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2023/11/30

求愛に来たニホンアナグマ♂を門前払いした♀が追いかけて交尾?【トレイルカメラ】

 



2023年4月下旬・午後18:39頃・(日の入り時刻は午後18:26) 

日が暮れて早々にニホンアナグマ♂(Meles anakuma)が♀の巣穴Rに来ていました。 
巣口Rに頭を突っ込んでいますが、♂による求愛声は聞き取れませんでした。 
中から♀が出て来ると、♂は慌ててセットの右へ逃げました。 
この♂は臆病と言うかとても紳士的で、♀の巣穴に押し入ったり、強引に♀を巣穴から外へ引きずり出したりしませんでした。 

アナグマ♀も、♂が逃げた方へゆっくり歩いて行きました。 
寝起きの♀は機嫌が悪いのではないかと、♂の安否が心配です。 

やがて右の死角から小声で鳴く声が聞こえるようになりました。 
怒った♀がしつこい♂を撃退する威嚇や喧嘩の鳴き声ではなさそうです。 
ニホンアナグマ♀♂がいちゃつく鳴き声だとしたら、遂に交尾が始まったのでしょうか? 
トレイルカメラは完全に固定されていますから、画角の外で何が起きているのか見れないのがもどかしいです。 



※ 動画編集時に自動色調補正を施し、後半は鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


2023/11/28

夜な夜な求愛に来るニホンアナグマ♂と追い払う♀の攻防戦【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2023年4月下旬 

二次林でニホンアナグマ♀(Meles anakuma)の営巣地に2台の自動センサーカメラを設置して春の配偶行動を観察しています。 

シーン0:4/21・午後14:19、14:43・(@0:00〜) 
明るい日中に偶々撮れた現場の様子です。 
2つの巣穴LRを隠すように湾曲しながら生えたマルバゴマキ(別名マルバゴマギ、ヒロハゴマキ、オオバゴマキ)の灌木から新緑の若葉がどんどん開いています。 
ここは多雪地帯なので、冬期の雪圧で樹形が低く湾曲しています。 
アナグマが巣穴を隠蔽するために自ら灌木を曲げていたら面白いのですが、そんな行動がこれから撮れたら大発見です。


シーン1:4/21・午後23:24・(@0:07〜) 
夜更けに夜這いに来た♂がセットの奥の二次林でうろついています。 
5倍速の早回し映像でお届けします。 
♀の巣穴を訪問する勇気がなかなか出ないのでしょうか? 
ときどき林内で毛繕いしているようにも見えます。 


シーン2:4/21・午後23:26・(@0:25〜) 
ようやく♂が右側の巣口Rを覗き込みました。 
風が強く吹いているせいか、このとき求愛の鳴き声(ジェジェジェビーム♪)は聞き取れませんでした。 
突然、中から出てきた♀が♂に噛みつきました! 
♂は悲鳴を上げて(?)右に逃走。 
それを見送った♀は悠然と巣穴Rの奥に引っ込みました。 


シーン3:4/22・午前2:32・(@1:03〜) 
日付が変わった未明にも夜這い♂がセットにやって来ました。 
さっきと同一個体が懲りずに戻ってきたのか、別個体の♂が代わる代わる来ているのか、私には見分けられません。 
♂が巣口Rを覗き込むと、巣内から♀が撃退したようです。 
カッ(ガッ)♪という短い威嚇の鳴き声♪がかすかに聞こえました。 
♂はすごすごと巣穴Rから離れ、それでも諦め切れず林縁をうろついて時間を潰しています。 

シーン4:4/22・午前2:35・(@1:44〜) 
戻って来た♂が巣口Rにゆっくり近づいて中を覗き込みますが、無理に押し入ろうとはせずに林縁でに居座り♀を待ち伏せします。 


シーン5:4/22・午前2:38・(@2:02〜) 
どうやらカメラが遅れて起動し、♀が巣口から突進して♂を追い払った直後のようです。 
林縁で2頭が対峙しています。 
奥の灌木林に逃げ込んだ♂が振り返って見ている白い目が光ります。 
睨みつけただけで♂を追い払うと、♀が戻って来て入巣R。 
巣穴の主である♀は左右の目の大きさが異なります(右目<左目)。 
すぐにまた二次林の奥から♂が戻って来て、ちょうど巣口Rに出てきた♀と鉢合わせしました。 
♀uneven-eyesが♂に突進して追い払いました。 
威嚇の鳴き声は、荒い息を吐いたぐらいにしか聞こえません。 
その後♀はセットから右へ向かい、逃げた♂を追撃したようです。 


シーン6:4/22・午前2:43・(@3:12〜) 
セットに戻ってきた♀uneven-eyesが辺りを警戒してから帰巣R。 


シーン7:4/22・午後18:50・(@3:38〜) 
同じ日の晩にも、夜這い♂が二次林からセットに登場。 
カメラの電池が消耗していて、これ以降は断片的な動画になります。 


シーン8:4/22・午後18:50・(@3:44〜) 
巣穴Rから出てきた♀と林縁の♂が対峙。 
今回も♂の求愛声は聞き取れませんでした。 
♀が身震いしただけで♂は慌てて退散したものの、すぐに振り返って♀を見ています。 
♀が巣穴に戻りかけたところで、尻切れトンボに録画終了。 


シーン9:4/22・午後18:51・気温6℃(@3:50〜) 
同じシーン?が別アングルの監視カメラ(新機種)にも撮れていました。 
奥からやって来た♂が右へ回り込んで林縁から巣穴の様子を伺っています。 
そこへたまたま外出から戻った♀が画面の手前から登場。 
手前の巣穴Rに入ろうとしたら、近くに♂が来ていることに気づき、巣口Rで身を伏せて対峙しました。 
♀が強気で少し前進すると、♂は退散しました。 
今回も求愛の鳴き声は聞き取れませんでした。 
♀は身震いしてから巣口Rで体を掻いています。 
しばらく警戒してから入巣R。 

