してから山道の小石の上で少し休み、すぐにまた飛び去りました。 

関連記事(1年前の撮影)▶ スキバツリアブ♀:産卵前の尾端接地行動

スキバツリアブ♀の尾端接地行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:11〜)
 腹端を地面に擦りつけながら体を左右に細かく揺らしていました。 
砂地を腹端でグリグリと掘っているようにも見えます。 

離陸後は空中で左右の脚を擦り合わせています。 
ホバリング中は後脚を腹部よりも高く斜めに上げて飛んでいる姿勢が面白く思いました。 
地上スレスレでホバリングすると、小さな砂粒や落ち葉の欠片が吹き飛びます。 

1匹の♀が尾端接地行動中に背後から同種の別個体が飛来しました(@4:25)。 
交尾を挑まずにそのまま通り過ぎたので、2匹目も♀だと思われます。 
同種の♀が集団で集まり尾端接地行動するのかな? 
現場は日当たりの良い林縁なので、もしかすると寄主の集団営巣地が近く、寄生性のスキバツリアブ♀にとって産卵適地なのかもしれません。 
しかし私にはこの山道でコハナバチ類の集団営巣地を見つけることは出来ませんでした。 

※【追記】 
諸先輩方のブログなどでは「尾端接触行動」と呼んでおられますが、何に接触するのか曖昧なので、「接地行動」と呼ぶことを勝手ながら提唱します。

 

2021/10/16

顔にタカラダニを付けたオオイシアブ♀の待ち伏せ・飛び立ち【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年7月下旬・午前11:45頃・晴れ

里山の林道で倒木の上に大型のアブがいました。 
おそらくオオイシアブ♀(Laphria mitsukurii)ではないかと思うのですが、腹背を撮れてないので定かではありません。 
その顔に鮮やかなオレンジ色のタカラダニが1匹付着してます。(体外寄生?) 
アブが身繕いして異物を払い落とさないということは、タカラダニの存在に全く気づいていないのでしょう。
オオイシアブは顔を上下に動かして、油断なく上空を見張っています。 
性別の見分け方が私には分からないのですが、 ♀なら獲物の待伏せですし、♂なら縄張りを張って♀を待ち伏せしてる可能性も考えられます。 
オオイシアブだとすると、胸部が黒いので♀らしい。

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:08〜) 
左右をキョロキョロ見渡してから急に飛び去りました。

2021/10/15

獣糞で吸い戻し中のキバネセセリ♂の翅に寄生蜂が産卵?!

前回の記事:タヌキの溜め糞にオシッコをかけて吸い戻しをするキバネセセリ♂
2021年7月中旬・午後15:30頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞で吸い戻しを繰り返すキバネセセリ♂(Bibasis aqulina chrysaeglia)の動画を撮っていたら、興味深い瞬間がたまたま撮れていました。 
メタリックに輝く微小の蜂(種名不詳)が飛来して、キバネセセリ♂の閉じた左前翅の裏面にぶつかってきたのです。 
なんとも思わせぶりな行動をまずは1/10倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
これは偶然のうっかり衝突事故ではありません。 
なぜなら、ぶつかる直前に蜂はキバネセセリの翅の手前でホバリング(停空飛行)して狙いを定めていたからです。 
蜂はチョウの左前翅の裏面にほんの一瞬着陸しただけで、すぐに飛び去りました。 

寄生蜂♀が寄主に産卵したのではないかと私は疑いました。 
しかし勉強不足の私は、チョウの成虫に寄生する蜂を知りません。(見たことも聞いたこともありません。) 
成虫の寿命が長い種類のチョウに産卵しないと、寄生蜂は次世代を残せないでしょう。
また、寄生蜂がチョウに産卵するのなら、寄主の胴体に産卵しそうなものです。 
寄主の翅の表面に産卵したら、よほど強力な接着剤で卵を固定しない限り、激しく羽ばたく際に振り落とされてしまうでしょう。 
卵から孵化した寄生蜂の幼虫は自力で這って寄主の翅裏から移動し、栄養豊富な胴体に食いつくのかな? 
あるいは寄生蜂♀は一瞬の早業で産卵管を寄主に突き刺して翅の組織の内部に卵を産みつけたのかもしれません。(体内寄生)
いくら目を凝らして映像を見直しても、蜂が飛び去った後のキバネセセリ♂の翅の表面に微小な卵は見つけられませんでした。(鱗粉のサイズよりも小さいのであれば、肉眼で見るのは不可能です。)

