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2024/10/25

シロオニタケ【キノコ】

2023年9月下旬・午後

里山で山道の横に真っ白なキノコが点々と生えていました。 
立派に開いた傘の表面がイボイボ状で特徴的だったので、写真を撮って画像検索(Googleレンズ)をしてみると、シロオニタケと判明しました。
よく見ると、傘や柄の表面から落ちた白いイボが辺りに散乱しています。

2枚目の写真には脱落した「つば」が写っています。
(シロオニタケの)つばは大きく、傘のすぐ下につくがもろく落ちやすい。(ヤマケイポケットガイド15『きのこ』p56より引用)
最後の写真は同じ日に全く別の地点で撮ったものです。 
下山した山麓の林縁で日当たりの良いコケ(種名不詳)の群落から生えた白いキノコの柄が折れて傘が分離していました。 
これもシロオニタケと思われます。

キノコの名前を少しずつ少しずつ覚えていきます。


【アフィリエイト】

2024/09/21

スジチャダイゴケ【キノコ】

2023年11月下旬・午後13:20頃・晴れ

里山の湧き水が溜まった泉(水場)で、岸辺に落ちていた朽木に見慣れないお椀状のキノコが4個並んでいるのを見つけました。 
撮れた写真を元にGoogleレンズで調べると、スジチャダイゴケと判明。 
キノコの仲間(腐生菌)なのに名前に〜苔と付いているのは、外側に剛毛が密生しているからでしょうか。
私が見つけたお椀の中は空っぽでしたが、元々は粒状の胞子嚢が入っていて、熟すとコップに溜まった雨水によって胞子が散布されるのだそうです。

朽ちた倒木の樹種は不明です。
池の周囲は雑木林で、ミズナラ、コナラ、イロハカエデなどの落ち葉が大量に散乱しています。

気になるキノコの名前を少しずつ覚えていきます。
 

2024/07/13

タケリタケを見つけた!【キノコ】

 

2023年9月下旬・午後12:30頃・くもり 

里山で雑木林を抜ける細い山道の横、コケの生えた所から真っ白な男根状のキノコが2本にょっきり伸びていました。 
採寸する代わりに右手を添えてみます。 
キノコに疎い私はてっきり未熟なスッポンタケかと思ったのですが、粘液は分泌されておらず、表面は乾いていました。 
私の鼻では無臭で、ハエなども集まってきていませんでした。

立派な方をGoogleレンズで画像検索してみたら、タケリタケHypomyces hyalinus)と判明しました。 
手元にあるキノコ図鑑には載ってない種類なのですが、他のキノコに寄生して成長するボタンタケ科ヒポミケス属のキノコらしい。 
もう1本の小さな赤みのあるキノコの画像で検索すると、ベニイグチがヒットしました。 
画像検索がどれだけ当てになるか分かりませんが、オニイグチ科のベニイグチを宿主として寄生したタケリタケが育ったのでしょうか? 
しかし、今回見つけたキノコの形状はテングタケ類を宿主とした場合の「タケリタケ(猛り茸)」と似ています。 

成長過程を微速度撮影してみたくなり、トレイルカメラを設置しようか迷いました。 
しかし、ここは登山客が往来する山道なので諦めました。 
こういうときに、興味があるキノコを周囲の土ごと掘り返して別な場所に移植しても、上手く育つのでしょうか? 
やってみたことはないのですが、土壌環境や微気象が変わると菌糸の本体が弱ってしまう気がします。 


【アフィリエイト】 
きのこの教科書 観察と種同定の入門
15cm定規を並べて置く
全景

2024/06/30

アキヤマタケ?(黄色いキノコ)

2023年9月下旬・午後14:35頃・晴れ 

山麓を流れる用水路沿いに見慣れない黄色いキノコが点々と生えていて気になりました。 
アカマツの並木に関係あるのかな? 
周囲の環境は林縁で、頻繁に草刈りされて日当たりの良い草地(芝生?)だと記憶していたのですけど、写真を見返すとコケ(種名不詳)の群落の中から鮮やかな黄色い小さなキノコが生えていました。 

