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2025/07/31

仰向けで毛繕いするニホンアナグマ♀:母親【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月下旬・午後15:06・小雨・気温21℃ 

ニホンアナグマMeles anakuma)幼獣たちは巣内で疲れて寝ているようです。 
母親♀が独りで巣口Rの横に座り込んでいました。 
林床で仰向けになると、毛繕いを始めました。 
ときどき体の痒い部分をボリボリ掻いています。 

最後は奥の林内へノソノソと歩き去りました。 


2025/07/27

ニホンアナグマ♀が今季産まれた幼獣4頭を引き連れて旧営巣地に引っ越してきた!【トレイルカメラ:暗視映像】

 


2024年6月下旬 

平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)を自動撮影カメラでしつこく監視してきたのは、越冬中に死んだ個体の次に誰か別の個体が引っ越してくるはずだと信じていたからです(願望)。 
今季はこの巣穴で出産、育児するアナグマ♀は居ませんでしたが、遂に執念が実りました。 


シーン1:6/22・午後22:48・気温22℃(@0:00〜) 
アナグマの幼獣3頭が巣口R付近で元気にはしゃぎ回っていました。 
初めての環境で興奮しているようです。 

すぐに母親♀が巣穴Rから外に出てきました。 
腹面に乳首があり、首筋(背中)には交尾痕があるので、成獣♀と分かります。 

この母親♀右目<左目は、今季も無事に別の巣穴で出産育児に成功していたことになります。 
幼獣が離乳し長距離を出歩けるようになったのを見計らって、旧営巣地に転入してきたのでしょう。 

母親は幼獣たちを巣内Rに招き入れました。 
しばらく母親♀が巣口Rの外に出てきて辺りを警戒しています。 
背後から幼獣1頭がついてきました。 

この時点(シーン1)では幼獣が3頭しか写っていません。 


シーン2:6/22・午後23:06(@0:48〜) 
右を見つめて警戒していた母親♀が身震いしてから、巣穴Rに戻りました。 


シーン3:6/22・午後23:39(@1:00〜) 
いつの間にか、アナグマの家族(母子)が巣外で散開していました。 
母親♀が連れて歩いている幼獣は3頭ではなく、4頭でした。 

巣口L付近で、母親♀は近くに居た幼獣の尻の辺りを舐めました。(対他毛繕い) 
母親♀は左へ採餌に出かけたのかな? 
幼獣3頭がセットに居残り探索する間、1頭は母親♀について行ったようです。 


シーン4:6/22・午後23:40・気温21℃(@2:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラで続きが写っていました。 
母親♀が画面の右端で採食していると、幼獣たちが興味津々で集まって来ます。 


シーン5:6/22・午後23:45(@3:00〜) 
巣口Lおよびその左で、幼獣3頭が探索したり遊んだりしています。 
1頭の幼獣が立ち止まって痒い体を掻きました。


シーン6:6/22・午後23:46(@4:00〜) 
幼獣2頭が巣口R付近でちょっと格闘遊びをしました。 
幼獣は足元がまだ覚束なくて、その片方が巣口Rに転がり落ちかけました。 
マルバゴマキの細根や落枝に体が引っかかって、なかなか抜け出せません。 

手前の林床で独りひたすら餌を探している個体がいます。 


シーン7:6/22・午後23:47(@5:00〜) 
右エリアで幼獣2頭がうろついています。 
獣道で、ある地点が気になるようで、落ち葉の匂いを嗅いだり、落枝を咥えて引っ張ったりしています。 


シーン8:6/22・午後23:49(@6:00〜) 
幼獣3頭と母親♀が手前からセットに戻ってきて、巣口Rに少しずつ近づきます。 


シーン9:6/22・午後23:51(@7:00〜) 
母親♀右目<左目が巣穴Lに入りかけたものの、なぜか止めて後退りで出てきました。
 (奥には「いざりタヌキ」の白骨死骸が転がっているのではないかと私は推測しています。) 

母親♀は左に移動し、幼獣2頭がセットをうろついています。 


シーン10:6/22・午後23:51(@8:00〜) 
別アングルで設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
幼獣2頭が巣口Rの横で取っ組み合いをして遊んでいます。 

