2025/03/29

春の休耕地でタヌキの巣穴を迂回するホンドギツネ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月中旬

シーン1:4/10・午後13:11・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
休耕地に積もっていた雪が完全に溶け、枯野の地面に巣穴が幾つも開いています。 
タヌキ、アナグマ、キツネが三つ巴で営巣地を乗っ取ったり同居したりして、複雑な状況でした。 


シーン2:4/12・午前0:22・気温7℃(@0:03〜) 
5日ぶりにホンドギツネVulpes vulpes japonica)が登場しました。 
尻尾がフサフサした健常個体です。 
深夜に右からやって来ると、巣口Mの手前で警戒して立ち止まり、右折して奥の暗闇へ立ち去りました。 

疥癬の症状で尻尾の毛が抜けて細く見える「細尾」のキツネをまったく見かけなくなりました。 
Perplexity AIに質問しても、疥癬に罹った野生動物が自然治癒することはないそうです。 
疥癬キツネの「細尾」は、死んでしまった可能性が高いです。 

つづく→

オオヤマザクラの花で採餌するクマバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後15:30頃・晴れおよび午前10:35頃・くもり 

民家の裏庭に植栽された桜の老木で濃いピンクの花が満開に咲いていました。 
見慣れたソメイヨシノとは明らかに異なる品種で、花と同時に若葉も開いています。 
サクラハンドブック』で調べてみると、どうやらオオヤマザクラのようです。(p12-13) 

桜の木の下に立つと、蜂の羽音がブンブン♪聞こえます。 
羽音の主を探すと、キムネクマバチ♀(Xylocopa appendiculata circumvolans)が忙しなく訪花していました。 
吸蜜するクマバチ♀の後脚を見ると、花粉籠はまだ空荷でした。 

オオヤマザクラの花から飛び立つ瞬間を狙って240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@1:49〜) 
クマバチの羽ばたきで桜の花弁があおられていますが、映像ではストロボ効果で羽ばたきが止まって見えます。 

花から飛び立ったクマバチ♀は、次の花を見定めるように手前でホバリング(停空飛翔)しながら、左右の脚を擦り合わせています。 
体に付着した花粉をまとめて、後脚の花粉籠に移しているのです。

ミツバチ♀の群れも一緒に採餌していたのですが、あまりにも動きが忙しなくて動画にうまく撮れませんでした。 

3日後にも定点観察すると、風が吹く度に花弁がどんどん散って葉桜になりました。 


【アフィリエイト】 

2025/03/28

春の野原で警戒して逃走しながら脱糞するツグミ(野鳥)

 

2024年4月中旬・午後13:30頃・くもり 

休耕地の原っぱでツグミTurdus eunomus)を発見。 
採食シーンを撮りたかったのですが、カメラを向ける私に気づくと警戒し、どんどん遠くに走り去ってしまいます。 
冬鳥のツグミは、急に走り出してはフリーズする、を断続的に繰り返しています。 
翼を少しだらんと下げた姿勢なのが気になりました。 何か意味のある姿勢なのかな?(逃げ腰?) 

立ち止まったときに、薄い黄土色の液状便を1滴排泄しました。(@1:35〜) 
脱糞前後のシーンを1.5倍に拡大した上で1/5倍速のスローモーションでリプレイ。 
いつでも飛び立てるように排便で軽量化したのだと思うのですが、飛ばずにひたすら足を使って小走りで逃げています。

死んだアナグマの営巣地が気になり昼も夜も訪れるイエネコ(キジトラ白足袋)【トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年4月中旬〜下旬

シーン0:4/10・午後14:06・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
シーン0:4/10・午後14:26・晴れ・(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
平地の二次林で、越冬中に死んだニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)を2台のトレイルカメラで監視し続けています。 
春になって落葉樹の若葉が芽吹き始めました。 

この時期なぜか頻繁に出没するようになったイエネコFelis silvestris catus)の映像をまとめました。 


シーン1:4/14・午後20:58・気温15℃(@0:07〜) 
右から来た猫が巣口Rの横に座り込むと、キョロキョロと辺りを見回しています。 
監視カメラの存在にも気づいたようで、カメラ目線でしばらく凝視しました。 
巣口Rをちらっと見下ろしたものの、あまり興味を示しませんでした。 

暗視動画はモノクロですけど、この個体の体色模様はおそらくキジトラですね。 
足先だけ白く目立ち、まるで白足袋(または白い靴下)を履いているようです。 
この特徴があれば、個体識別ができそうです。 
この個体を「キジトラ白足袋」と名付けることにしました。 

近所の民家で飼われているイエネコが夜の散歩で遠征しに来たのでしょう。 
外見で性別を見分けられませんが、春はネコも交尾期ですから、雄猫♂が交尾相手の雌猫♀を探し求めているのかもしれません。 

やがて立ち上がると、手前に向かって立ち去りました。 


シーン2:4/16・午前3:05・気温8℃(@1:07〜) 
2日後の未明にも、同一個体と思われるキジトラ白足袋が現れました。 
巣口Rを見下ろして匂いを嗅いでから左の巣口Lへ向かいました。 
その動きに反応して、対面に設置した別のトレイルカメラが起動しました。 
巣口Lに顔を突っ込んで長々と匂いを嗅いだものの、巣内には侵入しませんでした。 