下山してきて疲れていた私は、キノコを採寸するのも億劫で、柄やひだの写真も撮っていません。 
ブタナの黄色い花と一緒に写っています。 

Googleレンズで画像検索するとアキヤマタケですかね? 
身近なキノコの名前も少しずつ勉強しないといけません。


【アフィリエイト】

ブタナの花が左に写り込み

2023/12/18

水辺に生えるカンムリタケ【キノコ】

2023年5月上旬・午後

山中の泉から流れ出る細い水路(沢の源流)の中に、傘が黄色い小さなキノコの群落を見つけました。
よく見ると、水浸しになったスギの落ち葉から生えています。 
キノコに疎い私は「粘菌の子実体なのか?」と頓珍漢な予想をしながら写真に撮りました。

自分で撮ったキノコ写真のフォルダを見直したら丁度10年前に撮影済みで、カンムリタケという種類のキノコでした。 
すっかり忘れていましたが、野帳を参照すると発見状況も似ていました。 
豆モヤシみたいなキノコが山中の水溜まりから多数生えています。
2013年5月上旬

苦手なキノコの名前も一つ一つ地道に覚えていくしかありません。








2023/05/29

ケカビの生えたタヌキの溜め糞を食べるセンチコガネ

 

2022年10月下旬・午後12:45頃・晴れ 

里山の西斜面を直登する細い山道が廃れ、藪が生い茂る獣道となっています。 
ここにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したと思われる溜め糞場kがあり、私はときどき通って定点観察しています。 

黒土と化した古い溜め糞場には、糞虫の羽化孔と思われる穴がたくさん開いていました。 
その少し下に、比較的新しい溜め糞がありました。 
地面には枯れた落ち葉が散乱し、その上に排便したタヌキの糞の表面に毛羽立った白カビがびっしり生えていました。 
点々と散らばった獣糞の全てが白カビの菌糸(?)で覆われています。 

そこにセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が1匹だけ来ていました。 
センチコガネは白カビの生えた獣糞の下に頭を突っ込んで、小刻みにグイグイ押しています。 
「糞ころがし」のように巣穴に向かって獣糞を運んでいるのではなく、その場で食糞しているようです。 
そもそもセンチコガネは糞玉を巣穴へ運ぶ際には後ろ向きに転がすはずです。

関連記事(1ヶ月前の撮影)▶ タヌキの溜め糞を崩し、後ろ向きに転がして巣穴に運ぶセンチコガネ

もしかすると、センチコガネは獣糞そのものよりも、それに生える菌糸やカビの方を好んで食べているのかもしれません。
我々ヒトの衛生感覚では不潔極まりない物ばかり食べても病気にならない悪食のセンチコガネは、よほど強力な抗菌作用をもっているのでしょう。

関連記事(1.5ヶ月前の撮影)▶ 白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

同定のため、動画撮影後に糞虫を採集しました。 
不潔なので、持参したビニール袋を手袋のように使って採取。 
標本の写真を以下に掲載予定。 
センチコガネの性別は? 

この地点にはトレイルカメラを設置しにくいこともあり、本当にタヌキが通う溜め糞なのかかどうか証拠映像を未だ撮れていません。 

秋になると、他の地点の溜め糞場にも白カビが生えるようになります。 
この時期以外では白カビの発生した獣糞を野外で見かけた記憶がありません。 
秋の長雨によるものか、それとも気温が下がって糞虫や蛆虫(ハエの幼虫)の活動が低下することで白カビが優勢になるのかと、素人ながら勝手に推測していました。 
興味深いことに、溜め糞に生えたモサモサの白カビは数日後に消失します。 
さすがにセンチコガネが白カビを全て食べ尽くすとは思えません。
インターバル撮影で獣糞上に生えるカビやキノコ(糞生菌)の遷移(栄枯盛衰)を観察するのも面白そうです。 

