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2021/09/13

餌乞いで鳴く♪モズの幼鳥(野鳥)

 

2021年7月上旬・午前11:35頃・くもり 

民家の裏庭を囲む板塀の天辺にモズLanius bucephalus)が独り止まっていました。 
横を向いた時に下嘴が黄色っぽく、過眼線が薄いことに気づきました。 
どうやら幼鳥のようです。
モズらしく尾羽を上下に動かしています。 
親鳥が巣外給餌に来てくれるまでおとなしく待っているのでしょう。
ときどき首を傾げてみせる仕草が可愛らしいですね。 
モズ幼鳥が見下ろす視線の先には生ゴミを処理するコンポスト容器が置いてあるので、その周囲を飛び回るハエなどに興味を示しているのかもしれません。 

前半は静かにしていたのですが、しばらくするとモズ幼鳥は半開きにした翼を細かく震わせながらキチキチキチ…♪と鋭く鳴き始めました♪(@1:38) 
おそらく近くに飛来した親鳥を見かけた幼鳥が餌乞いを始めたのでしょう。 
嘴の内部は鮮やかな赤色で、橙色で縁取られています。 
いよいよ巣外給餌のシーンを観察できるかと期待したのですが、モズ幼鳥は鳴きながら飛び去ってしまいました。 
隠し撮りしている私に気づいて警戒したのかな? 
餌乞い行動および飛び立ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 

モズ幼鳥の餌乞い♪を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出し、鳴いている部分を切り出してからスペクトログラムを描いてみました。




手元にある資料を調べても、モズ幼鳥(巣立ち雛)の餌乞い行動に関する解説は見つかりませんでした。 
日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑』でモズを調べると、
地鳴き:ギチギチギチなどと鳴く。 巣立ちビナがいるあたりに人やネコ、カラスが近づくと、ギチギチとうるさく鳴き騒ぐ。(p34より引用)
唐沢孝一『モズの話:よみもの動物記』という本によると、
えさねだり行動はまれで、むしろ(幼鳥同士の:しぐま註)排他的行動が目立つ。1羽の幼鳥の止っている背後から襲いかかるように飛びつくシーンとか、他の1羽を7〜8mも追いかけるのもみられる。つつき合ったり、弱い声ではあるがギギギ…といった威嚇音も発し、秋の高鳴きのころのなわばり争い行動を感じさせる。(p177より引用)
一人前になるにつれて攻撃性が高まり排他的傾向が強まり、幼鳥の群は解体し、分散してしまうようである。  巣立った幼鳥たちは、ほんの2週間くらい親子の生活を送り、親の方から子離れして姿を消してしまう。残された幼鳥たちは、群れたり、追い合ったりしながら次第に狩りのテクニックやはやにえ行動を自得していく。 (p179より引用)

2021/09/09

スギ樹冠で鳴き続ける♪ノスリ(野鳥)

 

2021年6月下旬・午前後17:24〜17:48・くもり
前回の記事:▶ 対人威嚇の波状飛翔ディスプレイを繰り返しながら鳴くノスリ(野鳥)

私が山麓の小径を進むと、スギ(杉)高木の梢に止まった ノスリButeo japonicus)が眼光鋭く周囲を見回しながら、ピーエ、ピーエ♪と甲高い声でひたすら鳴き続けていました。 
嘴を開閉する動きと鳴き声が同期していますから(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。 
順光のアングルで撮ると、夕方の西日を浴びつつ嘴を大きく開けて鳴く際にノスリの口内は赤いことが分かりました。 

この辺りに生息するノスリと私は互いに顔馴染みなのですが、個体識別できていません。 
つい先程までディスプレイ飛翔していたのと同一個体か別個体(つがいのパートナー)か知りたいところです。 
もう私の頭上でディスプレイ飛翔しなくなったので、同一個体ではないかと思うのですけど、定かではありません。 

ノスリのしつこい鳴き声を聞きつけたのか、カラスの家族群が鳴きながら飛来し周囲を飛び回るようになりました。 
しかし樹上のノスリに対してカラスがモビング(擬攻撃)を仕掛けることはありませんでした。(映像公開予定?) 
ノスリもスギの樹冠に平然と居座り、鳴き続けています。 

