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2023/06/22

溜池で単独打水産卵するシオカラトンボ♀?

 



2022年8月上旬・午前10:30頃・晴れ  

大雨が降った後で満水になった溜池でカワウPhalacrocorax carbo hanedae)を撮影していると、右から白っぽいトンボが飛来しました。 
水面スレスレの低空飛行でやって来たトンボが水面に浮く草に腹端をチョンと付けて飛び去りました。 
産卵行動のようです。 
すぐにまた戻って来て、同様の産卵をあちこちで繰り返します。 
水面そのものではなく、水面に浮く植物に狙いをつけて卵を産み付けていることから、正確には単独打水産卵とは呼べなさそうです。  

このトンボ♀の名前は何でしょう?
やや遠くてしっかり見えなかったのですが、腹部が白いトンボと言えばシオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum)ですかね? 
しかし、シオカラトンボ♀の腹部は茶色い麦わら模様のはずです。 
 図鑑『日本のトンボ』でシオカラトンボの産卵様式について調べると、一応合致します。

・♀は単独で、腹端で水をかき、卵とともに前方に飛ばす。♂はその間、付近を飛んで警護することが多い。 
・時おり♂型の♀が出現する。通常の♀も老熟すると薄く白粉を吹くが、それとはまったく異質のもの。 (p471より引用)

我田引水ですが、今回の産卵個体は♂型の腹部全体が白いシオカラトンボ♀だとすれば説明できそうです。 
ただし、産卵する♀の周囲で警護する♂の姿は見当たりませんでした。

池の水面をのんびり遊泳するカワウは、単独打水産卵するトンボには目もくれませんでした。 
魚食性のカワウがトンボを獲物として認識しないのは、当然でしょう。 

2023/03/07

タヌキの溜め糞に集まり産卵するツヤホソバエ科の一種【名前を教えて】

 

2022年9月中旬・午後13:40頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の稜線(尾根道)に残した溜め糞場cに様々なハエ類が群がっています。
去年からの懸案だった謎の微小昆虫が何匹も集まっていたので、カメラにマクロレンズをいそいそと装着して接写してみました。 
三脚なしの手持ちカメラだと無理な体勢を強いられ、長時間の接写は疲れて無理でした。 
一緒に来ていたハネフリバエ科Euxesta属のハエとは明らかに別種と私でも分かります。 

翅は透明ですけど、全身が美しい金属光沢の構造色で覆われています。 
特に腹部は見る角度によって赤紫や鈍い金色に輝き、とても綺麗です。 

透明な翅の先端付近(前縁)に黒いシンプルな斑紋(縁紋?)あります。 
その翅紋を誇示するように広げた翅を振り立てることもありますが、Euxestaほど熱心ではありません。 
歩行中も白い平均棍を上下にピコピコと動かしています。 

白くて細長い卵を腹端から出し入れしている個体がいました。 
立ち止まると後脚を擦り合わせて身繕いを始めました。 
せっかく♀が産卵しそうだったのに、なぜか私は撮影を中断してしまいました。 

糞塊の上をとにかく忙しなく歩き回るので、口吻を伸ばして獣糞を吸汁するシーンが上手く接写できませんでした。 
同種のハエ同士が糞上で頻繁にニアミスするものの、もう少しズームアウトしないと求愛や闘争などの相互作用が撮れません。 

さて、このハエの名前は何でしょう? 
ときどきお世話になっている「みんなで作る双翅目図鑑サイト」の画像一括閲覧ページを眺めてみると、似た写真に「ツヤホソバエ科Sepsis sp?」とキャプションが付いてました。 
ツヤホソバエ科Sepsis」で改めて検索すると、フッカーSさんのブログ記事がヒットしました。 
翅の外縁あたりに1対の小黒点がある、スリムな体型のハエ。頭部は丸い。 翅に小黒点があるツヤホソバエといえば、Sepsis属のヒトテンツヤホソバエ(Sepsis monostigma)がよく知られているが、Sepsis属で翅に黒紋があるものは10種類くらいおり、安易にヒトテンツヤホソバエとは判断出来ない。 (ツヤホソバエ科の一種 @東京23区内の虫 2 より引用)
今回私が撮ったハエも、とりあえずSepsis sp.としておきます。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。
昨年は通常レンズでしか撮れず、ハエなのかハチなのかさえ見分けられませんでした。
微小な寄生蜂なのかと思い込んでいたぐらいです。
この謎の虫をなんとか接写したいがために、今季は頑張ってタヌキの溜め糞をひたすら見て回っていたと言っても過言ではありません。
手ブレの酷い動画ですけど、これで一歩前進です。




