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2023/06/15

ベッコウバエ♂の配偶者ガード:横恋慕するあぶれ♂を足蹴にして撃退

 



2022年11月上旬・午前11:55頃・くもり 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の溜め糞場dで繰り広げられる ベッコウバエ♀♂(Dryomyza formosa)の配偶行動が面白くて観察しています。 

糞塊の横でイタヤカエデの黄色い落ち葉に「あぶれ♂」が乗っていて、交尾相手の♀が溜め糞に飛来するのを待ち伏せしています。 
そのあぶれ♂が翅を半開きにピクピク動かすようになり、目の前で交尾していた♀♂ペアに跳びつきました。 
あぶれ♂は目の前で動くものに対しては、とにかく何にでも飛びついてみるようです。(誤認求愛) 

実は、このイタヤカエデの落ち葉に乗っていた個体は腹背が黒っぽかったので、てっきり♀だと初めは思い込んでいました。 
ところが、横から見ると黄色がかっていて、黄色の毛があまり密生していない♀♂中間型の個体でした。 
その後の行動を見る限り、♂で間違いなさそうです。 
♂なのに♀のふりをして油断させつつ交尾のチャンスを狙うスニーカー戦略の♂だとしたら面白いのですが、どうでしょうか? 

溜め糞に居る交尾ペア♀♂aをよく見ると、実際には交尾器を結合していない状態でマウントを続けており、配偶者♀をライバル♂bから守っている(交尾後ガード)、と表現するのが正しいです。 
♂が自分の遺伝子を確実に次世代に残すためには、交尾した♀が産卵するまで他の♂と浮気しないようしっかりガードする必要があるのです。
実際に、♂aは♀にマウントしながら中脚を伸ばしてあぶれ♂bが配偶者♀に近寄らないよう牽制し、強引に飛びかかってきたら蹴って撃退しました。 

足蹴にされたあぶれ♂bはあっさり諦めて、横のイタヤカエデ落ち葉にすごすごと戻りました。 
交尾中のペアに割り込んで♀を強奪することはありません。 
体格を比べると、今回は交尾後ガードをしている♂aがあぶれ♂bに勝っていました。 
もしもあぶれ♂の方が体格が大きければ、♀を奪い取って交尾できるのでしょうか? 
(私は♀の強奪シーンを未だ一度も見たことがありません。)

つづく→

2023/06/07

晩秋のタヌキ溜め糞場で落ち葉をめくって虫を探すトラツグミの群れ【野鳥:トレイルカメラ】

 

2022年11月上旬・午前9:31〜10:43 

山林の斜面をトラバースする小径に残されたタヌキの溜め糞場dを自動撮影カメラで見張っていると、トラツグミZoothera aurea)が繰り返しやって来ました。 
迷彩効果の高い地味な斑紋を身にまとっているため、じっとしていると見つけるのが困難です。 
画面の中央に黒々と見える塊がホンドタヌキの溜め糞です。 

落ち葉に覆われた小径にトラツグミが降り立ち、溜め糞に近づいてチェックするも、素通りします。 
気温の低い晩秋になると、溜め糞の上にはもう虫が居ないようです。 
地面に降り積もった落ち葉を嘴で払い除けて、隠れている虫を捕食し始めました。 


複数のトラツグミが繰り返しやって来るということは、やはり溜め糞場の周囲には隠れている虫の量が多いのでしょう。 
たとえば、糞塊を食べて育ったウジ虫(ハエの幼虫)は溜め糞場を離れて分散してから地中に潜り、蛹になります(蛹化)。 
その間にも雑木林の落葉性広葉樹から落ち葉がハラハラと舞い散ります。

同時に複数個体のトラツグミが登場することもありました。(@3:31〜) 
林道の右と左で2羽のトラツグミがそれぞれ落ち葉めくりに勤しんでいます。 
そこへもう1羽がバサバサと羽音を立てて飛来しました。(@3:58〜) 
ところが、初めから左端に居た個体が他の2羽を次々に追い払ってしまいました。 
てっきり家族群なのかと思いきや、餌場の占有行動があるのかな? 
音量を上げても闘争時に鳴き声を聞き取れませんでした。 
追い払われた個体も、すぐにまたピョンピョン跳んで戻って来ました。 
つつきの順位で上位の強い個体が餌場を独占するというよりも、集団採食時に個体間で適切な距離を取らないといけないのかもしれません。(ソーシャル・ディスタンス!) 