シーン3:4/16・午前3:05・気温7℃(@1:46〜) 
別アングルの監視カメラで撮れた映像です。 
左から来たキジトラ白足袋が巣口Lに顔を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。 
巣穴Lの奥で「いざりタヌキ」が餓死しているのではないかと私は疑っているのですが、その死臭をネコも嗅ぎつけたのかもしれません。 
あるいは、野ネズミが巣穴Lに住み着いていて、猫はそれを狩ろうと通い詰めているのかもしれません。 
その後も巣口Lに佇んで周囲を警戒しています。 


シーン4:4/16・午前3:06・(@2:46〜) 
左へ立ち去りました。 
足先が4本とも白いことがよく分かります。 


シーン5:4/16・午前3:06・(@2:54〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Rに生えたマルバゴマキ灌木の根元の匂いを嗅いでから、巣口Rを覗き込んでいます。 
その巣口Rをピョンと飛び越えると、右奥の林内に入って行きました。 

立ち止まって振り返ると、暗闇に猫の白い目がギラギラと光って見えます。 
夜行性動物の網膜の奥にあるタペータム層がトレイルカメラの赤外線を反射しているのです。 


シーン6:4/16・午後17:27・くもり・気温22℃(@3:33〜) 日の入り時刻は午後18:19。 
まだ明るい夕方に、キジトラ白足袋が左からやって来ました。 
自然光下で見て、体色の模様がしっかり確認できました。 

アクセストレンチから巣口Lに忍び寄ると、トンネルの奥を覗き込んでいます。 
中に入ろうとはせず、左へ戻って行きました。 


シーン7:4/16・午後17:27・くもり・気温23℃(@4:04〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
次は巣口Rに回り込んでから、奥を覗き込んでいます。 
その場で毛繕いを始めました。 

周囲を警戒してから右へ立ち去りかけたものの、広場の右端で座り込んで右を凝視しています。 
辺りで鳴き騒いでいるカラスを警戒しているのかもしれません。 


シーン8:4/17・午前5:04・気温10℃(@5:03〜)日の出時刻は午前4:58。 
日の出直後でもまだ暗いらしく、監視カメラが暗視モードで起動しました。 
右から来たキジトラ白足袋が巣口Lに忍び寄ると、その奥を覗き込んでいます。 

猫が立ち去る際に、キジ♂(Phasianus versicolor)が隣接する農地でケンケーン♪と鳴く大声が聞こえました。(@5:34〜) 


シーン9:4/17・午前5:04・気温10℃(@5:40〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Lを覗き込んで匂いを念入りに嗅いでいます。 
キジ♂が母衣打ちで縄張り宣言する鳴き声は(@6:08〜)。 
猫が野生のキジを獲物として狩ることはあるのでしょうか? 
しかし、このイエネコ個体はキジ♂の鳴く声を聞いても狩りモードに入るどころか、巣口L横の獣道に座り込んで左後足で痒い顔を掻きました。 


シーン10:4/19・午前5:12・雨天・気温8℃(@6:40〜)日の出時刻は午前4:55。 
2日後の小雨が降るまだ暗い早朝に、いつものキジトラ白足袋が現れました。 
今回は2つの巣口R、Lの横を素通りしました。 


シーン11:4/19・午前5:12・雨天・気温9℃(@6:56〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Lの点検をしないで、奥の獣道を右へ立ち去りました。 


シーン12:4/20・午後12:50・晴れ・気温28℃(@7:22〜) 
翌日の昼下がりにも、キジトラ白足袋が参上。 
忍び足で右に立ち去りかけたものの、画面の右端に座り込みました。 
やがてその場にゴロンと横臥して、自分の足を舐めました(毛繕い)。 
アナグマの旧営巣地で猫がこれほどリラックスして長居するということは、この時期は誰も住んでいないのでしょう。 


シーン13:4/20・午後12:52・晴れ・気温29℃(@8:15〜) 
右端に居座っていたキジトラ白足袋がようやく左下手前に立ち去る姿が写っていました。 


シーン14:4/21・午前10:35・くもり・気温24℃(@8:42〜) 
翌日も昼前に登場。 
獣道を右から来たらしく巣口Lの横を素通りして左へ向かいます。


シーン15:4/21・午前10:35・くもり・気温22℃(@8:49〜) 
続きが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Rを跨いで右へ向かうと、広場の右端に座り込んで右をじっと見据えています。 
近くの植林地で伐採作業をするチェーンソーの騒音が響き渡っているので、猫は警戒しているようです。 
最後にようやく立ち上がって右へ歩き出しました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。


【考察】
同一個体のイエネコが死んだアナグマの旧営巣地に昼も夜も頻繁に現れるようになりました。
春は猫の交尾期でもありますから、♀を探し求める雄猫♂なのかもしれません。
あるいは野ネズミなどの獲物を狩ろうと探索しているのでしょうか。