林冠ギャップから狙ってズームして撮りましたが、視力の良いノスリから私の姿は丸見えのはずです。 
私が用水路沿いの道を引き返しても、スギ樹上のノスリは追いかけて来ず、止まり木で鳴く頻度が下がりました。 (ディスプレイ飛翔を再開せず) 
私がしつこく引き返して止まり木のノスリにカメラを向ける度に再びピーエ、ピーエ♪と鳴き始めます。 
かんたんな実験ですが、これで私に対する警戒声を発していたという確信を得ました。 
営巣木が近くにあるはずです。 
それ以上は繁殖期の親鳥を刺激したくないので、現場を離れて下山しました。 
来季の観察に備えて営巣木の位置をなんとか突き止めたいものです。 

以前も現場近くのスギ樹冠で鳴く猛禽を観察しています。
関連記事(5年前の撮影)▶ スギの樹冠で鳴く♪サシバ?(野鳥)
当時はサシバかと思ったのですが、どうやらノスリだったようです。 
里山の樹上にノスリの♀♂ペアが代々営巣しているのでしょう。 



ノスリの対人警戒声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに書き出し、鳴いている部分(なるべくノイズが少ない部分)を適当に切り出してスペクトログラムを描いてみました。



ピーエ♪と尻下がりで鳴く度に「へ」の字の形で記録されています。
鳴き声の倍音構造が、への字の縦の重なりとしてはっきりと描かれていました。

2021/07/15

春の山で虫のようにさえずる♪ヤブサメ♂(野鳥)鳴き声の声紋解析

 

2021年5月上旬・午後17:20頃・くもり 

里山の尾根道を夕方に歩いていると、横の藪の奥からシシシシシ…♪と単調な鳴き声が聞こえてきました。 
キリギリスの鳴き声かと思いがちですが、雪国の春にキリギリスの成虫が居るはずがありません。 
この鳴き声はおそらくヤブサメ♂(Urosphena squameiceps)の囀りさえずりでしょう。 
どこに隠れているのか、残念ながら姿は撮れませんでした。 
実は撮影中にカメラのバッテリーが切れてしまい、慌てて交換しているときに地味な鳥を藪の奥にちらっと見かけたものの、それっきり逃げられました。
▼関連記事(9年前の撮影) 虫を運ぶヤブサメ(野鳥)と鳴き声♪(地鳴きとさえずり)
遠くからウグイスの鳴き声も聞こえています。 

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
 (ヤブサメの)さえずりは鳥というよりは虫の声に似ている。徐々に尻上がりで大きな音量で鳴くことから、虫の鳴き声と区別できる。(『日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑』p52より引用)


ヤブサメ♂の囀りを声紋解析してみる 

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出し、音声編集アプリAudacityでバックグランドのノイズを低減してから囀りの部分を6箇所切り出しました。 
それを元に描いたスペクトログラムがこちらです。 
いつも6回続けて鳴いては休んでいることが分かりました。

   

最後に、音声全体のスペクトログラムも載せておきます。
囀りの間隔はばらつきがあります。

 

2021/04/20

漁のため朝の川に飛んで出入りするダイサギa(野鳥)

 

2020年11月下旬・午前7:00頃・くもり
前回の記事:▶ 朝霧の立ち込める川で朝食の魚を探すダイサギb(冬の野鳥)
街なかを流れる川でラインセンサスを続けると、少し離れた地点でもう1羽のダイサギArdea alba)を見つけました。 
流れる川の中で朝から佇んでいます。 
歩き始めたと思いきや、すぐに川から飛び立ってしまいました。 
急上昇するとすぐに左旋回し、川下へ飛び去りました。 
飛翔シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
飛びながら苛立ったようにグァー♪(ガララララ…♪)と嗄れ声を何度も発しました。 
これがダイサギの警戒声なのでしょう。 

 ※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 

私が堤防路からカメラを向けたのを嫌ったのかと思ったのですが、近くの橋の袂を歩いて来た女性を警戒したようです。 
流し撮りで行方を追うと、ダイサギaは川岸に立つ針葉樹(松?)の梢に着陸しました。 
朝日を浴びながらしばらく樹上で休んで周囲の安全を確かめると、橋の下の川に急降下で舞い降りました。 
優雅な滑空を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
たまたま同時に1羽のカルガモも下流から飛来し、ダイサギとほぼ同時に着水しました。 

