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2021/02/17

オオウバユリの実から飛び立つアキアカネ♀

 

2020年10月中旬・午後15:40頃・くもり 

休耕田の畦道にオオウバユリが1本だけ立ち枯れしていました。 
背高く伸びた茎の天辺で割れた実にアキアカネ♀(Sympetrum frequens)が止まっていました。 
翅を下げて休んでいます。 
ときどき頭部をグリグリ動かして周囲を油断なく警戒しています。 
「オオウバユリの天辺で縄張りを張って獲物を待ち伏せしている」と表現したかったのですが、自発的に飛び立った後に戻って来ませんでした。 
辺りでコオロギ♂が鳴いています♪

2021/01/24

池でジュンサイの茎に単独で産卵するヤンマ♀と近くで警護する♂【トンボの名前を教えて】

 

2020年9月下旬・午前11:15頃・晴れ 

山中の沼の水面付近で、おそらくヤンマ科の一種と思われる数匹のトンボが激しく飛び回っていました。 
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
その後に等倍速でリプレイ。 
ジュンサイの楕円形の浮葉が並ぶ水面の上空を♀が単独でホバリング(停空飛行)しています。 
水面に打水産卵するのではなく、腹部をだらんと垂らしながら低く飛んで、腹端で水面の産卵適地を探っているようです。 
やがてヤンマ♀は水面下に伸びるジュンサイの細い茎に着陸し、茎の組織内に卵を産み始めました。 
産卵中は翅の羽ばたきを止めました。 

その間、産卵する♀の近くで♂が警護のためホバリングしていました(配偶者ガード、交尾後ガード)。 
ライバル♂が♀に近づくと追い払います。 

配偶者の♂が少し離れた隙にまた別のライバル♂が飛来して、産卵中の♀を素早く抱えて飛び上がりました。 
これも1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
♂は儀式的な求愛行動もなく、強引に♀を連れ去ろうとしたものの、うっかり空中で♀を離してしまいました。(♀による交尾拒否?) 

誘拐未遂を逃れた♀はジュンサイの葉に舞い戻り、産卵行動を再開しようとしましたが、結局はすぐに飛び去りました。 
♂に邪魔(ハラスメント)されない静かな産卵場所を探して移動したようです。 
水面から飛び立つ瞬間に自らの羽ばたきで水飛沫が上がったのが印象的です。 

映像からこのトンボの名前が分かる方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。 
日差しが強く水面からの照り返しも眩しくて、私にはトンボの特徴がよく見えませんでした。 
しっかり横を向いてくれなかったのも不運でした。 
馴染みのあるギンヤンマではなさそうです。 
私がもう少し粘って同定用の良い写真が撮れれば良かったのですけど、先を急がないといけない用事があったので、長居できませんでした。 
次回は、ヤンマの恋の三角関係をハイスピード動画で撮るのも面白そうです。
ヤンマsp♀@池:ジュンサイ茎+産卵
ヤンマsp♀@池+♂@警護ホバリングvsライバル♂
ヤンマsp♀@池:ジュンサイ茎+産卵+♂@交尾未遂

2020/12/11

倒立で体温調節するノシメトンボ♂(オベリスク姿勢)

 

2020年8月中旬・午後13:35頃・快晴 

某コンビニの駐車場にカフェラテの新商品を宣伝する幟(旗)が立っていて、支柱の天辺の白い横棒の先端に ノシメトンボ♂(Sympetrum infuscatum)が止まっていました。 
翅をしっかり下げて休んでいます。 
腹端を高々と持ち上げているのは、太陽の光に当たる体の面積を最小にするための体温調節行動です。(オベリスク姿勢) 
酷暑の夏が続きますが、炎天下でも体温の過熱を防ぐことができます。
路面に落ちた旗竿の影を見ると、天辺に止まったトンボの影は確かに点のように小さくて見えませんでした。 
これほど垂直に近い見事な逆立ち(オベリスク体勢)は珍しく、私もあまり見たことがありません。 
太陽が最も高く上がる時刻(南中時)にトンボをあまり観察してなかったのでしょう。

風向きが変わると風見鶏のように旗の向きがクルリと自然に変わります。 
トンボはそれでも逃げず、青空を背景に倒立したままバランスを取っていました。 
やや風が強くなると倒立の角度が浅くなりましたが、しばらくすると再び角度を上げました。 

