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2025/05/25

ニホンカモシカの溜め糞場から生えてきたクズヒトヨタケ?【キノコ】

2024年5月下旬・午前 

里山にあるスギと雑木の混交林でニホンカモシカCapricornis crispus)の溜め糞場sr2をトレイルカメラで定点観察しています。 
カメラの保守管理のため久しぶりに現場入りしました。 
 「溜め糞場」と言っても実際には、林床に糞粒の塊が何箇所にも分散しています。
溜め糞場の全景を撮った写真です。 
最後の写真は、アカマツの幹に固定したトレイルカメラと同じアングルから撮ったものです。
 

最も新鮮で瑞々しい糞粒は、表面が深緑色です。 
カモシカが食べた植物の葉緑素が含まれているのでしょう。 
カモシカが4日前に排便したものと思われます。 


 

真っ黒な糞粒はもう少し古いようで、さらに古くなると艶がなくなり茶色になります。

少し古い糞塊から、白いキノコがヒョロヒョロと育っていました。
写真に撮って画像検索(Googleレンズ)してみると、どうやらヒトヨタケ科のクズヒトヨタケである可能性が高いようです。

クズヒトヨタケはいわゆる「アンモニア菌」(ammonia fungi)の一種であり、動物の糞や窒素分の豊富な環境で発生する典型的な糞生菌(coprophilous fungi)です。
動物糞の分解初期に現れるらしいのですが、クズヒトヨタケの子実体は一晩で溶けてしまうほど短命で、観察機会が限られるため見逃されやすいのです。

また別の古い糞塊では、表面に粉を吹いていました。 
カビや菌類が生えかけているのでしょうか? 

カモシカの溜め糞に注目して、そこからキノコやカビが生えて分解される様子を接写のタイムラプス動画で記録してみたいものです。
しかし、設置したカメラにカモシカの糞尿が直撃する可能性があるので躊躇しています。
それともカモシカはカメラという人工物の出現に警戒して、溜め糞場に近寄らなくなってしまうかな?


不思議なことに、私はカモシカの溜め糞場で糞虫を1匹も見つけたことがありません。
この点がタヌキやアナグマの溜め糞場と異なります。
カモシカの古い溜め糞が林床でいつまで経っても分解されずに残っているのです。
その理由についてあれこれ妄想しています。 
私のフィールドでは生態系のバランスが何か崩れているような気がしています。

カモシカの糞はほぼ無臭で、いわゆる糞便臭がありません。
糞虫にとってあまり魅力がないのでしょうか?


与えるサルと食べるシカ: つながりの生態学』という本を読んでいたら、興味深い記述を見つけました。
 東北地方では、明治時代にサルが乱獲されて個体数が激減した。最近こそ回復傾向にあるが、多くの地域では、猿がいない森林が100年近く続いたことになる。(中略)猿が不在の森や最近サルが新たに進出した森では、糞虫の種多様性が著しく低いことがわかった。 (p157より引用)
東北地方のサルの分布が限られている(中略)大きな理由は、明治期に肉や薬にする目的で盛んに行われた狩猟による、地域的な絶滅だ。(p181より引用)


当地ではニホンザルが昔も今も里山に生息していますが、ニホンカモシカが狩猟圧によって一時期は絶滅に瀕していたのではないか?と想像しています。

特別天然記念物に指定されて保護されたのが奏効し、現在ではカモシカの数が増えて、里山(低山)でもありふれた哺乳類になりました。

その結果、カモシカの糞を好んで分解していたスペシャリストの糞虫類が絶滅してしまい、カモシカの生息数が回復しても糞虫類は戻ってきてないのかもしれません。(個人的な妄想・仮説です)


このような個人的な妄想をPerplexity AIとブレインストーミングした問答集をレポートにまとめてもらいました。

レポート:カモシカの糞と糞虫分解系に関するブレインストーミング


1. はじめに

本レポートは、山形県多雪地帯の里山フィールドにおけるカモシカの溜め糞と糞虫の関係について、現地観察と素朴な疑問を出発点とし、ブレインストーミングを通じて得られた知見と仮説をまとめたものである。