川に戻ったダイサギは少し羽繕いすると、コンクリートの護岸沿いに上流へ遡行し始めました。 
よく見ると、この個体も「足踏み追い出し漁」をしています。 
岸辺の水中に嘴を素早く突き刺して見事に小魚を次々に捕らえて食べました。 

この日の朝のラインセンサスで見つけたダイサギは結局2羽だけでした。 
集団塒から夜明け前にバラバラに飛び去ったダイサギは、川でもそれぞれが単独で採食していました。 
この川の流域は餌資源量があまり多くないので、ダイサギの各個体は広い縄張りを必要としているようです。 
ダイサギの群れが共同で(狭い範囲で)獲物を捕食するシーンを私は見た記憶がありません。 (※追記参照)
当地のこのような状況では冬塒の「情報センター仮説」が成立しないのは当然だと思います。 
私が場所を知らないだけで、どこか餌が豊富な漁場でダイサギの複数個体が集まっている可能性はあります。
しかし何かが絶対に「無い」ことを証明するのは不可能で、悪魔の証明です。
塒に集まるダイサギの全個体にGPSを装着して行方を追跡すれば疑問の余地なく解明できるはずですが、ハイテク機器に頼れないアマチュアは知恵を絞って他の調査法を考えます。 

つづく→


※【追記】
過去の記録を調べ直してみたら、同じ川の流域で2羽のダイサギが集まっている例を一度だけ観察していました。
▼関連記事(4年前の撮影)

ダイサギの警戒声を声紋解析してみる

オリジナルの動画から音声をWAVファイルに抽出しました。 
ダイサギaが飛びながらガラガラ声で3回鳴いた部分を切り取って※、スペクトログラムを描いてみました。 
ハクセキレイの鳴き声も混じっているのが残念です。
(※カメラをズームインするノイズが入った部分は除外しています。)

2020/07/09

ミソサザイ♂のさえずり♪を声紋解析してみる(冬の野鳥)



2020年3月中旬

早春の里山で落葉灌木の藪をかき分けながら下山中の私が立ち止まっていたら、美声の囀りさえずりが大声で(近くから?)聞こえました。
渓流の水音に負けない大声が響き渡ります。
残念ながら、声はすれども姿は見えず。
後半になると鳴き声の主は遠くへ(渓流の方へ?)行ってしまいました。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を上げています。


帰ってから図鑑のCD音源と聴き比べてみると、どうやら日本にいる野鳥の中でも屈指の美声と誉れ高いミソサザイ♂(Troglodytes troglodytes)の囀りさえずりだったようです。

wikipediaによると、

早春の2月くらいから囀り始める習性があり、平地や里山などでも2月頃にその美しい囀りを耳にすることができる。小さな体の割には声が大きく、高音の大変に良く響く声で「チリリリリ」とさえずる[6]。

『日本の野鳥さえずり・地鳴き図鑑2014』によれば、

さえずり:高音のとてもよく響く声でチリリリリとさえずる。(p50より引用)


『色と大きさでわかる野鳥観察図鑑』によると、

さえずり:チルルルーツー、ピャピャなど。
よくとおる美しい声でさえずる。(p80より引用)


▼関連記事(7、8年前の撮影)

ミソサザイの地鳴きを声紋解析してみる(冬の野鳥)   (2012年11月下旬)
ミソサザイの地鳴き♪を声紋解析してみる2【冬の野鳥】  (2013年1月下旬)
雪解け水の渓流でさえずるミソサザイ♪【早春の野鳥】 (2012年4月中旬 水音に掻き消されてよく聞き取れず)



ミソサザイ♂の囀りを声紋解析してみる

オリジナルのMOV動画ファイルから音声だけをWAVファイルに抽出してから、冒頭の一番はっきり鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。





松田道生『野鳥を録る:野鳥録音の方法と楽しみ方』によると、

 さえずりが美しいといわれている鳥の声紋のパターンは、とてもはっきりしています。たとえば、ミソサザイやホオジロのさえずりを見ると、パターンがくっきりと表示されてシャープ、声が澄んでいることを示します。(中略)
 また、この2種類の鳥のパターンをよく見ると、高いところの音と低いところの音が複雑に登場して、激しい抑揚をもっていることがわかります。このパターンが入り組んでいるほど、複雑に聞こえます。声紋は、こうして声の複雑さを見ることができます。さらに、ミソサザイの音は幅が狭いのに対し、同じ抑揚があってもホオジロは音の幅が広いことがわかります。これにより、ミソサザイはキンキンしたより金属的な部分が際立ち、ホオジロはミソサザイに比べると比較して(原文ママ)柔らかい音に聞こえることになります。