※ 旧機種のトレイルカメラで昼間に撮影すると画面全体がピンク色に点滅して見苦しいので、動画編集時に自動色調補正を施しています。 
ほぼモノクロの映像になってしまいますが、仕方がありません。 

2023/06/03

夜の河畔林でオニグルミ堅果を運搬中に出会った野ネズミ同士が激しい喧嘩【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年11月上旬

ニセアカシアが優占する河畔林でタヌキの溜め糞場rvをトレイルカメラで見張っていると、野ネズミ(ノネズミ)の面白い行動が記録されていました。 


シーン1:11/2・午後21:26 (@0:00〜) 
夜に溜め糞を訪れていた野ネズミが林床に転がっている落枝に落枝に飛び乗りました。 
そして、ニセアカシア根元に転がっていた黒くて丸い物体を見つけました。 
どうやらオニグルミの堅果のようです。 
いつからあったのか、動画を遡ってチェックしてみると、2時間20分前に撮れた動画には写っていませんでした。 
近くに自生するオニグルミの木からの落果がこんな所まで転がってくるとは考えにくいです。 
おそらく(別個体?の)野ネズミが運搬中にうっかり落としてしまったのでしょう。 

野ネズミは拾ったクルミの実を口に咥えると、落枝を乗り越え、画面右下に運んで行きました。 
どこか安全な場所に埋めて隠し、冬の食料とするのでしょう。(貯食行動) 


シーン2:11/3・午前1:10 (@0:24〜) 
深夜の林床で左上の落枝に居た野ネズミaがニセアカシアの根際に飛び降りて休んでいます。
そこへ左上から別個体の野ネズミbがやって来ました。 
この個体bはオニグルミの堅果を咥えて運搬中でした。 
暗闇で2匹が出会うと、大喧嘩が勃発しました。 
まずはお互いに驚いて、弾かれたように離れました。 
落枝を伝って走って行ったり来たり、林床に降りたりして走り回ります。 
個体bが落としたクルミを拾って持ち去ろうとしても、相手aはそれを許さずに追撃します。
1匹は画面下に逃げて行きました。 
もう1匹は相手を見失ったようで、画面上に移動します。 

一連の騒動を1/3倍速のスローモーションでリプレイしてみましょう。(@0:59〜) 
クルミを持参した個体bは、落としたクルミを喧嘩中に何度も取りに戻ろうとしています。 
最後は相手aに追い払われて右下に走り去りました。 
スロー映像を見る限り、クルミの争奪戦というよりも縄張り争いのように見えます。 
「普段から仲の悪いご近所さん」なのでしょう。 
お互いに貯食したクルミを盗み合っているのかもしれません。 

喧嘩中に野ネズミの鳴き声は聞き取れませんでした。 
近くを流れる川の水音がうるさいせいなのか、それともヒトには聞き取れない超音波を発しているのかもしれません。 

オニグルミの堅果は画面左上のニセアカシア根際に落としたままです。 
シーン1で急に登場したクルミの出所もこれで想像がつきました。 


シーン3:11/3・午前2:05 (@2:02〜) 
55分後、喧嘩のほとぼりが冷めてから、1匹の野ネズミが落とし物を取り戻しに来ました。 
(この野ネズミがシーン2の個体bかどうか、私には見分けられません。) 
拾ったオニグルミ堅果を口に咥えると、落枝を伝って画面の右下へ運び去りました。 
安全な貯食場所を探索しているようです。 

※ 動画編集時に自動色調補正を施して明るく加工しています。 





【追記】
別の地点でも同様の事件が記録されていました。


2023/05/31

ノブドウの花蜜を吸うヒメウラナミジャノメ

 

2022年7月上旬・午後14:10頃・晴れ 

川沿いのコンクリート護岸に蔓延るノブドウの群落でヒメウラナミジャノメYpthima argus)が訪花していました。 
この組み合わせは初見です。 
翅を開閉しながら吸蜜しています。 

蜜源をガードするクロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀に追い払われてしまいました。

2023/05/13

カラスの群れにモビングされて逃げるトビ(野鳥)

 

2022年9月中旬・午前10:50頃・晴れ 

山麓の農村部の上空で4羽のカラス(種名不詳)が猛禽を追い回していました。 
モビング(擬攻撃)にしては淡白で、カラスはあっさり追跡を止めて引き返しました。 
カラスは嗄れ声で少し鳴きましたが、逃げる猛禽は鳴きませんでした。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:46〜) 
秋の青空と白い雲を背景に飛び去る猛禽の翼の下面を確認すると、ノスリではなくトビMilvus migrans)でした。 
トビは滑翔と羽ばたきを交互に繰り返して飛び去ります。 