2. 現地観察の概要

  • カモシカの溜め糞が林床に長期間残り、分解が非常に遅い。

  • タヌキやアナグマの溜め糞場にはセンチコガネなどの糞虫が集まり、分解が進んでいる。

  • カモシカの糞にはカビやキノコなどの分解者もほとんど見られない。

  • カモシカの糞粒はほぼ無臭で、タヌキの糞に比べて糞便臭が弱い。


3. 主な仮説と考察

3.1 糞虫の不在・機能的絶滅仮説

  • 過去の狩猟圧などでカモシカが一時的に絶滅し、それに依存していた糞虫も局所絶滅した可能性。

  • カモシカの個体数が回復しても、糞虫は分散能力や気候適応性の制約により戻っていない可能性。

3.2 餌資源としての魅力の低さ

  • カモシカの糞は乾燥しやすく、臭気成分が乏しいため、センチコガネなどの糞虫にとって魅力が低い。

  • タヌキやアナグマの糞は水分や動物性成分が多く、糞虫を強く誘引する。

3.3 栄養バランス・分解者忌避仮説

  • カモシカの糞は繊維質が多く、発酵や微生物の多様性が乏しいため、幼虫の発育に適さない可能性。

  • カモシカが抗菌・忌避成分を含む植物を好んで食べている場合、糞中にこれらの成分が残り、糞虫やカビ、キノコの分解を阻害している可能性。

3.4 餌資源の希少性と糞虫の生態

  • カモシカの個体数密度が低く、糞の供給量も少ないため、糞虫にとっては「当てにならない」希少な資源であり、専門的に利用する種が成立しにくい。

3.5 糞虫導入による分解サイクル復活の可能性

  • オーストラリアの糞虫導入事例を参考に、他地域からカモシカ糞分解糞虫を移植すれば分解サイクルが復活する可能性はあるが、気候適応や生態系リスクの検討が必須。

  • 多雪地帯では、暖地性糞虫の越冬能力が不足し、定着が困難。

3.6 「もともと分解糞虫がいなかった」可能性の検証

  • 歴史的文献・標本記録、広域比較調査、気候・環境要因の検討を通じて、当地にカモシカ糞分解糞虫が「もともといなかった」可能性も調べる必要がある。


4. 今後の調査・検証の方向性

  • 過去の文献・標本調査や、他地域との比較による検証。

  • カモシカ糞の化学分析や分解実験による忌避・抗菌成分の有無の確認。

  • 糞虫導入のシミュレーションや、現地での分解サイクルの実験的再構築。


5. まとめ

本ブレインストーミングを通じて、カモシカの糞分解サイクルが途絶している現象には、動物の個体数動態、糞の性質、分解者の生態、地域環境の多様な要因が複雑に絡み合っていることが浮かび上がった。
今後は、フィールド観察と広域的・歴史的な視点を組み合わせ、糞虫と分解者ネットワークの成り立ちと変遷を明らかにしていくことが重要である。


見落としがちな視点・新しい仮説

あなたの観察と仮説は非常に多角的ですが、さらに検討できる新しい視点や仮説をいくつか挙げます。


1. カモシカの糞の社会的機能と分解抑制仮説

最新の研究では、カモシカの溜め糞がなわばり宣言ではなく、「メスがオスへ発情をアピールするため」に使われている可能性が指摘されています9
この場合、糞が長期間残ること自体がカモシカの社会的コミュニケーションにとって有利であり、分解されにくい性質(抗菌成分、乾燥しやすさ、無臭化など)が進化的に選択された可能性もあります。
つまり、「分解されにくい糞」は、カモシカ自身の生態的戦略の一部かもしれません。


2. シカとの種間関係・競争の影響

近年、シカ(ニホンジカ)の分布拡大が東北地方でも進んでおり、カモシカとの生息地競争やストレス増加が報告されています1013
シカの糞虫群集がカモシカの糞虫群集に影響している可能性や、シカの増加によってカモシカの糞虫が駆逐・交替した可能性も考えられます。
また、シカの糞が大量に供給されることで、糞虫がシカ糞に依存するようになり、カモシカ糞は相対的に利用されなくなった可能性もあります。


3. 糞の識別・誤認による調査バイアス

カモシカとシカの糞は外見が非常に似ており、DNA識別法が開発されるまで正確な区別が難しかったことが指摘されています12131415
過去の糞虫観察記録や分解状況の報告が、実はシカ糞とカモシカ糞を混同していた可能性もあり、糞虫が本当にカモシカ糞を利用していたかどうか再検証が必要です。


4. 微生物・土壌環境の特殊性

糞虫やカビ・キノコが付かないのは、糞そのものだけでなく、**フィールドの土壌微生物群集や環境条件(pH、含水率、他の有機物供給状況など)**が影響している可能性もあります。
例えば、分解者の「種のプール」がそもそも貧弱である場合、どんな糞でも分解が遅れることがあります。