【追記】
平凡社『日本動物大百科 (9)昆虫II』を紐解くと、ツヤホソバエ類に関する詳細な解説が載っていました。
 ツヤホソバエ科は小型で体の細いハエで、アリに似ていることから英語でant fly、地上では翅を頻繁に動かすことからドイツ語でSchwing Fliegenと呼ばれている。
 日本全国に分布し、11属35種が知られる。(中略)
翅の先に黒い点状の斑紋をもつものが多い。
 成虫は(中略)あらゆる環境に生息し、動物、家畜の糞、堆肥、腐肉など、広く腐敗物によく集まり、(中略)花を訪れるのは吸蜜するためである。(中略)幼虫はほとんどが糞食性または腐食性で、成虫が集まる糞や腐敗物に発生するが、なかには泥に発生するものもいる。
 卵は白く、長楕円形で、大きさは0.7〜1.5mm、ほとんどが卵の長さの何倍もある呼吸管をもっている。卵は少なくとも2日以内に1齢幼虫となる。(中略)幼虫は、糞や腐敗物を食べて成長し、発生源の内部または下の土中で蛹になる。
 ツヤホソバエ類の成虫の行動でもっとも特徴的なものは、求愛行動と繁殖戦略である。とくにSepsis属の多くの種の交尾行動は新鮮な牛糞上で起きる。♀を探索する♂は、牛糞周辺で活発に活動し、翅を頻繁に動かしたり、腹部を上下に動かすなどして、牛糞に飛来した♀をつかまえる。そして♀の体の上に乗り、そのまま牛糞上を移動して歩き、♀が産卵しているあいだ、交尾器の接触を試み、ほかの♂に侵略されそうになると翅を頻繁に動かして反応する。♀が成熟卵を産み付けたのち、ペアは牛糞から離れ、一般には交尾は成立するが、♀に拒否されることもある。交尾は約20分ほど続く。このように、最初の産卵の後の交尾によって受精が起きる。最初の産卵における受精については正確にはわかっていない。
次に機会があれば、Sepsisの繁殖行動をじっくり観察してみたいものです。

産卵シーン?

2022/12/27

ハリギリ倒木の幹の縦溝に産卵するミカドフキバッタ♀の群れ

 

2022年8月中旬・午前9:30頃・くもり 

里山でハリギリ(別名センノキ)の巨木が冬の大雪のため山腹に倒伏しました。 
その倒木にミカドフキバッタ♀(別名ミヤマフキバッタ;Parapodisma mikado)が集まって産卵していました。 
ハリギリの樹皮に特有の深い縦溝にミカドフキバッタ♀は腹端を突き刺した状態で静止しています。 

巨大な倒木のあちこちで(見える範囲で)計3匹も産卵していたので、産卵基質としてよほど気に入ったようです。 
フキバッタ類がハリギリの葉を食べるという話は見聞きしたことがありません(幼虫の食樹ではない)。 
樹皮の縦溝の中は適度な湿り気がありますし、冬に深い雪に埋もれても卵が無事に越冬できる安全な場所なのでしょう。 
土中に産卵するよりも卵が捕食される可能性が低そうです。 
倒木ではなく生きた状態のハリギリにもフキバッタ♀が木登りして樹皮の縦溝に産卵することはあるのでしょうか? 
ネット検索すると、「枯れ木や朽ち木に産卵します」と書いてあるサイトがヒットしました。
別のサイトでは「ミカドフキバッタは隙間に産卵することが好きみたいだ。木道の隙間、タイルの隙間の土、樹木の隙間で産卵するのを見たことがある」との記述がありました。
初めて見た私はちょっと驚いたのですが、ミカドフキバッタ♀では別に珍しい産卵行動ではないようです。

関連記事(13年前の撮影@砂利道)▶ フキバッタの産卵(未遂)

後半は通常マクロモードに切り替えて接写してみました。 
産卵中の♀にレンズをそっと近づけただけで2匹は警戒し、跳んで逃げました。 
フキバッタの仲間は翅が退化していますから、成虫でも飛ぶことが出来ません。
残る1匹は産卵に没頭しており、私が指で後脚に触れても逃げませんでした。 
産卵行動にも段階がありそうです。 

3匹ともハリギリ幹の縦溝に腹端を突っ込んでいたので、その行動から♀だろうと勝手に判断しました。 
逃げた2匹はもしかすると、交尾相手の♀を待ち伏せしていた♂という可能性もありますかね? 
私には外見で性別を見分けられませんでした。 


2022/11/14

山中の池でトレイルカメラが捉えたオニヤンマ♀の産卵

 

2022年7月下旬・午後14:35頃・晴れ
前回の記事:▶ 山中の池でトレイルカメラが捉えたオニヤンマ♂の縄張り巡回飛翔

山中の泉をトレイルカメラ(無人センサーカメラ)で監視していると、オニヤンマAnotogaster sieboldii)が飛来しました。 
池の上空を低く飛んでから、池の奥の端でホバリングしながら腹端を水面にチョンチョンと2回ひたしました。 
てっきりいつもの♂による縄張り占有飛翔かと思いきや、今回は♀の単独打泥産卵でした。
その後は奥に見える林道を左へ飛び去りました。 