猫は2つの巣穴のうち巣口Lに興味を示し、顔を突っ込んで頻りに匂いを嗅いでいます。
巣穴Lの奥深くで下半身の麻痺した「いざりタヌキ」が餓死したのではないかと私は疑っているのですが、その死臭をネコも嗅ぎつけたのかもしれません。
しかし猫が巣穴Lに侵入することは一度もありませんでした。
イエネコは肉食獣ですが、一般的に自分で狩った新鮮な獲物しか食べず、よほど飢えていない限り死骸の腐肉を食べることはありません。

しかし後半になると、猫は巣口への興味を失ったようで、匂いを嗅いだりしないで素通りするようになりました。

キジトラ白足袋は営巣地の端に座り込んで、のんびり長居するようになりました。
アナグマの旧営巣地で猫がこれほどリラックスして長居するということは、この時期は誰も住んでいないのでしょう。 
アナグマの死後にタヌキの♀♂ペアがこの巣穴を乗っ取るかに見えたのですが、結局は住み着かなかったようです。
(巣穴が腐乱死体で汚染されて事故物件になったから忌避した?)


2025/03/27

吸水(ミネラル摂取)後にホバリングしながら空中で排泄するビロウドツリアブ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:10頃・晴れ 

里山の麓でビロウドツリアブ♀(=ビロードツリアブ;Bombylius major)が低く飛び回っていました。 
入山口付近で沢の水が流れ出るわだちの泥濘の上をホバリングしながら低く飛び、濡れた枯草や草の根などあちこちに着地しては口吻で味見しています。 
やがて気に入った場所が見つかると、1箇所に留まって吸水を始めました。 

地面に倒伏した枯草に止まり、濡れた表面を口吻の先で舐めています。 
口吻の先端が枯草から外れると、再び探り当てようとするので、ビロウドツリアブ♀が自発的に舐めている行動で間違いありません。
吸水およびミネラル摂取の行動と思われますが、水たまりの泥を直接舐めないのはなぜでしょうか? 
枯草の繊維が毛細管現象で泥水を吸い上げてくれ、濾過した水を飲めるのかもしれません。 
ビロウドツリアブ♀は大量の水を飲んでいるはずですが、吸水中に余分な水分を腹端から排泄(排尿)することは一度もありませんでした。 

ビロウドツリアブの口吻は黒くて細長い(真っ直ぐ)のですが、その先端部をよく観察すると、左右二股の先割れ状態になっていることに気づきました。
吸水しながら、この口吻先端部を頻りに開閉しています。 (I⇔Y⇔T) 
こんな口吻の動きを他の昆虫で見たことが一度もありません。

チョウ類の場合は、泥などを舐めている(mud-puddling)のは主に♂です。 
性成熟に必要なミネラル成分(ナトリウム塩やアンモニア塩など)を摂取していると考えられてます。 
しかし、今回のビロウドツリアブは、左右の複眼が離れている♀でした。 

蛭川憲男『水場に集まる生きものたち: 里山から高原、山地の自然』という本には、吸水するビロードツリアブの写真は掲載されていませんでした。 
しかし、長野市松代町の水場で1994年〜2004年に観察された計72種類の虫をまとめた中に、ビロードツリアブが含まれていました。(p21「表2:水場へ集まったチョウ類以外の生きもの」) 

インターネットで検索すると、ビロウドツリアブの吸水行動を写真に撮ったブログがいくつかヒットしました。 
関連記事()▶  
ビロウドツリアブ♂吸水20200319 @KONASUKEの部屋 
ビロードツリアブの吸水行動 @居眠り蛸の自然観察 

しかし、ビロウドツリアブの性別を♀と見分けた上で記述している例や、口吻の先端部が開閉していることを記述したブログは見つかりませんでした。 

ビロウドツリアブ♀は吸水中も休むことなく高速で羽ばたき続けていますが、枯草に足を掛けているので、ホバリングではありません。 
240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみても(@2:22〜)、ビロウドツリアブ♀の羽ばたきが高速過ぎて、ほとんど止まって見えます。 
これはストロボ効果と呼ばれる現象です。 
ビロウドツリアブは同じ枯草にしがみついたまま、ゆっくり向きを変えながら吸水しています。 
おかげで私が動かなくても、色んな角度から吸水シーンを撮影することが出来ました。 

ときどき別種のハナアブやハエ?など他の昆虫が飛来して、吸水するビロウドツリアブ♀に興味を示し、ニアミスすることがありました。(@17:26〜、@25:30〜) 
しかし、ビロウドツリアブ♀はほぼ無反応で、一心不乱に吸水を続けています。

長々と吸水してからようやく満足したのか、ビロウドツリアブが飛び立ちました。 
後脚だけ後ろ向きで、残りの4本脚は前方に揃えて飛んでいます。 
離陸直後に、ホバリング(停空飛翔)しながら空中で脱糞しました! 
黄色く濁った液体を1滴ポトリと排泄しました。 
ビロウドツリアブの体と比べると、結構大きな水滴でした。 
執念の長撮りが報われた瞬間です。 