相良直彦『きのこと動物―森の生命連鎖と排泄物・死体のゆくえ』という名著を読むと、知らないことばかりで興奮しました。
特に筆者の専門である「排泄物ときのこ」と題した第4章がとても勉強になりました。
ど素人の私は漠然と「白カビ」と呼んでいましたが、専門的にはケカビというらしい。
・(採取した馬糞を培養して1週間後には:しぐま註)たいていケカビ類(Mucor、接合菌)もいっしょに生えていて、糞塊が綿でくるまれたように見えることが多い。(p74より引用)
・ 接合菌のケカビ類はセルロースを分解する能力がなく、糖類のような可溶性炭水化物を必要とする。その胞子は発芽しやすく、菌糸の生長は早い。このような性質によって、糞に糖類やヘミセルロースなど消費されやすい可溶性物質が存在する初期のあいだは、ケカビ類の増殖期となる。(p78より)
・糞には、蛋白質が半ばこわれたペプトン様の物質が含まれていて、それがケカビ相を産んでいるのではないかと(筆者は:しぐま註)想像する。(p82より)
・(京都で見つけたホンドタヌキの糞場で:しぐま註)比較的新鮮なふんにはケカビの1種とスイライカビの1種が生えていた。(p95より)
・タヌキの溜め糞場に生えるキノコ(アンモニア菌類など)についても詳しく書かれています。(p94〜98)

にわか仕込みの知識を踏まえて、私は次のように想像してみました。
秋になってタヌキが熟した柿の実を食べるようになると、糞には未消化の柿の種が含まれるようになります。
タヌキが甘い熟柿を食べると糞に含まれる糖分の濃度が上がり、ケカビの生育に適した条件が整うのではないでしょうか?
獣糞の糖分が消費され尽くされるとケカビは消失し、次の遷移状態に進みます。
タヌキの溜め糞で見つけた白カビを顕微鏡で観察したり培養したりしてケカビとしっかり同定できていないので、あくまでも素人の推測です。
野生動物がせっかく摂取した果肉から糖分を完全に消化吸収できないまま無駄に排泄するのかどうかも疑問で、実際に調べてみないと分かりません。
タヌキの尿に糖が含まれるとしたら、糖尿病に罹患していることになります。
まさか獣糞が甘いかどうか舐めてみる訳にもいきませんし、フィールドで得た試料から糖分をかんたんに検出する試薬のキットが欲しいところです。
高校化学で習った昔懐かしのベネジクト溶液で調べるしかないのかな?




↑【おまけの動画】
"The Life Cycle of the Pin Mould" by the British Council Film Archives
『ケカビの生活史』
モノクロの古い教育映画ですが、ケカビの一生を顕微鏡で丹念に微速度撮影した労作です。


2023/05/07

スギ林道の溜め糞場に生えたキノコはイバリシメジ?エセオリミキ?

2022年10月中旬 

里山のスギ林道でニホンアナグマMeles anakuma)とホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が共有している溜め糞場sを定点観察しています。 
秋になってキノコが生えてきたので、写真に撮ってみました。 
溜め糞場sのすぐ横でスギの落ち葉の下からキノコの傘が 2つ並んで開いていました。
1本を引き抜いて軸および傘の裏も写真に撮りました。 
以前、同所で得られたスギエダタケは傘が白色でしたが、このキノコは茶色に色づいています。

キノコに疎いながらも、糞尿の分解跡に生えるアンモニア菌というキノコの話は聞きかじっていた私は、てっきりその仲間ではないかと期待しました。 
イバリシメジだと嬉しいのですが、調べてみると素人目にはアンモニア菌とは無関係のエセオリミキと似ています。
間違っていたらご指摘願います。
(似たキノコでモリノカレバタケという種類も図鑑に載っていました。)

重い腰を上げて、これからキノコを少しずつ勉強していくつもりです。
個人的な興味関心の取っ掛かりとしてはアンモニア菌なのですが、それらしいキノコを未だ1種類も見つけられていません。
アンモニア菌はヒトの放尿跡にも生えてくるらしいので、手軽に実験できそうです。
 