5. 季節性・積雪の影響

多雪地帯では、糞虫や分解者の活動期間が短く、糞が分解される前に積雪で覆われてしまうことで、分解サイクルがリセットされている可能性も考えられます。
春先に糞虫が活動を始める頃には、糞がすでに乾燥・風化していて利用しにくくなっているかもしれません。


6. カモシカ糞の化学的多様性

カモシカの餌植物は季節や地域で大きく異なります。特定の時期や場所だけ分解者忌避成分が強くなる場合もあり、糞の分解難易度が一様でない可能性もあります。


まとめ

  • カモシカの糞が「分解されにくい」こと自体が社会的・進化的な適応である可能性

  • シカとの種間競争や糞虫群集の変化

  • 糞の識別誤認による過去データの再検証

  • 土壌や微生物環境の特殊性

  • 多雪地帯特有の季節性・リセット効果

  • 糞の化学的多様性と分解難易度の変動

これらの視点は、今後のフィールド調査や実験計画の新たな切り口となるでしょう。

(参考文献リストは割愛。)


なんか一丁前の研究計画のようなものが出来てしまいました。
最近のAI凄くないですか? (私の好みは今のところPerplexity AIです。)



実は翌年(2025年5月上旬)に初めて1匹のオオセンチコガネをカモシカの古い溜め糞場で発見することになります(映像公開予定)。

私の仮説は修正を余儀なくされそうです。

しかし、カモシカの溜め糞に集まる糞虫の数が相変わらず非常に少ないことには変わりがありません。



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きのこと動物 

ニホンカモシカの生活

うんち学入門 生き物にとって「排泄物」とは何か (ブルーバックス) 

2025/05/24

溜め糞場に来て糞粒を排泄するニホンカモシカ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月中旬 

シーン0:5/6・午後13:49・くもり(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の様子です。 
ニホンカモシカCapricornis crispus)が通う溜め糞場sr2を見張るために、自動センサーカメラを里山の雑木林(スギとの混交林)を抜ける獣道に設置しています。 


シーン1:5/17・午後19:26(@0:03〜) 
晩にカモシカが珍しく手前の獣道から来て、溜め糞場sr2の匂いを嗅いでいます。 
肛門がよく見える後ろ姿で立ったまま、排便を始めてくれました。 
糞粒をポロポロと大量に排泄しています。 
下痢便ではありませんが、同時に水分もかなり排出しています。
カモシカは大腸による水分の吸収が弱いのでしょうか。
脱糞中にときどき尻尾を上下に動かしています。 
手前の下草が邪魔で、地面に落ちた糞粒は見えません。 

1分半の録画時間では短くて、最後まで見届けれれませんでした。
(脱糞シーンを狙うなら、2分間に設定すべき。) 


シーン2:5/17・午後19:28(@1:33〜) 
次に監視カメラが起動したときには、排便後のカモシカが右へ立ち去るところでした。 
珍しくミズナラ立木の手前を通って暗闇の斜面を登って行きます。 
カモシカが通りすがりに足の蹄で灌木(樹種不明)の根元を踏んでしまい、枝葉が大きく揺れました。 

今回はカモシカの性別を見分けられませんでした。 



2025/02/10

笹薮のタヌキ溜め糞場に生えたキノコを調べる:オオキヌハダトマヤタケ?

 

2023年6月中旬・午後16:25頃・晴れ 

河畔林でオニグルミ大木の真下にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残した最大級の溜め糞場rpを定点観察に来ました。 
周囲の笹藪は、ヒトの背丈よりも高く伸びていました。(>175cm) 
タヌキの新鮮な糞は追加されておらず、糞虫などの活動も見られませんでした。 
糞塊に集まっていた虫は、目視した限りではハエ類とアリ類だけでした。 





溜め糞の横の地面から生えた黄土色のキノコに注目し、引っこ抜いてみました。 
傘の中央部が突出しています。 
傘の裏面にはクリーム色のヒダが発達しています。 
柄にはツバもツボもありません。 
柄を裂いて見せればよかったですね。 
キノコの分類において、柄が中空か中実(柄の内部に菌糸が詰まっている状態)かというのは、重要な識別点なのだそうです。 