その後は低空ホバリングで高度を保ちながら、段階的に方向転換して(ヨー回転)周囲を見回しています。 
ところが、ビロウドツリアブ♀は先ほどと全く同じ枯草に止まり直して、羽ばたきを止めずに吸水を再開しました。 
よっぽど、この枯草のミネラル含有量が多くて気に入ったのでしょう。 

素人目には羽ばたくカロリー消費がおそろしく無駄だと思うのですが、不安定な足場で体勢を保つには、羽ばたき続けないといけないのでしょう。 
天敵(捕食者)に襲撃されそうになったら直ちに飛んで逃げられるように、準備運動(アイドリングの羽ばたき)を怠らないようにしているのかもしれません。 
もうひとつ別の解釈を思いつきました。 
高速羽ばたきによる下向きの強風(ダウンウォッシュ、downwash)で濡れた枯草からの蒸発を促進し、毛細管現象による泥水の吸い上げを促進していたのかもしれません。 

ビロウドツリアブの吸水行動を初めて観察できて、感動しました。
ハイスピード動画のパートが第三者(視聴者)にはいくらなんでも長過ぎるかもしれません。
思い入れが強い私は、いくらでも見てられます。
編集でカットするのが忍びなくて、そのままお届けします。
愚直に長撮りしたおかげで、吸水後に排泄する決定的瞬間も記録することが出来ました。

つづく→

ソメイヨシノの桜吹雪【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:00頃・くもり 

堤防路に沿って植栽されたソメイヨシノの桜並木が花盛りです。 
満開を過ぎて葉桜になり始め、春風が吹くと白い花弁が次々に舞い散ります。 
ソメイヨシノは、若葉より先に花が咲く性質がある品種の桜です。 
風下の地面は、薄い桜色の散った花弁が大量に敷き詰められています。 

夕暮れ時の桜吹雪を240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:30〜) 
桜吹雪をどのぐらい引きの絵で撮るべきか迷います。 
ズームインした方が個々の花弁がよく見えるのですが、画角を横切る花弁の数は減ります。 
いざ撮影を始めると風が弱まったりして、なかなか難しいです。
「散る桜 残る桜も 散る桜」良寛和尚

関連記事(10年前の撮影)▶ この桜吹雪が目に入らぬか〜!【ハイスピード動画】

2025/03/26

死んだアナグマの営巣地に夜な夜な出没するホンドタヌキの家族【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月中旬 

シーン0:4/10・午後14:06・晴れ・気温30℃(@0:00〜) 
シーン0:4/10・午後14:26・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
ニホンアナグマの死後も営巣地(セット)を2台の自動撮影カメラで監視し続けています。 
ホンドタヌキNyctereutes viverrinus)の登場シーンをまとめました。 
死んだアナグマの巣穴を一時期はタヌキの♀♂ペアが乗っ取ったように見えたのですが、そんな単純な話ではありませんでした。 


シーン1:4/11・午後22:41・気温7℃(@0:07〜) 
おそらく手前から来たと思われるタヌキが、晩遅くに狭い巣口Lに注意深く潜り込みました。 
尻尾の黒斑に注目 。


シーン2:4/11・午後23:53・気温6℃(@0:07〜) 
監視カメラの起動が遅れましたが、約1時間10分後におそらく同一個体のタヌキが巣穴Lから外に出てきたようです。 
獣道を右上奥へ立ち去りました。 
 尻尾の黒斑が同じなら同一個体。 
巣穴Lの奥には、下半身の麻痺が進行したいざりタヌキが餓死しているのではないかと疑っているのですが、その死臭を嗅ぎつけたタヌキが死骸を食べた(共食い)可能性も考えられます。 


シーン3:4/14・午前3:37・気温4℃(@1:16〜) 
3日後の未明に手前から来たらしいタヌキが、巣口Lに座り込み、左後足で痒い喉をボリボリ掻いていました。 
巣口Lを見下ろしながら、か細い声でクゥーン♪と甲高く鳴きました。(@1:44〜) 
少し左に移動してから、また林床に座って毛繕いしています。 
だいぶリラックスした様子に見えます。 
なんとなく、巣L内のパートナーを案じているように見える。 


シーン4:4/15・午後21:47・気温13℃(@2:16〜) 
翌日の晩にはタヌキの♀♂ペアが現れました。 
左から来た先行個体aが巣口Lの匂いを嗅いでから、ゆっくり入巣L。 
「頭隠して尻隠さず」の状態になり、尻尾の先端だけが巣口Lに覗いています。 
そこへ左から後続個体bが登場。 
タヌキaが慌てて後退しながら巣口Lから外に出てきました。 
ペアのタヌキabが巣口Lで顔を見合わせると、後続個体bは嬉しそうに尻尾を左右にパタパタ振りました。 
イヌでは別に珍しくありませんけど、タヌキで尻尾による感情表現を見たのは初めてかもしれません。 
尻尾の中央部に滴状の黒斑▼ 

次はタヌキbが巣穴Lを内見しました。 
その間、先行個体aは獣道を右上奥へ立ち去りました。 
巣穴Lから出たタヌキbもパートナーaの後を追って行くところで、1分間の録画が終了しました。 