私は専門家の真似事でスペクトログラムを描いているだけですが、声紋の見方が勉強になりました。

▼関連記事(6年前の撮影)
樹上でさえずる♪ホオジロ♂(野鳥)と声紋解析


2020/06/17

繁殖期にメタセコイア樹冠でさえずる♪アオゲラ♂(冬の野鳥)



2020年1月中旬・午後12:05頃・くもり

昼過ぎに何者かが甲高い声でキョン、キョン、キョン…♪と鳴き続けていました。
かなり遠くまで響き渡る大きな鳴き声です。
誰か子供(ヒト)が笛を吹いて悪戯しているのかと思ったぐらいです。
気になって探し回ると、平地で民家の庭に聳え立つメタセコイア(=アケボノスギ)の梢で啄木鳥が鳴いていました。
なんとなく猛禽類かと予想したのですが、聞き覚えのない謎の鳴き声の主は意外にもアオゲラ♂(Picus awokera awokera)でした。
しかし私は啄木鳥のこんな鳴き方は聞いたことがありません。
縄張り宣言は、嘴で幹を激しく叩くドラミングのはずです。


▼関連記事(7年前の撮影では♀がキョッキョッ♪と鳴いていました。)
アオゲラ♀の木登りと鳴き声♪【冬の野鳥】

手元にある鳥の図鑑で何冊か調べ回ると、繁殖期に特有の囀りさえずりだとわかりました。


(アオゲラの)鳴き声は、キョッキョッ。飛翔時にケレケレケレと鳴くこともある。繁殖期には口笛のようなピョーピョーピョーという声も発する。wikipediaより引用)

高木清和『フィールドのための野鳥図鑑:野山の鳥』でアオゲラのさえずりを調べると、

さえずり:ピュー、ピュウー、ピュウー、コロロロロロローン(さえずりと枯木をたたく音がまじる)/ピヨー、ピヨー(通る声)(p46より引用)


高野伸二『山渓カラー名鑑:日本の野鳥』でアオゲラを調べると、

声:主として繁殖期に「ピョー、ピョー、ピョー」と、笛のような大きな声で鳴く。(中略)飛び立つ時には「ケレレレ」と鳴くことが多い。(p368より引用)


鳴く合間に、黒っぽくて細長い固形の糞を排泄しました。(@0:25)

背景が曇り空の逆光のため、肝心のアオゲラの色姿がはっきり見えません。
私がそっと回り込んで順光から撮ろうとしたら、この辺りを縄張りとするヒヨドリHypsipetes amaurotis)が飛来してアオゲラを追い払ってしまいました。
図鑑の記述とは異なり、アオゲラ♂が飛び去るときにケレレレ♪と鳴くことはありませんでした。(@0:49)

アオゲラ♂と入れ替わるように飛来したヒヨドリが、少し下の小枝に止まりました。
メタセコイアは針葉樹なのに冬には落葉します。

※ 動画編集時に彩度を少し上げています。
また、音声を正規化して音量を強制的に上げました。




アオゲラ♂の囀りさえずりを声紋解析してみる


上の映像では定時(正午)に鳴り響く街のサイレン♪が耳障りで、声紋解析の邪魔でした。
9日後の1月下旬・午前9:04に同じ場所で再びアオゲラ♂が繰り返し鳴いていました。
おそらく前回と同一個体なのでしょう。
このときは物陰の死角になっていて鳴く姿を撮れなかったものの、窓ガラス越しに鳴き声だけでもハンディカムの動画で記録しました。
正規化した音声をブログ限定で公開しておきます。



オリジナルの動画ファイルから音声を抽出してから鳴いている部分だけを適当に切り取り、スペクトログラムを描いてみました。
今回混じっているノイズは、ハンディカム内部の動作音や私の鼻息などです。

犬の飼い主は皆さんご存知のように、街のサイレン♪や救急車、パトカーのサイレンが鳴る度に競い合うように(つられて)イヌはアォーン♪と遠吠えをします。
もしかするとアオゲラ♂もそうなのかと思ったのですが、静かな朝にも囀っていたので、サイレンの音とは関係ないことが分かりました。




2019/10/27

電線でさえずる♪ツバメ♂(野鳥)