やがて♂が右奥の二次林から戻って来ました。 
♀の巣穴には近づかず、そのまま右に立ち去りました。 


シーン10:4/22・午後20:57・気温5℃(@5:01〜) 
夜這い♂が珍しく左奥の巣穴L付近をうろついています。 
マルバゴマキの藪の陰で見えにくいのですが、巣口Lを覗き込んだり、毛繕いしたりしているようです。 
ただし、♀が巣穴Lに出入りする様子を私はほとんど見たことがありません。


シーン11:4/22・午後20:58(@5:26〜) 
♂が奥の林縁を右に移動。 

シーン12:4/22・午後21:03(@5:31〜) 
♂が巣口Rを訪問。 


シーン13:4/22・午後21:03(@5:36〜) 
録画が切れた合間に♀が撃退したようで、♂は居なくなっていました。 
♀が巣口Rから身を乗り出して奥の灌木林の方を見ています。 


シーン14:4/23・午前5:22(@5:39〜) 
夜が明けました。 
日の出時刻は午前4:51。 
早朝から♂がセットで座り込み、体をボリボリ掻いています。 
巣穴Rに入りかけたものの、後退して再び体掻き。 

しばらくすると、♀が巣穴Rから外に出てきました。 
てっきりいつものように♀が夜這い♂を凄い剣幕で追い払うかと思いきや、驚きの展開になりました。 
♂の横に寄り添うと、仲良く相互毛繕いを始めたのです。 
いよいよ♀が発情し、交尾前の前戯を始めたのでしょうか? 
それとも母親とヘルパー(若い息子♂)なのかな? 


シーン15:4/23・午前5:24(@7:09〜) 
つづき。 
ついさっきまで仲良く相互毛繕いしていた2頭♀♂の間に一体何が起きたのか、突然♀が激昂し、相手♂の首筋に噛みつきながら吠えていました。 
せっかく良い感じになりかけたのに、♂の詰めが甘くて♀の機嫌を損ねたのでしょうか? 
げに難しきは女心と秋の空。 
このとき短くジェジェジェビーム♪も聞こえました。 
♀を宥める鳴き声のようです。(求愛声?) 

♂は右に少し逃げただけで、林縁に留まっています。 
♂を撃退した♀は巣穴Rに後退し、体を掻いてから入巣R。 
再び♀が巣口Rに顔を出すと、♂に突進して右に追い払いました。 
このときワンッ♪という威嚇の鳴き声が聞こえました。 
右から戻ってきた♀が入巣Rしかけたところで録画終了。 


シーン16:4/23・午前5:33(@8:10〜) 
懲りない♂が戻って来ていました。 
早朝から近くの田畑でトラクターによる耕耘作業が始まったようです。 
ゴゴゴゴ♪という騒音と振動が響いても、アナグマは慣れているようで動じません。 
体をボリボリ掻いてから巣口Rに入りかけるも、怖気づいて止めました。 
♀が巣穴Rから顔を出して巣口で腹這いになり、♂を牽制します。 
♂は逃げ腰になりつつも、♀を見ています。 
♀が後退して入巣Rしかけたところで、録画終了。 
近くのハシブトガラスも目覚めてカーカー♪鳴いています。 

まるでラブコメを見ているようで、なかなか面白いですね。


※ 一部の動画には編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 
鳴き声が聞き取れるように音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

 

↑【参考動画】 「Japanese Badger アナグマのジェジェジェビームは凄いんです」by しあわせ動物写真家・福田幸広 /Yukihiro Fukuda 

私のバイブルとなっている見事な写真集『アナグマはクマではありません』の著者ご本人のYouTubeチャンネルです。 
本に繰り返し登場する「ジェジェジェビーム♪」という鳴き声が実際にどんなものか想像つかなかったので、動画を公開してくれるのはありがたいです。 

私の観察したアナグマの求愛行動と福田氏の本『アナグマはクマではありません』の内容には少し違いがあります。
私が見ている♂は求愛声(ジェジェジェビーム♪)をほとんど発していないのです。
♂による求愛の鳴き声に個体差または地域差があるのでしょうか? 
それともトレイルカメラが少し遠いと録音されにくいのですかね? 
他の投稿者によるアナグマの交尾動画でもジェジェジェビームは聞こえないのが気になります。
この点について質問してみると、福田さんから直々に回答をいただきました。
あまりはっきりと発声しない個体もいます。僕の観察個体は地域に関係なく鳴いてます。トレイルカメラでは拾いにくいかもしれません。



2023/10/27

餌場の雪解け田んぼから助走して飛び立つコハクチョウのペア(冬の野鳥)

 

2023年3月下旬・午後15:50頃・くもり 

体重の重いハクチョウは、飛び立つ揚力を得るのに長い助走を必要とします。 
川では風上に向かって水面を走ってから飛び立っていました。 



泥濘の雪解け田んぼでコハクチョウは助走できるのでしょうか? 
しっかり踏み固められた畦道や農道を走るのかな? 
飛び立つ様子を観察したくても、雪解け田んぼに散開した大群の中で、次にどの個体が飛び立つのか予想するのは困難です。 
ひたすら長撮りを繰り返していたら、迫力のある離陸シーンがたまたま撮れてラッキーでした。 