赤外線式デジタル温度計で測ってみると、旗の黒い布地はなんと40.8℃の熱さでした。 
トンボが止まっている細くて白い棒は意外に低温で、17.3℃。 
白い物体は正しく検温できないのかな? 
物体の表面温度しか測れないので、気温は不明です。 
体感ではもちろん30℃を越えていました。 

頭部をグリグリ動かして辺りを油断なく見回していたノシメトンボ♂が急に飛び立ち、すぐに同じ場所に舞い戻って来ました。(@1:07) 
口をモグモグさせているので、空中での狩りに成功したようです。
 餌食となった小さな昆虫(獲物)の正体は不明です。

2020/12/06

農道に離着陸するシオカラトンボ♀【HD動画&ハイスピード動画】

 

2020年8月中旬・午前7:25頃・晴れ 

水田の横の農道でシオカラトンボ♀(Orthetrum albistylum speciosum)が止まっていました。 
シオカラトンボの♀は、別名ムギワラトンボとも呼ばれます。  
砂利道に着陸したまま翅を休めています。 
腹部をひくひく動かしながら(腹式呼吸)、ときどき辺りを油断なく見回しています。 
自発的に飛び立ったので追いかけると、落ち着き無く離着陸を繰り返しました。 

なぜ草葉にしがみついたり枝先に止まったりせずに、いつも地面で休むのか?と疑問に思いました。 
『トンボのすべて』を読むと、トンボの止まり方を分類していました。
うつぶせ型の止まり方 flat perching   
日中の大半、じっと止まり、餌が来たときや♀が来たとき、そしてライバルの♂がやってきて追っ払う時だけ飛び立ち、用が済むとまた止まってしまう。このような「静止型」のトンボは平らに止まります。(中略)トンボ科の多くの種は土の上などにペタンとうつぶせに止まります。(中略)これらのトンボも夜眠るときはたいていぶら下がります。(p88より引用)
 

飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:15〜) 
離陸直後に右旋回して飛び去りました。
▼関連記事(8年前の撮影:220fps) 
ムギワラトンボ(シオカラトンボ未成熟♂)の飛び立ちハイスピード動画

2020/11/28

コバギボウシの蕾に離着陸を繰り返すノシメトンボ♀

 

2020年8月中旬・午前8:00頃・晴れ 

林縁の用水路沿いの農道を朝から歩いていると、クリの木の下に咲いたコバギボウシの群落でノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)が一番上の蕾に止まっていました。 
翅を低く下げて休みながらも、大きな複眼のある頭部がときどきグリグリ動いて周囲を油断なく見張っています。 

蕾から急に飛び立つと、すぐに同じ蕾に舞い降りる、という縄張り行動を繰り返しています。 
口をモグモグさせているので狩りに成功した直後と思われるのですが、捕食シーンは撮れませんでした。  

別になんてことない行動ですけど、この花の名前を知りたくて動画に記録しました。 
虫と絡めて動画に撮らないと、なかなか植物図鑑で調べる気にならないのです。 
オオバギボウシは知っていましたが、これは葉の小さな別種のようです。

 

2020/11/20

ベッコウハゴロモを捕食するノシメトンボ♀

 

2020年8月中旬・午前7:50頃・晴れ 

山林と水田の間を通る農道でイネ科の葉にノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)が止まっていました。 
狩りに成功した直後らしく、何か獲物を食べています。 
餌食となったのは、(現場ではクモかと思ったのですが、)ベッコウハゴロモでした。 
獲物の脚は必死に暴れているのに、トンボは構わずにモグモグと捕食しています。 
トンボは手足を使わずに口器だけで器用に獲物を食べ進めます。 
獲物の翅は食べずに捨てていました。 
翅の根元は構わずに噛み砕いて食べました。 
やがて獲物は原形を留めていない不定形の肉団子になりました。 

食事の後半になるとノシメトンボ♀はよそ見をするようになり、口をモグモグしながら首を傾げたりしています。 
完食したので、私が歩いて近づくとトンボは飛んで逃げました。 
アングルを変えながら朝食の一部始終を長撮りしました。 
食後のノシメトンボ♀が飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。
▼関連記事(1年前の撮影) 
シロオビアワフキを捕食するノシメトンボ♀

