2025/09/03
アナグマの営巣地に忍び込み排尿マーキングして帰るホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/08/27
樹上で羽繕いし、ペリットを吐き出すモズの幼鳥(野鳥)
2025/08/26
早朝の営巣地に侵入したホンドギツネを追い払うニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】
2025/08/12
林道で大量に吸水しながら排尿するミヤマカラスアゲハ♂
2025/08/06
独りで外出する前に必ず営巣地に匂い付けするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/07/13
モンシロチョウ♀が♂2頭の求愛を拒みながら脱糞?!
- モンシロチョウは成虫になると花蜜しか摂取しませんから固形の糞を排泄することはありない…はずです。 この定説が間違っていたのでしょうか?
- ♀が未成熟の卵を産みかけたのかもしれません。 しかし未成熟だからといって、モンシロチョウの卵に特徴的な紡錘形が異常に歪んだりすることはないらしい。
- 蛹から成虫が羽化して翅を広げる際に使った羽化液(蛹便)が腹端で凝固したのでしょうか? 私はまだモンシロチョウの飼育経験がありませんが、モンシロチョウの羽化液(蛹便)は黄色っぽいらしい。 ところが、今回観察した♀個体は右前翅の翅頂が欠けていて、羽化直後ではなさそうです。
- 花粉などのゴミがたまたま腹端に付着しただけのような気がしてきました。
- モンシロチョウの交尾後、♂の精包(spermatophore)が♀の腹端外部に付着したまま残ることはありません。チョウ類の交尾では、♂が精包を♀の生殖器内部(bursa copulatrix)に挿入・移動させます。精包は、♀の体内の袋状器官(バルサ・コプラトリックス)内に完全に収められ、外部に露出することはありません。やがて精包は♀の体内で消化・分解されますが、殻(外被)は♀の体内に残ります。ウスバアゲハなど一部の昆虫では、交尾後に「交尾栓(スフラギス=sphragis)」と呼ばれる構造物が♀の生殖孔外部に貞操帯として形成されることがありますが、モンシロチョウでは形成されません。
2025/07/04
アナグマの空き巣に昼も夜も訪れ内見を繰り返すホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/07/02
溜め糞場の近くで小便するニホンカモシカ♀【トレイルカメラ】
2025/06/25
アナグマの空き巣を鳴きながらうろつき、巣穴の内見と匂い付けするホンドタヌキ♀♂【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/06/14
ニホンカモシカの溜め糞で糞虫が見つからず分解も遅いのはなぜか?【フィールドサイン】
ニホンカモシカの溜め糞場における糞虫不在現象に関する考察
1. 背景と発端
筆者が調査を行っている山形県の低山・里山域において、ニホンカモシカ(Capricornis crispus)の溜め糞場では、排泄された糞粒が長期間分解されずに残存している現象が確認された。この糞は形状が崩れることなく保持され、キノコ類等の菌類も発生しにくい。加えて、フン虫(糞虫)類の活動痕跡が見られず、掘り起こし・埋設・球状運搬などの典型的なフン虫行動が全く確認されていない。
この状況は「野生哺乳類の排泄物には必ずそれを分解利用するフン虫類が存在する」という従来の昆虫生態学的通説と矛盾する可能性がある。筆者はこの疑問を基点に、以下のような仮説と解釈を考察した。
2. 既知情報と比較
2-1. 家畜ヤギ・野生シカの糞とフン虫
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ヤギの団粒糞(ペレット型)は水分量が少なく、液状糞を好む大型コガネムシ(タマオシコガネ類やオオセンチコガネ)の誘引力が低いことが知られている。
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奈良公園のシカ糞ではセンチコガネ類が活動するが、同じペレット型でも密度・利用頻度の高さが寄与していると推定される。
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カモシカは糞場への再訪頻度・個体密度ともにシカより低く、誘引力・検出確率がさらに下がる可能性。
2-2. ノウサギの糞
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ノウサギ糞もペレット型で、乾燥後は容易に崩壊・土壌化するため、糞虫による積極的な利用は報告例が少ない。
2-3. 捕食性動物(テン、キツネ等)の糞
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肉食獣の糞は乾燥しやすく、植物食獣糞ほど糞虫の利用例は少ないが、特定の腐食性昆虫(ハエ類、シデムシ類)が利用する場合あり。
3. 仮説
仮説1:「カモシカ糞には防虫・抗菌成分が含まれる」
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カモシカの食餌植物由来の二次代謝物(苦味成分、精油成分など)が糞中に残り、フン虫を忌避させている可能性。
仮説2:「フン虫不在型糞リサイクル系の存在」
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山地林内ではフン虫ギルド自体が貧弱であり、主に微生物・土壌動物(ダニ、トビムシ等)や物理風化で分解が進む「フン虫不在型系」が成立している可能性。
仮説3:「ボトルネック効果によるスペシャリスト絶滅」
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過去の狩猟圧でカモシカ個体群が激減した際、カモシカの糞に依存していたスペシャリストのフン虫類が絶滅した可能性。
仮説4:「カモシカ糞の低い誘引力と周辺フン虫相の組成」
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林内フン虫の種数・密度自体が低いため、偶発的にカモシカ糞に到達する個体が稀である可能性。しかし、同所性のタヌキやアナグマの溜め糞、ニホンザルやツキノワグマなどの糞には糞虫が来ていることが説明できない。