雪解けが進む広大な田園地帯で採食するコハクチョウCygnus columbianus bewickii)の大群を撮影していると、左の方で騒々しい小競り合いが勃発しました。 
鳴きながら羽ばたき威嚇して相手を追い払います。 



その後、♀♂ペアと思われる2羽が頷くように首を上下に動かしながら鳴き交わし始めました。 
この動きがシンクロしてくると、離陸の合図です。 
横に並んでいたペアが一緒に羽ばたきながらカメラに向かって走り出しました。 
田んぼは畦道(一段高い障害物)で囲まれているので、その手前で飛び立つ必要があります。 
川から飛び立ったときよりも短い助走で済みました。 
泥濘でも地上では水面よりも走りやすくて助走のスピードが出せるのでしょう。
あるいは、この日は強い向かい風を利用できたのかもしれません。 

雪解け田んぼから飛び立ったペアを三脚カメラで流し撮りすると、横風に煽られたのか左に旋回して別の区画に舞い降りました。 
ペアは互いに少し離れて着地しました。 
着陸直後の行動に注目してもう少し長く撮り続けるべきでした…。 
それにしても、大群の中でコハクチョウはどうやってパートナーを個体識別してるのですかね?(鳴き声の声紋に個性がありそうです)

迫力のある助走からの飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:58〜) 
雪解け田んぼの泥水をバシャバシャ跳ね上げています。 
両足を揃えて跳ぶカワウのコミカルな助走と異なり、コハクチョウの助走は両足を交互に前に出す普通の走り方です。



最後にペアの飛び立ちを1/2倍速のスローモーションで逆再生してみました。(@1:48〜) 
てっきり喧嘩に負けたカップルが飛び立ったのかと初めは思いました。 
しかし逆再生してみると、飛び去った2羽は喧嘩したグループの中心部ではなく辺縁部に居て、しかも互いに少し離れていました。 
意外にも、ご近所トラブルで周囲の個体から直接的な攻撃を受けて餌場から追い払われた訳ではありませんでした。 
混雑する餌場で小競り合いを始めた別の2家族のとばっちりを食らい、辟易して逃げ出したような印象を受けました。 
残念ながら喧嘩が発生した理由は不明です。 
トラブルを避けるために白鳥密度の低いエリアに移動したのなら理解できるのですが(レッド・オーシャンから競争の少ないブルー・オーシャンへ)、ペアが舞い降りた先も先客が多いエリアでした。 
餌場で周囲に仲間が居ないと心細いのでしょう。 

2023/10/24

春山で出会ったホオジロ♀とカシラダカ♂夏羽の混群(冬の野鳥)

 

2023年4月上旬・午後12:35頃・晴れ 

春の里山で私が下山していると、雪解けが進む林道上で採食していたらしい野鳥が警戒して道端の落葉灌木に逃げ込みました。 
カメラでズームインしてみると、ホオジロ♀(Emberiza cioide)でした。 
止まり木(絡み合った蔓)から辺りを油断なく見回しています。 
周囲でミーミーミー♪と鳴いているのはヤマガラの警戒声ですかね?(姿は未確認) 
他にも様々な鳥の鳴き声が聞こえますが、修行不足の私には種類などを聞き分けられず残念。 
もしかすると後述するカシラダカ♂の囀りさえずりだったのかな?
(カシラダカの)地鳴きは「チッ、チッ」。越冬期の後期では日本でも囀りを聴くことができる。ホオジロやアオジ等より早口で複雑な囀りである。囀りを日本語で表記するのは簡単ではない。(wikipediaより引用)

止まり木上のホオジロ♀は 尾羽根を軽く持ち上げて少量の糞をぽとりと排泄しました。(@0:10〜) 
ときどきチチチ♪と鳴いています。(警戒の地鳴き) 
全身の羽毛を膨らませて身震いしました。(@0:45〜) 
急に左へ飛ぶと、落葉灌木の横枝に止まり直しました。 
ここまでは退屈かもしれませんが、これ以降ちょっと面白くなります。 

ホオジロ♀が止まり木から慌てて飛び去ると、 入れ替わるようにカシラダカ♂(Emberiza rustica)が右下から素早く飛来して横枝に止まりました。(@1:05〜) 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:08〜) 
秋に渡来した冬鳥のカシラダカ♂が春になって夏羽に生え変わった、と季節の変わり目でややこしい状況です。 
逃げたホオジロ♀は少し右の横枝に止まり直していました。 
留鳥のホオジロと冬鳥のカシラダカは同属なので、混群を形成することがあるそうです。 
実際に一緒にいるところを見たのはこれが初めてでした。 
しかし、今回カシラダカ♂の登場シーンは素人目にはホオジロ♀に対して敵対的でした。(止まり木から追い払った?) 
目立たないホオジロ♀の存在に気づかずにカシラダカ♂が藪に飛び込んだだけかもしれません。
あるいは誤認求愛しそうになったのでしょうか?
春になって繁殖期が始まっても同属で混群を形成したままだと、異種間で誤認求愛のトラブルが起こりそうな気がします。
近縁種の混群と生殖隔離は相容れないと思うのですが、繁殖期前の冬季限定なら上手く行くのでしょう。

カシラダカ♂は鳴きながら嘴を足元の止まり木で拭い、白い糞をポトリと排便しました。(@1:45〜) 
枝から枝へピョンピョン跳んで移動するカシラダカ♂を、見失ってしまいました。 

その一方、ホオジロ♀は止まり木からしばらく動きません。 
それでもしつこく撮り続けると、少し飛んで右の枝先に止まり直しました。 
次は枯草に覆われた地面に飛び降りたようですが、保護色でホオジロ♀を見失いました。 
最後に2羽の脱糞シーンと飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:36〜)