その間、別個体の幼獣がマルバゴマギの根元にある野ネズミの巣穴の匂いを嗅いでいるようです。 

母親♀が幼獣の尻の辺りを舐めてやり(対他毛繕い)、巣穴Rに入りました。 
巣口Rが幼獣で混み合っていたのに、母親♀は幼獣を踏んづけながら入巣R。 
引っ越しで疲れ切った母親♀は巣内Rで寝るようです。

しかし4匹の幼獣はまだ遊び足りないようで、巣外をうろついています。 


シーン11:6/22・午後23:52(@9:00〜)
1匹の幼獣が右下エリアで独り採餌活動しています。 
頑張って地面を掘り返しているようです。 


シーン12:6/22・午後23:55(@10:00〜) 
うろついていた母親♀が右下エリアに座り込み、幼獣に毛繕いをしてやります。 


シーン13:6/22・午後23:55(@10:23〜) 
別アングルで設置した監視カメラの映像に切り替えます。 
広場で格闘遊びしている2頭の幼獣を放っておいて、母親♀が左から右へノソノソと移動します。 
左端に座り込んで、幼獣に対他毛繕い。 

4頭目の幼獣が右から歩いてセットに戻ってきました。 


シーン14:6/22・午後23:57(@11:23〜) 
広場で三つ巴の格闘遊びが繰り広げられています。 
その間、左上エリアでは母親♀が幼獣と相互毛繕いしているようです。 (白い目が光って見えるだけ) 

セットに戻ってきた母親♀が、近くに居た幼獣を次々に掴まえて毛繕いしてやります。 


シーン15:6/22・午後23:59(@12:23〜) 
母子の相互毛繕いを別アングルで。 


シーン16:6/22・午後23:59(@12:57〜) 
母子の相互毛繕いのつづき。 
巣口Rの近くで独りで餌を探し回る幼獣がいます。 

他には、広場の奥でミズキの根元で木登りに挑戦している幼獣個体もいます。
根元の分岐を自力で乗り越えるのが楽しくて仕方がないようです。 


※ 鳴き声が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


【考察】 
母親♀がカメラ目線になると、赤外線を反射する目のタペータムが左右非対称(右目<左目)の個体でした。 
この形質(特徴)は、前年にここで出産、育児した母親♀と同じです。 
長らく姿を見ていなかったのですが、存命で健在だったことが分かり、安堵しました。 
彼女が産んだ幼獣は全ての個体で目が左右均等なので、少なくとも優性遺伝(顕性遺伝)の異常ではないと言えます。 

母親♀右目<左目は、前年に続いて今季も幼獣4頭を無事に育て上げていたことになります。 
子連れの引っ越しにヘルパー♂は付き添わなかったようです。 

今季の母親♀がこの営巣地で出産したのではないと断言できる理由は、
  •  ♂の求愛および交尾を見ていない。 
  •  ♀の巣材集め行動を見ていない。 
  •  ♀が歩けない幼獣の首筋を咥えて連れ回すのを見ていない。 
  •  巣外での授乳シーンや対他毛繕いを見ていない。 


母親♀は少なくとも2つの巣穴を毎年交互に使い、出産と育児で使い分けているようです。
前年はここで出産し、離乳すると幼獣を連れてどこかに転出しました。 
今季はその逆パターンになります。
同じ巣穴に住み続けると、巣材に寄生虫が湧いてしまうのかもしれません。 

今季はこのまま越冬までアナグマ家族が住み続けてくれるでしょうか?
それまでタヌキの♀♂ペアが頻繁に巣穴を内検していたので、てっきりタヌキが巣穴を乗っ取るかと思いきや、予想外の展開になりました。 
アナグマ家族の転入後は、ニホンカモシカやイエネコなどがセットに近寄らなくなりました。 


2025/07/25

池の水面に溶け落ちたモリアオガエルの泡巣に集まり吸汁・交尾するアメンボ♀♂

 

2024年6月中旬・午後12:40頃・晴れ 

モリアオガエルRhacophorus arboreus)の繁殖池で定点観察しています。 
岸辺に自生する マユミ灌木の枝葉に毎年、白い泡巣がたくさん産み付けられています。 