2020/11/01

ハクセキレイ幼鳥2羽にトンボなどを巣外給餌する親鳥♂(野鳥)

 

2020年7月下旬・午後14:20頃・小雨 

雨がぱらつく中、川沿いの堤防路で ハクセキレイMotacilla alba lugens)の親子がいました。 
1羽の親鳥♂と2羽の幼鳥の計3羽の家族群です。 
ハクセキレイの幼鳥は羽が白黒ではなく茶色っぽいです。  

親鳥♂が舗装された堤防路を走り回って虫を捕ると親子が互いに駆け寄り、獲物を口移しで給餌します。 
給餌すると親鳥♂はすぐに幼鳥から離れ、次の獲物を探しに行きます。
幼鳥は堤防路に残り、歩きながら次の給餌を待っています。  

いつの間にか親鳥♂が路上で獲物のトンボを捕らえていました。 
翅の先端に褐色紋があることなどから、獲物はおそらくノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)のようです。 
獲物の翅は毟らずに頭部だけを取り除くと、ハクセキレイ親鳥♂の方が駆け寄り、立ち止まって餌乞いする幼鳥に与えました。 
口移ししてもらった幼鳥はトンボを翅ごと丸呑みにしました。  

親子とも、雨に濡れた羽根をときどき震わせて水気を切ろうとしています。 
最後は次々に飛び去りました。 

いつも疑問に思うのですが、ハクセキレイの巣立った雛(幼鳥)に巣外給餌するのは親鳥♂の担当なのでしょうか? 
今回も母親♀を見かけませんでした。 
♀は2回目の繁殖のため、巣内で抱卵しているのかな? 
それとも♀は違う場所で別の幼鳥の面倒を見ているのでしょうか? 
ハクセキレイの営巣地を見つけるのが長年の課題です。

つづく→後編:ハクセキレイ幼鳥に懐かれた(野鳥)
ノシメトンボを捕獲したハクセキレイ親鳥♂

2020/09/12

自分の影と戦うハグロトンボ♂



2020年7月上旬・午後18:00頃・晴れ

川沿いに建つ民家の西に面した外壁が波状のトタンで覆われていて、その壁に向かって1匹のハグロトンボ♂(Calopteryx atrata)が何度もぶつかりながら飛んでいました。
何気なく見過ごしそうになって、動画に撮り始めるのが遅れましたが、よく考えると非常に面白い行動です。
動画編集時に彩度を少し上げると、腹部がメタリックグリーンなので♂と分かりました。

夕方の西日を浴びてハグロトンボ♂の黒い影が外壁にくっきりと投影されています。
1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、影に正面から繰り返しぶつかって行ってることが分かります。
自分の影をライバル♂と誤認して、喧嘩を挑んでいるようです。
つまり、これは一種の鏡像反応でした。
もし曇り空だったり日差しの向きが逆だったりして影が出来なければ、家屋の壁などの障害物があってもハグロトンボは衝突せずに難なく回避して飛んで行くはずです。


▼関連記事(1年前の撮影)
川辺りで激しく縄張り争いするハグロトンボ♂

トタン壁は平面ではなく波状なので、これに写った影はやや歪んでしまいます。
自身の忠実な写像ではないのに、歪んだシルエットでも同種と認識される点が興味深く思いました。
ちなみに壁の下部はコンクリートの平面になっていて、ハグロトンボ♂はそこに写った影にも激しく突進していました。

ハグロトンボ♂の影は全身が真っ黒な同種♀と似ています。
それなのに戦いを挑んだということは、ハグロトンボ♂は他個体の性別を腹部の色で見分けているのではなく、敵対的な行動(ぶつかってくる)に見えてカチンと来たのかもしれません。

「影との戦い」をじっくり観察したかったのですが、壁の端に達すると死角に飛び去ってしまいました。
ハグロトンボ♂にしてみれば、「謎の手強いライバル♂がようやく居なくなった」とせいせいしていることでしょう。