ストロボ発光下
自然光下

2023/04/19

スギ林道に生えたスギエダタケ(キノコ)を採集してみる

 

2022年10月中旬・午前11:10頃・くもり 

里山の杉林道に残された溜め糞場sを長期に渡って定点観察しています。 
秋になるとスギの落ち葉の下から白いキノコが疎らに生えてくることに去年(2021年)から気づいていました。 
私はキノコについて全くの勉強不足で敬遠していたのですが、今年は一念発起して名前を調べてみることにしました。 
キノコの中には動物の排泄物(糞尿)の周囲から特異的に生えてくる種類(アンモニア菌など)が居るらしく、てっきりその一種だと思い込んでいました。 
溜め糞場をめぐる複雑な生態系の重要な一員であるとすれば、面白いストーリーになりそうです。 

林道に敷き詰められたスギの落ち葉の隙間から点々と生えている白い子実体を1本ずつ採集してみると、易々と引き抜けました。 
白くて薄い傘や茶色の柄を手で裂いてみると、かんたんに裂けました。 
調べてみると、アンモニア菌ではなくスギエダタケというキノコでした。
スギエダタケは毒キノコではなく食べられるそうなのですが、私は試食したことがありません。 
動画の冒頭に写っていたように、スギエダタケ子実体の傘が何者かによって食害を受けていました。 
キノコ食(菌食性)の昆虫または野ネズミの仕業ではないかと予想しています。 


ヤマケイポケットガイド15『きのこ』でスギエダタケについて調べると、
傘は透明感が高く、滑らか。粘性はない。スギ以外の針葉樹の落枝からも発生する。 地面に落ちたスギの枝から生える白いきのこで、きのこの少ないスギ林では貴重な存在。小さいが材の分解力が強く、森の掃除屋といったところ。傘は陽の光が透けそうなほど透明感があり、表に細かい毛が密生している。柄は橙黄褐色でやはり微毛が生えている。 発生時期: 晩秋〜初冬 傘径: 1〜5cm 傘の裏: ひだは白色、上生〜難生、やや密〜やや疎。胞子紋は白色。 柄の高さ: 3〜7cm 可食
奥が深いキノコの世界も、ひとつひとつ地道に名前を覚えるしかありません。

2023/03/19

山道の溜め糞場を横切るオオキノコムシ

 

2022年9月下旬・午後15:10頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする細い林道(作業道?)に残されたタヌキの溜め糞場dを久しぶりに見に来ました。 
この山道は斜面の谷側にあるスギ植林地と山側にある雑木林との境界線になっていて、林床には広葉樹の枯れた落葉や落枝が散乱しています。 

黒光りする大型の甲虫が1匹、林道を歩いて横切りました。 
右の触角が途中から欠損した個体です。
溜め糞の糞便臭に誘引されて来たのかと思いきや、糞虫とは違って獣糞そのものには興味がないようです。 
林道上に転がっている落枝を挟んでタヌキが新旧2つの糞塊を残していて、オオキノコムシはその間を通り抜けました。 

甲虫に疎い私はキノコムシの一種だろうとしか現場では分からなかったので、逃げられないうちに採集しました。 
見たこともない巨大さに感動しました。(体長Xmm)
帰宅してから図鑑で調べてみると、オオキノコムシEncaustes cruenta praenobilis)と判明。
オオキノコムシのなかまでは飛び抜けて大きい。触ると甘い香りを出す。16〜36mm。北海道〜九州。5〜9月。サルノコシカケに集まる。( 『くらべてわかる甲虫1062種』p77より引用)
捕獲した際に甘い匂いを放ったかどうか、私は気づきませんでした。
現場の周囲を見渡すと、林道上に放置された倒木の多くが秋の雨で水気を含んで朽ちていて、キノコも発生していました。 
しかし、サルノコシカケは見当たりませんでした。 