出産育児に備えて営巣地を探し歩いているタヌキのペアの♂が♀に巣穴Lを紹介したのに、気に入ってもらえなかったのかな?と勝手な妄想をしてみました。 


シーン5:4/15・午後21:47・気温13℃(@3:16〜) 
別アングルからも同じシーンが撮れていました。 
右から登場した後続個体bは、巣口Rの匂いを嗅いでから左へ向かい、巣口Lで先行個体aと合流しました。 
尻尾の黒斑が特徴的で、これに注目すれば私にも個体識別ができるかもしれません。 


シーン6:4/15・午後21:48(@4:16〜) 
1頭のタヌキがセットの左下手前に座り込んでパートナーを待っている間、右奥の獣道の暗闇でタヌキの白い目が光っています。 
しばらくすると、後続個体が左から登場し、巣穴Lに顔を突っ込んで匂いを嗅ぎました。 
2頭の尻尾の黒斑の違いに注目。 

出巣Lして獣道を立ち去る際に、細いマルバゴマギ灌木の根元に小便をかけてマーキングしました。 
このとき左後脚を持ち上げたので、♂と判明。(@5:10〜) 

少なくとも3頭のタヌキが登場したことになります。 


シーン7:4/15・午後21:48(@4:16〜) 
2頭のタヌキが相次いで巣口Lから左へ立ち去る様子が別アングルの監視カメラでも撮れていました。 


シーン8:4/19・午後21:50・小雨・気温9℃(@5:54〜) 
次にタヌキが写ったのは4日後の晩でした。 
左から来たタヌキの背中に付着しているのは、桜の花びらでしょうか? 

巣口Lに頭を突っ込んでから、獣道を右上奥へノソノソ歩いて行きました。 
途中で立ち止まって振り返ったので、赤外線を反射して白く光る眼が暗闇で見えました。 


シーン9:4/19・午後21:50・小雨・気温10℃(@6:31〜) 
同じシーンが別アングルからも撮れていました。 


シーン10:4/19・午後21:53・小雨(@6:58〜) 
監視カメラの起動が遅れました。 
出巣L直後のタヌキなのか、それとも手前から来て巣口Lを通り過ぎたのか、分かりません。 
狭い巣穴Lから外に出てきたのなら、直後に身震いして毛皮の土を振り落とす気がします。 

巣口Lで座って、自分の背中を甘噛みしました。 
獣道を右上奥へ向かい、待ち構えていた先行個体2頭(♀♂ペア?)と合流しました。(@7:11〜) 
しばらく3頭で仲良く相互毛繕いしてから、2頭が次々と右上奥へ立ち去りました。 
この3頭のタヌキは家族なのでしょう。


シーン11:4/20・午前0:04・気温9℃(@7:22〜) 
日付が変わった深夜に、左から来たタヌキが獣道を右上奥へ通り過ぎました。 
途中で巣口Lの横でちょっと立ち止まっても、見下ろしただけで素通りしました。 


シーン12:4/20・午後22:20・気温8℃(@7:52〜) 
同じ日の晩に右から来たタヌキが、巣口Lの匂いを念入りに嗅ぎ、右へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】 
タヌキの♀♂ペアが採餌のために一緒に外出するのは知っていましたが、3頭が行動を共にすることがある、というのは個人的に新しい発見です。
おそらく親子なのでしょう。

タヌキたちが興味を示して何度も匂いを嗅いだり潜り込んだりするのは、決まって巣穴Lの方でした。
タヌキの個体識別がしっかりできていないのが問題で、解釈に悩みます。
初めはてっきり、巣穴Lにタヌキの♀が籠もって出産するのかと思い込んでいました。
♂やヘルパーが夜な夜な巣穴Lに通い、餌を吐き戻して巣内の♀に給餌している可能性なども考えたりしました。 
しかし定点観察を続けても、この巣穴でタヌキの幼獣が産まれた形跡はありませんでした。

後になって、巣穴Lの奥には餓死した「いざりタヌキ」の腐乱した死骸が転がっているのではないか?と疑うようになりました。
タヌキの♀♂ペアがここで営巣しなくなったのは、腐乱死体のせいで巣内の衛生環境が最悪になったからだ、と説明が付きます。
死臭が気になって、通りかかる度にタヌキは巣口Lの匂いを嗅いでいるのでしょう。
たまに巣内に侵入して長居しているタヌキは、死骸を食べている(共食い)のかもしれません。
私の推測(想像)でしかないので、巣穴の奥深くを調べられるファイバースコープカメラが欲しくなります。 


つづく→

鳥媒花のボケで採餌するセイヨウミツバチ♀【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年4月中旬・午後14:20頃・晴れ 

山麓の農村部で道端に植栽されたボケ(木瓜)の赤い花にセイヨウミツバチApis mellifera)のワーカー♀が何匹も集まって訪花していました。 
早春に咲くボケは典型的な鳥媒花のはずなのに、昆虫の送粉者が訪花していたことに驚愕し、とても興奮しました。 
関連記事(4、5年前の撮影)▶  