トンボの知能で鏡像自己認知が可能だとは思えませんが、次は本当の鏡を目の前に見せて、ハグロトンボの鏡像反応を確かめたいところです。
様々な動物に鏡を見せたときの反応を調べるのはミラーテストと呼ばれ、昔から行われている実験心理学の面白いテーマです。
そこそこ高価で割れ易い大きな鏡を野外に持ち出すのは大変そうです。
捕獲してきたトンボを鏡張りの室内に放し、実験するのが良いかもしれません。


2020/09/06

シオヤトンボ♀:休息からの飛び立ち



2020年6月上旬

峠道の道端に蔓延るクズの蔓にシオヤトンボ♀(Orthetrum japonicum)がぶら下がるように止まっていました。
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

シオヤトンボ♀の動画を撮ったのは、なんと今回が初めてです。
▼関連記事(6年前の撮影) 
飛べ!シオヤトンボ♂【ハイスピード動画】




エゾハルゼミ♂が周囲の樹林で鳴いていますね。



2020/06/12

ウコギの枝先で縄張りを張るシオカラトンボ♂



2019年9月上旬・午後15:45

路地裏のウコギ(おそらくヒメウコギ)生垣から突き出した小枝の先端にシオカラトンボOrthetrum albistylum speciosum)の成熟♂が止まっていました。
側面からズームインしてみると、複眼の深い水色がきれいですね。
風が吹いて小枝が揺れていても、シオカラトンボ♂は頭部をグリグリと動かして辺りを油断なく見張っています。

急に枝先から飛び立ったのですが、すぐにまた同じ止まり木に戻って来ました。
飛び立つ瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
その後に等倍速でリプレイ。
前と同じ向きで着地したトンボの口元を見ても、獲物を捕らえてはいませんでした。
縄張りをパトロールするために飛んだのか、獲物を狩ろうとして飛び立ったのでしょう。

実はすぐ近くに池があって、そこの岸で別個体の♂が縄張りを張っていました。

▼関連記事
池の枯草に離着陸を繰り返すシオカラトンボ成熟♂【HD動画&ハイスピード動画】

池の近くなら交尾相手の♀が飛来するのを待ち伏せする意味もあるのだろうと予想されます。
しかし、わざわざ池から離れた生垣で縄張りを張っている♂は、♂同士の喧嘩(縄張り争い)に負けた劣位の個体なのでしょうか?
池に飛来する♀をライバル♂よりもいち早く見つけて交尾に持ち込むことは可能なのかな?




2020/06/07

円網にかかったミヤマアカネ♂の死骸をラッピング・捕食するジョロウグモ♀(蜘蛛)



2019年9月上旬

ジョロウグモ♀(Nephila clavata)がいつの間にか室内の隅に円網を張っていました。
昼間に開いていた窓の外から室内に侵入したようです。
ごくありふれた普通種のジョロウグモでも未だ観察できていない宿題が幾つか残っているので、そのまま飼育します。

給餌するために、ミヤマアカネ♂(Sympetrum pedemontanum elatum)を野外で捕獲してきました。
夜ジョロウグモの網に給餌してもトンボは全く暴れず、クモは捕食しませんでした。
トンボが死んだふり(擬死)しているというよりも、久しぶりに折った三角紙の中で既に瀕死状態(虫の息)だったようです。
網上の獲物に私が音叉や指で振動を与えても、ジョロウグモ♀は無反応でした。
満腹なのでしょうか?
仕方がないので、そのまま数時間放置。

ところが、夜中に私がパソコンの作業を終えて電源を切ったら、横のジョロウグモが急に活動を始めました。
これは偶然でしょうか?
ジョロウグモは特に夜行性ではありません。
もしかするとPC内のファンやハードディスク(HDD)などが高速で回転する絶え間ないノイズのせいで、ジョロウグモ♀は網の振動を感じられなくなっていたのかもしれません。
歩脚の先で網を弾いて、ミヤマアカネ♂がかかっていることに気づいたようです。
(映像はここから)
ジョロウグモ♀は獲物に駆け寄って少量の糸でラッピングすると、網から外してこしきに持ち帰りました。
下向きに占座して落ち着くと、ようやく獲物を捕食し始めました。
クモは新鮮な生き餌しか食べないと思っていたので、死骸もラッピングして食べるとは意外でした。