もし私が採集しなければ、オオキノコムシはそのまま斜面の谷側に向かっていて、雑木林のエリアから杉林のエリアへと移動したことになります。 
好物のサルノコシカケを探しているのなら明らかに逆方向に行くべきだと素人考えでは思うのですが、ある程度はランダムウォークするのですかね? 
キノコ狩りをしない私はキノコに関して全く疎いのですが、調べてみると「サルノコシカケ」という和名のキノコは存在しなくて、サルノコシカケ科を含めていくつかの科を含む総称名なのだそうです。
しかもサルノコシカケが生える木は針葉樹と広葉樹の両方あると知って驚きました。
なんじゃそりゃ!(唖然)
スギの木に生えるサルノコシカケなんて見たこと無いのですけど、私が知らないだけで、あるのですかね?
DNA解析が登場する前の古い時代のキノコ分類学の名残らしく、混乱を招く総称(俗称?)は今後廃れていきそうです。
キノコムシ類の生態も面白そうですし、まずはキノコについてこれから少しずつ勉強していかないといけません。
「通い慣れた裏山にも未踏のフロンティア(自然観察のネタ)は幾らでも広がっているなぁ」と嬉しいやら気が遠くなるやら…。


採集したオオキノコムシの標本写真を後で載せます。
体長を測ること。


【追記1】 
この溜め糞場dの存在は数年前から気づいていたのですが、小規模のまま消失することもあり、季節消長が不安定でした。 
後日トレイルカメラを設置して、確かにホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が夜に来て排便したことを確認しました。(映像公開予定) 


【追記2】
YouTubeのコメント欄にて、kiokuima氏より「オオキノコムシは溜め糞場に生えた菌類を食べに来たのでは」との示唆をいただきました。
しかし、あちこちの溜め糞場を通年観察しても、キノコムシ類を見かけたのはこのときだけでした。
(獣糞の中に潜り込んでいるのだとしたら、見落としていそうです)
私は糞生菌やアンモニア菌にも興味があるので、溜め糞場に生えるキノコを今後も探し続けます。


【追記2
サルノコシカケの仲間の写真を探したのですが、キノコ類の写真をあまり撮っておらず、古い写真しかありませんでした。
2018年7月中旬、同じ山域の林道脇で立ち枯れしかけたクリの幹に生えているのを見つけました。
上面よりも下面に多くの黒い甲虫(おそらくキノコムシの仲間)が群がっています。






2023/02/16

ハエが群がる下痢便状の物は溶けたスッポンタケか?

 

2022年9月上旬・午前11:50頃および12:10頃・くもり 

里山の山腹をトラバースする平坦な小径に少量の下痢便が山道に残されてました。 
緑がかった黄土色の液状便です。 
ハエ類が獣糞に集まっていたのに、私が近づいたことで一斉に飛び去ってしまいました。
しばらくその場でじっと待つと、徐々に舞い戻ってきました。 
きれいな緑色や赤緑色の金属光沢に輝くキンバエ類の種類を私は見分けられないのですが、大小様々、♀♂混在のキンバエ類が下痢便に群がり、興奮したように離着陸を繰り返しています。 
ニクバエの一種も1匹だけ飛来しました。(@0:30〜) 
新鮮な下痢便の表面にハエが止まっても、粘性が高く表面張力で軽量のハエは足が沈みません。 
口吻を伸ばして糞の表面から吸汁しています。 

赤緑色のメタリックカラーの個体は、どうやら獣糞が目当てというよりも求愛しているように見えます。 
別個体(メタリックグリーン)の背後から忍び寄りマウントを試みても足蹴にされていました。 
素人目には体色が異なる別種に見えるので、誤認求愛なのでしょうか。 
せっかく面白くなりそうなのに、撮影中はこの行動に気づきませんでした。 

この山道を一度通り過ぎ、20分後にまた戻ってきました。(@1:08〜)
糞の右上の落ち葉に見慣れない小さなハエが来て居ました。 
黒っぽい金属光沢があり(構造色)、林床を歩き回りながらも翅を激しく動かしていました(翅紋誇示?)。 
ツヤホソバエ科の一種ですかね?(当てずっぽう) 
下痢便を占拠しているキンバエの群れに遠慮しているのか、謎の小バエは獣糞に近づくどころか離れて行きました。 