もう1本、同種と思われる別のキノコを採取しました。 
傘が大きく開いていて、私が触れると湿った傘の縁がボロボロとちぎれてしまいました。 




タヌキの溜め糞場で見つけたということは、いわゆるアンモニア菌の仲間なのか?と期待しました。
撮れた写真をGoogle画像検索してみると、どうやらアセタケ科のオオキヌハダトマヤタケという種類のようです。 
ムスカリンを含む毒キノコです。
ムスカリンは、あるタイプのアセチルコリン受容体(ムスカリン性アセチルコリン受容体)に結合し、神経伝達物質アセチルコリンの作用を模倣する、副交感神経作用薬である[2]。 ムスカリン中毒は、キノコの摂取後15-30分後に、涙と唾液の分泌増加、発汗が見られることで特徴づけられる。 (wikipediaより引用)
キノコに疎い私は聞き馴染みがなかったのですが、キノコにはアセタケ科やアセタケ属があります。
アセタケの名は、毒性物質ムスカリンを含み、滝のように汗をだすという異常な中毒症状によるとされる[3]。(wikipedia:アセタケ属より引用)

「オオキヌハダトマヤタケは夏〜秋にブナ科の樹木の下に生える」としか図鑑に書いておらず、ごく普通の毒キノコらしい。 
つまり、溜め糞場の近くに生えていたのはたまたま、という残念な結論でした。

遅々とした歩みですが、苦手なキノコも少しずつ種類を覚えていくしかありません。


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2024/10/25

シロオニタケ【キノコ】

2023年9月下旬・午後

里山で山道の横に真っ白なキノコが点々と生えていました。 
立派に開いた傘の表面がイボイボ状で特徴的だったので、写真を撮って画像検索(Googleレンズ)をしてみると、シロオニタケと判明しました。
よく見ると、傘や柄の表面から落ちた白いイボが辺りに散乱しています。

2枚目の写真には脱落した「つば」が写っています。
(シロオニタケの)つばは大きく、傘のすぐ下につくがもろく落ちやすい。(ヤマケイポケットガイド15『きのこ』p56より引用)
最後の写真は同じ日に全く別の地点で撮ったものです。 
下山した山麓の林縁で日当たりの良いコケ(種名不詳)の群落から生えた白いキノコの柄が折れて傘が分離していました。 
これもシロオニタケと思われます。

キノコの名前を少しずつ少しずつ覚えていきます。


【追記】
子実体のつばより下にササクレ状の鱗片を生じる近縁種として、ササクレシロオニタケが知られているそうです。


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2024/09/21

スジチャダイゴケ【キノコ】

2023年11月下旬・午後13:20頃・晴れ

里山の湧き水が溜まった泉(水場)で、岸辺に落ちていた朽木に見慣れないお椀状のキノコが4個並んでいるのを見つけました。 
撮れた写真を元にGoogleレンズで調べると、スジチャダイゴケと判明。 
キノコの仲間(腐生菌)なのに名前に〜苔と付いているのは、外側に剛毛が密生しているからでしょうか。
私が見つけたお椀の中は空っぽでしたが、元々は粒状の胞子嚢が入っていて、熟すとコップに溜まった雨水によって胞子が散布されるのだそうです。

朽ちた倒木の樹種は不明です。
池の周囲は雑木林で、ミズナラ、コナラ、イロハカエデなどの落ち葉が大量に散乱しています。

気になるキノコの名前を少しずつ覚えていきます。
 

2024/07/13

タケリタケを見つけた!【キノコ】

 

2023年9月下旬・午後12:30頃・くもり 

里山で雑木林を抜ける細い山道の横、コケの生えた所から真っ白な男根状のキノコが2本にょっきり伸びていました。 
採寸する代わりに右手を添えてみます。 
キノコに疎い私はてっきり未熟なスッポンタケかと思ったのですが、粘液は分泌されておらず、表面は乾いていました。 
私の鼻では無臭で、ハエなども集まってきていませんでした。

立派な方をGoogleレンズで画像検索してみたら、タケリタケHypomyces hyalinus)と判明しました。 
手元にあるキノコ図鑑には載ってない種類なのですが、他のキノコに寄生して成長するボタンタケ科ヒポミケス属のキノコらしい。 
もう1本の小さな赤みのあるキノコの画像で検索すると、ベニイグチがヒットしました。 
画像検索がどれだけ当てになるか分かりませんが、オニイグチ科のベニイグチを宿主として寄生したタケリタケが育ったのでしょうか? 
しかし、今回見つけたキノコの形状はテングタケ類を宿主とした場合の「タケリタケ(猛り茸)」と似ています。 