2019年7月中旬・午前6:45

川の堤防沿いの住宅地で1羽のツバメHirundo rustica)が電線に止まって賑やかに鳴いていました。
ときどき横を向くと鮮やかな赤色の喉が目立ちます。
恥ずかしながら私はツバメが単独でいたときには性別が(尾羽の長さで)未だ見分けられないのですけど、機嫌良くさえずっていたということは♂なのでしょう。

『色と大きさでわかる野鳥観察図鑑』によると、ツバメの囀りさえずりは「チュチュビチュビジクビー」と記されていました。ちなみに地鳴きは「ツピッ」。


また、wikipediaの解説によれば

(ツバメは)鳴管が発達しており、繁殖期になるとオスはチュビチュビチュビチュルルルルと比較的大きなさえずり声で鳴く。日本語ではその生態を反映して「土食て虫食て口渋い」などと聞きなしされる。さえずりは日中よりも早朝から午前中にかけて耳にする機会が多い。

電線から飛び立つ瞬間をまずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。


※ 背景が白っぽい(逆光気味)ので、動画編集時にいつもとは違ってコントラストではなく彩度を少し上げています。


ツバメ♂(野鳥)@電線♪

ツバメ♂のさえずりを声紋解析してみる

オリジナルのMP4動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからなるべくノイズの少ない部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
素人が声紋を見ても複雑な構造の歌だなーとしか分かりません…。
(他の種類の鳥の鳴き声が混じってしまっているかもしれません。)



2019/09/15

夕方に再会したモズ♀が柳の灌木で警戒声♪を発し脱糞(野鳥)



2019年6月中旬・午後17:50

▼前回の記事
縄張り内の電柱支線で警戒声♪を発するモズのつがい♂♀(野鳥)

5.5時間後。
同じ日の夕方になってから、田んぼに隣接する新興住宅地を再び通りかかると、柳の灌木に止まったモズ♀(Lanius bucephalus)がキチキチキチ…♪と鋭く鳴いていました。
嘴の動きと鳴き声が同期したので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
お昼にモズの♀♂つがいと遭遇した地点のすぐ近くの庭なので、おそらくこの辺りを縄張りとする同一個体の♀なのでしょう。
私に対して警戒声を発し続けながら、少量の白い糞を排泄しました。(@1:14)

後半は私が少しだけ横にずれてみたものの、モズ♀は柳の茂みの奥に隠れているので、ピントが合いません。
最後は横の道を駆けてきた児童に驚いたモズ♀が少し飛んで更に奥の茂みに逃げてしまいました。


※ 夕暮れ時の薄暗い条件で撮影したので、画質がやや粗く、オートフォーカス(AF)のピントも甘いです。


モズ♀(野鳥)@柳灌木+警戒
モズ♀(野鳥)@柳灌木+警戒


モズ♀の警戒声を声紋解析してみる

いつものようにオリジナルのMP4動画ファイルから音声部をWAVファイルに抽出してから、なるべくノイズの少ない警戒声の部分を適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
16kHz以上の高周波数はカメラの仕様で録音・圧縮する際にヒトの非可聴域としてカットされているのが残念です。
どうしても風切り音など周囲のノイズがあるのですが、キチキチキチ…♪という鋭い警戒声は一定の速いテンポで繰り返し発していることが分かります。



たまに、ヂュン♪という濁った短い鳴き声がキチキチキチ…♪という警戒声の合間に混じることがあります。
下のスペクトログラムでは、3秒および5.5秒から2回、ヂュン♪と短く鳴いています。



ところで、夕方には♂の姿を見かけませんでしたが、どこに居るのでしょう?
私は身動きせずに少し離れたところから撮り続けているだけなのに、モズ♀が警戒声を止めてくれないということは、近くにモズの巣がありそうです。
すると案の定…。


つづく→柳の灌木に潜むモズ♂幼鳥(野鳥)


2019/08/25

キンキン声で鳴くホオジロ♂の地鳴き♪を声紋解析してみる(野鳥)



2019年6月上旬・午後17:30

私が川沿いの草むらにブラインドを張って潜んでいたら、夕方にホオジロ♂(Emberiza cioide)が柳の灌木の細い横枝に止まり、奇妙な声で鳴き始めました。
キン、キン♪と2声ずつに区切り(たまに3声)、非常に高音で鳴き続けています。
ホオジロのこんな鳴き方は初めて聴いたので、新鮮な驚きがありました。
鉄琴を叩く音を連想しました。
嘴の動きと鳴き声が一致するので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
囀りさえずりではなく地鳴きだと思いますが、私に対する警戒声なのでしょうか?
風で揺れる柳の枝でこちらを向いて止まり、鳴き続けています。

周囲でヒヨドリが鳴いても、ホオジロ♂は構わずにマイペースで鳴き続けています。
後半にカッコウの鳴き声が聞こえた途端に、心なしかホオジロ♂が神経質になり警戒する素振りを見せました。
ホオジロにとってカッコウは巣に托卵してくる憎き天敵だからですかね?