この2羽だけでなく、周囲にはもっと多数の個体が居ました。
混群の活動を記録するためにはもっと広角で全体を撮った方が良いのかもしれませんが、鳥の個体レベルの行動に興味があって同定に自信のない私は、なるべくズームインしたくなってしまいます。 
山林の日陰や窪地には未だ残雪が多いです。

2023/10/18

雪解け田んぼの餌場で小競り合いするコハクチョウの羽ばたき誇示♪【冬の野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後15:25〜16:50頃・晴れ 

雪解けが進む早春の刈田にコハクチョウCygnus columbianus bewickii)が集結して落ち穂拾いしています。 
採餌群の中でときどき勃発する小競り合いのシーンを高画質の4K動画でまとめてみました。 
広大な雪解け田んぼの中に散開した大群のどこで喧嘩が始まるのか予測できないので、喧嘩の原因やきっかけも含めて一部始終を動画に記録するのは、なかなか難しいミッションです。 
鳴き騒ぐ声を聞きつけてズームインしたときには、もう遅かったりします。 
餌場が密になってくると、個体あたりの餌の割当量が減りますから、苛々していざこざが増えるのでしょう。 
白鳥は家族群を単位に行動しているらしいので、餌資源を巡って家族間で縄張り争いになり、よその家族群を追い出すと思われます。 


シーン1:(@0:00〜) 
仲良く並んで採食しているペアに注目していたら、2羽がほぼ同時に頭を上げて首を前に伸ばし、鳴きながら一緒に翼を広げ、その場で羽ばたき始めました。 
♀♂ペアが気分を高め合う求愛誇示なのかと思いきや、右から別の2羽も集まって来て、一緒に羽ばたきディスプレイに参加しました。 
鳴いて羽ばたきディスプレイしながら、この4羽は少し左に移動しました。 
元から居た個体の1羽が新参者の相手を嘴でつついて牽制するような素振りを見せたので、♀へのアピールというよりも、餌場をめぐるペア間の争いではないかと思います。 
騒ぎが収まって平静を取り戻してからも、勝ったペアがその場で力強く羽ばたいて周囲に誇示します。 
ときどき翼を大きく広げて羽ばたくことで、餌場で適切な個体間距離を互いに保っているのかもしれません。 

その後、近くのローカル線で踏切がカンカン♪と鳴り始め、列車が轟音を立てて通過しました。 
しかし白鳥は全く怯むことなく、夢中で採食を続けています。 



シーン2:(@1:13〜) 
刈田で採食シーンを撮っていたら、残雪がある右奥の区画で急に小競り合いが始まり、慌ててズームアウトしました。 
4羽のコハクチョウが輪になって向き合い、鳴きながら翼を広げて口論しています。 
嘴で激しくつつき合う喧嘩になりました。 
最後に背伸びしながらバサバサと羽ばたきます。 

その間、小競り合いから離れた位置にいる個体は、全くの無関心で採食を続けています。 


シーン3:(@1:58〜) 
3羽のコハクチョウが羽ばたき誇示しながら雪田を走り回っています。 
じっくり観察すると、どうやら♀♂ペアにうっかり近づき過ぎた1羽の余所者を奥に向かって追い払ったようです。 

たまたま奥の区画で採食していたハシボソガラスも、手前で鳴き騒ぐ白鳥の剣幕に驚いたようで、トコトコ歩いて退散しました。 



シーン4:(@2:26〜) 
2羽のコハクチョウが田んぼの畦道に登り、鳴きながら小競り合いしていました。 畦
道の残雪はもうすっかり溶けているのに、喧嘩中に水かきの足がスリップして慌てる様が可笑しかったです。 
後から畦道に登った個体が左の区画に追い払われました。 

最後はスローモーションで小競り合いをリプレイするつもりだったのに、動画編集に失敗しました。(ただのリプレイになってしまった) 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


白鳥の小競り合いについて勉強しようと思っても、手元にある本で喧嘩の行動を解説したものは多くありません。 
世界文化社 しぜんのせかい10『はくちょう』という古い本によると、
・ハクチョウたちは、向かい合って首を上下に振ったり、水面を羽でたたいたりして、賑やかな挨拶(ディスプレイ)をかわします。(p8より引用) 
・ハクチョウもけんかをすることがあります。長い首をからませ、羽を強く打ち振り、相手をねじ伏せようとします。(p9より引用)
嵯峨悌二『白鳥 SWANS (クォークスペシャル) 』という写真集には喧嘩やディスプレイの瞬間を捉えた見事な生態写真が多数掲載されています。 
巻末にある解説によると、
 毎日次々とオオハクチョウが越冬地に到着する頃には、家族同士でけたたましい口論が繰り返され、時には派手なけんかもする。勢力の強さは主に餌を採る権利と結びついているようである。けんかはふつう数分間つづき、翼の“手首”で相手を叩いたり、相手の肩をかんだりする。その間、幼鳥たちやほかのグループの白鳥は喧しくはやし立てる。負けたほうはおとなしく退散するので、相手を傷つけるようなことはめったにない。(p91より引用)
私が観察したコハクチョウも喧嘩の作法はオオハクチョウと全く同じなのか知りませんが、参考のため(比較のため)に記しておきます。
詳しく観察すると種間で微妙な違いが出てくるかもしれません。

2023/10/10

ノスリとハシボソガラスの激しい空中戦(野鳥)早春のモビング行動

 