オニヤンマ♀が産卵した地点は、湧き水が溜まった池から流れ出る水路になっています(沢の源流)。 
その浅い水底に卵を産み付けたようです。
▼関連記事(11、13年前の撮影) 
オニヤンマ♀の挿泥飛翔産卵 
オニヤンマ♀の連続打水産卵
せっかくオニヤンマ♀が珍しく水場に飛来したのに、いつもは縄張りをパトロールしている♂が肝心なときに不在でした。 
オニヤンマ♂が♀に飛びかかって交尾を始める決定的瞬間が撮れるチャンスだったのに、残念です。 
オニヤンマ♀♂は交尾後に尾繋がりにならない(連結飛翔しない)ので、♀は単独で産卵しないといけません。 
そのとき♂に見つかると再び交尾を迫られて、貴重な産卵時間を無駄にしてしまいます。 
しつこい♂のハラスメントを回避するために、オニヤンマ♀は♂が居ない隙を狙って素早く産卵するようになったのでしょう。



2022/10/06

腐朽材に産卵するヨツスジハナカミキリ♀

 

2022年7月中旬・午後12:50頃・晴れ 

里山の湖畔に朽ちた丸太が並んでいました。 
伐採した枯木を玉切りにして一箇所に集めた木場のようです。 
そこへヨツスジハナカミキリ♀(Leptura ochraceofasciata)が飛来しました。 
(映像はここから。) 

長い触角で辺りを探りながら腐朽材の上をせかせかと歩き回り、立ち止まると腹端から産卵管を伸ばしました。 
産卵行動を始めたようです。 
初めは撮影アングルがいまいちだったのですが、ヨツスジハナカミキリ♀が少し歩いて移動してくれたので、産卵管がよく見えるようになりました。 
尖った産卵管を腐朽材に突き立ててグリグリ動かし、刺しています。 
♀は腐朽材のあちこちで産卵を繰り返していました。 
本種の産卵行動を観察するのは初めてです。

産卵を終えたヨツスジハナカミキリ♀が再び丸太の上を徘徊し始めました。 
急に鞘翅をパカッと広げると、飛び立ちました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
私に向かって飛んできたので、咄嗟に手掴みしたら、あっさり捕獲することができました。
体長はXmm。 

鈴木知之『新カミキリムシハンドブック』でヨツスジハナカミキリを参照すると、
成虫は6〜8月に出現し、本州では両部やノリウツギ(中略)の花を訪れる他、朽ちた広葉樹の立ち枯れや倒木にも集まる。幼虫は腐朽材を食べて成長する。腐朽タイプを問わず、褐色腐朽材・白色腐朽材のどちらからも見つかる。幼虫で越冬し、春に材内で蛹化・羽化する。(p41より引用)
ちなみに、オオヨツスジハナカミキリという別種がいるらしい。 
ヨツスジハナカミキリとは別属で、幼虫の食樹が違います。 
今回の現場の周囲は雑木林で、スギやアカマツ以外の針葉樹(モミなど)を見かけたことはありません。


鈴木知之『朽ち木にあつまる虫ハンドブック』を紐解くと、「白色腐朽材内のヨツスジハナカミキリの前蛹」と題した写真が掲載されていました。
一般に朽ち木は、外見の色や状態によって3つに区別できます。腐朽タイプのちがいによって、それを利用する昆虫の種は微妙に異なります。(中略)

 

白色腐朽(白腐れ)
 白色腐朽菌には、カイガラタケやカワラタケなど多くの担子菌や、マメザヤタケなどの子嚢菌が知られています。広葉樹を腐朽させるものが多く、リグニンも分解するため、腐朽材の色は白っぽくなります。 (以上、p3より引用)

2022/09/24

夜の池畔で産卵するガガンボ♀【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2022年7月上旬・午後22:12・気温23℃ 

山中の泉を自動撮影カメラ(トレイルカメラ)で監視していると、画面の左下で ガガンボの一種♀が忙しなく脚の屈伸運動を繰り返していました。 
岸辺の崖または落枝の表面に産卵しているようです。 
ガガンボ♀は昼間だけでなく夜も産卵するのですね。 
産卵シーンの全身がしっかり写ってないのが残念です。

関連記事(1、6、14年前の撮影)▶  
ガガンボ♀の打泥産卵飛翔【HD動画&ハイスピード動画】名前を教えて 
苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】 
地面に産卵するガガンボ♀

その間、夜行性のコウモリ(種名不詳)が水面すれすれを低く飛び回り、着水した瞬間に水を飲んでいます(水浴?)。 
岸辺で目立つ動きをしている(産卵中の)ガガンボ♀がコウモリに捕食されるのではないか?と予想したのですが、無事でした。
コウモリの超音波エコロケーションでは小さなガガンボの存在を検知できないのか、それとも獲物として小さ過ぎるなどの理由で見逃されているのでしょうか?

