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2021/01/22

ヒミズの死骸に群がるアリとキンバエ♀

 

2020年9月下旬・午後15:50頃・くもり 

里山の峠道の舗装された路上にヒミズUrotrichus talpoides)が仰向けで死んでいました。 
素人目にはかなり新鮮な死骸で、目立った外傷や出血は認められませんでした。 
私の鼻には未だ何も死臭を嗅ぎ取れません。
穴掘りするモグラと違い、ヒミズの前脚は華奢です。 

クロヤマアリFormica japonica)のワーカー♀と別種の微小な赤アリ(種名不詳:腹部だけが黒っぽい)が死骸の毛皮の上を徘徊していました。 
2種のアリがニアミスしても争いにはならず、何事もなくすれ違いました。 

死臭を嗅ぎつけたキンバエの一種♀(Lucilia caesar?)が早速飛来すると、口吻を伸ばして死骸の表面を舐め回し始めました。 
どういう訳か、死んだヒミズの左後脚の足の裏を特に舐めていました。 

余談ですが、実は撮影の直前に、散歩していた近所の飼い犬2頭と放し飼いの状態ですれ違いました。 
(飼い主は後から少し遅れてついて来ました。)
嗅覚の優れたイヌが路上に転がっていたヒミズの死骸に気づかなかったはずがありませんが、何も興味を示さずに通り過ぎました。 
よほど躾の行き届いた飼い犬なのか、それともイヌはヒミズ(の匂い)が嫌いなのですかね? (※ 追記参照)
リードを離して飼い犬を自由に散歩させるのは都会(人口密集地)では問題になりますけど、過疎地の農村部では別に目くじらを立てることもないでしょう。(TPO次第) 
山歩きの際にツキノワグマとの遭遇事故を防ぐために最も効果的なのは、鈴を鳴らすことよりも番犬を連れて歩くことです。 
また、里の農作物を食い荒らす野生ニホンザルなどの害獣を集落から追い払うモンキードッグとしての役割も期待されています。


※【追記】
哺乳類のフィールドサイン観察ガイド』でヒミズの死体について調べると、
体に独特のニオイがあるからか、捕食者にハンティングされても食べられないで放置されることが多いようだ。(p97より引用)

ヒミズに特有の匂いを私はまだ感じた記憶がありません。 

2020/10/19

腐ったカボチャに群がるショウジョウバエと獲物を狙うキイロスズメバチ♀

 

2020年7月下旬・午後17:00頃・くもり  

農地の周囲の防風林(スギ林)の奥に大量の腐ったカボチャが捨てられていました。 
何らかの理由で(傷物?)売り物にならない収穫物が農業廃棄物として捨てられたのでしょう。 
特に悪臭もしませんし、人家からも離れているので、迷惑にはなっていません。(※追記参照) 
この特殊な生ゴミ(残渣)を巡って食物連鎖の小さな生態系が作られつつあるので、ときどき通って興味深く観察しています。 

おそらくキイロショウジョウバエDrosophila melanogaster)と思われるコバエがおびただしい数で腐ったカボチャに群がっていました。 
腐果を舐めながらショウジョウバエの♀は産卵し、蛆虫も多数育っているようです。 
ちなみに下の写真には、ショウジョウバエの蛹も写っています。 
他には黒い大きなアブ?(種名不詳;ミズアブ??)が高速で何匹も飛び交っていました。 
これはあまりにも動きが素早いので、残念ながら写真にも撮れず、正体不明です。(※追記2参照) 

こうしたハエ類を狙ってキイロスズメバチVespa simillima xanthoptera)のワーカー♀が腐ったカボチャに居座り、待ち伏せしていました。 
飛び立つと低空でホバリングしながら探餌飛翔を繰り返します。 
ショウジョウバエの数があまりにも多いので、捕食者のキイロスズメバチは目移りして獲物に狙いを定めにくいようです。(植食性動物など弱者が群れを作るメリット) 
小さなショウジョウバエに飛びかかっても素早く逃げてしまい、私が見る限り一度も狩りに成功しませんでした。 
狩りの失敗シーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
腐ったカボチャに着陸したキイロスズメバチ♀は、触角を前脚で拭って身繕い。 

薄暗い林床で夕方に撮った動画なので、画質がかなり粗いです。 

 ※【追記】 
カボチャの大量廃棄に問題があるとすれば、もしニホンザルやイノシシなど野生動物がこのゴミ捨て場の存在を知った場合に、意図せずして猿に餌付けすることになってしまいます。 
そうなると、味をしめた野生動物によって隣接する農地で作物への深刻な猿害・食害を招くことになってしまいます。 
しかし今回の現場は山から離れているので、おそらくニホンザルやツキノワグマなどは来ない(と考えられている)のでしょう。
カメラトラップを仕掛けてみたら面白そうです。
案の定、トレイルカメラにニホンザルの群れが写っていました。
▼関連記事(6年前の撮影) 
カボチャ泥棒のニホンザル♂


※【追記2】 
高速で飛び回る謎の黒いアブは、コウカアブPtecticus tenebrifer)と後に判明。


つづく→アカバトガリオオズハネカクシが腐ったカボチャに湧いたウジ虫?を捕食
キイロスズメバチ@探餌飛翔+キイロショウジョウバエ群れ@カボチャ腐果
右下および左下隅にショウジョウバエの蛹?