昼間からマユミの樹上でじっとしているモリアオガエル成体は、産卵のために木登りしてくる♀を待ち伏せしている♂なのでしょう。 
(私にはモリアオガエルの性別を外見から自信を持って見分けられません。) 
泡巣の近くに先乗りしている個体と、少し下部の枝に留まっている個体と2匹の成体を見つけました。 

白い泡巣の一部が溶けて崩れ、下の水面に浮いていました。 
産み付けられてから約1週間で泡巣内の卵から幼生(オタマジャクシ)が孵化し、雨で溶け落ちた泡巣と一緒に幼生が池の水中に脱出するのです。 
しかし、今回は自然な融解ではありません。 
ニホンザルがモリアオガエルの泡巣を捕食に来ているシーンがタイムラプス動画で記録されていたのです。 
猿がマユミの枝を掴んで乱暴に引き寄せた際に、一部の泡巣は水中に没して崩れてしまったようです。



池の水面に溶け落ちた白い泡巣の上に、アメンボの一種が群がっていました。 
交尾中のペア♀♂と単独個体、それからアメンボの幼虫と思われる小型の個体もいました。 
アメンボの交尾ペア♀♂が白い泡の表面を歩いて少しずつ移動しています。 
泡の縁に到達するとしばらく静止し、交尾中の♀が左右の前脚を擦り合わせて身繕い。 

交尾中のアメンボ♀は細い口吻を伸ばして、融解した泡巣から吸汁しているように見えました。 
タンパク質が豊富な餌なのでしょう。 
一方、単独個体のアメンボは、泡巣の表面に付着した虫の死骸?から吸汁しているようです。 
しかしPerplexity AIに相談してみると、融解したモリアオガエルの泡巣には栄養がほとんどなく、アメンボは水面に浮かぶ筏としてたまたま乗っていただけだろう、という見解でした。 
確かに、水面に浮いているどの泡にもアメンボが群がっているという訳ではありませんでした。 
私としては納得できないので、次に機会があれば、アメンボの口吻を横からじっくり接写して、決着を付けるつもりです。 

日向の強い日差しで水面に浮かぶ白い泡が白飛びしてしまい、日陰と入り混じって、コントラストの差が大きくなっています。 
見えにくい被写体を動画編集時でHDR風に加工したら、だいぶ改善されました。 
(具体的な方法はChatGPTに指南してもらいました。) 


【追記】 
動画を撮影した時の私は、水面に浮かぶ白い泡はてっきりモリアオガエルの泡巣がマユミ樹上から溶け落ちたのだろうと思い込んでいました。 
ところが、同じ池の岸辺の水際にはシュレーゲルアオガエルRhacophorus schlegelii)の泡巣も同時期に産み付けられていました。 
1週間前に撮った写真を載せます。






シュレーゲルアオガエルの幼生(オタマジャクシ)も既に卵から孵化して水中に脱出したらしく、白い泡巣が溶けていました。 
もしかすると、アメンボが乗っていたのはシュレーゲルアオガエルの融解した泡巣だったのかもしれません。
以下の写真は、動画を撮った同じ日の記録です。



2025/07/19

旧営巣地に戻って毛繕いしたり巣穴を内見したりするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬〜下旬

シーン0:6/11・午後13:26・くもり・気温35℃(@0:00〜) 
シーン0:6/11・午後14:10・くもり・気温37℃(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
平地の二次林にあるニホンアナグマMeles anakuma)の旧営巣地(セット)をトレイルカメラでしつこく見張り続けています。 


シーン1:6/19・午後14:28・晴れ・気温28℃(@0:07〜) 
久しぶりにアナグマがセットに戻ってきました。 
林縁で白昼堂々、仰向けになり痒い体をボリボリ掻いていました。 
腹面に乳房が見えたので、♀と判明しました。 
当然ながら、股間に睾丸や陰茎はありません。 

起き上がると、今度は腰の毛皮を舐めました。 
また後足や前足で体をあちこち掻いています。 

今季はこの巣穴ではなく、他所で出産したようです。 


シーン2:6/19・午後15:27・晴れ・気温28℃(@1:08〜) 
1時間後に、セットから左に立ち去るアナグマの尻尾がちらっと写っていました。 


シーン3:6/21・午前10:52・くもり・気温23℃(@1:14〜) 
2日後の昼間にもニホンアナグマ♀がセットに登場しました。 
右から歩いて来て、そのまま巣穴Rの中に潜り込みました。 
横から腹面に乳首がちらっと見えたので、♀と判明。 
外に出て来るシーンがなぜか撮れていません。