ところで、此岸付近の水中をよく見ると、黒いオタマジャクシ(アズマヒキガエル?の幼生)がときどき尾を左右にくねらせて遊泳しています。 
昼間は捕食されないよう左岸に密集していたオタマジャクシは、夜になると池の中で分散するようです。
関連記事(同時期の撮影)▶ 山の泉で育つオタマジャクシの大群をすくって見る

2022/03/07

食草の葉表に次々と産卵するスジグロシロチョウ夏型♀

 

2021年8月下旬・午前9:20頃・晴れ  

山麓の沢沿いの湿った山道でスジグロシロチョウの夏型♀(Pieris melete)が産卵していました。 
わだちが水浸しになった山道を低空で飛び回っています。 食草(おそらくアブラナ科)の葉に止まると直ちに腹部を前方に少し曲げ、葉表に産卵しました。 
白い卵を1粒ずつ産みつけています。 
スジグロシロチョウ夏型♀は産卵を続けて疲れたのか、道端で倒伏した植物(草刈りした後)に止まって休みます。 
翅を半開きで日光浴する間に翅表の斑紋からスジグロシロチョウと判明しました。 
しばらくすると、産卵活動を再開しました。 
山道を低空で忙しなく飛び回り、あちこちで食草の葉に触れてチェックすると1粒ずつ産卵して回ります。 

産卵行動で気づいた点としては、 
・食痕がある葉も避けない。(@1:25) 
・必ず葉表に産み付ける。 
シロチョウ類の♀は食草の葉裏に産卵するというイメージを私は持っていたので、その点はとても意外でした。 
関連記事(11年前の撮影@同所:葉裏に産卵)▶ スジグロシロチョウ♀の産卵
今回のように食草が若くて背丈が低い場合は、葉表に産卵するのかな? 
食草の植物に花が咲いていなかったので、種類を同定することができませんでした。 

こんなに目立つ葉表に無防備に産卵して大丈夫なのかと心配になります。 
天敵(捕食者・寄生者)対策は特に何もしていないようですけど、大量の卵をあちこちに分散して産みつける戦略なのでしょう。 
気温の高い真夏は産卵後すぐに孵化するのかもしれません。

食草1株に卵を1個だけ産むのは、孵化した幼虫同士の競合・共倒れを避けるためと思われます。 
かなり若い葉でも気にせず産卵していたのですが、幼虫が食べ尽くして食草不足になったら群落内を自力で移動するのでしょう。

食草ごと卵を採集し、飼育したかったのですが、他にもあれこれ手を広げ過ぎていた私には余力がありませんでした。 

2022/01/06

林床で落ち葉に産卵するオオウラギンスジヒョウモン♀

 

2021年9月下旬・午後13:05頃・くもり 

里山の明るい林床でオオウラギンスジヒョウモン♀(Argyronome ruslana)が産卵していました。
関連記事(3年前の撮影@9月下旬)▶ オオウラギンスジヒョウモン♀の産卵(田んぼの畦道でイネ科の枯草に産卵)

本種の幼虫の食草はスミレ類なのですが、母蝶は緑の下草ではなく、あちこちの枯れ葉や落ち葉の表面に卵を1個ずつ産みつけています。 
卵で越冬してから翌春に孵化した幼虫が自力でスミレを探し歩くのでしょう。 
蝶にしては珍しくスパルタ放任主義です。
(オオウラギンスジヒョウモンの)産卵は食草近くの他物に1卵ずつで、北海道では食草と無関係な樹木の葉上に産卵した報告がある。産付された卵はそのままの状態で越冬するが、一部秋に孵化して幼虫で越冬するのではないかとも思われる。(保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIIチョウ類編(1972)』p213より引用)

2021/12/30

スキバツリアブ♀が山道で産卵前の尾端接地行動【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年9月中旬・午後15:30頃・晴れ 

里山の登山道の乾いた地面にスキバツリアブ♀(Villa limbata)が腹端を擦りつけていました。 
産卵前に砂粒を体内に取り込んで、予め卵の表面を砂でまぶしておくのだそうです。 
この行動を見れたのは、これが3回目です。
関連記事(1、13月前の撮影)▶  
スキバツリアブ♀が砂利道で産卵前の尾端接地行動【HD動画&ハイスピード動画】 
スキバツリアブ♀:産卵前の尾端接地行動
少し飛んではあちこちで何度も尾端接地行動を繰り返すので、実はこれが産卵行動ではないか?と私は少し疑いを抱きました。 
今回の♀個体が腹端をグリグリと擦りつけていた地点は日向の乾いた地面でいかにも硬そうです。 
こんな場所に産卵するはずがないと納得しました。 
撮影直後に掘り返すと卵を採集できるかな? 
念のために、来季(春?)はこの場所に寄主となるコハナバチ類やヒメハナバチ類のコロニーがあるかどうか、確かめに行くつもりです。 (私は無いと予想しています。)