成長過程を微速度撮影してみたくなり、トレイルカメラを設置しようか迷いました。 
しかし、ここは登山客が往来する山道なので諦めました。 
こういうときに、興味があるキノコを周囲の土ごと掘り返して別な場所に移植しても、上手く育つのでしょうか? 
やってみたことはないのですが、土壌環境や微気象が変わると菌糸の本体が弱ってしまう気がします。 


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2024/06/30

アキヤマタケ?(黄色いキノコ)

2023年9月下旬・午後14:35頃・晴れ 

山麓を流れる用水路沿いに見慣れない黄色いキノコが点々と生えていて気になりました。 
アカマツの並木に関係あるのかな? 
周囲の環境は林縁で、頻繁に草刈りされて日当たりの良い草地(芝生?)だと記憶していたのですけど、写真を見返すとコケ(種名不詳)の群落の中から鮮やかな黄色い小さなキノコが生えていました。 

下山してきて疲れていた私は、キノコを採寸するのも億劫で、柄やひだの写真も撮っていません。 
ブタナの黄色い花と一緒に写っています。 

Googleレンズで画像検索するとアキヤマタケですかね? 
身近なキノコの名前も少しずつ勉強しないといけません。


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ブタナの花が左に写り込み

2023/12/18

水辺に生えるカンムリタケ【キノコ】

2023年5月上旬・午後

山中の泉から流れ出る細い水路(沢の源流)の中に、傘が黄色い小さなキノコの群落を見つけました。
よく見ると、水浸しになったスギの落ち葉から生えています。 
キノコに疎い私は「粘菌の子実体なのか?」と頓珍漢な予想をしながら写真に撮りました。

自分で撮ったキノコ写真のフォルダを見直したら丁度10年前に撮影済みで、カンムリタケという種類のキノコでした。 
すっかり忘れていましたが、野帳を参照すると発見状況も似ていました。 
豆モヤシみたいなキノコが山中の水溜まりから多数生えています。
2013年5月上旬

苦手なキノコの名前も一つ一つ地道に覚えていくしかありません。








2023/05/29

ケカビの生えたタヌキの溜め糞を食べるセンチコガネ

 

2022年10月下旬・午後12:45頃・晴れ 

里山の西斜面を直登する細い山道が廃れ、藪が生い茂る獣道となっています。 
ここにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場kがあり、私はときどき通って定点観察しています。 

黒土と化した古い溜め糞場には、糞虫の羽化孔と思われる穴がたくさん開いていました。 
その少し下に、比較的新しい溜め糞がありました。 
地面には枯れた落ち葉が散乱し、その上に排便したタヌキの糞の表面に毛羽立った白カビがびっしり生えていました。 
点々と散らばった獣糞の全てが白カビの菌糸(?)で覆われています。 

そこにセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が1匹だけ来ていました。 
センチコガネは白カビの生えた獣糞の下に頭を突っ込んで、小刻みにグイグイ押しています。 
「糞ころがし」のように巣穴に向かって獣糞を運んでいるのではなく、その場で食糞しているようです。 
そもそもセンチコガネは糞玉を巣穴へ運ぶ際には後ろ向きに転がすはずです。

関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ タヌキの溜め糞を崩し、後ろ向きに転がして巣穴に運ぶセンチコガネ

もしかすると、センチコガネは獣糞そのものよりも、それに生える菌糸やカビの方を好んで食べているのかもしれません。
我々ヒトの衛生感覚では不潔極まりない物ばかり食べても病気にならない悪食のセンチコガネは、よほど強力な抗菌作用をもっているのでしょう。

関連記事(1.5ヶ月前の撮影)▶ 白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

同定のため、動画撮影後に糞虫を採集しました。 
不潔なので、持参したビニール袋を手袋のように使って採取。 
標本の写真を以下に掲載予定。 
センチコガネの性別は? 