※ トビの翼の下面にある斑紋がよく見えるように、後半のスローモーションでは逆光補正を施しています。 


2023/05/07

黒猫とフレンチブルドッグの遭遇

 

2022年10月中旬・午後16:00頃・晴れ 

堤防路から河川敷に降りるスロープを黒猫が歩いて降りてきました。 
種としてはイエネコFelis silvestris catus)です。
顔にズームインしてみると、右耳の先端が欠けています。 
繁殖期の喧嘩で耳を食いちぎられたのかな? 
目が黄色く、野生の黒豹を連想しました。
私に気づくと、立ち止まってその場に座り込みました。 
両耳を自在に動かして周囲の物音に油断なく耳を澄ませています。 
クロネコが左右をキョロキョロ見回し、急に背後を振り向いて凝視しました。 
逃げ腰で道端に身を伏せました。 

一体何事かとカメラをズームアウトすると、スロープの上からおじさんが白い飼い犬を連れて散歩にやって来ました。 
犬種はフレンチ・ブルドッグと思われますが、種名はイエイヌCanis lupus familiaris)です。 
クロネコは明らかに怯えて警戒しているものの、横の草むらへ逃げ込まずにギリギリで踏み留まりました。 
犬を怖がりつつも、ちょっとしたスリルを味わっているのでしょうか。 
下手に逃げるとリードを振り切ったイヌが走って追いかけてくる危険性を知っているのかもしれません。
いざとなったら猫パンチで小型犬を撃退できるという自信があるのかな?
リードに繋がれたフレンチブルドッグは躾が行き届いているのか、黒猫の存在に気づいても迂回して通り過ぎました。 

なんとか犬をやり過ごした黒猫がようやく立ち上がりました。
頭を低く下げて耳を横に伏せ、背中を弓なりに曲げて高く見せ、威嚇のポーズを取りました。 
一旦通り過ぎたフレンチブルドッグが振り返って黒猫と対峙しています。 
後ろ向きになったイヌの股間に睾丸(イヌノフグリ)が見えたので♂ですね。 
この小型犬は幼いのか、クロネコに襲いかかるどころか無邪気に近づこうとしています。
番犬や闘犬としての迫力は全くありません。
もしかすると、散歩の度に出会う顔馴染みの仲なのかもしれません。 
飼い主にリードで制されて諦めたフレンチ・ブルドッグが立ち去ると、ようやく黒猫はリラックスしました。 

その後も黒猫は移動せずに土手のスロープに座ったまま私を凝視していました。 
河川敷や河畔林で野ネズミを狩りに来たのではないかと期待したのですが、動きがないので諦めて撮影終了。
微笑ましい出会いだったと思う人が多いのでしょうけど、個人的には野生動物と比べてペットの行動はどうしても抑圧されたように見えて、あまり面白くありません。


2023/04/14

トビにモビングして電線から追い払うハシブトガラス(野鳥)

 

2022年10月上旬・午後16:30頃・くもり 

夕方の郊外でトビMilvus migrans)が電線に止まっていました。 
トビが電柱の天辺ではなく細くてバランスの悪い電線に止まっているのは珍しいので動画に撮り始めると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が飛来してトビと同じ電線に隣り合って止まりました。 
明らかにカラスの挑発行為です。 
ハシブトガラスが電線から急に飛び立ち、トビに対して威嚇するように軽い空中戦が勃発しました。 
モビング(擬攻撃)されたトビは応戦するのではなく、あっさり電線から飛び去りました。 
トビが力強く羽ばたいて電線から飛び去る様子を上手いこと流し撮りできました。 
モビングの様子を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:43〜1:55) 
※ スロー映像は動画編集時に逆光補正を施しています。 

縄張りから猛禽を追い払ったハシブトガラスは電線に居残り、カーカー♪と勝利の凱歌を上げました。 
実は手前の電柱にハシボソガラスも野次馬のように来ていて、ガーガー♪と鳴きました。 
いざとなったらハシブトガラスに加勢してトビへのモビングに参加するつもりだったのでしょう。 
私がしつこくカメラを向けてもカラスたちは強気で、飛び去りませんでした。
もう少し暗くなるとカラスが塒入りする時間になります。


2023/04/04

アリに噛まれて飛び起きたパートナー♀を心配するニホンザル♂

 



