2008年9月中旬
4時間後に戻って来たらヒミズ(Urotrichus talpoides)の死骸が地面を動いていたので一瞬ギョッとしました。
ヨツボシモンシデムシ(Nicrophorus quadripunctatus)の仕業でした。
死骸の下に仰向けに潜り込み、歩くように足を動かすことで重い死骸を少しずつ運びます。
数匹居るが、協調して運搬しているのだろうか?
(運ぶ方向の意思統一は?)
交尾を始める♀♂ペア(@1:50〜)や赤いダニにまみれた個体などが見られました※。
※ モンシデムシ類に専門に寄生するダニが知られており、シデムシの競合相手であるハエの卵や蛆などを食べることで双利共生しているらしい。
腐臭がするので接写するときは息を止めました。
耳を澄ますと時々ヨツボシモンシデムシがキュウキュウと鳴く声が聞こえます。
ラストは、ヨツボシモンシデムシの群れによって運ばれて行く死骸を5倍速再生の早回し映像にしてみました。(@6:24〜)
いつか動物の死骸が地中に埋葬されるまでの一部始終を微速度撮影で長時間動画に撮ってみたいものです。
また、本種は幼虫が育つまで親が世話(育児)することで有名らしい。
後編につづく。
【追記】
動物の死体は実は栄養に富んだ餌源で、ハエの幼虫(ウジ)や別の甲虫など、競争者が多く、とくにハエが卵を産むと、あっという間にウジが死体を食いつくしてしまう。死体を埋めるのは、そういう競争者から死体を隠すためである。(丸山宗利『昆虫はすごい (光文社新書)』p132より 引用)
【追記2】
ヨツボシモンシデムシの生活史を驚異の精密画で克明に描いた絵本『しでむし』の解説編p35によると
シデムシの成虫や幼虫の体には、必ずといっていいほどオレンジ色のダニがくっついています。このダニは、シデムシの体液を吸っているわけではなく、シデムシをタクシーのような移動手段として利用しているのです。ダニの狙いは死体。かれらもここで繁殖します。とても足が速く、シデムシが死体にたどりつくと、さっさと下車します。生まれたダニの子どもたちは成虫だけでなく、巣をはなれる終齢幼虫にものっかっていきます。そのままさなぎのへやへも同行、新しく羽化したシデムシの成虫は、幼なじみのダニとまた旅をはじめます。
【追記3】
小松貴『絶滅危惧の地味な虫たち (ちくま新書)』によると、
シデムシには大ざっぱに、ただ死肉に集まって場当たり的に食い散らかすだけのヒラタシデムシ類と、死体を地中に埋めてしまうモンシデムシ類に大別される。(中略)モンシデムシ類は死体を地下にあっという間に埋めてしまうため、伝染病を媒介するハエ類の発生を大幅に抑える役割も果たしている。(p61より引用)
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