先にネタバレしてしまうと、当歳仔の幼獣たちを引き連れてここに引っ越してくる(転入)前に、母親♀が最後の内検に来ていたようです。 




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2025/07/10

平地の二次林で長々と毛繕いするニホンカモシカ【トレイルカメラ】

 



2024年6月中旬・午後14:05頃・晴れ 

平地の二次林に現れたニホンカモシカCapricornis crispus)が立ち止まって首をひねり、左脇腹(腰?)の辺りを頻りに舐めています。 
吸血性昆虫に刺されて痒いのでしょうか? 
その後も舌をペロペロと出し入れしています。 
まだ痒いのか、再び毛繕いを始めましたが、1分間の録画が打ち切られてしまいました。 


2025/07/04

アナグマの空き巣に昼も夜も訪れ内見を繰り返すホンドタヌキ【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬

シーン0:5/30・午前10:57・晴れ・気温29℃(@0:00〜) 
シーン0:5/30・午前11:27・晴れ・気温30℃(@0:04〜) 
明るい昼間にたまたま撮れた現場の状況です。 
 死んだニホンアナグマの旧営巣地(セット)がある平地の二次林をトレイルカメラで見張っています。 

ホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の出没したシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/1・午後20:43・気温16℃(@0:07〜) 
左から来たタヌキが林内に入ると、通りすがりに下草に小便でマーキングしました。 
排尿時に左後脚を上げたので、♂と判明。 


シーン2:6/1・午後22:24・気温14℃(@0:22〜) 
巣穴Lを内見すると、身震いしてから左下へ立ち去りました。 


シーン3:6/1・午後22:24・気温15℃(@1:04〜) 
別アングルの監視カメラでも同時に撮れていました。 


シーン4:6/3・午後21:56・気温15℃(@1:45〜) 
2日後の晩にもタヌキが巣穴Lを内見してから、身震いし、痒い体を掻きました。 


シーン5:6/3・午後21:57(@2:29〜) 
つづき。 
巣口Rの匂いを嗅いでから、右へ立ち去りました。 


シーン6:6/5・午後19:32・気温16℃(@2:38〜) 
2日後の晩。 
カメラの起動が遅れ、右へ立ち去るタヌキの尻尾がちらっと写っただけでした。 


シーン7:6/5・午後21:45・気温15℃(@2:45〜) 
約2時間15分後に、タヌキが巣穴Lを内見してから後ろ向きで外に出てくると、左へ向かいました。 


シーン8:6/5・午後21:45・気温13℃(@3:16〜) 
別アングルの監視カメラで続きが撮れていました。 
二次林内の獣道を右へ歩き去るタヌキの後ろ姿が写っています。 


シーン9:6/5・午後22:58・気温13℃(@3:22〜) 
13分後にセットに現れたタヌキは、巣口Rを覗き込んでから、右上奥の林内へ。 


シーン10:6/8・午前4:57・気温11℃(@3:40〜)日の出時刻は午前4:13。 
3日後の日の出後の薄暗い早朝に、獣道を右から来たタヌキが巣穴Lに入りました。 


シーン11:6/8・午前5:00・気温11℃(@3:53〜) 
つづき。
巣穴Lの内見を済ませて外に出てきたタヌキが巣口Lにしばらく佇み、右を凝視しています。 
巣口Rを跨いで、そのまま右へ立ち去りました。 


シーン12:6/8・午後23:54・気温15℃(@4:07〜) 
同じ日の深夜にタヌキが獣道を右から来てセットをうろついています。 


シーン13:6/8・午後23:55・気温17℃(@4:27〜) 
つづきが別アングルの監視カメラで撮れていました。 
巣口Rに座り込んで毛繕いしてから、慎重に巣穴Rに潜り込みました。 
アナグマは不在なのか、それとも「同じ穴のむじな」の状況なのかな? 