2022年10月上旬・午後13:50頃・くもり 

山間部の路上に寝そべってニホンザルMacaca fuscata fuscata)成獣♂から毛繕いを受けていた若い♀が急に飛び起きました。 
音量を上げて聞き直しても、前回とは違ってカケスGarrulus glandarius)の警戒声♪に反応した訳ではありません。 
その直前にも♀は自分の体の下の路面を気にしていたので、どうやら路上を徘徊していたアリの上に知らず知らず乗ってしまって、怒ったアリに噛まれたようです。
(この映像では遠くてアリは写っておらず、私の想像です。) 
ニホンザルは長い体毛に覆われていますから、体毛の間に潜り込まれたアリに皮膚を直に噛まれて痛がっているとは限らず、アリが毛皮を這い回るだけでもくすぐったくて嫌なのかもしれません。 

横に居た♂も驚いたものの、パートナー♀の身に何が起きたのかすぐに察したようです。 
心配そうに♀の顔や胸元を覗き込み、噛んだ虫を探しているようです。 
言語を使わないニホンザルでも共感性や気遣いの萌芽を垣間見たようで、興味深く思いました。 
もし♀の体に小さなアリを見つけたら、♂は蚤取りの一環として手で器用に取り除いて食べてしまったはずです。
しかし、ニホンザル♀♂が攻撃者を見つけて反撃・報復することはありませんでした。 

やがて♂は♀への対他毛繕いを再開しました。 
今度は頭部の毛を掻き分けて甲斐甲斐しく蚤取りをしています。 
私は動物の行動を安易に擬人化しないように心がけているつもりですけど、ニホンザルの行動を観察していると、ほとんどヒトと変わりません。
ヒトでは親が幼児に対して「痛いの痛いの飛んでいけ〜♪」 などと声を掛けながら慰めてやりますが、猿も仲間の痛む患部を撫でたりさすったりしてあげるのでしょうか?

最後に大柄な個体の股間に陰茎および睾丸が正面から見えたので、♂と分かります。 
睾丸が紅潮してないということは、未だ発情していないということを意味しています(繁殖期の開始は晩秋)。






2023/03/21

カクトラノオの花畑で激しく喧嘩するキイロスズメバチ♀【占有行動?】

 

2022年9月下旬・午後15:40頃・くもり 

川沿いの庭先の花壇に咲いたハナトラノオ(別名カクトラノオ)の群落でキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が何匹も忙しなく飛び回っていました。 
獲物を探索しているのでしょう。
探餌飛翔で空腹になった個体はカクトラノオの花序に着陸すると、唇形花に正当訪花を繰り返して花蜜を吸っています。 
吸蜜後に唇形花の狭い花筒から出てくると、胸背が白い花粉まみれになっています。 
次の花に潜り込んだら、その花粉が雌しべに付き、キイロスズメバチはカクトラノオの授粉を手助けしていることになります。 (送粉者)

関連記事(11日前の撮影)▶ カクトラノオの花蜜を吸うキイロスズメバチ♀ 

しばらく観察していると、キイロスズメバチ♀は互いに攻撃し合っていることが分かりました。 
訪花後の個体が次の花序へ飛び去ろうとすると、近くを飛んでいた別個体が急いで追撃し、軽い空中戦になります。 
花畑で動く虫なら何でも獲物と誤認して(たとえ同種でも)反射的に飛びついてしまうのでしょうか? 

また別のワーカー♀aの吸蜜シーンを撮影していると、背後から飛来した別個体♀bが急に襲いかかりました。 
そのまま先客♀の背中にマウントしたので、♂が♀に交尾を挑んでいるのかと思いきや、雄蜂♂ではありませんでした。 
獲物と誤認して飛びかかったのなら、すぐに誤りに気づいて相手を離すはずです。
しかし♀bは大顎で♀aの体や脚に何度も執拗に噛みつこうとしています。 
しかしキイロスズメバチの体表のクチクラは固くて、歯が立ちません。 
ちなみに、スズメバチは狩りや喧嘩の際に毒針は使いません。 
不意打ちを食らった♀aは花に伏せているだけで、全く反撃しないのが不思議でした。 
アシナガバチの巣内で行われる優劣行動を彷彿とさせます。 
最後は2匹もろとも、花から地面にボトッと落ちました。 
1匹はすぐに立ち直って、また花壇を飛び回ります。 