この地点にはトレイルカメラを設置しにくいこともあり、本当にタヌキが通う溜め糞なのかかどうか証拠映像を未だ撮れていません。 

秋になると、他の地点の溜め糞場にも白カビが生えるようになります。 
この時期以外では白カビの発生した獣糞を野外で見かけた記憶がありません。 
秋の長雨によるものか、それとも気温が下がって糞虫や蛆虫(ハエの幼虫)の活動が低下することで白カビが優勢になるのかと、素人ながら勝手に推測していました。 
興味深いことに、溜め糞に生えたモサモサの白カビは数日後に消失します。 
さすがにセンチコガネが白カビを全て食べ尽くすとは思えません。
インターバル撮影で獣糞上に生えるカビやキノコ(糞生菌)の遷移(栄枯盛衰)を観察するのも面白そうです。 

相良直彦『きのこと動物―森の生命連鎖と排泄物・死体のゆくえ』という名著を読むと、知らないことばかりで興奮しました。
特に筆者の専門である「排泄物ときのこ」と題した第4章がとても勉強になりました。
ど素人の私は漠然と「白カビ」と呼んでいましたが、専門的にはケカビというらしい。
・(採取した馬糞を培養して1週間後には:しぐま註)たいていケカビ類(Mucor、接合菌)もいっしょに生えていて、糞塊が綿でくるまれたように見えることが多い。(p74より引用)
・ 接合菌のケカビ類はセルロースを分解する能力がなく、糖類のような可溶性炭水化物を必要とする。その胞子は発芽しやすく、菌糸の生長は早い。このような性質によって、糞に糖類やヘミセルロースなど消費されやすい可溶性物質が存在する初期のあいだは、ケカビ類の増殖期となる。(p78より)
・糞には、蛋白質が半ばこわれたペプトン様の物質が含まれていて、それがケカビ相を産んでいるのではないかと(筆者は:しぐま註)想像する。(p82より)
・(京都で見つけたホンドタヌキの糞場で:しぐま註)比較的新鮮なふんにはケカビの1種とスイライカビの1種が生えていた。(p95より)
・タヌキの溜め糞場に生えるキノコ(アンモニア菌類など)についても詳しく書かれています。(p94〜98)

にわか仕込みの知識を踏まえて、私は次のように想像してみました。
秋になってタヌキが熟した柿の実を食べるようになると、糞には未消化の柿の種が含まれるようになります。
タヌキが甘い熟柿を食べると糞に含まれる糖分の濃度が上がり、ケカビの生育に適した条件が整うのではないでしょうか?
獣糞の糖分が消費され尽くされるとケカビは消失し、次の遷移状態に進みます。
タヌキの溜め糞で見つけた白カビを顕微鏡で観察したり培養したりしてケカビとしっかり同定できていないので、あくまでも素人の推測です。
野生動物がせっかく摂取した果肉から糖分を完全に消化吸収できないまま無駄に排泄するのかどうかも疑問で、実際に調べてみないと分かりません。
タヌキの尿に糖が含まれるとしたら、糖尿病に罹患していることになります。
まさか獣糞が甘いかどうか舐めてみる訳にもいきませんし、フィールドで得た試料から糖分をかんたんに検出する試薬のキットが欲しいところです。
高校化学で習った昔懐かしのベネジクト溶液で調べるしかないのかな?




↑【おまけの動画】
"The Life Cycle of the Pin Mould" by the British Council Film Archives
『ケカビの生活史』
モノクロの古い教育映画ですが、ケカビの一生を顕微鏡で丹念に微速度撮影した労作です。


2023/05/07

スギ林道の溜め糞場に生えたキノコはイバリシメジ?エセオリミキ?

2022年10月中旬 

里山のスギ林道でニホンアナグマMeles anakuma)とホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が共有している溜め糞場sを定点観察しています。 
秋になってキノコが生えてきたので、写真に撮ってみました。 
溜め糞場sのすぐ横でスギの落ち葉の下からキノコの傘が 2つ並んで開いていました。
1本を引き抜いて軸および傘の裏も写真に撮りました。 
以前、同所で得られたスギエダタケは傘が白色でしたが、このキノコは茶色に色づいています。

キノコに疎いながらも、糞尿の分解跡に生えるアンモニア菌というキノコの話は聞きかじっていた私は、てっきりその仲間ではないかと期待しました。 
イバリシメジだと嬉しいのですが、調べてみると素人目にはアンモニア菌とは無関係のエセオリミキと似ています。
間違っていたらご指摘願います。
(似たキノコでモリノカレバタケという種類も図鑑に載っていました。)

重い腰を上げて、これからキノコを少しずつ勉強していくつもりです。
個人的な興味関心の取っ掛かりとしてはアンモニア菌なのですが、それらしいキノコを未だ1種類も見つけられていません。
アンモニア菌はヒトの放尿跡にも生えてくるらしいので、手軽に実験できそうです。
 
ストロボ発光下
自然光下

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