ツリアブ類はホバリング(停空飛翔)の名手ですが、着地している間は羽ばたきを止めていました。 
地面から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:22〜) 

スキバツリアブ♀の産卵行動を観察してみたいものですが、飛びながら空中で卵を撒き散らすだけだとしたら、ただの(高速)飛翔と区別がつかないのかもしれません。

2021/12/02

タヌキの溜め糞に来た謎の微小な寄生蜂?【名前を教えて】

 

2021年8月下旬・午後15:10頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が山道に残した溜め糞に来る昆虫を観察していると、撮影中は全く気づかなかったのですが、微小な蜂が動画に写っていました。 

シーン1: 
画面右上でメタリックカラー(構造色)に輝く微小な蜂が思わせぶりに活動しています。 
糞の上に止まって羽ばたきながら何かしています。 

シーン2: 
タヌキの溜め糞の横で身繕いしているニクバエの一種を撮っていると、画面左上で同一個体と思われる例の微小な蜂が写っていました。 
やはり溜め糞上で何やら活動していて気になります。 

これは寄生蜂の一種なのでしょうか? 
なんとなく、腹端を突き立てて産卵しているように見えました。 
寄主はハエの卵ではないかと想像しています。 
「タヌキの溜め糞に来るメタリックカラーの微小な蜂」をネット検索しても情報がありません。
もしかして、蜂ではなくハエ(双翅目)の仲間ですかね?
小さ過ぎて翅の枚数は数えられませんが、腰がくびれていることから蜂ではないかと予想しました。(双翅目でも蜂にベーツ擬態して腰がくびれた種類がいます。)
これの正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、名前を教えて下さい。

以前、別のタヌキ溜め糞でも謎めいたメタリックカラーの微小な寄生蜂を見かけています。 
このときはキバネセセリ成虫を寄主としているのではないか?という大胆過ぎる仮説を立てました。
関連記事(1月前の撮影)▶ 獣糞で吸い戻し中のキバネセセリ♂の翅に寄生蜂が産卵?!
次にタヌキの溜め糞で金属光沢に輝く微小蜂を見つけたら、同定のために採集してみるつもりです。 
しかし捕虫網を振り回すと、まず間違いなく獣糞で捕虫網を汚しそうなのが嫌ですね。 
だからこそ、今まで誰も注目してこなかった(報告がない)のでしょう。 
マクロレンズで接写したくても、ヒトの気配で蜂はすぐ逃げてしまいそうです。 

【追記】
翌年、注意してタヌキ溜め糞を見て回ると、メタリックに輝く微小昆虫の正体はハエでした。

したがって、この記事の映像に写っているのも寄生蜂ではなさそうです。
ただし、体型が違うので別種のようです。

2021/11/15

スキバツリアブ♀が砂利道で産卵前の尾端接地行動【HD動画&ハイスピード動画】

 

2021年8月下旬・午前8:40頃・晴れ 

山道を登り始めたばかりの地点でスキバツリアブ♀(Villa limbata)を発見。
砂利道の上を超低空でホバリングしています。 
夏の強い日差しを浴びて、羽ばたく影もはっきり見えます。 
着地すると腹端を曲げて地面に擦りつけます。 
その間は羽ばたきを止めていました。 
ツリアブの仲間は産卵前に♀が腹端の砂室に砂粒を取り込んで卵を予め砂でまぶしておく習性があるらしい。 
尾端接地行動を何度も繰り返してから山道の小石の上で少し休み、すぐにまた飛び去りました。 

関連記事(1年前の撮影)▶ スキバツリアブ♀:産卵前の尾端接地行動

スキバツリアブ♀の尾端接地行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:11〜)
 腹端を地面に擦りつけながら体を左右に細かく揺らしていました。 
砂地を腹端でグリグリと掘っているようにも見えます。 

離陸後は空中で左右の脚を擦り合わせています。 
ホバリング中は後脚を腹部よりも高く斜めに上げて飛んでいる姿勢が面白く思いました。 
地上スレスレでホバリングすると、小さな砂粒や落ち葉の欠片が吹き飛びます。 

1匹の♀が尾端接地行動中に背後から同種の別個体が飛来しました(@4:25)。 
交尾を挑まずにそのまま通り過ぎたので、2匹目も♀だと思われます。 
同種の♀が集団で集まり尾端接地行動するのかな? 
現場は日当たりの良い林縁なので、もしかすると寄主の集団営巣地が近く、寄生性のスキバツリアブ♀にとって産卵適地なのかもしれません。 
しかし私にはこの山道でコハナバチ類の集団営巣地を見つけることは出来ませんでした。 

※【追記】 
諸先輩方のブログなどでは「尾端接触行動」と呼んでおられますが、何に接触するのか曖昧なので、「接地行動」と呼ぶことを勝手ながら提唱します。

 

2021/10/23

エゾクロツリアブ♀:産卵前の尾端接地行動?