最後は柳の幼木から飛び去りました。

※ 動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。
画面の右奥を流れる川の水音などノイズも大きくなってしまうのは仕方がありません。




ホオジロ♂の地鳴きを声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出してから、ホオジロ♂だけが鳴いている部分を切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
9kHz付近に強い声紋が得られました。



ちなみに8分後には同一個体と思われるホオジロ♂が近くの立ち枯れしたニセアカシアの木に止まり、「一筆啓上仕候♪」と聞き馴染みのある鳴き方でさえずっていました。(映像なし)



2018/07/13

川岸で採食するイソシギの鳴き声を声紋解析してみる(野鳥)



2018年5月上旬

夕方の川で他の野鳥を観察していると、ずっと高音の奇妙な鳴き声を発しながら川岸で活動する小さな鳥が気になりました。
てっきりカワセミがいるのかと思いきや、気になる鳥の正体はイソシギActitis hypoleucos)でした。
川岸の砂地を鳴きながら歩き回り、採食しています。
歩行中の尾羽の振り方に注目しました。
藤田祐樹『ハトはなぜ首を振って歩くのか(岩波科学ライブラリー)』によると、

・イソシギという鳥は、セキレイと同じように、頻繁に尾を振っている。もっとも、イソシギはよくよく見ると尾を尻ごと振っている。尻を上下させるから、その先にある尾も上下に動くようだ。他にもいくつかのシギの仲間が、尾または尻を振っている。
・先述のとおりイソシギは、尾を振るのではなく、尻を振っている。もっと正確に言うと、体幹を傾斜させて尾を上下させている。(p110より引用)


イソシギはときどき地面をついばみながら、ピュピュピュピィ、ピュピュピュピィ♪と高音で繰り返して鳴いています。
嘴の動きと鳴き声が一致しているので(リップシンクロ)、この個体の鳴き声で間違いありません。
イソシギの鳴き声を初めて聞くのですけど、これは私に対する警戒声なのでしょうか?
カワセミよりも鳴くテンポがずっと速いですね。



【追記】
『日本の野鳥:さえずり・地鳴き図鑑』でイソシギの鳴き声を調べると、
秋冬期にはチーとかツィーと鳴く。ヒナがいるとピーイ、ピーイと繰り返し鳴く。 (p138より引用)



イソシギの鳴き声を声紋解析してみる

オリジナルの動画ファイルから音声をWAVファイルに抽出します。
次にピピピピ、ピピピピ♪と繰り返し鳴いている部分を適当に切り出してからスペクトログラムを描いてみました。
川のせせらぎがノイズに入っているかと思ったら、意外にきれいな声紋が得られました。



最後は下流へ飛び立ちました。
私がもっと早く気づいていれば、じっくり撮れたのに…。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

▼関連記事
イソシギを見つけた!:羽繕いからの飛び立ち(野鳥)


イソシギ(野鳥)@川岸+採食
イソシギ(野鳥)@川岸+採食


2018/04/18

昼塒で休むユビナガコウモリの群塊と鳴き声♪【暗視映像と声紋解析】



2017年9月中旬・午後16:55頃(日の入り時刻は午後17:43)

コウモリが昼塒としているトンネルの探検を続けます。
山麓に埋設されたボックスカルバート@山形県には水が浅く流れていました。
入口近くでは一匹ずつバラバラに天井や壁からぶら下がっていました。
群れで互いに身を寄せ合わせたくても、コンクリートの天井からぶら下がるための足掛かりとなる裂け目が足りないのだろうか?と想像したりしました。
コウモリ保全のためのコウモリピットが天井に設置されているようには見えません。(†追記参照)