後脚の花粉籠が空荷の個体もいれば、黄色い花粉団子を付けて運んでいる個体もいます。 
のどかな農村部は静かなので、耳を澄ますと蜂が飛び回る羽音がかすかに聞こえます。 
キジ♂がケンケーン♪と母衣打ちする鳴き声もかすかに聞こえました。 

ときどき2匹のミツバチが同じボケの花でニアミスすることがありました。 
どうやら同じコロニーから来た仲間のようで、1/5倍速のスローモーションでリプレイしても小競り合いや占有行動は見られませんでした。 

ボケの花から飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:22〜) 
訪花の合間に空中でホバリングしながら左右の脚を擦り合わせています。 
体毛に付着した花粉を身繕いでまとめて、後脚の花粉籠に移すのです。 


【考察】
この時期の虫撮り動画で一番興奮した大事件です。
図鑑や送粉生態学の教科書に書かれている「ボケは典型的な鳥媒花である」という定説に対する反例が撮れました。 
ミツバチの視覚に赤色はあまり見えていないはずなので、花弁が赤い品種のボケに訪花しているのは、とても意外です。 
撮影後にボケの花を直接嗅いでみて、芳香がないことを確認しました。 
セイヨウミツバチが新たな蜜源植物を学習によって開拓しつつあるのでしょうか? 
それともボケが鳥だけでなく昆虫も誘引するように進化しつつあるのでしょうか? 
急速に進行する温暖化の影響でフェノロジー(花暦・生物季節学)が撹乱され植物と送粉者の結びつきが失われると、両者にとって死活問題です。
何かしら進化・適応しない種は、滅亡するしかありません。 
特定の種類の送粉者に依存してしまっている植物は、リスクヘッジする(送粉者の多様性を高める)方向に進化しないと、絶滅のリスクが高いでしょう。
生物の進化スピードでは対応できないほど、人類によってもたらされた地球温暖化のスピードが急激過ぎる点が大問題なのです。

そもそも鳥媒花と虫媒花は排他的な関係ではないのかもしれません。
教科書では分かりやすく伝えるために「ボケは鳥媒花」と言い切っていただけで、実際は鳥が訪花することも虫が訪花することもあるのでしょう(確率が高いか低いかの問題)。


【アフィリエイト】 

2025/03/25

春の刈田で落穂拾いするドバト♀♂(野鳥)

 

2024年4月中旬・午後15:20頃・晴れ 

早春の田んぼで♀♂ペアと思われる2羽のカワラバト(=ドバト;Columba livia)が採食していました。 
田んぼに水を入れる前の刈田を歩き回りながら、あちこち啄んで落穂拾いをしているようです。 
ペアが互いに少し離れていたので、同じ画角で撮れませんでした。 
1羽に注目して動画を撮影していたらパートナーが先に飛び立ち、その羽音に反応してこちらの個体も飛び去りました。 

1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@0:21〜) 
飛び立つ直前にピョンと跳んで90°向きを変えてから、力強く羽ばたいて飛び去りました。 


関連記事(8、9年前の秋に撮影)▶  

早春の溜め糞場で小便するニホンカモシカ♂【トレイルカメラ】

 



2024年4月上旬〜中旬

シーン0:4/3・午後15:23・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
雑木林に覆われた里山の斜面でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2を自動撮影カメラで見張っています。 
画面の中央付近に古い糞塊が残されています。 
基本的に画面の奥から手前に向かって斜面が登っていますが、溜め糞場sr2付近は、ほぼ平坦になっています。 
画面の右端および奥の林床に残雪がわずかに見えます。 


シーン1:4/6・午前5:33・(@0:03〜)日の出時刻は午前5:14。 
早朝に右奥の獣道から単独で来たカモシカの成獣が、アカマツ(右)とスギ(左)の間で溜め糞場sr2の匂いを嗅いでから立ち止まると、腰を少し落として膀胱に溜まった小便を長々と排泄しました。 
音量を上げても、小便の音は聞き取れませんでした。 
排尿姿勢を真横からしっかり撮れたおかげで、性別が♂と判明しました。 
カモシカの♀は、もっと深くしゃがんで排尿するらしい。 
【参考】平田貞雄『ニホンカモシカ・ミミの一生』p80写真 


用を足したカモシカ♂は、左奥に行くと立ち止まって高いスギ枝葉の匂いを嗅ぎました。 
顔を擦りつけて眼下腺マーキングするかどうか見届けたかったのですが、録画が1分間で打ち切られました。 
後ろ姿の股間に睾丸は見えませんでした。 
実はスギ立木の左下にも、カモシカの糞塊が複数あります。 

ニホンカモシカ♂の排尿シーンを1.5倍に拡大した上でリプレイ。(@1:03〜) 
お尻付近をよく見ても、排尿しながらついでに糞粒を肛門からポロポロと排泄することはなかったようです。 
後日に現場検証しても、その地点に新鮮な糞粒は残されていませんでした。 