キイロスズメバチ♀の探餌飛翔と同種間抗争を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:31〜)
 おそらく、別々のコロニーから来たキイロスズメバチ♀同士が蜜源・狩場を独り占めしようとハナトラノオの花畑を巡って戦っているのでしょう。(占有行動) 
秋はスズメバチの個体数が増えるのに餌が少なくなりますから、飢えて殺気立っています。
私はこの日たまたま黒色のポロシャツを着用していたので、キイロスズメバチの気を逆撫でするのではないかと心配だったのですが、撮影中に私を攻撃(八つ当たり)してくることはありませんでした。

2023/03/19

ノスリがハシブトガラスのモビングで杉防風林から追い立てられ携帯電話基地局の鉄塔へ逃げ込むまで(野鳥)

 

2022年9月下旬・午後16:00頃・晴れ 

黄金色の稲穂が実る田んぼの端で1羽の猛禽がスギの防風林に飛び込んで枝に止まりました。 
遅れて飛来したハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が猛禽に対して軽くモビング(擬攻撃)を加えました。 
それに対して猛禽が威嚇・牽制するために大きく広げた翼の下面の斑紋からノスリButeo japonicus)と判明しました。 
ハシブトガラスは同じスギ防風林でノスリよりも上の横枝に止まりました。 (戦いに有利なポジション)
ノスリは隣の横枝にピョンと跳んで移動しました。 
そのままカラスの真下に居ると、糞をかけられたり嫌がらせを受けるのでしょうか? 
この後はしばらくカラスはノスリに対して何もちょっかいをかけませんでした。 
それでも地味に神経戦が続いているようです。 

スギ樹上で西日を浴びながらノスリは眼下の田園地帯を見渡しています。 
 やがてノスリが足元の横枝に絡みついた蔓植物(イワガラミ?)の葉を嘴で啄みました。(@0:49〜) 
戯れに何か虫を捕食したのかな? 
次にノスリは右足を上げて顔を掻き、身震いしました。(@1:02〜) 
その後、嘴が半開きのままなのは、西日を浴びて暑いのでしょう。(@1:20〜) 
ノスリに動きがないので私がカメラをズームアウトすると、ハシブトガラスはいつの間にか居なくなっていました。 

ノスリを正面から狙えるように、私は農道を移動して防風林に少し近づきました。 
再びカメラを向けても、ノスリはなかなか逃げ出そうとしません。 
遂にノスリが防風林から飛び立ちました。(@2:25〜) 
右へ急旋回すると、羽ばたきと滑空を交互に繰り返しながら右へ飛び去りました。 
ノスリの背後から、カラスが追いかけてきます。 
このカラスがそれまでどこに居たのか不明ですし、先程のハシブトガラスと同一個体かどうかも定かではありません。 
カラスが背後から急襲するも、ノスリはひらりと身をかわしました。 
カラスがノスリを追い越してしまっても、ノスリが逆襲することはありませんでした。 
軽い空中戦の間も、鳴き声は聞き取れませんでした。 
カラスのモビング(擬攻撃)はそこまでで、それ以上しつこくノスリを深追いすることはありませんでした。 
カラスの縄張りから追い払われたノスリは、遠くに立つ携帯電話基地局まで逃げてくると、鉄塔の中段にようやく着地しました。 
この鉄塔もノスリがよく止まる、お気に入りの場所のひとつです。 
カラスの繁殖期はとっくに終わっているはずなのに、天敵のノスリに対して容赦なく嫌がらせ(モビング)して追い払っていました。

ノスリが防風林から飛び立ち、追いすがるカラスとの空中戦をかわしながら電波塔に辿り着くまでのドラマチックな飛翔シーンを、1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:21〜)
ノスリの右上の枝にハシブトガラスが止まった。

2023/03/16

タヌキの溜め糞に集まる様々なハエ類に序列はあるか?

 



2022年9月中旬・午後13:45頃・晴れ 

ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が里山の尾根道に残した溜め糞場cに集まるハエ類をマクロレンズで接写しています。 
オオマダラヒロクチバエEuprosopia grahami)が地面を歩き回っています。 
なぜか迂回するようにぐるっと回り込んでからタヌキの溜め糞に到着しました。 
溜め糞で待ち伏せている肉食性のハネカクシ類に捕食されないように警戒しているのかもしれません。
関連記事(9日前の撮影)▶ アカバトガリオオズハネカクシがタヌキの溜め糞で獲物を待ち伏せオオマダラヒロクチバエを狩る
タヌキの糞塊にようやく到達すると、オオマダラヒロクチバエは口吻を伸縮させて獣糞を舐め始めました。 
ズカズカと近づくと先客のキンバエ(青緑色:種名不詳)は飛んで逃げました。 
(先客を追い払った?) 