 

2021年7月下旬・午前11:40頃・晴れ 

里山で砂利の敷かれた山道をエゾクロツリアブ♀(Anthrax jezoensis) が低空で忙しなく飛び回っていました。 
短い出会いを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
地面に繰り返し産卵しているのかと撮影中は思いました。 
しかしエゾクロツリアブの寄主は借坑性のマメコバチOsmia cornifrons)とのことで、だとすればこんな不毛の砂利道なんかに営巣するはずがありません。 (※追記参照)
山麓の果樹園まで下れば、大量のヨシ筒束がマメコバチの巣として用意されています。
関連記事(3ヶ月前の撮影)▶ リンゴ園でヨシ筒の巣箱に出入りするマメコバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】
寄主の巣への産卵行動でなければ、産卵前の尾端接地行動かもしれません。 
この仲間のツリアブは産卵前に、卵がべたつかないように予め砂粒でコーティングするのだそうです。 
そのために腹端を砂やゴミなどに擦り付ける行動をするらしく、「sand chamber」と呼ばれる部位に砂を貯えておくらしい。
他の方のブログでは「尾端接触行動」と呼んでおられますが、「接触行動」では曖昧なので、「接地行動」と呼ぶことを素人ながら勝手に提唱します。 
関連記事(1、9年前の撮影)▶  
スキバツリアブ♀:産卵前の尾端接地行動 
ビロウドツリアブ♀がホバリング飛行しながらお尻を地面にチョンチョン
動画撮影の直後に私の履いていた迷彩柄のズボンにしばし止まってくれました。 
前翅の特徴的な黒紋からエゾクロツリアブ♀と判明したのです。

※【追記】 
別の可能性として、エゾクロツリアブの寄主はマメコバチに限らないのかもしれません。
掘坑性のコハナバチやヒメハナバチの巣ならこういう山道にあっても不思議ではありません。
だとすれば、今回のエゾクロツリアブ♀は寄主の巣に産卵していたのでしょう。
見下ろすアングルだけでなく、横からも撮影したいところでした。


2021/10/18

ガガンボ♀の打泥産卵飛翔【HD動画&ハイスピード動画】名前を教えて

 

2021年7月下旬・午前7:50頃・晴れ 

里山の細い山道の傍らでガガンボの一種♀が飛びながら産卵していました。 
山道の谷側は斜面に杉が植林されていて、その下には渓流が流れています。 
逆の山側は雑木林の斜面になっていました。 
ガガンボ♀が産卵していたのは山側の道端で、かなりジメジメした林縁の環境です。 
ガガンボ♀は湿った林縁を低空で飛びながら腹端をチョンチョンと地面に繰り返し付けていました。 
初めは気に入った地点(半分に割れたオニグルミの殻の横の地面)に繰り返し卵を産みつけていました。 
途中から産卵場所を変更したのですが、泥の表面だけでなく腐りかけの落ち葉や小石の表面などにも手当り次第に産卵しています。 
地面に倒伏した草(ウワバミソウ?)の表面にも産卵しています。 

ガガンボ♀の産卵行動を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:04〜) 
日陰に入るとかなり薄暗い林縁なので、カメラの設定で明るさ(ゲイン)を上げる必要があります。 
スローモーションで見ると、腹端を接地して産卵している間はいつも羽ばたきを止めていることが分かりました。 
産み終わると再び羽ばたいて飛び立ちます。
つまり、ガガンボ♀は産卵中にホバリング(停空飛翔)していません。 
初めはトンボ♀の単独打泥産卵と似ていると思ったのですが、この点は異なります。 
たまに地上でもう少しだけ長く、翅を休めることもありました。 
翅の羽ばたきだけに頼らず、長い脚をリズミカルに屈伸しながら繰り返し産卵しているようですが、細長い脚の動きは光量不足でよく見えませんでした。 
腹端を接地する距離を脚の先で何度か探ってから産卵してるのかもしれません。 
1匹の♀が恐ろしい数(何千個またはそれ以上?)の卵を休みなく産んでいることになります。
ガガンボの卵は微小で、私の肉眼ではとても見つけられませんでした。
関連記事(5,13年前の撮影)▶  
地面に産卵するガガンボ♀  脚の屈伸運動だけ。全く羽ばたいてない。気温が低いから省エネ? 
苔に産卵するガガンボ♀【名前を教えて】  翅に特徴的な斑紋あり。脚の屈伸運動だけ。全く羽ばたいてない。気温が低いから?
撮りためたガガンボ♀の産卵行動の動画が少しずつ増えてきました。 
産卵法の細かい点が少しずつ違います。 
特に、飛びながら産卵するガガンボは今回が初見です。 
トンボのようにガガンボも種類(細かい分類群)によって産卵法が異なるのでしょう。 
面白いテーマだと思うのですが、まずはガガンボの種類を見分けられるようにならないといけません。
写真鑑定で今回のガガンボ♀の種類が見分けられる達人がいらっしゃいましたら是非教えて下さい。

2021/10/15

獣糞で吸い戻し中のキバネセセリ♂の翅に寄生蜂が産卵?!