2023年3月下旬・午後16:05頃・くもり 

雪解けした田園地帯の上空でカラスが鳴き騒いでいたので見上げると、ノスリButeo japonicus)が1羽のハシボソガラスCorvus corone)に激しくモビング(擬攻撃)されていました。 
上昇気流に乗って小さく旋回しながら必死で逃げるノスリに対して、カラスがしつこく何度も襲いかかります。 
ノスリよりも小回りの利くハシボソガラスは、空中戦の定石通りノスリの上に位置取りしてから攻撃を加えています。 
ノスリが上昇気流に乗って高く舞い上がるのを邪魔しているのでしょうか? 
敵の真上から嘴や足の爪を使って襲えば、反撃されるリスクは低いです。 
ノスリが空中でクルッと反転して鉤爪を上に向けてカラスに反撃(牽制)するか?と期待したものの、今回の個体は黙って(鳴かずに)右へ左へ旋回してカラスの攻撃を回避するだけでした。 




強風による風切り音のせいなのか、空中戦の最中にノスリやカラスの鳴き声は聞き取れませんでした。 
ようやくノスリがハシボソガラスの縄張りから離脱し、無事に逃げ延びました。 
カラスも深追いすることはありません。 

ハシボソガラスの単独モビング行動を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:10〜)
スローモーションで見直すとカラスはノスリに対して実際に接触を伴う攻撃は加えておらず、迫真の威嚇だけでした。

周囲の雪解け田んぼからはコハクチョウの大群が採食しながら鳴き交わす声が聞こえます。 
餌場の上空をノスリが飛んでも白鳥は無頓着で、逃げ惑うどころかのんびり採食を続けています。 
繁殖期で気が立っていてもハシボソガラスは白鳥に対しては寛容で、モビングすることは一度もありませんでした。 



2023/10/04

早春の刈田に舞い降りたトビとハシボソガラスの謎【野鳥:4K動画】

 

2023年3月下旬・午後16:00頃・晴れ 

残雪が完全に解けた刈田にトビMilvus migrans)が旋回しながら舞い降りました。 
実はこの直前まで田園地帯の電柱からノスリが飛び去る様子を撮影していたので(映像公開予定)、見失ったノスリがまた飛来したのかと思いました。 
しかし、翼の下面を見れば黒地に白斑なのでトビと分かります。 

飛んでいるトビが着地する行動を見るのは珍しいです。 
何か小動物の死骸を刈田に見つけたのでしょうか? 
しかし映像にはそれらしき獲物は何も写っていません。
それとも刈田に溜まった泥水を飲みに来たのかな? 
残念ながら着陸した直後に瞬間にカメラの電池切れで撮影が打ち切られてしまいました。 
大至急、電池を交換して続きを撮ります。 (痛恨のタイムロス1分間)

その間にトビの横に1羽のハシボソガラスCorvus corone)がトビの横に来ていました。 
トビとカラスは共にスカベンジャー(動物遺骸の掃除屋、屍肉食性)ですから、トビが見つけた獲物をハシボソガラスが横取りに来たのかと私は思いました。 
獲物の争奪戦が勃発するでしょうか? 
カラスは猛禽類が大嫌いなので、縄張りから追い払ったり、いつも何かしらの嫌がらせ(モビング)をしてきます。 
しかし2羽とも何も食べていませんでした。 
動画撮影の中断で捕食シーンを撮り損ねたのかな? 

横の車道に車が通りかかったのか、2羽が一斉に飛び立ちました。 
このときトビの足は獲物を掴んでいませんでした。 

トビの着陸および飛び立ち(離着陸)の瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
せっかく面白そうな行動だったのに、撮影は色々と不運続きでした。


2023/09/20

笹薮の溜め糞場でホンドタヌキの♀♂ペアとよそ者タヌキが出会うと…【トレイルカメラ】

 



2023年3月中旬・午前5:36頃・気温-2℃(日の出時刻は午前5:47) 

笹薮に囲まれた河畔林の溜め糞場rpに早朝からホンドタヌキNyctereutes viverrinus)aが排便に来ていました。 
珍しく東を向いて脱糞中です。 
日の出直前の河畔林はもうだいぶ明るく、トレイルカメラは自然光モードで起動しました。

右奥の雪原を別個体bが右からブラブラと歩いてやって来ました。 
少し遅れて左から別個体cが走って右に走って来たので、驚いたbは慌てて右に引き返し逃走。 
縄張り争いで侵入者を追い払ったようですが、タヌキの唸り声や鳴き声は聞き取れませんでした。 
そもそも溜め糞場は複数のタヌキが共有しているので、完全に排他的な縄張りではありません。 
たまたま同じ時刻に溜め糞場rpで鉢合わせしてしまったのでしょう。

溜め糞場rpで排便を済ませた個体aが、奥の残雪上で待っていたcに合流しました。 
しばらく並んで佇み右を眺めてから、ペアは一緒に右へ走り去りました。 
bは、嬉しげに(はしゃぐように)駆け出しました。 
近くの川でカラスが鳴いています♪ 

タヌキは一夫一妻制です。 
aとcが♀♂つがいを形成しており、単独行動のbは縄張り侵入者だったようです。 
あぶれ♂が既婚♀に横恋慕する三角関係だとしたら面白いですけど、もしかするとbはacペアの間に昨年生まれた子供なのかもしれません。 
繁殖期に入り子別れしたのかな?と思ったりするのですが、私の勝手な想像です。
素人目には、深刻な縄張り争いというよりも、タヌキの幼獣同士がふざけてやる追いかけっこ遊びにも似ていました。 

※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 



2023/09/16

早朝に籾殻の山の頂に陣取るキジ♂(野鳥)がネコの喧嘩に遭遇すると…

 

2023年3月中旬・午前5:50頃・くもり (日の出時刻は5:52) 