果たしてこんな奇妙な寄生蜂がいるのかどうか、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。 
動画撮影中の私は現場でこの出来事に全く気づかなかったので、残念ながら問題のキバネセセリ♂を採集・飼育できていません。 

次の一手としては、山中でキバネセセリを大量に採集して室内飼育し、寄生蜂が羽化してくるかどうか調べるのが正攻法でしょう。
想像しただけでも大変そうで気が遠くなりますけど、だからこそ今まで誰も調べなかったのかもしれません。
そもそも私はフィールドでキバネセセリを滅多に見かけません。

それともやっぱり、ただの偶然の衝突事故ですかね? 


【追記】
1月後に標高は違うものの同じ里山で別な溜め糞でも見かけました。
このときはキバネセセリとは無関係で、獣糞に(又は獣糞内のハエの卵や幼虫?)産卵しているようでした。
関連記事 ▶ タヌキの溜め糞に来た謎の微小な寄生蜂?【名前を教えて】



【追記2】 

翌年、タヌキの溜め糞を注意深く見て回ると、メタリックに輝く微小のハエを見つけました。

翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

ただし、体型が違うので別種かもしれません。

この記事の映像に写っているのも、蜂ではなくハエの可能性が高そうです。



2021/08/10

飛べ!ギンモンシマメイガ:室内に発生した寄生蛾の謎【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年5月中旬〜下旬・午後・ 

美しく珍しい蛾を室内で見つけました。 
2頭のギンモンシマメイガPyralis regalis)が天井近くの白壁に止まっていたのです。 
翌朝になると居なくなっていました。 
夜行性らしく、消灯すると活発になり、どこかに飛び立ったようです。 
その後も数日おきにぽつぽつと計4頭のギンモンシマメイガが現れました。 (一部は重複してるかも)
本種の成虫出現月は夏(7〜8月)とされているので、どうやら暖かい室内で季節外れに羽化した個体と考えられます。 

メイガ科らしく、いつも腹端を反らせた海老反り姿勢で静止していました。 
これはコーリング中の♀なのかな?
関連記事(6年前の撮影)▶ ノシメマダラメイガ♀(蛾)の性フェロモン放出:コーリング
白色LEDの照明を近づけても逃げません。 
蛾にしては美麗種だと思うのですが、室内でただじっとしているだけの蛾を撮っても動画ブログのネタとしてあまり面白くありません。 
飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:38〜) 
壁や天井に止まっているギンモンシマメイガにそっと触れると、準備運動なしにすぐ羽ばたいて飛び去りました。 