前回の記事:タヌキの溜め糞にオシッコをかけて吸い戻しをするキバネセセリ♂
2021年7月中旬・午後15:30頃・晴れ 

山道に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞で吸い戻しを繰り返すキバネセセリ♂(Bibasis aqulina chrysaeglia)の動画を撮っていたら、興味深い瞬間がたまたま撮れていました。 
メタリックに輝く微小の蜂(種名不詳)が飛来して、キバネセセリ♂の閉じた左前翅の裏面にぶつかってきたのです。 
なんとも思わせぶりな行動をまずは1/10倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
これは偶然のうっかり衝突事故ではありません。 
なぜなら、ぶつかる直前に蜂はキバネセセリの翅の手前でホバリング(停空飛行)して狙いを定めていたからです。 
蜂はチョウの左前翅の裏面にほんの一瞬着陸しただけで、すぐに飛び去りました。 

寄生蜂♀が寄主に産卵したのではないかと私は疑いました。 
しかし勉強不足の私は、チョウの成虫に寄生する蜂を知りません。(見たことも聞いたこともありません。) 
成虫の寿命が長い種類のチョウに産卵しないと、寄生蜂は次世代を残せないでしょう。
また、寄生蜂がチョウに産卵するのなら、寄主の胴体に産卵しそうなものです。 
寄主の翅の表面に産卵したら、よほど強力な接着剤で卵を固定しない限り、激しく羽ばたく際に振り落とされてしまうでしょう。 
卵から孵化した寄生蜂の幼虫は自力で這って寄主の翅裏から移動し、栄養豊富な胴体に食いつくのかな? 
あるいは寄生蜂♀は一瞬の早業で産卵管を寄主に突き刺して翅の組織の内部に卵を産みつけたのかもしれません。(体内寄生)
いくら目を凝らして映像を見直しても、蜂が飛び去った後のキバネセセリ♂の翅の表面に微小な卵は見つけられませんでした。(鱗粉のサイズよりも小さいのであれば、肉眼で見るのは不可能です。)

果たしてこんな奇妙な寄生蜂がいるのかどうか、何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらお知らせ下さい。 
動画撮影中の私は現場でこの出来事に全く気づかなかったので、残念ながら問題のキバネセセリ♂を採集・飼育できていません。 

次の一手としては、山中でキバネセセリを大量に採集して室内飼育し、寄生蜂が羽化してくるかどうか調べるのが正攻法でしょう。
想像しただけでも大変そうで気が遠くなりますけど、だからこそ今まで誰も調べなかったのかもしれません。
そもそも私はフィールドでキバネセセリを滅多に見かけません。

それともやっぱり、ただの偶然の衝突事故ですかね? 


【追記】
1月後に標高は違うものの同じ里山で別な溜め糞でも見かけました。
このときはキバネセセリとは無関係で、獣糞に(又は獣糞内のハエの卵や幼虫?)産卵しているようでした。
関連記事 ▶ タヌキの溜め糞に来た謎の微小な寄生蜂?【名前を教えて】



【追記2】 

翌年、タヌキの溜め糞を注意深く見て回ると、メタリックに輝く微小のハエを見つけました。

翅紋を誇示しながら林床で身繕いするハネフリバエ科Euxesta属の一種

ハネフリバエ科Euxesta属の一種がタヌキの糞を舐め、肉食性ハネカクシ類から逃げ回る

ただし、体型が違うので別種かもしれません。

この記事の映像に写っているのも、蜂ではなくハエの可能性が高そうです。



2021/07/06

ダイコンの葉裏に産卵するモンシロチョウ♀

 

2021年4月下旬・午後13:20頃・くもり 

民家の家庭菜園で栽培されたダイコン(大根)の周囲をモンシロチョウ♀(Pieris rapae)が飛び回っていました。 
普段あまり意識しないで食べている方もいるかもしれませんが、大根はアブラナ科の野菜で、モンシロチョウの幼虫が好む食草の一つです。 
♀は葉のあちこちに止まると翅を閉じたまま腹部を曲げて葉裏に産卵しました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:29〜) 

公道から通りすがりに撮影しました。 
ダイコンの葉裏にモンシロチョウの卵がひと粒ずつ産みつけられていることを確認したかったのですが、勝手に他人の庭に侵入する訳にはいきません。

2021/06/24

ミヤマアカネ♀♂:連結打水産卵の競演【HD動画&ハイスピード動画】

 