動画撮影中にふと横を見ると、アカバトガリオオズハネカクシ(旧名アカバハネカクシPlatydracus brevicornis)がやって来ました。 
タヌキの溜め糞ではハエ類と並ぶ常連客です。 
しかしカメラを向けた途端に後翅を広げて飛び立ってしまいました。 
アカバトガリオオズハネカクシの離陸・飛翔シーンは初見です。 
まずは1/5倍速のスローモーションでご覧ください。(@1:40〜) 
直後に等倍速でリプレイ。 
ハネカクシの仲間は鞘翅(前翅)が短いだけで、折り畳んでおいた透明な後翅を広げて飛ぶことができるのです。
「糞便臭に誘引されて飛来したアカバトガリオオズハネカクシが獣糞に着陸」というストーリーを思い描いたものの、どこに行ったのか見失ってしまいました。
自然観察では予測が裏切られてばかりで、なかなか思い通りに行きません。

さて、一体これは何の糞でしょう? 
これまでの調査でアナグマは軟便や下痢便が多いと分かったのですが、こちら側の山系ではトレイルカメラに写ったことがこれまでたった一度しかありません(生息密度がきわめて低いらしい)。 
タヌキの溜め糞という感じではなく、獣道を移動中に腹痛を我慢できず下痢便を漏らしてしまったように見えます。 
同じ地点(22b)に繰り返し通って排便するのなら、トレイルカメラを設置して糞の主の正体を突き止めることが可能です。 
しかし後日何度か通っても、同じ地点に獣糞は二度と残されていませんでした。 
野生動物のフィールドサインに関する本を読んでも、健康時の固形糞の典型的な特徴しか書いておらず、体調が悪いときの下痢便については見分け方が載っていません。 
プロのフィールドワーカーは獣糞の匂いだけでも種類をほぼ嗅ぎ分けられるのだそうです。 
しかし大型の重いザックを担いで山中を歩き回っていると、獣糞の匂いを嗅ぐためにザックをいちいち下ろすのが億劫になってきます。 
この日バテていた私は糞便臭のチェックを怠り、撮影も立ったままで済ませました。 
まだまだ修行が足りません。 
後で思うと、わざわざ地べたに這いつくばって獣糞の匂いを直に嗅ぐ必要はなくて、適当な落枝を拾って獣糞をつついてみてから枝先の匂いを嗅げば済むことでしたね。 

鳥の糞または白いキノコのような塊が下痢(?)の海に浸っているのが気になります。 
もしかして、これは下痢状の獣糞ではなく、スッポンタケなどのキノコ子実体のグレバがドロドロに溶けた跡なのかもしれない、と今思いつきました。
(スッポンタケの)傘の表面に悪臭のする粘液質のものが一面に現れ、悪臭がするようになる。これはグレバで形成された胞子を含むもので、その悪臭は、ハエなどを誘引し、胞子を運ばせるためである。キノコ本体は一日でとろけるように消滅する。(中略)傘はグレバの色で暗緑色に見える。 (wikipedia:スッポンタケより引用)
私はキノコについて全くの勉強不足なので、聞きかじりからの思いつきです。 
スッポンタケの子実体が溶けると、これほど大量の粘液質の物が残るのでしょうか。 
1本だけでなくスッポンタケの群落があったのかな?
現場でもっと興味を持って、謎のペーストを小枝でかき回したりして中を探ってみるべきでしたね。 
獣糞ならば未消化の種子などが含まれていたはずです。 
改めて謎のペーストを見直すと、獣の下痢便にしては均一過ぎますし、少なくとも表面には植物の種子は見えません。

獣糞ではなくスッポンタケの溶けたグレバだとすれば、キンバエやニクバエ以外の食糞性昆虫(アカバトガリオオズハネカクシやツヤホソバエの一種)が匂いに騙されかけても結局やって来なかった理由が説明できそうです。 
いつか山でスッポンタケの子実体を見つけたら、成長と分解の過程を微速度撮影してみたいものです。 
キノコ採りの名人になると鼻が利き、山中で独特のグレバ臭がしただけで辺りにスッポンタケが生えていると分かるのだそうです。