シーン14:6/9・午後20:26・気温19℃(@5:22〜) 
翌日の晩にタヌキが獣道を右から登場。 
巣口Lの匂いを嗅いでから、左へ向かいます。 

6/8にニホンザルが折った落枝が監視カメラの目の前で灌木に引っかかっていて、非常に目障りです。 


シーン15:6/9・午後20:27・気温20℃(@6:05〜) 
つづけてタヌキが迷わず巣穴Rにするりと潜り込みました。 


シーン16:6/9・午後20:29(@6:18〜) 
2分後に別個体のタヌキが獣道を右から左奥へ横切りました。 


シーン17:6/9・午後20:29(@6:27〜) 
おそらく巣穴Rの内見を済ませた個体(シーン15)が、外に出てきたのだと思います。 
巣口Lを覗き込んでから、(パートナーの後を追って)左下手前へ。 


シーン18:6/9・午後20:29・気温19℃(@6:44〜) 
左から来たタヌキがそのまま入巣R。 


【考察】 
ホンドタヌキたちは通りかかる度に、アナグマの空き巣L、Rへの侵入(内見)を頻繁に繰り返しています。 
巣穴Lの方をかなり気にして調べています。
しかし、必ずしも巣穴を乗っ取るための偵察や準備行動とは限りません。 
昨秋のタヌキは、巣穴L、Rにしょっちゅう潜り込んでは穴居性の昆虫(カマドウマなど)を捕食していたのですけど、この時期にはまた別の獲物がいるのかもしれません。 


2025/07/01

営巣適地を探して里山の笹薮を飛び回り、休んで化粧するオオスズメバチ創設女王

 

2024年6月上旬・午後12:25頃・くもり 

里山の林道を登っていると、ヴーン♪という重低音の羽音が響きました。 
この羽音はもしや…と辺りを探すと案の定、オオスズメバチ♀(Vespa mandarinia japonica)が低空でゆっくり飛び回っています。 
この時期はまだワーカー♀が羽化しておらず、越冬後の創設女王が安全な営巣適地を探索しているようです。 

関連記事(同じ山系で1ヶ月前の撮影)▶ 営巣適地を探して春の山林を飛び回るオオスズメバチ創設女王 


山道の横に自生する笹薮にオオスズメバチが飛び込んだので私が回り込むと、地面の枯葉の下に潜り込もうとしていました。 
オオスズメバチの女王は、野ネズミの古巣を利用して、自分の巣穴を作るのだそうです。 
しかし、この個体は地中には潜り込まず、枯葉の上で触角を前脚で拭っています。 
蜂の胸部小楯板に橙色の斑紋がしっかり見えたので、オオスズメバチで間違いありません。 
化粧の後は再び離陸して低空で飛び回り、笹薮の中を物色しているようです。 

実は数年前も現場近くの笹薮で、オオスズメバチのコロニーが営巣していました。 
当地のオオスズメバチは笹薮の中に好んで巣穴を掘るのかもしれません。 



登山客が山道を外れて山菜を勝手に採らないようにロープが張られているので、オオスズメバチの女王様を追いかけることができず、見失いました。 


※ 蜂の重低音の羽音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。

2025/06/23

山中の水溜りで夜な夜な水浴するフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年6月上旬〜中旬

シーン0:6/7・午後13:14・晴れ(@0:00〜) 
シーン0:6/7・午後13:40・晴れ(@0:04〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の様子です。 
山林で湧き水が年中溜まっている浅い水溜りを2台の自動撮影カメラで見張っています。 

フクロウStrix uralensis)が夜な夜な水場で水浴するシーンを以下にまとめました。 


シーン1:6/10・午前1:22(@0:07〜) 
深夜にフクロウが浅い水溜まりの中に足だけ浸かっていました。 
やがて、羽ばたきながらピョンと対岸に上陸しました。 
嘴で胸元の羽毛を整えています。 


シーン2:6/10・午前1:22(@1:07〜) 
広角で湿地帯を見張る別の監視カメラでも同時に撮れていました。
水溜りで足浴しながら、周囲をキョロキョロと見回しています。 
やがて手前の岸にピョンと上陸して、羽繕いを開始。 


シーン3:6/10・午前1:53(@2:07〜) 
フクロウが水溜まりに顔を浸けて左右に振っていました。 
洗顔の後は、中洲にピョンと上陸しました。 

やがて左端の水溜まりに入り直したのですが、左手前に聳え立つホオノキ大木の陰に隠れてしまいました。 
怪しいトレイルカメラの存在に気づいていて、隠し撮りされるのが嫌なのでしょうか? 