ギンモンシマメイガ♀はスズメバチの巣に産卵し、孵化した幼虫はスズメバチの巣を食い荒らして育つことが知られています。
▼関連記事(12年前の撮影) 
コガタスズメバチの巣に寄生する蛾の幼虫 
コガタスズメバチの巣から羽化したギンモンシマメイガ(蛾)
半年前に採集したコガタスズメバチの古巣を標本としてこの部屋に保管しておいたので、今回の発生源として心当たりがあるのはそれです。 
営巣木テマリカンボクの枝ごと採集した巣の中に危険なコガタスズメバチ成虫が残っている可能性があったので、巣を丸ごと冷凍庫に数時間入れて凍結処理しました。
▼関連記事(半年前の撮影) コガタスズメバチの巣を晩秋に採集したら中から蜂が出てきた!【暗視映像】
これで巣内の虫はすべて凍死させたはずなのに、寄生蛾ギンモンシマメイガの幼虫/蛹は生き延びたことになります。 
雪国に生息するギンモンシマメイガの越冬態は低温耐性が強いのでしょうか。 
スズメバチの巣内は断熱効果の高い多層の外皮で守られているので、内部まで十分に冷えなかったのかもしれません。 
その後、古巣を長期保存するために外皮の表面にクリアラッカーを繰り返し塗布しました。
有機溶剤は昆虫に毒性があるはずですが、巣内には浸透しなかったのでしょう。
関連記事(手法の説明)▶ コガタスズメバチの古巣に防腐剤処理して保存
その後は本来ならナフタレンなどの防虫剤と一緒に密閉容器に入れてコガタスズメバチの古巣を保管すべきだったのですが、納戸に放置したままでした。(密閉せず開放状態) 
春になって暖かくなり、寄主の古巣からギンモンシマメイガの成虫が続々と羽化してきたのだろう、と推理しました。

つづく→発生源と疑われるコガタスズメバチ古巣標本の内部を調べてみると…。 


2021/06/26

ヤドリギに寄生された桜の花で吸蜜するヒヨドリ(野鳥)

 

2021年4月中旬・午後15:15頃・晴れ
前回の記事(3ヶ月前の撮影)▶ ヤドリギに寄生された桜の木に来たツグミ(冬の野鳥)
ソメイヨシノに寄生するヤドリギの定点観察に来てみると、宿主の桜は花盛りで満開に咲いていました。 
ソメイヨシノは花が散るまで若葉はほとんど芽吹かないので、花期に常緑のヤドリギは樹上でよく目立ちます。 

ヒヨドリHypsipetes amaurotis)が桜の花蜜を吸いに来ていました。 
正当訪花するヒヨドリの嘴は花粉でオレンジ色に汚れています。 
したがって、ヒヨドリは桜の受粉を媒介していることになります(鳥媒花)。 
ヒヨドリと桜の組み合わせは春の風物詩で、珍しくはありません。 
今回は寄生植物ヤドリギも一緒に撮れたことで、一味違う動画になりました。

2021/05/16

ヤドリギに寄生された桜の木に来たツグミ(冬の野鳥)

 

2021年1月下旬・午後13:45頃・くもり 

道端に立つソメイヨシノの樹上に冬鳥のツグミTurdus eunomus)が居ました。 
少量の糞を排泄すると、なぜか足元の枝に嘴を頻りに擦り付けました。(@0:29) 
鳥が食後によくやる行動なのですが、この場合は場違いなので、カメラを向けている私に対する苛立ちから来た転移行動かもしれません。 
しばらくするとツグミは飛び去りました。 
脱糞および飛び立ちの瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
映像に写っていませんが、実は同じ桜の木の少し離れた枝にツグミがもう1羽いました。 
動画で聞こえる鳴き声は、その別個体が発しているようです。 
(※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。) 

カメラのバッテリーが切れてしまい、私が慌てて交換している間に2羽のツグミが軽く小競り合いになりました。 
交尾のように見えたのですが、ツグミは真冬に交尾しますかね?? 
動画に撮り損ねたのは残念です。 

ツグミが来ていたソメイヨシノには落葉した枝の中で青々と茂った葉が鞠のように育っていました。 
ズームインしてみると、寄生植物のヤドリギでした。 
厳冬期にヤドリギを間近で見れたのは初めてです。 
常緑の葉は意外にも色あせていました。 
今年の冬は雪が多いので、日照不足や低温障害なのかもしれません。 