2020/10/10

天敵に腹部を捕食されたカブトムシ♂が虫の息で動く

 

2020年7月下旬・午前11:50頃・晴れ 

郊外の道端にカブトムシ♂(Trypoxylus dichotomusカブトムシ♂(Trypoxylus dichotomus)の生首(正確には頭部および胸部)が仰向けに転がっていたのでギョッとしました。 
瀕死のカブトムシ♂には微小なクロアリ(種名不詳)が群がっています。 
よく見ると、頭部だけでなく胸部の一部も付いていて、1対の前脚がピクピクと動きました。 
虫の息でも未だ生きていて、前脚および角を動かしました。 
敏感な口器や触角の辺りをアリが徘徊したから反応したのか?と思いきや、後半は自発的に前脚を動かしています。  
採寸のため路面に定規を並べて置いてみましょう。 
定規を使って死骸を裏返すと、立派な角は無傷でした。 
おそらく野鳥に捕食された後の食べ残しだと思われます。 

辺りを見回すと、少し離れた縁石の上に、捕食者が食べかけのカブトムシ腹部が転がっていました。 
胸部の翅および脚は全て毟り取られた状態で、パッと見は体節だけの特徴がない塊です。
腹部の背面には後翅を毟り取った跡が見えます。 
鳥につつかれた食痕があるものの、腹部の肉は完食されていません。 
捕食者の鳥は獲物を解体中に何かに驚いて、せっかくのご馳走を置いたまま逃げてしまったのでしょう。 
このカブトムシ♂腹部にも微小なクロアリ(種名不詳)がたかっていました。 
白い微小な肉片をアリが持ち去ろうとしています。  

私が振り返ると、瀕死のカブトムシ♂の生首は前脚だけで歩いていました。 
ちょっとしたホラー映像です。 
前脚を左右交互に動かしても暴れるだけで、正常に前進できません。  


さて、カブトムシ♂を生きたままバラバラにした捕食者の正体を推理してみましょう。
(カブトムシの)成虫の天敵となる捕食者は、タヌキ、イノシシなど森に棲む動物、カラスやフクロウなどがいる。(wikipediaより引用)
確かに今回の撮影中、周囲でカラスが鳴いていました。 
タヌキやよく見かけますが、私のフィールドでイノシシは未だ見たことがありません。  
本郷儀人『カブトムシとクワガタの最新科学 (メディアファクトリー新書)』を読むと、筆者は雑木林での直接観察で捕食者の正体を意外にもフクロウStrix uralensis)と突き止めています。
注意深く見ていくと、私の演習林内でもただ寿命で死んだわけではない死体が存在していました。それらの特徴は、おなかだけをごっそり何者かに食いちぎられ、胸から上しか残っていないこと。なかには腹を失いながらも、まだ動いているカブトムシもいるほどです(おそらく、ついいましがた何者かに襲われたのでしょう)。(中略)昆虫には痛覚がないと言われているので、彼はまだ食べられたことにも気づいていないかもしれません。(中略)フクロウは、主にネズミなどの小型の哺乳類や小型の鳥類を捕食すると考えられており、昆虫食の鳥とは考えられていなかったのです。(中略)現在では、この調査地以外の場所のフクロウたちもカブトムシを捕食していることがわかっています。(中略)どうやらフクロウは柔らかくて食べやすいおなか部分だけが好きな美食家のようです。 (p116〜119より引用)
 

私のフィールドにもフクロウが生息するらしいことが分かっています。
▼関連記事(4年前の撮影) 
杉林に響くフクロウ(野鳥)の鳴き声♪
しかし、それでも私はカラスの方が容疑者として怪しいのではないか?と思ってしまいます。
そもそも現場は雑木林から少し離れていました。 (鳥にはひとっ飛びの距離かもしれません)
夜の灯火に誘われてカブトムシ♂が飛んでいるところを鳥に襲われたのかな?