しかし真っ暗なトンネルの中ほどまで進むと、ようやくコウモリの群塊を見つけました。
侵入者に驚いて飛び回っている個体もいます。

天井の中央部から数十頭のコウモリがぶら下がっています。
私がそっと近づくとコウモリ達は覚醒しており、毛繕いしている個体もいました。
キュキュキュ♪、キキキキ♪、もしくはキャキャキャ♪という鳴き声をひっきり無しに発しています。
昼塒に侵入した私に対する警戒声なのでしょう。
トンネル内でずっと反響していた謎の鳴き声の正体がようやく分かりました。
コウモリの鳴き声といえば超音波なのに、どうして私の耳に聞こえるのか不思議でした。
音響学について私は勉強不足なのですが、まさか超音波が閉鎖空間で反響すると周波数が下がってヒトの耳に聞こえるようになるのですかね? (そんな馬鹿な)
コウモリ幼獣の鳴き声は声変わりしていない可聴域なのか?と無知な私は妄想したりしました。
しかしコウモリの子育てが終わる時期を見計らって入洞したので、はっきりと幼獣と分かるコウモリの姿は見つかりませんでした。(無事に乳離れした?)

大沢夕志、大沢啓子『身近で観察するコウモリの世界―町を飛ぶ不思議な野生動物 (子供の科学★サイエンスブックス)』という本によると、コウモリが超音波を発するのは飛びながら獲物を捕るためのエコロケーションのためだけではないそうです。

ほかの動物と同じように、コウモリどうしのおしゃべり、親子で確認し合ったり、おこったり、プロポーズしたり、にも使う。
この時は、わりと低い声を使うので、例えばアブラコウモリでも人間の耳に聞こえることがある。 (p71より引用)

『コウモリ識別ハンドブック』の解説編にもう少し専門的なことが書いてありました、


 コウモリが発する音声は、障害物や餌の認識以外にも利用される。その中でも重要な役割が個体同士のコミュニケーションで、その際に発せられる声はソーシャル・コールコミュニケーション・コールといわれる。日本産のコウモリでは研究がほとんど進んでいないが、これらの音声は、餌を探索する際のものとは異なるパルスタイプを持ち、バリエーションもさまざまである。アブラコウモリの場合、少なくとも9タイプのコミュニケーション・コールを発し、中にはわれわれの可聴域の超音波の声も確認されている。 (p79より引用)

最後に赤色LED懐中電灯を点灯し、ハンディカムの暗視モードではなく通常のHD動画で撮影してみました。
(赤色の照明はコウモリの目にはあまり見えないとされています。)


こちらのカメラの方が内蔵マイクが高音質のようで、コウモリの鳴き声が明瞭に録音されていました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。



赤色LEDで照らしながら撮った短い(6秒間)動画から音声をWAVファイルに抽出し、スペクトログラムを描いてみました。
カメラの仕様により16kHz以上の高音(および超音波)は録音されていませんが、可聴域に明らかに声紋が認められました。

トンネル内の気温を測るべきでしたね。
おそらく外気温よりも安定していて湿度も高いはずです。


昼塒で寝ていた野生コウモリをなるべく驚かさないように、ここまでかなり気を使って探検してきました。(赤外線の暗視カメラや赤色LED懐中電灯の使用など)
ここで初めてストロボを焚いて群塊の写真を撮ってみました。
私には未だコウモリの種類を自信を持って見分けられないのですが、写真同定できる方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて下さい。
ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosus)ですかね? (あまり自信がありません)
洞窟の塒では複数種のコウモリが混群(混棲群塊)を形成している場合もあるのだそうです。

鳴き騒いでいるコウモリの群塊の下をくぐってトンネルをそのまま通り抜けるのは躊躇われたため、何枚か必要最低限の写真を撮ってからトンネルを引き返すことにしました。


群塊の奥には離れ離れでぶら下がる個体も写っている。

コウモリ群塊の写真を拡大すると、とても興味深いものが写っていました。

つづく→ユビナガコウモリの体表に寄生するクモバエの一種 (名前を教えて)



†【追記】
谷本雄治『コウモリたちのひっこし大計画 (地球ふしぎはっけんシリーズ)』によると、

山形県のトンネル式用水路では、山をくり抜いただけの穴がコンクリート製に変わり、ユビナガコウモリやモモジロコウモリがぶら下がれない恐れが出てきた。
 向山さんはそこで、モモジロコウモリのために50cm四方のバットボックスを考えた。(中略)ユビナガコウモリ用にはすきまのない、浅い箱型のバットボックスを用意した。うれしいことに、約30匹のモモジロコウモリがすぐさま利用を始めた。
(p77-78より引用)