▼関連記事

冬になるとヤドリギの果実(液果)を野鳥が食べに来て、脱糞することで種子散布に貢献しているという話が有名です。 
今回もツグミはヤドリギの実を目当てに来たのかと思ったのですが、撮影アングルを変えながらヤドリギにいくらズームインしても果実は全く見当たりませんでした。 
鳥に全て食べつくされてしまった後なのかな? 
調べてみると、ヤドリギは雌雄異株らしいです。 
今回見つけたヤドリギが雄株なら、実がならないのは当然です。 
雌株だけでも受粉できなければ、結実しません。 
つまり宿主となる1本の樹木に複数のヤドリギ(しかも雄株および雌株)が寄生しなければ、ヤドリギは結実できない(子孫を残せない)ことになります。 
定点観察に通って、桜を宿主とするこのヤドリギ個体の季節変化を追うことにします。 

※ 動画編集時にコントラストではなく彩度を少し上げました。


【追記】
日本には居ない鳥らしいのですが(まれに迷鳥)、ヤドリギツグミというツグミ科の種がいるそうです。
好物であるヤドリギの実がなった株を縄張りとして防衛し、種子散布に貢献することでヤドリギと共生関係にあるそうです。(詳しくは英語版wikipediaを参照)

2021/04/26

寄主アカタテハの蛹から羽化した寄生蜂の群れ【名前を教えて】

 

アカタテハの飼育記録#14 


今季はカラムシの群落で見つけたアカタテハVanessa indica)の垂蛹を計4頭採集し、室内で飼育してきました。 
そのうち3頭a-cは無事に成虫が羽化したものの、残る1頭dは蛹の時点で異常でした。 
しつこく蛹をつまんだりしても全く無反応だったので、体内寄生されているだろうと予想しました。
▼前回の記事(24日前の撮影) 
アカタテハ蛹の体内寄生チェック

2020年11月中旬・午後 

被寄生アカタテハ垂蛹dを密閉容器(直径10cm、高さ8cmの円筒容器)に隔離して放置していたところ、ようやく予想通り微小な寄生蜂の成虫が多数羽化していました。 
羽化の前兆が全く分からなかったので、その瞬間を動画に記録できなかったのが心残りです。 
寄主のアカタテハ垂蛹に黒くて丸い穴が一つ開いています(脱出孔)。 

寄生蜂はかなり微小で全身が黒光りしていて、脚だけが黄土色。 
素人目にはずんぐりむっくりの体型に見えます。 
触角もコマユバチと比べて短いようです。 
腹面から接写しても腹端に産卵管も見えないのが不思議です。(♂だから?) 

寄主の蛹に産卵する殺傷型内部捕食性多寄生蜂のようです。 
可能性は低いものの、高次寄生蜂(寄生蜂に寄生する蜂)かもしれません。 
寄生蜂の終齢幼虫が寄主の外に脱出して繭を紡ぐことはしなかったので、コマユバチ科ではありません。 (寄主アカタテハの蛹を解剖したら内部に寄生バチの繭が多数残されているのかな?) 

表面が汚れている透明プラスチック容器越しに撮ったので、やや不鮮明な映像です。 
(予め容器の蓋を外して代わりに薄いサランラップを張っておくべきでした。) 
立ち止まって身繕いしている個体がいました。 
しかし容器内を飛び回る個体は見当たりませんでした。 

昼行性なので当然ながら正の走光性があり、照明(白色LEDのUSBリングライト)の光に向かって画面の左上に進みます。 
その結果、明るい照明に向いた容器壁面に寄生蜂は集結していました。 
円筒容器をくるくる回すと、寄生蜂は光が射す方向に歩いて移動し、再集合します。(走光性の実演) 
このとき交尾している♀♂ペアが居たのに気づきませんでした。(@1:40:画面中央) 

森昭彦『イモムシのふしぎ:ちいさなカラダに隠された進化の工夫と驚愕の生命科学』という本でアカタテハについて調べると、
 アカタテハは寄生率がとても高く、4齢から終齢に育ったころ、ちいさなハチの子が20〜30匹もでてくる。(p170-171より引用)
残念ながら寄生蜂の名前(学名)を正確に記されていませんでした。 
ただし、今回私が観察した寄生蜂はアカタテハの幼虫ではなく蛹から成虫が出てきたので、この本の記述とも違いますね。 