2023/01/31

白い菌糸塊?を食べるセンチコガネ

 

2022年9月上旬・午後12:20頃・くもり 

里山の林道の真ん中が謎の白い塊に覆われ、通りかかるたびに気になっていました。 
遠目にはまるで酔っ払いの吐瀉物のようです。 
林床の落葉や落枝などを分解する菌糸の塊なのでしょうか? 
白カビとも違います。(フワフワしていない) 
松ぼっくり(アカマツの落果)にも白い菌糸が侵食していました。 
アニメで見る腐海のような光景です。 

クリーム色の菌糸塊?の真ん中に1匹のセンチコガネPhelotrupes laevistriatus)が居座り、それを食べてしました。 
センチコガネは糞虫の仲間ですけど、キノコも好物であることが知られています。 
ということは、キノコ(子実体)になる前の幼菌なのかな?
関連記事(12年前の撮影)▶ キノコ好きなセンチコガネ
森昭彦『ファーブルが観た夢  地球生命の不思議な迷宮』という本を読み返すと、第4章はセンチコガネを扱っています。
キノコ(子実体)も食べるが、菌糸も好きらしいのだ。実際、自然界でも、枯れ葉がつもる森の土に、白い菌糸がびっしりとはびこることがある。センチコガネは、ここに飛来して、うまそうに食べていた。(p222より引用)

しかし残念ながら写真が添付されていないので、「白い菌糸」の様子を想像するしかありません。 

望遠マクロで顔正面から狙うと、頭楯の縁が丸みを帯びているので、オオセンチコガネではなくセンチコガネと分かります。 
鞘翅は鈍い藍色の金属光沢を帯びていました。 
大顎を開閉して白い菌糸を齧っています。 
食べかけの菌糸が頭部に少量付着していました。 

途中から飛来したハエは何でしょう? 
翅の根元がオレンジ色を帯び、脚も黄色っぽいです。 
素人目にはキアシフンバエと似ているような、似てないような? 
菌糸塊の表面を舐めながら、果敢にもセンチコガネの横から近づき、腹の下に潜り込みました。 
ショウジョウバエのような小型のハエも数匹集まり、菌糸塊を舐めていました。 

センチコガネはハエ類の存在には無頓着でした。 
同じ場所に陣取ってひたすら食べ続けています。 
一生食べきれない量のご馳走です。 
センチコガネが菌糸塊を食べ進む様子を微速度撮影で長撮りしてみたかったのですが、あいにくこの日は三脚を持ってきていませんでした。 
もし粘菌だとすると、菌糸塊?全体が脈動していたかもしれません。 

撮影後に被写体のセンチコガネを採集しました。 
標本写真を後で載せます。 
性別は? 

その後も定点観察に通ったのですが、センチコガネ類は二度と来ていませんでした。 (二匹目のドジョウは採れず)
このクリーム色の菌糸塊はやがて消失しました。 
秋が深まるとキノコの子実体(成菌)が育つかと期待したのですけど、跡地には何も生えてきませんでした。 
毎日チェックした訳ではないので、私が来ない日に、あっという間にキノコの子実体が生えてすぐに消えたのかもしれません。
もしかするとキノコではなく、粘菌の一種なのでしょうか? 
「白い粘菌」で画像検索するとシロススホコリなどがヒットしますが、素人目にはいまいちしっくり来ません。 

謎の菌糸塊?の正体をご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。 
周囲の環境は雑木林の低山(里山)です。 
東北地方日本海側の多雪地帯で、ブナ帯よりも標高が低いミズナラ帯に属します。



センチコガネとキアシフンバエ?
センチコガネとキアシフンバエ?
採寸代わりに置いたクマよけスプレー(長さ20cm)
松ぼっくりも白い菌糸に飲み込まれつつある


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