関連記事(1年前に別の地点で撮影)▶ 溜め糞場で排尿するニホンカモシカ♂【トレイルカメラ】 


シーン2:4/11・午後16:46・(@1:51〜)日の入り時刻は午後18:14。 
5日後の夕方に、カモシカが奥から手前へと獣道を登って来ました。 
今回は溜め糞場sr2を素通りしています。 
落枝をまたぎ、手前の斜面を登って監視カメラの死角に消えました。 

前後半で同一個体のカモシカ♂かどうか、個体識別できていません。 


※ 動画編集時に自動色調補正を施しています。 



2025/03/24

早春の池で獲物を吸汁(共食い?)するマツモムシ

 

2023年3月下旬・午後13:45頃・晴れ 

山麓で沢の水(雪解け水)が溜まった池の岸辺でヤマアカガエルRana ornativentris)の卵塊を観察していると、マツモムシNotonecta triguttata)が背泳ぎしながら現れました。 
背泳しながら何か獲物を前脚と中脚で抱えて捕食(吸汁)しています。 
背泳ぎしながら腹端を水面の上に少しだけ出しているのは呼吸のためでしょうか。

獲物の正体が気になるのですが、映像をいくら見直してもよく分かりません。 
ヤマアカガエルの胚を捕食してるとしたら面白いのですが、そうではなさそうです。 
なんとなく、脱皮や羽化に失敗した仲間を共食いしているような気がします。 
しかも獲物の体が一部食いちぎられているようです。 
(マツモムシの口器は吸汁専門で、噛むことはできません。)
アングルが変わると、どうやら獲物は表面に空気の層をまとっているようで、白っぽく見えました。 

そこへ、別個体のマツモムシが近寄ってきました。 
捕食中だった個体は、獲物を横取りされないように全速力で逃げて行きました(水中に潜った)。 
逃げ遅れたら、逆に共食いされてしまう危険があるのでしょう。

獲物の正体をしっかり同定するために、マツモムシごと一時捕獲しようか私が迷っていたら、見失ってしまいました。 
早春の時期でも池の定点観察には手網タモを持参するべきですね。


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ハシブトガラスが何度も来て覗き込む巣穴の奥には死骸が埋まっている?【野鳥:トレイルカメラ】

 

2024年4月上旬 

シーン1:4/3・午前9:10・くもり・気温10℃(@0:00〜) 
平地の二次林で死んだニホンアナグマの営巣地(セット)を監視し続けると、ハシブトガラスCorvus macrorhynchos)が登場しました。 
アクセストレンチから巣口Rの奥を覗き込み、細根(落枝?)を嘴で咥えて巣口から引っ張り出そうとしています。 
咥えた小枝を持ち去らなかったので、これは巣材集めの行動ではなさそうです。 
以前、この巣穴を乗っ取って住み着こうとしたタヌキが戸締まりのためにバリケードとして置いた落枝をカラスが撤去しているようです。 

下半身の麻痺が進行した「いざりタヌキ」が巣穴の奥で餓死しているのではないかと私は疑っているのですが、カラスも死臭を嗅ぎ取って(※追記参照)侵入を試みようとしているのかもしれません。 
やがて別個体のハシブトガラスが飛来し、セットの広場に舞い降りると、巣口Rに近づきました。(@0:29〜) 
更に別個体がセットを見下ろすマルバゴマキの樹冠に飛来して止まったようです。 

※【追記】
カラスは嗅覚が鈍く、専ら視覚で餌を探すのだそうです。


シーン2:4/3・午前9:12・くもり・気温11℃(@1:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラでも撮れていました。 
左から歩いて来たハシブトガラスが巣口Lの奥を覗き込んでから、左上に飛び去りました。 
好奇心旺盛なカラスも、さすがに巣穴の中に潜り込む度胸はないようです。 


シーン3:4/3・午前9:12・くもり・気温12℃(@1:47〜) 
2羽のハシブトガラスが巣口Rから落葉灌木の樹上に飛び上がりました。 
止まり木で右を向いてカー♪と一声鳴きました。 
耳を澄ますと、少し離れた別個体と鳴き交わしているようです。 
樹上のカラスが、目の前にブラブラしていた細い枯れ枝を嘴でポキンと折って捨てました。 
巣材集めでも威嚇行動でもなさそうです。 
死骸があることは分かっているのにそれを食べることが出来ないフラストレーション(欲求不満)からきた転移行動なのかもしれません。
木から木へ次々と飛び移り、右へ飛び去りました。 


シーン4:4/3・午前10:25・くもり・気温12℃(@2:47〜) 
またもやハシブトガラスが巣口Rの奥をしつこく覗き込んでいます。 
カーカー♪と澄んだ声で繰り返し鳴き、左に少し歩いてから、今度は早いリズムでカーカー♪鳴きました。 


シーン5:4/7・午前7:14・晴れ・気温12℃(@3:47〜) 
3日後の朝にもハシブトガラスがセットに降り立ち、巣口Lの奥を覗き込んでいました。 
そのカラスが急に慌てて飛び去ったので、巣穴の主が飛び出してくるかと期待したのですが、その予想は外れました。
仲間の警戒声♪に反応したのかな? 
その後もカラス同士で鳴き交わす声だけ聞こえます。 