郊外で農家の裏の畑に稲の籾殻が大量に積み上げられています。 
日の出直前の薄暗い時刻に通りかかると、その天辺にキジ♂(Phasianus versicolor)が佇んでいました。 
小高い籾殻山の頂は見晴らしが良さそうで、油断なく辺りをキョロキョロ見渡しています。
ねぐらとして一晩中そこで寝ていたのなら面白いのですが、定かではありません。 
さすがに近くの樹上で寝ていたのではないかな?と予想しています。
もしかすると、籾殻の山は発酵熱でほんのり温かいのかもしれません。 
少なくとも雪山よりは寒くないでしょう。 
見晴らしの良いお立ち台というだけでなく、天然の床暖房にもなってそうです。 
周囲の畑は残雪に埋もれたままですが、籾殻の山に積もっていた雪はいち早く溶けていました。 
冬〜早春にサーモグラフィカメラで籾殻を撮ってみたいものです。

夜明けと共にキジ♂が一番鶏のように大声で鳴く(母衣打ち)のではないかと期待して、愚直に長撮りしてみました。 
「鳴かぬなら、鳴くまで待とうきじ」(字足らず) 

しばらくすると、盛りの付いた雄ネコ♂同士が喧嘩する凄まじい唸り声♪が突然辺りに響き渡りました。(@1:08〜) 
イエネコFelis silvestris catus)の鳴き声を聞いた途端に、全身膨らませていたキジ♂の羽毛がスッと萎んだのは、怯えや自信喪失の現れでしょう。 
猫の鳴き声のした右に私が慌ててカメラを振ると、キジトラ♂が民家の軒下をぐるっと回って走り去るところでした。 
春はネコの発情期で、雄猫♂同士で縄張り争いや♀を巡る喧嘩が激しくなります。 
逃げる喧嘩相手を追い回すキジトラ♂を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:23〜) 
縄張り争いに夢中のネコは、キジ♂のことなど眼中にありません。
全く気づいていないようです。 

カメラをキジ♂に戻すと、いつの間にか籾殻山の天辺に座り込んでいました。 
天敵(捕食者)の猫に見つからないように、姿勢を低く伏せていたのでしょう。 
キジ♂は派手な体色ですから、地味な♀と違って保護色(カモフラージュ)の効果は期待できません。
もしも猫に襲われたら飛んで逃げたはずです。 
それまではいかにも勇ましい「お山の大将」というイメージだったのに、危険が迫ると実際のキジ♂は臆病なようです。 

小山の上にうずくまるキジ押す音姿は、まるでツカツクリの巣のようだと連想しました。 
ただし、キジ♂は抱卵や育雛を100%♀に任せるので、的外れな連想です。
ツカツクリ科(ツカツクリか、Megapodiidae)は、鳥綱キジ目に属する科。 本科の構成種は鳥綱では唯一抱卵を行わない。地面に穴を掘ったり、塚状の巣を作りその中に卵を産む。卵は日光や地熱、巣材植物質の発酵熱により温められ孵化する。穴や塚の中の温度は掘り起こしたり、逆に砂や落ち葉をかけることで調整する。(wikipediaより引用)

ネコの大騒ぎが収まると、キジ♂はおそるおそる立ち上がり、中腰で周囲を見回しています。
長撮りしても、結局キジ♂はケンケーン♪と鳴いてくれませんでした。 
私に対して警戒していたのかもしれません。
出かける途中で急いでいた私は痺れを切らして撮影を打ち切りました。 

以下のスナップ写真は、自動色調補正を施してかなり明るく加工しています。
立位
座位
中腰


2023/08/11

メジロの群れが熟柿を食べ脱糞(冬の野鳥)

 

2023年1月上旬・午後14:10頃・晴れ 

道端の庭に植栽されたカキノキメジロZosterops japonicus)の群れが集まり、賑やかに鳴き交わしていました。 
初め、メジロ同士が落葉したカキノキ樹上で小競り合いのような追いかけっこをしていました。 
1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
忙しなく飛び回るため、別種の鳥も混じっていた(混群)のかどうか不明です。 

関連記事(6年前の撮影)▶ 熟柿をついばむ雪国のスズメとメジロ(冬の野鳥)
後半は、甘く熟した果実を美味そうに啄む様子を順光できれいに撮れました。
横の車道を車が通りかかるたびにメジロは警戒して少しずつ飛び去ってしまい、居残って採食を続ける図太い個体も逃げ腰になります。 

採食の合間にメジロが枝先で後ろ向きになり、脱糞しました。 
排便の瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:44〜) 
続けて等倍速でリプレイ。 
普段バードウォッチャーが見慣れた尿酸混じりの白っぽい鳥の糞ではなく、いかにも熟柿食後らしいオレンジ色で粘度の高い軟便でした。 
これは種子散布の瞬間でしょうか? 
カキノキは果実(液果)を種子ごと丸呑みする動物(哺乳類と大型の鳥類)に種子散布を託しています。 
チビチビと熟柿の果肉を啄むメジロの採食法から見て、柿の種を丸呑みするとは思えません。 
柿の種はメジロの口には大きすぎるので、カキノキの種子散布には関与してないはずです。 
撮影後にカキノキの下でメジロの糞を探して、種子が含まれていないことを確かめればよかったですね。

2023/08/08

秋の川岸に集まり首を伸ばして背比べ・小競り合いするダイサギの群れ(野鳥)

 

2022年10月下旬・午後14:10頃・晴れ 

最上川の左岸の砂州にサギ類の混群が集まっていました。 
画面の左側に6羽のダイサギArdea alba)、右側に2羽のアオサギArdea cinerea jouyi)が居ます。 