余談ですが、12日後の8月中旬。
郊外の交差点の歩道でカブトムシ♀死骸の上半身が転がっていました。 
これは動いていなかったので、写真だけで紹介します。
鞘翅(前翅)が左半分だけ残っていました。
柔らかい腹部だけが捕食されたようです。
カブトムシ♀は体内(腹部内)に栄養豊富な卵巣があり、邪魔な角も持たないので、捕食者にとっては同じカブトムシの♂よりも魅力的な獲物なのでしょう。





2019/11/05

ドバトの死骸に通い肉団子を作るシダクロスズメバチ♀【HD動画&ハイスピード動画】(野鳥)



2019年7月中旬・午前5:00および5:40頃
▼前回の記事
ドバトの死骸を貪り食うハシブトガラスの家族群(野鳥)

カワラバト(=ドバト;Columba livia)の死骸を調べるために私が近づくと、ハシブトガラスの群れは死骸をその場に残したまま逃げていきました。

毟り取られた羽根が風に飛ばされ、池畔に散乱しています。
生前は全体的に白っぽい鳩だったのでしょう。
カラスに腹側をつつかれた結果、胸から腹にかけて血まみれの生肉や臓器が露出しています。
断頭された頭部が辺りに見当たりません。(池の中に落ちてしまった可能性は?)
辺りの地面に血痕が無いので、ここで殺害された(狩られた)のではないと思われます。

大騒ぎしながら屍肉を喋んでいたカラス一家が居なくなった途端に、次に控えていた昆虫の屍肉掃除屋が続々と到着しました。
一番乗りしたクロバエ科のキンバエの仲間(種名不詳)は常連です。
左右の複眼が離れている♀ばかりが集まり、血が滴る傷口を舐めて吸汁したり、産卵したりしています。

クロスズメバチの仲間(シダクロスズメバチまたはクロスズメバチ?)も早々と死骸に集まっていたのが興味深く思いました。
ワーカー♀が血に染まった新鮮な鳥肉を噛み切り、肉団子作りに励んでいます。

鳩胸のいわゆる胸肉と呼ばれる部位なのかな?

朝日が昇って辺りがだいぶ明るくなるまで待って40分後に現場を再訪し、飛び回るクロスズメバチ♀を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@3:59〜)

(ハイスピード動画は充分な光量がないときれいに撮れないのです。)
クロスズメバチやキンバエが低空で飛ぶと、羽ばたいた風に煽られて死んだ鳩の羽毛がなびきます。
丸めた肉団子を持ってクロスズメバチ♀が飛び立つ瞬間をスローモーションで見ると、餌場の位置を正確に記憶するための定位飛行をしている個体がいました。
定位飛行せずにまっすぐ帰巣した個体は、もう何度も通ってきている個体なのでしょう。

死骸に群がるキンバエを追い散らすものの、積極的に襲って狩ることはありませんでした。
キンバエの方がクロスズメバチよりも俊敏ですぐに逃げてしまうので、狩ろうとしても無理なのでしょう。
キンバエ♀もすぐに舞い戻って来て、少し離れた部位で吸汁を続けています。
肉団子を作っている最中のクロスズメバチの背後でキンバエ♀がホバリング(停空飛翔)すると、羽音を聞いたクロスズメバチ♀が腹部と翅を軽く持ち上げて警戒・威嚇しました。(@6:20)
このとき腹端の毒針を見せつけたかどうか(威嚇誇示)、定かではありません。

クロスズメバチ♀の遅れて着陸した個体が慌てていたのか、先客の個体と衝突することがありました。(ごっつんこ!)(@7:06)
激しい喧嘩に発展しなかったのは、おそらく同じコロニー出身なのでしょう。
餌場の占有行動で体当たりしたのではなさそうです。


鳩肉を食べる、君の名は?
この蜂は、シダクロスズメバチVespula shidai)またはクロスズメバチVespula flaviceps)のワーカー♀だと思うのですが、どちらでしょう?
映像や写真から見分けられる達人がいらっしゃいましたらご教示下さい。
私はスロー再生をいくら見直しても自信が持てませんでした。
クロスズメバチの仲間をしっかり同定するためには顔写真を正面と横から接写しないといけないことは重々承知していたのですが、ドバトの死骸が横たわっているエリアは桜の木の下で立入禁止のロープが張られており、これ以上近づけませんでした。(撮影は公道から)
また、蜂を採集したくてもこの日は捕虫網を持参していませんでした。
クロスズメバチ属ではなく、やや珍しいホオナガスズメバチ属の可能性もありますかね?
現場は自然度の高い平地ですけど、山地性のホオナガスズメバチ属を標高から単純に除外できるのかな?
「スガレ追い」のテクニックを使えば、蜂が通って来る巣の位置を突き止められたかもしれません。


首無し死骸の謎
公園などで野鳥や野生動物の首無し死骸が見つかる度にニュースになり、世知辛い近年は動物虐待する猟奇的な変質者(快楽殺人鬼予備軍)の仕業かと騒ぎになります。