2019年9月下旬・午前11:10頃・晴れ 

川の本流に注ぐ浅い水路でミヤマアカネSympetrum pedemontanum elatum)の♀♂ペアが尾繋がり状態で飛びながら産卵していました。 
ミヤマアカネの産卵様式は「連結打水産卵」です。 
2ペアが競演するように連結打水産卵していて、なかなか絵になります。 

産卵地点は抽水植物の根際の周辺だけでなく、コンクリート護岸の水際など、水中ならどこでも良いようです。 

ミヤマアカネ♀♂の産卵飛行を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:35〜)
♀が腹端で水面を打つ度に波紋が水面に広がります。 
よく晴れているので、水面に反射するトンボの影の動きを見ているだけでも美しいですね。

2021/02/27

乾いた芝生に連結打草産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年10月下旬・午後13:50頃・晴れ 

芝生の河川敷でノシメトンボSympetrum infuscatum)のペア♀♂が尾繋がり状態で飛びながら産卵していました。
産卵は水のない池畔の草原や水田の稲穂の上などで、緩やかに飛びながら上下動を交えて卵を振り落とす連結打空産卵を行う。雌雄が連結したまま行うことが多いが、途中で連結を解いて雌の単独産卵に移行することもある。この場合は雄が上空でホバリングをしながら、または付近に静止して雌の産卵を警護をすることもあるが、長時間は持続しない。水のある場所には産卵しない。秋に産み落とされた卵はそのまま越冬し、翌春産卵場所が増水して水面が上昇し水没した環境下で孵化し幼虫となる。(wikipedia:ノシメトンボより引用)
以前、同じ河川敷の少し離れた別の場所でもノシメトンボ♀♂の産卵行動を観察しています。 
そのときは少し湿ったコケ(蘚類)の上に卵を散布していました。
▼関連記事(1年前の撮影) 
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】
今回は幾つかの点で産卵法が違っていました。 
まず、産卵地は辺り一面きれいに刈られた芝生で、秋晴れのためその表面は乾いていました。 

 240-fpsのハイスピード動画に切り替えて、ノシメトンボ♀♂の連結産卵を撮ってみました。(@0:46〜7:51) 
ノシメトンボ♀は「打空産卵」つまり勢い良く前方に振り出す勢いで空中から卵を射出するはずです。 
ところが今回の♀は異常に(?)低く飛び、腹端が芝生の地面に毎回コツンと接触していました。 
♀の腹端の産卵孔に1個の卵がニュルっと生み出され、用意した状態で腹端を接地していました。 
その直後の♀腹端を見ると、卵が無くなっていました。 
という訳で、「打草産卵」という造語を勝手にこしらえました。 
トンボの産卵法には「打水産卵」や「打泥産卵」という別な用語も正式にあるのですけど、今回の芝生は全く湿り気がなく周囲に水たまりもありませんから使えません。 

もしかすると♂が疲労や空腹で弱っていて、♀を高く持ち上げて飛ぶ力が無いのかもしれません。 
腹端を接地した状態の♀を少し引きずったまま飛ぶこともありました。 
連結飛翔の高度は♀♂どちらが主導権(イニシアチブ)をもって決めるのでしょうか?

それとも、ノシメトンボが乾いた芝生に産卵する時はいつも連結打草産卵するのでしょうか? 
一例だけの観察では何とも言えません。

最後に再び通常のHD動画撮影に戻しました。 (@7:52〜)
するとペアを自発的に解消する瞬間がたまたま撮れました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
うっかり連結が外れて逃げた♀を♂が少し追いかけたものの、諦めて♂は右の縄張りに戻りました。 
左に飛び去った♀は地上の枯れ草に着陸。 
連結飛翔が下手糞な弱い♂を見限って♀がペアを解消したとしたら面白いのですが、♂に首根っこを掴まれた♀が振り切って逃げることは解剖学的に可能なのかな?
私は未だノシメトンボ♀の単独産卵を見たことがありません。

【追記】
保育社『原色日本昆虫生態図鑑IIトンボ編』(1969年)という50年以上前の古い図鑑で調べると、ノシメトンボは
 一般的には開放的な水面に♂♀が連なって産卵するが、時として池畔の雑草の上などにも、水面ですると同じように尾端を打って産卵行動をすることが観察されている。(p185より引用)
と記載されていました。
ノシメトンボは「打空産卵」というのが最新のトンボ図鑑の定説になっていたので、古くて間違った記述だと私は思っていました。
ところが今回改めて読み直すと、後半の下線部は正しかったことが分かり、驚きました。


【追記2】
井上清、谷幸三『赤トンボのすべて』でノシメトンボを調べると、
♂♀連結してゆるやかに飛びながら腹端を振って卵をまき散らしますが、まったく水のない草原の上で産卵しているのも見られます。連結を解いて単独♀で産卵している場合もあります。(p58より引用)

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