【考察】 
カラスは死骸(腐肉)を食べるスカベンジャーです。 
そのカラスが巣穴の奥を繰り返し覗き込んでいることから、中に死骸が埋まっていることが強く示唆されます。
 
死骸の素性について、2つの可能性が考えられます。 
(1)この営巣地で越冬中に死んだニホンアナグマ。 
巣外(営巣地の端)で見つかったアナグマの死骸は、カラスやタヌキによって食べられている最中に引きずって運ばれ、行方不明になりました。 
タヌキが食べ残しの死骸を巣穴の中に隠した可能性が考えられます。(貯食) 
しかし、死骸を巣内に搬入するシーンがトレイルカメラによって撮れていない点がネックです。
(2)下半身の麻痺が進行した「いざりタヌキ」が巣内で餓死した。 
巣口Lで長時間日光浴した後で行方不明になりました。

つまり、この巣穴はアナグマとタヌキが続けざまに死んだ、いわくつきの事故物件ということになります。
巣穴を発掘調査して死体の有無を確かめたいのですが、繁殖期が始まる春に巣穴を破壊したくありません。 
ちなみに、私の鼻では巣口で死臭を感じたことはありません。

穴居性の野生動物が巣穴の奥で死んだ場合、その死骸を誰が処理するのでしょう?
スカベンジャーのカラスが狭いトンネルの中に潜り込んでまで死骸を食べることはないようです。 
暗くて狭いトンネルの中でカラスは目が見えず、不安なのでしょう。 
普通ならハエ類が死臭をいち早く嗅ぎつけて集まり、産卵するはずですが、巣穴の奥には侵入できないようです。 
ハエは暗闇で飛べませんし、巣口から長い距離を歩いて巣穴の奥にある死骸へ向かう行動は知られていません。 
巣穴の奥に横たわる死骸は、おそらくアリなどの土壌生物によって少しずつ食べられて分解されると推測しています。 

複数個体の野生動物が同居している巣穴の場合はどうでしょうか?
誰か1匹が巣内で死んだら、仲間(家族)がその死骸を食べてしまうのでしょうか? 
それとも巣内の衛生環境を保つために、死骸はその場に埋葬されたり、巣外に運び出されて捨てられたりするのかもしれません。 
(社会性免疫行動として、アリなどで有名です。)
巣内の様子を隅々まで長期観察するのは困難なので、こうした問題はほとんど調べられていないようです。



2025/03/23

早春の雨夜にニホンアナグマ♂が死んだアナグマの営巣地で♀を探索【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月上旬・午前1:05頃・気温13℃ 

越冬中に死んだニホンアナグマMeles anakuma)の営巣地(セット)がある二次林に今季初の夜這い♂がやって来ました。 
アナグマは普段、成獣の♀と♂は別々に暮らしています。
アナグマの交尾期は春で、近隣の♂たちが♀の巣穴へ夜這いに来て交尾を試みるのです。
♀が発情するずっと前の早春から♂は近隣を精力的に歩き回り、♀の住む巣穴を探り当てると、巡回するようになります。 



雨夜に獣道を右から来たらしいアナグマ♂は、通りすがりに立ち止まって巣口Lを見下ろしています。 
アクセストレンチを辿って慎重に匂いを嗅ぎながら巣口Lに近づきました。 
しかし、生きたアナグマ♀の巣穴ではないと判断したようで、獣道を左に走り去りました。 
むしろ、最近ここに住み着いたタヌキの匂いを嗅ぎ取ったのかもしれません。 
(交通事故に遭って?)下半身の麻痺した「いざりタヌキ」が巣穴Lの奥で餓死したのではないか?と私は疑っていて、アナグマ♂はその死臭を嗅ぎ取ったのかもしれません。 

上半身の筋肉が隆々としていることと、顔つき(鼻面が寸詰まり)から、このアナグマ個体は♂と分かります。 
この巣穴で越冬していたアナグマ個体とは明らかに違います。 
たとえ別個体でも、このトレイルカメラに生きたアナグマが写るとホッとします。
私の喪失感(アナグマ・ロス)も少し解消されました。 
監視を打ち切ろうかと迷っていたのですが、次のアナグマが住み着いてくれるまで、トレイルカメラによる定点観察を続けることにします。
アナグマの新しい営巣地(セット)を他所で見つけたら、そちらの観察に切り替えるかもしれません。

つづく→

トリアシショウマの花で吸蜜する夏型のサカハチチョウ

 

2023年7月中旬・午後12:10頃・くもり 

昼下がりでも薄暗い鬱蒼とした山林を抜ける山道に沿っトリアシショウマの群落があり、夏型のサカハチチョウAraschnia burejana)が訪花していました。 
私が近づいたら警戒して逃げたのですが、ほとぼりが冷めるとトリアシショウマの群落に舞い戻ってくれました。 
半開きの翅をゆるやかに開閉しながら吸蜜しています。 

花穂から飛び立つ瞬間をハイスピード動画に撮りたくて、しつこく長撮りしてみたのですけど、なかなか飛んでれず諦めました。 




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