長々と続く捕食シーンを100倍速の早回し映像をご覧下さい。(@3:45〜)
ジョロウグモ♀は獲物の噛む位置を少しずつ変えながら体外消化しています。
初めはトンボの頭部に噛み付いていたのですが、途中から胸部を噛み始めました。
最後はトンボの胸部から外れた頭部を歩脚でくるくる回しながら噛みしめ、体液を吸汁しています。
胸部と腹部の境界も今にも千切れそうです。
カメラの仕様により、約3.5時間で微速度撮影の限界となり打ち切られてしまいました。

ところで、死んだミヤマアカネ♂の翅の縁紋が蛍光ピンクに光って見えるのは、照明(白色LEDと蛍光灯を併用)のせいですかね?

朝になると、ジョロウグモ♀はミヤマアカネ♂の食べ残し(翅の周囲)をいつの間にか網から捨てていました。
前回の食べ残しは背後の網に付けたままです。

この時期は同時並行で色んなテーマの撮影を行っていたのでとても忙しく、ジョロウグモの方はこれ以上もう手が回らなくなってしまいました。
また来年に持ち越しです。
室内で網を張らせるアイデアは良いのですが、撮影のためには背景の色を工夫してもう少しすっきりさせないと肝心のクモの網がきれいに写りません。




2020/05/21

灼熱の路上で休むオナガサナエ♀の謎



2019年8月下旬・午後13:45頃・晴れ

川沿いの堤防上の舗装路でオナガサナエ♀a(Melligomphus viridicostus)を見つけました。
青緑の複眼は、成熟個体である印です。
よく見ると、何か小さな獲物を食べ終えた直後のようです。(口器から食べ残しがはみ出ている)
大きな複眼の付いた頭部がギョロギョロと動き、辺りを油断なく見張っています。

真夏の直射日光に照らされた灼熱のアスファルト上に(わざわざ選んで?)止まっているのは何故でしょう?
路面温度を測ると49.2℃、気温は30.1℃でした。
変温動物のトンボが50℃近い高温にも平気で耐えているのは驚異的というか、とても正気の沙汰とは思えません。
例えば少し移動して道端の草の葉に止まるだけで温度はかなり下がるはずです。
あまりの暑さに死にかけているのかと思いきや、急に飛び立って少し離れた路上に再び着陸しました。
観察している私の方が熱射病になりそうです。

路上でオナガサナエ♀は腹部を斜めに持ち上げていましたが、倒立姿勢(オベリスク姿勢)というほど急角度ではありません。
トンボは暑過ぎると体温調節のために自分の影がなるべく最小になるように倒立するはずですが、今回は腹端がきっちり太陽の方を向いていませんでした。

暑さに強いのはこの個体aが特別なのかと思ったら、数分後に別個体の成熟♀bも少し離れた灼熱の路上で休んでいました。
川沿いの目立つ場所に居座り、早く♂に見つけてもらって交尾したいのかな?
オナガサナエという種類のトンボに出会ったのはこの日が生まれて初めてなので、分からないことばかりです。


オナガサナエ成熟♀a:顔@舗装路上+オベリスク姿勢+虫捕食


オナガサナエ成熟♀b:側面@舗装路上

2020/04/01

水路底のコケに連結打泥産卵するアキアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】



2019年10月上旬・午前11:25頃

平地の農耕地(田畑)を流れる用水路で連結した赤とんぼの♀♂ペアが産卵していました。
収穫の済んだこの時期、農業用水路に水はほとんど流れていません。

同定のために撮った写真をよく見ると、アキアカネ♀♂(Sympetrum frequens)のようです。
♂の腹背は橙赤色でいわゆる赤とんぼでしたが、♀は腹部が淡褐色のままの個体でした。

水路の底を連結態で低く飛びながら、緑の苔(種名不詳)に覆われた石を目掛けて繰り返し産卵しています。
この場合は、連結「打水」産卵ではなく連結「打泥」産卵と呼ぶべきかもしれません。

「打苔」産卵という用語は無いみたいです。




アキアカネ♀♂の連結打泥産卵を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:27〜)
♀が全身を使って振り子のように前方の目標物に腹端を打ち付けて産卵しています。
湿った苔だけでなく水際の泥や小石にも産卵していました。
水面ならどこでも良い連結「打水」産卵とは明らかに違います。
なぜか最後はとんぼ返りして飛び去りました。