国交省のサイトで公開している『計画段階を含むコウモリ類の保全対策事例』というPDF文書に事例8「コウモリピットによるコウモリの保全の試み」と題した写真を見つけました。
山形県の導水路内に設置され、保全対象種はユビナガコウモリとモモジロコウモリ。




↑【おまけの映像】
“How artificial intelligence is helping scientists talk to animals - BBC News”

コウモリが超音波で鳴き交わす音声データとそれに伴う行動の映像を大量に機械学習させて、AIに鳴き声の意味を翻訳させる研究が進んでいるそうです。

2015/11/07

網戸で鳴く♪アブラゼミ♂2015



2015年8月中旬

網戸の外でアブラゼミ♂(Graptopsaltria nigrofuscata)が喧しく鳴いています。
カーテンを捲ってビデオカメラをそっと近づけたらセミは警戒して横歩きし、桟の陰に隠れようとしました。
網戸を少し登ると安心したように再び鳴き始めました。
(もしかするとセミには網戸の裏側なんか見えてなくて、鳴き声の一小節ごとに位置を変える習性があるのかもしれません。)
当然ながら逆光でしかも網戸越しなので、発音器の腹弁の動きがよく見えません。(ビデオカメラのライトを点灯したらセミは逃げてしまうかな?)
鳴き終えて飛び立つまで動画に記録しました。
気温を測り忘れました。
飛び立つ瞬間に小便を排泄していない…と思います。
セミの排尿シーンをハイスピード動画に撮ってみたいと常々思っているのですが、木で吸汁している個体を狙うべきなのでしょう。



アブラゼミ♂の鳴き声を声紋解析してみる



オリジナルのMOVファイルから音声をWAVファイルにデコードしてからスペクトログラムを描いてみました。


まず全体の波形を見ると、最大音量で鳴き続けるサビのパートは毎回約30秒間と決まっているようです。
セミも疲れてしまうのでしょうか?

音量を抑えた間奏もほぼ同じ時間(少し長い)でした。
次に最後のサビの前後だけ切り出したスペクトログラムを描いてみます。



今回使用したビデオカメラは内蔵マイクで録音した音声を圧縮・劣化せずに保存しているという特長があります。
3年前に別のカメラで調べた声紋では非可聴域の高音部がカットされていたので、この点でささやかながら進歩しました。

2015/10/08

ヨタカ♂(野鳥)の鳴き声♪と声紋解析



2015年8月上旬・深夜3:46〜3:47

深夜未明、山際の農村部でヨタカ♂(夜鷹;Caprimulgus indicus jotaka)の単調な鳴き声がキョキョキョキョ♪と辺りに響き渡っていました。
書店で立ち読みした鳥の鳴き声図鑑によると、これは囀りさえずりらしい。
野鳥の声だと知らない人は妖怪を想像したり不気味に思うかもしれません。
真っ暗で遠いしヨタカの姿は全く見えませんが、大木の梢から聞こえる鳴き声だけでもビデオカメラで録音しました。
映像には外灯の光しか写っていません。
近くで鳴いている虫の声(ハヤシノウマオイなど直翅目)の方がうるさいので、欲張ってヨタカが居ると思われる木にこっそり近づいたら鳴き止んでしまいました。
こういうときはパラボラ集音器を使えば指向性が改善するのでしょう。


ヨタカの鳴き声を声紋解析してみる。

いつものようにオリジナルのMOV動画ファイルから音声をWAVファイルにデコードしてから適当に切り出し、スペクトログラムを描いてみました。
16kHzおよび8kHz付近に見られる持続的なシグナルは、使用したビデオカメラに固有の内部ノイズです。

20kHz以上の高周波数域の声紋は虫の音だと思います。


【追記】
水野仲彦『野鳥のくらし―卵から巣立ちまで』によれば、
 ヨタカをキュウリキザミと呼ぶ地方がある。夜、キョキョキョキョとまな板で野菜を刻むような声で鳴くからで、昔は夕方になると山のあちこちからキュウリを刻む声が聞こえてきたものだった。(p41より引用)

興味深い豆知識ですが、私はそのような俗称は聞いたことがありません。




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