タヌキの糞を吸汁するオオマダラヒロクチバエの左後ろからツヤホソバエ科(Sepsis sp.)が乱入しました。
Sepsisは両翅を激しく振り立てる動きでオオマダラヒロクチバエを牽制しました。 
うんちレストランから追い払った訳ではなく、Sepsisは通り過ぎただけでした。 

今回登場したハエ3種の体格を比べると、Sepsis sp.<キンバエsp.<オオマダラヒロクチバエ でした。 
ところで、「ハナアブ類のあいだには、種類により花を利用するさいの優劣関係がある。優位の昆虫が来たら席をゆずる」ことが知られているそうです。
(田中肇『花と昆虫、不思議なだましあい発見記』p113-114より) 
樹液酒場に集まる昆虫類の間に力関係の序列があるのは有名ですが、訪花するハナアブ類にも序列があるとは驚きました。 
それなら獣糞に集まる糞食性のハエ類の間にも餌資源をめぐる争いや序列があっても不思議ではありません。
ハネフリバエ科Euxesta sp.やツヤホソバエ科Sepsis sp.が翅を盛んに振り立てる謎の誇示行動は、体格のハンディキャップを補って異種間の縄張り争い(牽制)を少しでも有利に運ぶためにやっているのかもしれません。 
ハエには武器がありませんから、派手な異種格闘戦や「糞山の大将」を目指すバトルロイヤル(喧嘩・闘争)にはなりません。
それでも地道に動画撮影して、獣糞上でハエ同士がニアミスする度にどちらが逃げたかを丹念に記録すれば、何か傾向が見えてくるかな?

2023/02/23

砂防ダムの上で取っ組み合いして遊ぶ幼いニホンザル

 

2022年9月中旬・午前11:00頃・くもり 

里山から流れ出る渓流を跨ぐように作られたコンクリート製の砂防ダムに野生ニホンザルMacaca fuscata fuscata)の群れが集まり、互いに毛繕いし合ったり思い思いにくつろいでいました。 
2頭の子ザルが取っ組み合いを始めました。 
本気の喧嘩ではなく、仲良しの遊び仲間がレスリングのような格闘遊びをしているようです。 
格闘中に鳴き声を発していませんでした。(少なくとも私には聞き取れませんでした。) 
もし堰堤の縁から落ちたら結構な高さなのですけど、ニホンザルは高さへの恐怖は無いようです。
私に隠し撮りされていることに気づくと、堰堤の少し奥に移動して死角に隠れました。 
私もそっと移動して撮影アングルをなんとか確保します。 
相手を組み伏せようとしたり、甘噛みしたり、逃げる相手を追いかけたり、疲れ知らずの子ザルは延々と寝技を続けています。 
子ザル同士の無邪気なプロレスごっこのように見えて、実は群れ内での力関係(序列)がこうして決まっていくのかもしれません。
ようやく一戦を終えると、堰堤を右に遊動して仲間と合流しました。 

この2頭にひたすら注目して格闘遊びの一部始終を長撮りすれば良かったのですけど、巨大な堰堤のあちこちで多数のニホンザルが様々な行動をしていたので、何を撮るべきか目移りしてしまいました。


2023/02/09

ミズナラの樹液酒場にてスジクワガタ♂とモンキアシナガヤセバエそれぞれの占有行動

 



2022年9月上旬・午後14:30頃・くもり 

里山の急斜面に立つミズナラ古木の苔むした樹皮から滲み出る樹液酒場で2匹のスジクワガタ♂(Dorcus striatipennis striatipennis)が吸汁していました。 
初め私は、大型の♀に小型の♂が交尾しようとしているのかと思いました。 
あるいは、小型の♂が大型の♀の傍らで配偶者ガードしているようにも見えます。 
ところが、動画撮影後に採集してみると、2匹とも♂でした。 
つまり、大型の♂が樹液酒場でベストな位置を占拠して、劣位の小型♂が樹液のあまり出ないポイントに甘んじていた(順番待ち?)のだと判明しました。 
2匹のスジクワガタ♂が平和に並んでいるように見えましたが、樹液をめぐる争いの決着が既についた後だったようです。