このような記事を何本も書いている私などは圧倒的不審者として真っ先に疑われてスケープゴートにされそうです。
▼関連記事(7年前に撮影した首無しウサギ死体のミステリー)
死んだウサギの骨髄に群がるムネアカオオアリ
しかし狩りをした猛禽類の落とし物かもしれない(自然の営み)という視点が扇情的なマスコミには欠けている気がします。
通報を受けた警察はあらゆる可能性をしっかり捜査するでしょうが、一般人はまさか街なかの公園にワシ・タカやフクロウなどの猛禽類が出没するなど思いもよらないのでしょう。


熊谷勝『カラー自然シリーズ66:ハヤブサ』によると、

・♂親はさいしょに、するどいくちばしでえものの首をきりおとします。
・ほかのワシタカ類が、するどい爪で締め殺すのに対して、ハヤブサのなかまは首を切断して、えものを殺します。(中略)ハヤブサは、えものを殺すと、さいしょにもぎとった首筋から、栄養のある内臓をひきだして食べます。 (p12より引用)


サバンナでライオンが狩った獲物をハイエナの群れが強奪するように、早朝の狩りに成功したチゴハヤブサをカラスの群れが取り囲んで追い払ったのではないか(モビング)と私は想像しています。

ドバトを仕留めたのがもしネコなどの肉食獣なら、傷口に唾液が付着しているはずですから、獲物の死体表面に残ったDNA痕跡を調べれば分かるはずです。
今回は近くに出没するチゴハヤブサなどの猛禽類が仕留めたと私は睨んでいるのですけど、その場合もDNA解析で犯人(捕食者)を突き止められるかな?
もしもハシブトガラスのDNAしか検出されなければ、寿命や病死のドバトをカラスが食べていたということになりそうです。
死骸に集まっていたクロスズメバチやキンバエの種類も傷口のDNA解析で正確に同定できる時代が来れば(ナチュラリストにとって)最高です。



数日後に現場を再訪すると、ドバトの死骸はきれいさっぱり無くなっていました。
生物分解を受けて現場でゆっくりと白骨化する前に、気味悪がった通行人が早々に保健所へ通報してゴミ処分されたのでしょう。
ウジ虫が大量に発生したり真夏に死骸が腐ると悪臭が酷いですから、人通りの多い場所では衛生上仕方がありません。
潔癖症の現代日本で屍肉食性の生き物の生態を調べるのは大変です。
その点、『昆虫記』で有名なファーブルは流石です。

自宅の庭にヘビなど動物の死骸を放置し、次々にやって来る昆虫類をしっかり観察、記録しているのです。
フンコロガシや狩蜂だけでなく、『昆虫記』後半の章では屍肉食性昆虫の営みも紹介しているのが名著たる所以です。
ファーブルを尊敬する私も、鳩の死骸を持ち帰って観察を続ける根性はありませんでした。



クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁・全景
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り+キンバエspp@吸汁
クロスズメバチ♀群れ@ドバト(野鳥)首無死骸+肉団子作り

映像から切り出した顔写真


2019/11/02

ドバトの死骸を貪り食うハシブトガラスの家族群(野鳥)



2019年7月中旬・午前4:55頃(日の出時刻は午前4:29)

池畔に並ぶ桜の木の下に早朝からハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が集まって鳴き騒いでいます。
何事かと思って近づいてみると、カワラバト(=ドバト;Columba livia)の首無し死骸をハシブトガラスの群れが啄んでいました。
鳩の羽毛が辺りに散乱しています。
ハシブトガラス4羽の群れは成鳥と幼鳥が2羽ずつで、どうやら家族のようです。
1羽の成鳥αが丈夫な嘴で鳩の羽根を毟り、屍肉を力強く引きちぎって食べています。
口内の赤い幼鳥2羽がその横で必死に餌乞いしても、成鳥αは餌を独り占めして分け与えないのが意外でした。
独り占めしている成鳥αが、隣でしつこく餌乞いする幼鳥に対して嗄れ声で鳴き返しました。
喉袋の中にも鳩の肉を溜め込んでいるのに、欲張りな成鳥αはドバトの死骸を嘴で自分の近くに引き寄せました。
もしかしてこの群れは親子ではなく、血縁関係が無いのかな?
もう1羽の成鳥βはαの背後で大人しく順番待ちをしています。
お預けをくらっている個体がもし序列を無視して強引に割り込んで食べようとすると、一番強い成鳥αに鉄拳制裁を受けるのでしょう。(つつきの順位
幼鳥が餌乞いで羽ばたくと、周囲に散乱していた鳩の羽根が舞い散ります。
うるさくせがむ幼鳥にようやく少しだけ肉を分け与えました(@1:50)。
ひと口もらった幼鳥は引き下がり、少しおとなしくなりました。
しかしもう1羽の幼鳥は餌乞いを続けています。
最後に成鳥αがよそ見をしている隙に幼鳥が肉片を盗み食いしました。
渋々ながらも幼鳥に給餌したということは、やはり親子だったようです。
巣立った幼鳥に親鳥がせっせと巣外給餌する時期が終わり、少しずつカラスの社会の掟を教えているのかもしれません。