一方、ノシメトンボ♀は空中で苔の上から卵を放出していました。(打空産卵)

▼関連記事
スギゴケ?の上で連結打空産卵するノシメトンボ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】


アキアカネ♀♂:側面@水路底:苔+連結打水産卵
アキアカネ♀♂:背面@水路底:苔+連結打水産卵

2020/03/12

産卵の合間に連結態のまま休むミヤマアカネ♀♂【ハイスピード動画】



2019年9月下旬・午前11:15頃

川の本流に注ぐ浅い水路で複数のミヤマアカネ♀♂(Sympetrum pedemontanum elatum)ペアが連結打水産卵していました。(映像公開予定)

尾繋がり(連結態)のままコンクリート護岸に静止ししている♀♂ペアを見つけました。
疲労困憊で休んでいるのでしょうか?
飛び立つ瞬間を狙って撮った240-fpsのハイスピード動画を撮ってみました。
♀は腹端を水中に浸しているのですが、産卵中なのかどうか不明です。

しばらくすると♂が先に羽ばたき、♀を空中に引き揚げました。
続いて♀も羽ばたいたので、死んではいませんでした。
その後は普通通り、連結打水産卵を再開しました。

少し離れたコンクリートブロックに連結態(尾繋がり)のまま休憩している別の♀♂ペアを発見。
♀の腹端が死角で見えないのが残念です。(産卵中?)
しばらくすると♀が羽ばたいて離陸を試みるものの、♂は疲れ切っているのか無反応でした。
♀にしてみればペアを解消して元気な♂と組み直したいかもしれません。
やがて♂が先に羽ばたき、♀を引き揚げるように離陸しました。
連結打水産卵を再開したはずですが、見失いました。

wikipediaでミヤマアカネを調べると、まさに今回観察したことが記載されていました。

産卵の途中で「キ」の字に連なったまま植物などにつかまり休息することも多い。


▼関連記事(9日前に別の水路で撮影)
用水路で連結打水産卵するミヤマアカネ♀♂【HD動画&ハイスピード動画】


2020/03/06

夕方の池で連結産卵するギンヤンマ♀♂



2019年9月下旬・午後16:25頃

林に囲まれた夕方の溜池でギンヤンマAnax parthenope julius)の連結ペア♀♂が産卵していました。
この時間帯でギンヤンマの産卵行動を観察したのは初めてです。
薄暗い上に逆光でトンボを撮ったので、ほとんどシルエットしか見えません。
ストロボを焚いて写真に撮ろうか迷ったのですが、閃光に驚いて逃げられてしまうと困ります。
岸からでは被写体にフラッシュが届かない距離だろうと判断し、諦めて動画撮影を続けました。
動画編集時に彩度を少し上げたらようやくギンヤンマに特徴的な体色が見えるようになりました。

枯死したガマやヨシなど抽水植物の枝(茎?)にしがみつき、下側の♀が腹端だけを水中に浸して植物組織の中に産卵しています。
頻繁に飛び立つと少し移動してから別の茎に止まり直し、あちこちで同様に産卵を続けます。
♀の腹端が着水すると、池の水面に波紋が広がります。

連結態で飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイしてみると、必ず♀が♂よりも先に羽ばたき始めることが分かりました。
産卵時の主導権は、やはり♀が握っているようです。

しばらくすると、ようやく一箇所に落ち着いてじっくり産卵するようになりました。
それまでは、産卵基質の状態が気に入らなかったのでしょう。(未産卵?)
そこへ単独のギンヤンマ(あぶれ♂)が飛来しました。(@1:41;探雌飛翔)

(※ 黄昏飛行と呼ぶには未だ時間帯が早いでしょうか?)
あぶれ♂が♀♂ペアの上空でホバリング(停飛)すると、連結態の♂がその場で軽く羽ばたいて、あぶれ♂を撃退しました。
産卵に専念している♀は、特に交尾拒否行動をしませんでした。
トンボの♂は交尾しても♀が産卵してくれるまでは、自分の精子で確実に受精したという保証がありません。
尾繋がりしている状態であれば、ライバル♂に♀を奪われる心配は無くなります。(交尾後ガード)
逆に、あぶれ♂の存在が産卵警護の必要を生むのでしょう。
交尾後もライバル♂が居なければ、♂は連結態を解除して(次の♀を探しに行き)♀は単独で産卵することもあります。