他には見慣れない細長い体型のハエ2匹もミズナラの樹液酒場に来ていました。 
スジクワガタ♂の横で遠慮がちに樹液を舐めています。 
白い口吻を伸縮させる動きが蛆虫の蠕動のように見えました。 
長い脚の腿節の途中にオレンジ色の部分が目立ちます。 
樹液に集まる昆虫ハンドブック』で調べると、翅に黒紋が無いので、ホシアシナガヤセバエではなくモンキアシナガヤセバエNerius femoratus)と判明。
あまり研究対象にされることのない昆虫であり、くわしい資料がほとんどない。(p66より引用)
とのこと。 
2匹の体格が異なるのは性差とは限らず、幼虫時代の栄養状態が成虫のサイズを左右するのだそうです。 
しばらくするとモンキアシナガヤセバエ2匹が樹液酒場から少し横に離れた位置で互いに向き合い、背伸びして何やら面白そうな誇示行動(ディスプレイ)を始めました。 
せっかく興味深い行動なのに、このとき疲労困憊していた私は気づかずに撮影を打ち切ってしまいました。 
やがて1匹は離れて行ったので、ライバル♂を樹液酒場から追い払ったようです。
つまり、♀♂間の求愛誇示ではなく、樹液をめぐる♂同士の闘争誇示だったようです。 
英語版wikipediaでNeriidae(アシナガヤセバエ科)の項目を読むと、♂同士の闘争誇示など興味深い行動が解説されていました。 
次に機会があれば、じっくり観察してみたいものです。

他には微小のハエ(種名不詳)も多数群がっていました。 
ショウジョウバエにしては色が黒っぽいです。 

スジクワガタ♂を接写するために私が樹液酒場に近づくと、警戒したモンキアシナガヤセバエは樹液酒場から少し逃げて避難しました。

2023/01/27

深夜の溜め糞場ではしゃぎ回り格闘遊びをする2頭のホンドタヌキ幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2022年9月上旬・午後23:27頃・気温20℃ 

里山のスギ林道にある溜め糞場sを自動撮影カメラで監視していると、2頭のホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が右から縦列でやって来ました。 
共に「フサ尾」で、なんとなく若い(幼獣?)兄弟姉妹のような気がします。 
後続の個体はやや興奮しているのか、尻尾を斜め上にピンと伸ばしていました。 

ニホンアナグマMeles anakuma)が残した溜め糞場で立ち止まると、頻りに周囲の匂いを嗅いでいた 先頭個体が身震いしました。
先頭個体が急に左へ走り出すと、釣られてもう一頭もはしゃいだように駆け去りました。 
このとき、タヌキの溜め糞場は迂回して通り過ぎました。 

すぐにまた1頭aが左から戻って来ました。 
タヌキの溜め糞場の手前で立ち止まり、しゃがみかけたら(排便姿勢?)、後ろからもう1頭bが全力疾走で駆け抜けました。 
bは林道上でUターンすると、排便中の個体aに跳びかかりました。 
幼獣bはとにかく元気があり余っているのか、はしゃいだようにaの周囲を跳ね回り、右へ走り去りました。 
aは林道に座り込んだまま、ポカンと見送っています。(暗闇でも相手が見えているのか?) 
もし排便中なら、腰を地面に落とさないはずです。 
bが再び右から駆け戻ると、座り込んだaの周囲を跳ね回ります。
 aの首筋に背後から噛みついたのは、群れ内で序列を決めるマウンティングのような優劣行動なのでしょうか? 
このとき、キュウ♪とか、カッ♪という短い鳴き声を発しました。 
短い映像からも2頭の性格の違いが伺えますが、私には性別が見分けられません。 
まさか交尾行動なのかと思って調べると、タヌキの発情期は冬らしい。
タヌキの繁殖期について説明すると、発情期になり共寝をするのは2月下旬~4月 (参考:タヌキ好きが集まるブログより引用)
やはり交尾や兄弟喧嘩というよりも、ふざけて遊んでいるだけでしょう。
組み伏せられたaが暴れてbを振りほどき、左へ走り去りました。 


※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
カメラ自体が一定のリズムで発するノイズがうるさくなるので、音声編集ソフトAudacityを使ってノイズを除去しました。




2022/12/26

アナグマの溜め糞で吸汁するクロヒカゲ♂と肉食性ハネカクシの攻防

 

2022年8月中旬・午前10:25頃・晴れ・気温25℃
▼関連記事(前夜および前前夜の撮影) 
夜の溜め糞場に通い、排便およびスクワットマーキングするニホンアナグマ♂【トレイルカメラ:暗視映像】
ニホンアナグマMeles anakuma)が里山のスギ林道に残した溜め糞sを観察していると、クロヒカゲ♂(Lethe diana)が飛び回っていました。 
飛来シーンをまずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 