ダイサギの隣り合う個体が互いに向き合うと、長い首を伸ばして真上を向きました。 
長い首を見せつける誇示行動なのでしょうか。 
まるで背の高さを競い合っているようです。(背比べ) 
首を伸ばすディスプレイ中の2羽が嘴でつつきあって小競り合いになりました。 
更に嘴でつつこうと突進して、近くの個体を牽制し追い払いました。 
背の低い個体の方がむしろ強気で、背の高い相手を追い払ったのが驚きました。 
互いに適切な距離を保つと(ソーシャルディスタンス)、群れは平和を取り戻しました。 
近くの水門から流れ落ちる水の轟音でかき消されてしまい、ダイサギの鳴き声は聞き取れませんでした。 
ネット検索で調べると、サギ類が首を真上に伸ばすのは求愛の誇示行動(ディスプレイ)なのだそうです。
しかし撮影した秋はサギの繁殖期ではありませんし、前後の行動から見ても、今回の首伸ばしは闘争的な誇示行動だと思います。
ダイサギとアオサギの混群でも、ダイサギ対アオサギの小競り合いは見られませんでした。

川面を遊泳していた1羽のカワウPhalacrocorax carbo hanedae)が、白鷺の小競り合いを見物に来ました。 

遠近法の錯覚かもしれませんが、白鷺の群れに小柄な個体が混じっている気がします。 
もしかすると、コサギEgretta garzetta)かもしれません。 
よく晴れた強い西日を浴びて、白鷺が眩しく白飛びしてしまっています。 
手前に生えたヨシの群落が邪魔ですね。 
コサギが混じっているのかどうか確かめたくて、よく見えるアングルへと私が移動したら、サギたちは警戒して一斉に下流へ飛び去ってしまいました。 
この後、夕方になると、サギ類は河畔林の樹上に集まってねぐら入りします。 

2023/07/27

早朝から柳の樹液に集まるシロテンハナムグリ

 

2022年8月上旬・午前5:20頃・晴れ (日の出時刻は午前4:44)

河畔林の(種名不詳)から樹液が滲んでいて、様々な昆虫が吸汁しに集まる樹液酒場になっています。 
伐採した枝の切り口と小さな樹洞から樹液が滲み出し、発酵しているのです。 
早朝に通りかかると、シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)が群がっていました。 
朝日を浴びて鞘翅が銅色に輝いています。 
夜の間から集まっていたのでしょうか? 

いつもはクワガタが占領している樹洞の窪みの奥にもシロテンハナムグリが潜り込んでいました。 
互いに頭を突き合わせて押し合いへし合いし、少しでも樹液の多いスポットを巡って争っています(占有行動)。 
この日はなぜかクワガタなど他の昆虫をこの樹液酒場で見かけませんでした。 
微小なアリ(種名不詳)も柳の枝を徘徊していました。 

※ 後半は動画編集時に逆光補正を施しています。 
朝日の射さない日陰は未だ薄暗く、シロテンハナムグリ鞘翅の金属光沢が失われて斑点模様もゴマダラカミキリのような印象でした。
以下の写真はフラッシュを焚いて撮りました。
 

2023/06/29

野ネズミ2匹がタヌキの溜め糞場で縄張り争い【トレイルカメラ:暗視映像】

 




2022年11月中旬・午後21:20頃 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した河畔林の溜め糞場rvに 野ネズミ(ノネズミ)が来て珍しく長々と居座っています。 
どうやらタヌキの糞に含まれる未消化の種子を採食しているようです。 
気温の低い晩秋には、食糞性の虫を捕食している可能性は低いはずです。 

そこへ左から別個体bの野ネズミが登場しました。 
林床に転がっている落枝を渡って右へ行こうとしたら、先客の個体aが気づいて襲いかかりました。 
餌資源となっている溜め糞場から追い払う縄張り占有行動を1/3倍速のスローモーションでリプレイ。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 




2023/06/19

晩秋にトビを擬攻撃してから♂と擬交尾するハシボソガラス♀(野鳥)

 

2022年11月中旬・午後15:55頃・くもり 

田園地帯の電線にトビMilvus migrans)とハシボソガラス♀(Corvus corone)が並んで止まっていました。 
カラスが強風に乗ってふわりと飛び上がり、トビの横に止まり直しました。 
トビに対して明らかに嫌がらせ・牽制しています。 
繁殖期ではないのに、カラスは猛禽に軽くモビング(擬攻撃)して縄張りから追い出そうとしているようです。 
しかし、このトビは強気で、カラスにモビングされても動じません。 

トビへのモビングを諦めたハシボソガラス♀は、左下の電線に滑空して飛び移りました。 
電柱に何か黒い箱状の器具が取り付けてあり、そこからケーブル(針金、電線)2本が上下の電線に伸びて繋がっています。 
そのケーブルの末端(黒いビニールテープ?)にカラスは興味を示し、嘴で被覆をほどこうとし始めました。 
逃げないトビへの苛立ち(欲求不満)を鎮めるための転移行動かもしれません。
電線の被覆を剥がそうとしているのなら重大な問題です。 
感電事故になるのではないかと心配しながら見守っていると、カラスは諦めて電柱の足場ボルトにヒョイと飛び乗りました。 
どうやら、このハシボソガラス♀個体はとにかく飽きっぽいようです。 
(私がしつこくカメラを向けているせいで集中できないのかな?) 