私のフィールドでカラスの優占種と言えば圧倒的にハシボソガラスなのですけど、野鳥の死骸を食べているのはいつもハシブトガラスです。
未だ観察例が少ないので、これは偶々でしょうか?
ハシボソガラスはハシブトガラスよりも力では弱くて死骸に近づけないのですかね?(餌の占有行動)

▼関連記事(5年前の撮影)
七面鳥の死骸に群がり貪り食うハシブトガラス(野鳥)



動画には写っていませんが、惨劇が繰り広げられている手前の車道にはドバトが3羽、何事もなかったように路上採食していました。
この辺りには多数のドバトが暮らしてるのです。

撮影後に私が近寄ると、カラスはその場に死骸を残して逃げて行きました。
さて、ドバトを殺した犯人は誰でしょう?
切り落とされたドバトの生首は近くに見つかりませんでした。
寿命を迎えた個体なのかもしれませんが、断頭されている手口からすると、ドバトを襲って殺したのはハシブトガラスではなく、おそらく近くに生息するチゴハヤブサなど猛禽類の仕業だと思います。
サバンナでライオンが狩った獲物をハイエナの群れが奪い取るように、狩りの直後にカラスが群れでチゴハヤブサを取り囲んで追い払ったのではないかと想像しています。
私がもう少し早く現場に来ていれば狩りの瞬間を目撃できたのではないかと思うと残念でなりません。
(ハシブトガラスがドバトの生首を真っ先に食べてしまった可能性は?)

つづく→ドバトの死骸を分解する者たち


【追記】
カラスは屍肉食性だという先入観に私は囚われていましたが、柴田佳秀『うち、カラスいるんだけど来る? カラスの生態完全読本』によると、カラスは頻繁に生きた鳥を襲って食べているそうです。

鳥類の中でターゲットとなるのは主にドバト。いきなり背中に飛び乗って押さえ付けるのですが、ドバトが暴れると振り落とされてしまうため、狩りの成功率自体は高くありません。 (p22より引用)





【追記2】
カラス研究者の松原始『鳥類学者の目のツケドコロ』によると、
ハヤブサ科の鳥は鳥やネズミなどの獲物の首を噛んで、頚椎を破壊することができます。その後、きれいに首を切り落としてしまうにも、クチバシは使われます。稀に首のないハトの死骸が落ちていたりすることがありますが、刃物を使ったようにきれいに切れていたら、ハヤブサの仕業という可能性があります(カラスも首を落としますが、ハヤブサほど手際がよくありません)。 (電子書籍版より引用)


【追記3】
小松貴『昆虫学者はやめられない: 裏山の奇人、徘徊の記』によると、筆者はまさに捕食しようとする瞬間を目撃したことがあるそうです。
 ドバトの多い都市部とその近郊では、ハシブトガラスがしばしば猛禽のように生きたハトを捕り押さえ、殺して食う例が観察される。(中略)野良猫がほとんどいないにもかかわらず、年に数回は上半身がごっそり齧り取られたハトの死骸を道端で見かける。ちょうど、そんな風にハトを捌こうとする瞬間に、至近で立ち会ったしまったのだ。(p21より引用)

ハシブトガラス家族群(野鳥)@ドバト死骸+屍肉食
ハシブトガラス家族群(野鳥)@ドバト死骸+屍肉食+幼鳥@餌乞い
ハシブトガラス家族群:成鳥2+幼鳥2(野鳥)@ドバト死骸+屍肉食+餌乞い

2019/01/04

ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ



2018年9月下旬


▼前回の記事
ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ

腐乱したヒミズUrotrichus talpoides)の死骸から少し離れた路上に小さな肉片が転がっていました。
死骸から食い千切った肉片を4匹のクロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀が巣に運ぶ途中のようです。
肉片を大顎で噛んで引っ張り、更に細切れにしようとしています。
肉片には数匹の白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているのですが、アリは蛆虫を獲物とはみなしていないのか、肉片に夢中です。


▼関連記事
猿の死骸からウジ虫を運ぶアリ

2匹のクロヤマアリFormica japonica)も物欲しそうに肉片に近寄って来ました。
しかし、体格に勝るクロオオアリ♀が撃退しました。
クロヤマアリ♀は追い払われてもすばしこく逃げ回り、横取りするチャンスをしつこく狙っています。

もし仮に、クロヤマアリが援軍を呼び寄せてクロオオアリを数で圧倒したら、勝機はあるのでしょうか?