▼関連記事
池で単独産卵するギンヤンマ♀
ギンヤンマ♂♀の連結産卵

一方、水面を泳ぎ回るアメンボが近づいても産卵中のギンヤンマ♀♂は気にしません。

あぶれ♂がもう来なくなっても、ギンヤンマの翅が小刻みに震えています。
日が落ちて気温が下がり、胸部の飛翔筋を震わせて離陸前の準備運動をしているのかもしれません。
(風で翅がはためいているだけかな?)


ギンヤンマ♀♂@池:枯茎+連結産卵
ギンヤンマあぶれ♂@池+探雌飛翔

2020/03/04

シロオビアワフキを捕食するノシメトンボ♀



2019年9月下旬

農地(平地の田畑)を横切る農道沿いの草むらでノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)が立ち枯れした草の穂先にぶら下がって食事中でした。

獲物のシロオビアワフキAphrophora intermedia)を抱え込み、クチクラが硬そうなのに頭部/胸部からバリバリ貪るように食べています。
獲物は未だ生きており、脚でトンボの口を払いのけようと必死に暴れるものの非力で逃げられません。
ノシメトンボ♀が突然、ヨモギから滑落しました。(@1:29〜)
羽ばたきながら空中で体勢を立て直すと獲物を抱えたまま少し飛んで、ヨモギの花穂に止まり直しました。
獲物は手放さず、何事もなかったように捕食を続けます。
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

三脚があれば完食するまで微速度撮影したいところでした。

ところで、後半のシーンで画面の左側、ヨモギの茎にネコハエトリ♀(Carrhotus xanthogramma)がいました。
巨大なノシメトンボ♀には怖がって襲うどころか近づこうともしません。


▼関連記事(1年前の撮影)
泡巣を作るシロオビアワフキ幼虫【60倍速映像】


ノシメトンボ♀@?枯穂+シロオビアワフキ捕食
ノシメトンボ♀@ヨモギ花穂+シロオビアワフキ捕食

2020/02/25

ノシメトンボ♀を捕食するシオカラトンボ♀



2019年9月下旬・午前10:55頃・くもり

砂利を敷いた農道で2匹のトンボがもつれ合うように暴れていました。
てっきり、尾繋がりの状態になった♀♂ペアが落ち着いて交尾できる場所を探してあちこち飛び回っているのかと初めは思いました。
ところがよく見ると、2匹は別種のトンボでした。
驚いたことに、シオカラトンボ♀(Orthetrum albistylum speciosum)が狩ったばかりのノシメトンボ♀(Sympetrum infuscatum)の複眼をかじっていました。
私が撮りながら近づこうとしたら、シオカラトンボ♀は獲物を抱えたまま慌てて飛び立ちました。
飛び立って逃げる瞬間を、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。
パニックになったのか、ポロシャツを着た私の胸にも一瞬止まりました。
(しかし、動画ではピントを合わせる余裕がなくて編集でカットしました。)

逃げたシオカラトンボ♀は、道端に生い茂るヨモギ
の群落に翅を広げたまま着地しました。
ヨモギの花穂に止まって落ち着いたシオカラトンボ♀は、獲物の頭部(複眼)をどんどん貪り食います。
獲物はもう暴れるのを止めました。
虫の息のノシメトンボ♀が腹端から黄色い卵塊を産卵しているようです。
シオカラトンボ♀は、左後翅の先端が千切れたように欠損した個体でした。

トンボ同士の壮絶な捕食シーンを観察したのは初めてかもしれません。
この調子だと、同種の共食いもありそうです。
獲物の胸部や腹部も残さずに食べるのかどうか、長撮りすればよかったですね。
あいにく三脚を持ってこなかったので、微速度撮影できませんでした。


シオカラトンボ♀@農道+ノシメトンボ♀捕食
シオカラトンボ♀:側面@ヨモギ花穂+ノシメトンボ♀捕食
シオカラトンボ♀:背面@ヨモギ花穂+ノシメトンボ♀捕食

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