左のやや軟便の小糞塊に着陸すると、クロヒカゲ♂は翅をしっかり閉じたまま、すぐに口吻を伸ばして一心不乱に吸汁し始めました。 
クロヒカゲが土を舐めてミネラル摂取するシーンは過去に何度も見ていますが、獣糞に来たのは初見です。
関連記事(1、2年前の撮影)▶  
土を舐めてミネラル摂取するヒカゲチョウの群れ【HD動画&ハイスピード動画】 
砂利道の土を舐めるクロヒカゲ♂

蝶が飛来したら、先客のキンバエは飛び去ってしまいました。 

やがて、溜め糞の右奥のスギ落ち葉の下から肉食性のアカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)が忍び寄りました。(@1:17〜) 
ハネカクシに襲われそうになった寸前に、クロヒカゲは翅を素早く開閉して撃退しました。(@1:38〜) 
1/5倍速のスローモーションでまずはご覧ください。 
一瞬だけ全開したクロヒカゲの翅表を見ると、前翅の白帯が不明瞭なので♂と判明。

右隣の糞塊(しっかりした一本糞×3)にカメラをパンすると、別個体のアカバトガリオオズハネカクシに襲われかけたキンバエの一種が逃げていました。 

しばらくすると、クロヒカゲ♂は右の大きなアナグマ糞塊に移動して、吸汁を続けています。 
溜め糞で待ち伏せしていたサビハネカクシOntholestes gracilis)がクロヒカゲ♂に襲いかかろうとすると、蝶は素早く飛び退きました。(@3:16〜) 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
直後に等倍速でリプレイ。 
狩りに失敗したサビハネカクシはすごすごと右へ立ち去りました。 

私は未だ肉食性ハネカクシの狩りが成功したシーンを見たことがありません。 
周囲の山林ではエゾゼミ♂とミンミンゼミ♂がやかましく鳴いています。 

クロヒカゲ♂は充分に吸汁して満足したらしく、私が他の昆虫を撮影している間にいつの間にかアナグマの溜め糞から飛び去り、二度と戻って来ませんでした。
糞塊の右下にサビハネカクシ
アナグマ溜め糞の全景

2022/12/06

柳の樹液に殺到して争うシロテンハナムグリの群れ

前回の記事:▶ 柳の枝を登り排尿するシロテンハナムグリ
2022年8月上旬・午後18:00頃・晴れ 

河畔林にある柳(種名不詳)の樹液酒場を定点観察しています。 
この日は夕方に来てみると、シロテンハナムグリ(Protaetia orientalis submarumorea)の大群で大盛況でした。 
特に柳の枝先をノコギリで切り落とした切り口から樹液が滲み出しているらしく、そこが大人気でした。 
シロテンハナムグリの体色は構造色なので光の加減かもしれませんが、珍しく緑色に輝く個体が混じっていました。 

冒頭シーンでは、樹液の芳香に誘引されて左から新たに飛来した個体が、枝の切り口に着陸した様子を1/5倍速のスローモーションでご覧ください。 
ハナムグリの仲間なので、前翅を閉じたまま後翅のみを広げて飛んでいることが分かります。 
直後に等倍速でリプレイ。 

シロテンハナムグリには角や大顎など喧嘩に使える武器はありませんが、混み合った樹液酒場では激しい占有行動(小競り合い、闘争、喧嘩)が繰り広げられていました。 
先客の腹の下に頭を潜りこんで押しのけ、強引に割り込もうとしています。 
そうはさせまいと樹液を吸汁しながら後脚で蹴って牽制しようとするものの、相手の鞘翅がツルツル滑って有効な攻撃になりません。 
互いに押し合いへし合いしています。
小競り合いで騒然としているのは、発酵した樹液で酔っ払っているからかな?

右隣りの枝の切り口にもシロテンハナムグリが集まっています。 
枝の途中がえぐれた部分(ミニ樹洞)でも1匹のシロテンハナムグリが樹液を舐めていました。 
ズームアウト中にたまたま柳の枝の背後に居た個体が排尿したようです。(@1:55)
透明な液体が飛び散りました。

こんなに多くの個体が集まっているのに、求愛・交尾などの配偶行動が全く見られないのは不思議です。
色気より食い気なのでしょうか? 
シロテンハナムグリの性別を見分ける方法を知りたいものです。 

これほど多数のシロテンハナムグリ集団を見るのは初めてかもしれません。
クロヤマアリのワーカー♀とハエ類(種名不詳)も樹液酒場に集まっていました。 
この日はクワガタムシなど他の甲虫は1匹も居ませんでした。

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