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


クロオオアリ♀4 vs クロヤマアリ♀2@ヒミズ死骸:肉片

2018/12/29

ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ



2018年9月下旬
▼前回の記事
ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀

舗装された山道に転がっていたヒミズUrotrichus talpoides)の腐乱死体を観察していると、オレンジ色の昆虫がブーンと羽音を立てながら低空で飛来しました。
一瞬スズメバチかと思いきや、死骸めがけて飛んで来た新参者の正体はヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatus)でした。
飛んでいる姿を見るのはこれが初めてで、とても興奮しました。
飛翔シーンは一瞬なので、まずは1/5倍速のスローモーションでご覧下さい。

飛来したヨツボシモンシデムシはすぐに死骸の下に潜り込みました。
死骸がゾンビのように勝手に動いているように見えるのは、ヨツボシモンシデムシの活動のせいです。
ゴソゴソと死骸が動いてもキンバエは逃げずに平気で吸汁を続けています。

しばらくすると、死骸の上面に1匹のヨツボシモンシデムシが来て死肉を食べていました。
その体表を橙色のダニが多数徘徊しています。
そのヨツボシモンシデムシも再び死骸の下に潜り込みました。

新たにもう1匹のヨツボシモンシデムシが死臭に惹きつけられて飛来したものの、なぜか着陸せずに飛び去りました。
低空で飛ぶシーンを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。

さて、ヨツボシモンシデムシはヒミズ死骸の裏で何をしているのでしょうか?
拾った小枝で死骸を裏返してみると、2匹のヨツボシモンシデムシが潜んでいました。
私には性別が見分けられないのですが、これは♀♂のつがいなのかな?
ところがすぐにまた死骸の裏面に慌てて隠れてしまいます。
一旦死骸に辿り着くと、日光を嫌う習性があるようです。
しつこく更にもう一度死骸を裏返すと、またもやヨツボシモンシデムシは逆側に潜り込んで隠れました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。

タッパーウェアなどの容器を持っていれば、ヨツボシモンシデムシを採集し死骸と一緒にお持ち帰りしたいところです。
ヨツボシモンシデムシは甲虫としては珍しく育児(子育て)をすることで有名なので、いつか飼育下で観察してみたいのです。
またの機会にお預けです。(夏に部屋でシデムシに腐肉を与えて飼うのはかなりの覚悟が必要ですね)







▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(中編):ヒミズ死骸とヨツボシモンシデムシ

10年前の観察例では土の地面にヒミズの死骸が置かれていました。
ヨツボシモンシデムシが何匹も死骸の下に次々と潜り込み、仰向けに歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運んでいました。
今回の現場はアスファルトの舗装路なので、ヨツボシモンシデムシは死骸を地中に埋葬して独占するのは不可能です。
死骸を運びつつ路肩の地面を目指して舗装路を横断中だったのかもしれません。

つづく→ヒミズ死骸の肉片をクロヤマアリから守るクロオオアリの群れ




【追記】
ベルンド・ハインリッチ『生から死へ、死から生へ:生き物の葬儀屋たちの物語』という翻訳書を読んでいたら、北米産モンシデムシの飛翔について嘘みたいな驚くべきことが書いてありました。
日本のヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)とは別種なのですが、同属のNicrophorus tomentosusおよびNicrophorus orbicollisの2種は後翅を羽ばたいて飛ぶ際に鞘翅が裏返しになって裏面(下面)のレモンイエローが外側を向き、黄色のマルハナバチに擬態するというのです。(p31〜33より)


そんな奇天烈な翅を持つ甲虫を私は知らなかったので、自分で撮ったこの動画を急いで見直してみました。
しかし、飛翔時のヨツボシモンシデムシの翅はレモンイエローではなく、鞘翅表側のオレンジ色の残像しか見えませんでした。
(だから私はスズメバチが飛来した!と現場で一瞬錯覚したのです。)
次に機会があれば、ヨツボシモンシデムシの飛翔シーンをハイスピード動画で撮ったり、採集して鞘翅の裏面をじっくり調べてみたくなりました。
北米産の2種(N. tomentosus, N. orbicollis)だけが特殊なリバーシブルの鞘翅を持っているのかな?
それ以外の習性については日本産のモンシデムシとほぼ共通していただけに、裏返る鞘翅の話が強烈な印象に残りました。
日本産のモンシデムシがそのような翅に進化しなかったのは何故でしょう?
日本には黄色のマルハナバチと言えばコハナバチ♂ぐらいしか生息しておらず、雄蜂には毒針がありませんから、怖くない蜂にベイツ擬態するメリットが無かったためと考えられます。




ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸
ヨツボシモンシデムシ+キンバエspp+クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸

2018/12/27

ヒミズの死骸に群がるキンバエとクロオオアリ♀



2018年9月下旬

山間部の峠道にヒミズUrotrichus talpoides)の死骸が転がっていました。
遺体の損傷が激しく死因は不明ですが、車に轢かれたロードキルなのでしょうか。
死骸は長い尻尾に毛が生えています。
前足の爪がさほど発達していないので、モグラではありません。

クロオオアリCamponotus japonicus)のワーカー♀とキンバエの仲間が死骸に群がっていました。
クロオオアリ♀は死骸の毛皮が裂けて露出した部分から大顎で肉を食い千切っていました。
私にキンバエの種類は見分けられないのですが、複眼の形状を見ると♀♂両方来ていました。
キンバエは死骸の体液を舐めています。
産卵シーンは見ていません。
肉の組織で白い蛆虫(ハエの幼虫)が蠢いているので、死後数日が経過していることが分かります。
撮影アングルを変更しようと私が動くと、ハエが死骸から一斉に飛び立って避難してしまいます。
後半は、15cmの金属製定規を並べて置いて死骸を採寸しました。


▼関連記事(10年前の撮影)
ヒミズ死して屍拾うものあり(前編):ヒミズ死骸に群がるキンバエ

つづく→ヒミズの腐乱死体に飛んで集まるヨツボシモンシデムシ


クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ+キンバエspp群れ@ヒミズ死骸
クロオオアリ♀群れ@ヒミズ死骸+scale

2018/08/08

シマヘビの死骸を舐めるミドリキンバエ?



2018年5月中旬

郊外の住宅地でシマヘビElaphe quadrivirgata)の死骸が道端に転がっていました。
おそらく車に轢かれたロードキルを誰かが道端にどけて置いたのでしょう。
死骸の傍の路上に内臓がこびりついていました。
ここが轢かれた場所か?




体表の鱗が剥けて肉が露出した傷にミドリキンバエLucilia illustris)と思われる美しい金属光沢の蝿が1匹だけ来ていました。
(似た蝿がいて見分けるのは意外に難しいらしいのですが、真面目に検討してません。)
死後間もない新鮮な死骸には見えないのですけど、蝿の集まりが悪いのは未だ春先だから?
ハエの左右の複眼が離れているので♀だと思うのですが、背面から見ていても産卵しているかどうか不明です。
ハエを側面から見て腹端の動きに注目しても、産卵している様子はなく、吸汁しているだけでした。

微小なクロアリ(種名不詳)も集まり、辺りを徘徊しています。

死んだシマヘビの頭部に損傷が無ければ、死骸を採集して頭骨標本を作りたかったのですが、状態が悪そうなので撮影するだけに留めました。




ミドリキンバエ?@シマヘビ死骸・全景
ミドリキンバエ?@シマヘビ死骸・全景
シマヘビ死骸:内臓

ミドリキンバエ?@シマヘビ死骸+吸汁
ミドリキンバエ?@シマヘビ死骸+吸汁

2018/07/03

小動物の死骸を食べて歩道をきれいにしてくれるハシブトガラス(野鳥)



2018年4月下旬

きれいに刈り込んだ植込みの樹上から一羽のハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が歩道に舞い降りました。
小型哺乳類の死骸を見つけると、嬉しそうに嘴で咥えました。
車に轢かれたロードキルなのかな?
獲物は灰色の毛皮をしており、フサフサの尻尾が見えます。
郊外とは言え、こんな平地で野生のリスが生息しているのか?と驚きました。(裏手は木が多い公園になっています)
近くの川やゴミ処理場で発生したネズミなら、尻尾に毛は生えていないはずです。

ハシブトガラスはすぐ横のコンクリート塀に飛び上がり、小動物の死骸を丸呑みにしました。
繁殖期なので、巣で待つ雛鳥に給餌するつもりなら、喉袋に入れたのでしょう。(それとも独身の個体が自分のために食べたのかな?)
最後は飛び立つと近くの電線に止まり直し、嘴を足元の電線で拭いました。

※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。


2018/04/10

煮干しを食べるチャコウラナメクジ 【10倍速映像】



2016年10月下旬・午前00:33〜00:56

飼育しているチャコウラナメクジAmbigolimax valentianus)がカタツムリを襲った事件をきっかけに、ナメクジの生育にはタンパク質が必要らしいと知りました。


▼関連記事
チャコウラナメクジに襲われ泡を吹くヒダリマキマイマイ 【10倍速映像】

タンパク質を補給するために試しに数匹の煮干しを小皿に入れて給餌してみます。
ダシを取るための食品ですが、若干の食塩が添加されていることが気になります。
ナメクジを含めたペットに与えるときは健康のために減塩加工された煮干しの方が良いのかも知れません。


すると早速、チャコウラナメクジは初めての餌を喜んで食べ始めました。
微速度撮影で記録してみたので、10倍速の早回し映像をご覧下さい。
しばらくすると満足したのか、チャコウラナメクジは小皿の上でUターンして立ち去りました。
死んだ魚の乾燥肉を食べただけでなく、煮干しの小骨に含まれるカルシウムを喜んで摂取していたのかもしれません。

タンパク質の餌を与えたので、これでチャコウラナメクジが同居しているヒダリマキマイマイを襲うことはなくなるでしょうか?