4. 思考実験とその考察
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奈良公園のルリセンチコガネ(Geotrupes属)のようなペレット糞適応型フン虫を山形県の低山地に人為的に放虫した場合、カモシカ糞の分解促進が期待できるか?→理論的には可能だが、国内外来種問題や気候・繁殖条件の違いにより定着は難しいと考えられる。
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ノウサギ、カモシカ、ヤギなどペレット糞排泄動物の糞リサイクルは、フン虫が関与しない独自路線を取っている可能性。
5. 今後の調査方針
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カモシカ糞粒の化学成分分析(抗菌・防虫物質の検出)
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冬期雪解け後・春先の糞粒の分解状況調査
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林内フン虫相の再評価(マグソコガネ類等の存在確認)
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飼育下カモシカ糞への野外フン虫誘引実験(無菌下設置)
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他地域(中部、関西、九州)のカモシカ溜め糞場との比較調査
6. 結論
ニホンカモシカの溜め糞場におけるフン虫不在現象は、全国的・生態系的に普遍的な現象である可能性が高まった。ただし、化学的忌避・生息地的隔離・進化史的喪失など複数要因が複雑に絡む未解明分野であり、基礎生態学的価値は高い。
「日本山地林内におけるフン虫不在型糞リサイクル系の存在」という仮説は、今後の生態系モデルに新たな視座を提供する可能性がある。
2025/06/13
ツキノワグマの糞塊内に潜むセンチコガネ
2025/06/07
溜め糞場に来て大小便と眼下腺マーキングするニホンカモシカの♀と幼獣【トレイルカメラ:暗視映像】
2025/06/04
タヌキの新鮮な溜め糞から吸汁して飛び去る夜蛾【トレイルカメラ:暗視映像】
山中の水溜りでヒキガエルの幼生を狩って雛に給餌するクロツグミ♀【野鳥:トレイルカメラ】
つがいで縄張りを持ち、♂は木の梢で大きな声でさえずる。主に地上をはね歩きながら採餌する。数歩はねて立ちどまり、ゴミムシなどの昆虫やミミズを捕える。(p445より引用)確かにクロツグミの♀♂つがいが見事に縄張りを防衛しているようで、昼間この水場には他種の鳥がやって来ません。
クロツグミとヒキガエル幼生に関する観察記録と考察レポート
1. 観察の概要
2024年5月下旬〜6月上旬、山形県の里山における水場に設置したトレイルカメラにより、クロツグミ(Turdus cardis)の成鳥が水溜まりで採餌している様子が複数回記録された。観察映像から、以下の行動が確認された:
クロツグミの雌雄ペアが黒色のオタマジャクシを捕獲し、巣に持ち帰る様子
ミミズなど他の餌も同時に採餌し、巣に持ち帰っている
特に注目すべきは、捕獲されたオタマジャクシがヒキガエル(Bufo japonicus, アズマヒキガエル)と推定される種であったことである。
2. ヒキガエル幼生の毒性と鳥類による捕食
ヒキガエル類は成体だけでなく、幼生(オタマジャクシ)の段階から心臓毒であるブフォトキシン(bufotoxin)を含むことで知られている。一般にこの毒素は魚類や一部の昆虫捕食者に対する忌避効果を持つとされるが、鳥類による捕食例も報告されている。
ヒキガエルの幼生は黒一色で地味な体色をしており、警告色(アポセマティズム)を持たないため、視覚的に毒を予測しにくい可能性がある。これは、捕食者に対する隠蔽戦略を主とする進化的適応と解釈できる。
3. クロツグミの給餌行動と雛への影響
今回の記録では、親鳥が複数のオタマジャクシを捕食・運搬しており、巣にいる雛に給餌したと考えられる。毒性のあるオタマジャクシを雛が摂取した場合、以下のような影響が懸念される:
ブフォトキシンは神経・心臓に作用する強い毒性を持ち、哺乳類や鳥類にも有害
雛は成鳥に比べて体重が軽く、1匹でも中毒死するリスクがある
ただし、実際の給餌では、親鳥が複数の雛に分散して餌を与えることが多く、個体ごとの摂取量は限られる可能性がある
トレイルカメラの映像からは巣内の雛の生存状況や健康状態は不明
4. 因果関係の認知と学習可能性
親鳥が自らオタマジャクシを食べて中毒を経験すれば、忌避学習が成立する可能性は高い。しかし、給餌対象が雛であり、かつ雛が体調を崩したとしても、その原因を特定の餌と因果づけて推論することは難しい。これは多くの鳥類において制限されている認知能力の範囲と一致する。
とはいえ、種全体としては、毒を持つオタマジャクシの忌避行動が自然選択的に強化される可能性はある。すなわち、雛に毒を与えてしまう親鳥の子孫は減り、毒餌を避ける親の行動が有利に働く。
5. 警告色を持たない毒幼生の戦略的意味
アカハライモリのように腹部の赤色を見せる"unken reflex"を持つ両生類とは対照的に、ヒキガエル幼生は視覚的警告を欠く。これは、警告色の進化には色素細胞の前適応や環境要因が必要であること、また水中での視覚信号の有効性が限定的であることが理由と考えられる。
6. 結論と今後の展望
今回の事例は、毒性のあるヒキガエル幼生がクロツグミに捕食され、給餌対象として利用されるという興味深い生態的相互作用を示している。親鳥および雛への毒の影響は、摂取量や個体差によって異なると考えられるが、今後さらなる観察や給餌後の巣の状況(生存率など)を追跡することで、鳥類と毒動物の相互作用についてより深い理解が得られるだろう。
TOBE, Alisa, et al. Evolutionary insights into Na+/K+-ATPase-mediated toxin resistance in the Crested Serpent-eagle preying on introduced cane toads in Okinawa, Japan. BMC Ecology and Evolution, 2025, 25.1: 70. (全文のPDFが無料でダウンロード可能)