足場ボルトから白い液状便をポトリと排泄してから(@1:17〜)、カラスは左下に飛び降りました。 
波状に滑空すると、刈田に着陸しました。 
刈田で採食していたパートナーのハシボソガラス♂と合流すると、♀は♂の横で身を伏せました。 
♂は頭を上下にしゃくりあげるように動かしながら鳴いて、飛来した♀に挨拶しました。 
(やや遠い上に風切り音のせいで、カラスの鳴き声は聞き取れませんでした。) 
つづけてハシボソガラス♂が♀の背に乗りました! 
♂にマウントされた♀は身を伏せたまま嬉しそうに尾羽根を左右に振り、♂を見上げました。 
カラス同士がニホンザルのように上下関係を決めるためにマウントする(優劣行動)という話は聞いたことがありません。
晩秋に交尾するペアを初めて見た私はビックリ仰天しました。 
そもそもカラスの交尾期は初春です。

関連記事(1年前の撮影)▶ 巣材を運ぶ途中で交尾するハシブトガラス♀♂のつがい(野鳥)

映像を見直すと総排泄孔を互いに擦り付けなかったので、本当の交尾行動ではないようです。 
♀♂つがいの絆を深めるために儀式的な疑似交尾をしたのでしょう。 
相互羽繕いなどの前戯はありませんでした。 
私はカラスの性別を外見から見分けられませんが、擬交尾した時点で行動から性別が判明しました。 
今回は♀が疑似交尾を求めて、パートナー♂の真横に舞い降りたことになります。 

短い擬交尾の後で♂が♀の背中から下りると、ペアは少し離れました。 
♂が再びマウントしようと♀の背に左足を掛けたら、♀は嫌がって逃げました。 

その間も冒頭のトビは電線に止まったままで、周囲の刈田を見回していました。 
胸の羽毛が白くなく、尾羽根に三角の切れ込みがあることから、ノスリではなくトビと見分けられます。 (開いた翼の下面を見るまでもない) 

手前の里山は紅葉しているものの、標高の高い遠くの山並みはうっすらと冠雪していました(初雪)。 

2023/06/18

交尾中のベッコウバエ♀♂に繰り返しアタックするハクサンベッコウバエ♂の謎(誤認求愛? 縄張り争い?)

 

2022年11月上旬・午前11:45頃・くもり 

山林の小径に残されたホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dには、ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)だけでなくハクサンベッコウバエNeuroctena analis)も少数ながら来ていました。 




イタヤカエデの黄色い落ち葉の上で交尾を始めたベッコウバエ♀♂の背後にハクサンベッコウバエ♂が飛来しました。 
私には外見でハクサンベッコウバエの性別を見分けられませんが、その後やった行動から♂と思われます。 

翅を半開きにして交尾しているベッコウバエ♂の背後からハクサンベッコウバエ♂が忍び寄り、いきなり跳びつきました! 
ハクサンベッコウバエ♂が別種の♂に対して誤認求愛してしまったのでしょうか? 
同じベッコウバエ科ですが、別種で体格も異なります。 
ハクサンベッコウバエ♂の眼には、巨大な同種♀が近くに居るように見えて、その魅力に抗えずに求愛してしまうのかもしれません(超正常刺激)。 
しかしハクサンベッコウバエ♂は相手に触れた瞬間に間違いに気づいたらしく、すぐに離れました。 

背後から不意打ちを食らったベッコウバエ♂は、直ちに左右の前脚を大きく開いて持ち上げ、交尾相手の♀を奪われないように撃退・牽制の姿勢になりました。(配偶者ガード) 
衝撃に驚いたベッコウバエ♀は、同種♂を背負ったままイタヤカエデの落ち葉から前進して溜め糞の上に移動すると、口吻を伸ばして吸汁し始めました。 

驚いたことに、逃げたベッコウバエ♂に対してハクサンベッコウバエ♂が再び背後から飛びかかりました。 
ベッコウバエ♂は翅を斜め上に持ち上げ、前脚を高々と上げて、撃退ポーズを取ります。
(翅を震わせてリリースコール♪を発していたら面白いのですが、それは無さそうです。) 
ベッコウバエ♂の翅先に乗ったハクサンベッコウバエ♂は、自らの誤認に気づいて離れました。 
翅の黒い斑点模様がベッコウバエに特有のトレードマークです。
それを見れば明らかに別種だ(ハクサンベッコウバエではない)と気づくはずなのに、ハクサンベッコウバエ♂は懲りずに同じ相手に誤認求愛を繰り返しています。 
学習能力が全くありません。
薄暗い林床では視覚による認識がおぼつかなくなり、誤認が増えるのかな? 

もしも配偶者ガードするベッコウバエ♂が居なかった場合、体格の小さなハクサンベッコウバエ♂が、体格の大きな異種のベッコウバエ♀に誤認したまま交尾を挑むことがあり得るのでしょうか? 
だとすれば、異種間の繁殖干渉ということになります。 

秋の溜め糞場で最も興味深く、興奮した事件でした。
訳が分からないので、頭をひねって別の仮説をひねり出しました。 
ハクサンベッコウバエ♂は溜め糞の横で交尾相手の同種♀が飛来するのを待ち伏せしているはずです。 
今回見られたハクサンベッコウバエ♂の行動は、集団お見合い場となっている溜め糞からライバルを追い払う占有行動なのでしょうか? 
体格差をものともせずにベッコウバエに何度も飛びかかるハクサンベッコウバエは相当な闘士(ファイター)です。 
繰り返しアタックされたベッコウバエは確かにタジタジで少し離れて行きました。
それにしても、別種であるベッコウバエをライバルとみなす意味が分かりません。 

ハクサンベッコウバエ♂の同種♀への求愛が成就して交尾に至る過程を未だ観察できていないので、それが今後の課題です。 


英語版wikipediaには同属近縁種(Dryomyza anilis)に関する解説ページが立項してあり、交尾行動についても詳しく書かれていました。

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