寄生蜂の種類を同定してもらうために、容器内に多数残された寄生蜂の死骸を接写して写真を掲載する予定です。 
(動画の整理で忙しく、なかなか手が回りません…。) 
肉眼では黒色に見えたのですが、写真を撮るためにストロボを焚くと体表が金属光沢の緑色(構造色のメタリックグリーン)に輝くようです。
少なくとも羽化した個体数と性比ぐらいはしっかり調べるつもりです。 
寄生蜂の成虫の翅脈を接写すれば、ヒメバチ科かコマユバチ科か簡単に見分けられるのだそうです。 

今のところ何の根拠もありませんが、素人のあてずっぽうでコガネコバチ科のアオムシコバチ(Pteromalus puparum)の仲間かな?と勝手に予想してみました。 
ただしアオムシコバチの寄主はシロチョウ科およびアゲハチョウ科と書いてあり(『狩蜂生態図鑑』p148)、タテハチョウ科は含まれていなかったので、おそらく別種と思われます。 (※追記参照)
そもそもアカタテハの幼虫はいわゆる「アオムシ型」ではありません。 

Information Station of Parasitoid Waspsサイトで寄主から検索しても、アカタテハは今のところ登録されていませんでした。 

※【追記】
英語版Wikipediaではオーストラリアに産するタテハチョウ科のVanessa iteaに蛹寄生する蜂の一例としてアオムシコバチ(Pteromalus puparum)が上げられていました。
どうやら寄主選択性が低く、タテハチョウ科にも寄生できるようです。

シリーズ完。

2021/04/22

寄生植物ホザキヤドリギの黄色く熟した果実(宿主ハンノキ)

 

2020年12月上旬・くもり 

里山の山腹で、とある落葉樹の枝に見慣れない黄色くて丸い実が多数なっていました。 
蔓植物ツルウメモドキの未熟果にしては実の付き方が不自然です。 
枝に塊状に局在しているため寄生植物のヤドリギかな?と思ったものの、ヤドリギの葉は確か常緑で冬でも青々と葉が茂っているはずです。 
今回見つけた寄生植物は、なぜこれほど葉が少ないのか、不思議でなりません。 
栄養を葉の光合成に頼らない寄生植物は、葉が少なくても(ほとんど無くても)これほど大量の実を作れるのかな? 

寄主(宿主)となった樹木は完全に落葉していましたが、ハンノキと判明しました。 
来春に咲く花序の冬芽と熟した果穂が枝に残っています。 

山渓ハンディ図鑑『樹に咲く花―離弁花〈1〉』という本格的な植物図鑑で調べてみたら、ヤドリギの次にホザキヤドリギ(穂咲き宿り木)という別種の植物が掲載されていました。(p362) 
「中部地方以北に分布し、ヤドリギの仲間ではもっとも寒冷地に適応した種類」らしく、寄主植物のリストにハンノキが含まれていました。 
果実は液果で、10〜11月に淡黄色に熟すのだそうです。 
更にインターネット検索で調べると、常緑のヤドリギ(ビャクダン科)と異なり、ホザキヤドリギ(オオバヤドリギ科)は冬に落葉するのが特徴なのだと知りました。 
科レベルで違う別種なのに、寄生植物としてここまで収斂進化するとは驚きです。 

謎の寄生植物の正体がずっと分からず、気になったまま春まで放置していました。 
すぐに調べてホザキヤドリギと知れば、冬の間に定点観察に通って、鳥が熟果を食べに来る様子(鳥による種子散布)を観察したかったです。 
見つけた日は辺りに鳥を1羽も見かけませんでした。 
果実が赤く熟すまで鳥は食べに来ないのかと思ったら、ホザキヤドリギは黄色が熟果の色なのだそうです。 
せめて樹の下に黄色い落果を拾いに行って、果肉に粘り気があることを確認すべきでしたね。 

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