宇高寛子、田中寛『ナメクジ:おもしろ生態とかしこい防ぎ方』という本を読むと、ナメクジを飼育するための餌として次のように書かれていました。

容器の底には湿らせたペーパータオルを敷き、エサとしてニンジンとコオロギ用人工飼料(魚粉を固めたもの。金魚のエサに似ている)をナメクジと一緒にいれた。(中略)数日に一度、エサや容器は新しいものと交換した。(p35より引用)

一方、同じ容器で同居させているヒダリマキマイマイEuhadra quaesita)も同じ小皿に登ってきたものの煮干しには口をつけずに引き返しました。
近くに置いてあったリンゴの皮に気を取られたのかな?
あるいは、近くに天敵の(以前自分を襲った)チャコウラナメクジが居ることに気づいて、慌てて逃げ出したのかもしれません。



2017/12/02

ニホンイタチの死骸



2017年7月上旬・早朝

ノスリ(野鳥)の捕食シーンを撮影した後に同じ道を更に数百メートル進むと、道端に野生動物(哺乳類)の死骸が転がっていました。
夜に車に轢かれたのでしょう。(ロードキル
あるいは先ほど見たように、ノスリなど猛禽類の食べ残しなのかな?
新鮮な死骸ではなく、腹部が死肉食の動物(鳥類?)に食い荒らされていました。
頭部が無傷なら死骸を採集して頭骨の標本を作ってみたかったのですが、損傷が激しかったため、写真で記録するだけに留めました。


採寸する定規を持参しておらず、仕方なく自分の靴と比べてみたところ、頭胴長は約30cmでした。
現場は平地の田園地帯を横切る車道で、溜池の裏手でした。
ホンドテンと迷ったのですけど、これはニホンイタチMustela itatsi)ですかね?
もし間違っていたら、ご指摘願います。

動物の死骸を見つける度に、屍肉食の昆虫を定点観察したり生物分解の過程を記録したいのですけど、この時期は忙しくてとても余力がありませんでした。
どうせカラス(やトビ)にすぐ持ち去られたり食い荒らされてしまうでしょう。(…と自分に言い聞かせて、その場を離れました)
それでも、この辺りにイタチが生息しているという証拠は、私にとって貴重な情報です。




【追記】
川口敏『哺乳類のかたち ~種を識別する掟と鍵~』を読むと、詳しい解説がありました。
・テンとイタチを見分けるポイントは足だ。足の裏を見てもいいし、毛の色でもいい。テンの足は黒いがイタチは黄褐色から茶褐色で黒ではない。 (p26より引用)
・テンとイタチでは、足の裏の肉球の数や配列の違いで識別できる。  (p30)

しかし写真を見返しても、残念ながら足の裏を撮っていませんでした。
イタチの体色はテンと比べるとかなり地味だが、暗いチョコレート色から明るい山吹色までの変異がある。この変異は、体の大きさがある程度相関している。結論を先に言うと、体の大きなイタチの毛色は明るく、小さなイタチは暗い。(中略)このほか、毛色は季節によっても変化する。夏毛と冬毛を比べると、夏毛は暗く、冬毛は明るい。(中略)野外では性別や年齢はわからないので、毛色を頼りにこの2種を識別するのはやはり無理であろう。 (p32)
・近縁な種が同じところで生活することを「同所的分布」と言い、このような地域では体サイズの違いは顕著に表れるので、体の大きさを測定すれば、種を容易に識別できる。したがって、イイズナ、オコジョ、ニホンイタチ、テンの4種は性別と外部計測値だけで識別できる。最低、頭胴長(鼻の先から肛門までの長さ)、尾長(肛門から尾の先端までの長さ、ただし毛の長さは含まない)、後足長(かかとから指の先端までの長さ、ただし爪の長さは含まない)は計測する。値は3ケタあれば十分。  (p28-29)
今後の教訓として、同定するにはやはり現物を採集してしっかり調べないと駄目ですね。

・イタチも♂が極端に大きなグループで、(中略)♂の体長は♀の2〜3倍にもなる。しかし、イタチはハーレムを形成するわけではない。発情期になると、♂はテリトリーを拡大する(このとき交通事故による死亡数も増加する)。 (p38



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