シーン4:6/10・午前1:54(@3:05〜) 
広角の別アングルで続きが撮れていました。 
フクロウが水溜りの中で翼を羽ばたいてバシャバシャと激しく水浴しています。 
左の岸に歩いて上陸しました。 


シーン5:6/10・午後22:13(@4:05〜) 
夜行性のフクロウは明るい昼間にはどこかで寝ていて、晩になると再び水場に現れました。 
左の死角の水溜まりで隠れるように水浴していました。 
ちらっと振り返ってカメラ目線になりました。 


シーン6:6/10・午後22:22(@5:05〜) 
広角のアングルに切り替えます。 
2台のトレイルカメラが同時に起動すると、照射される赤外線も2倍になり、遠くまで明るくしっかり見えます。 

警戒を解いたフクロウがおもむろに水溜りへ入ると、行水を始めました。 
泥水で顔を洗い、羽根にも水を跳ね上げています。 


シーン7:6/10・午後22:23(@6:05〜) 
中洲に立っていたフクロウが手前の水溜まりに入水し、身を浸しました。 
洗顔を繰り返しています。 
我々ヒトは手を使って顔を洗いますが、鳥であるフクロウは翼を使わず、水面に顔を浸して左右に激しく降るだけです。 


シーン8:6/10・午後22:25(@7:05〜) 
フクロウが引き続き、泥水溜まりで水浴しています。 
監視カメラの近くで本格的な水浴シーンをしっかり披露してくれました。 

中洲にピョンと跳んで戻ると、羽繕いなどはしないで周囲を警戒しています。 

やがて右上奥へ飛び立ちました。(@7:40〜) 
フクロウの羽根は飛翔時の静音性が抜群に優れているとの評判ですが、意外にも羽ばたく音がしっかり聞こえました。 
水で濡れたまま飛んだからでしょう。 


シーン9:6/11・午前3:27(@7:44〜) 
翌日の未明にフクロウがまた水場の岸辺に登場。 
水溜りに入って身を浸すと、今回は洗顔しただけでした。 

ときどき水中で足踏みしているのは、水底の泥を足で掘って深くしているのかな? 


シーン10:6/11・午前3:27(@8:44〜) 
広角の別アングルでも同時に撮れていました。 
水溜りで洗顔を洗っただけで、辺りを警戒しています。 


シーン11:6/11・午前3:30(@9:44〜) 
水溜まりの手前に佇むフクロウが振り返り、カメラ目線で見つめています。 
警戒を解くと入水して水浴開始。 
その動きに反応して、もう1台の監視カメラが起動しました。 


シーン12:6/11・午前3:31(@10:44〜) 
水溜まりで行水するフクロウの後ろ姿が写っていました。 
まず洗顔してから、ようやく本格的な水浴を始めました。 
水面で羽ばたくようにして、羽根に水をかけています。 

対岸に上陸すると、何度も顔を振って水気を切ります。 


シーン13:6/11・午後20:10(@11:44〜) 
同じ日の晩にフクロウが水場に再登場。 
浅い水溜りの中をジャバジャバと奥へ渡渉しています。 
周囲を警戒してから、ようやく水面に顔を付けて洗い始めました。 


シーン14:6/11・午後20:12(@12:44〜) 
引き続き、水浴しています。 
泥水溜りのやや深いところで身を屈め、水に浸っています。 
ようやく、本格的な水浴を始めました。 

すっきりしたフクロウは、対岸に飛び移ると、身震いしただけで羽繕いをしません。 


シーン15:6/11・午後20:36(@13:44〜) 
約25分後、フクロウがカメラ目線で水溜りの中に浸かっていました。 
足で水底を掘って深くすると、更に身を深く水に浸します。 

ところで、対岸の左で1組の小さな目が白く光っているのですが、この小動物の正体は何でしょう? 
野ネズミが天敵とニアミスして動けないのかもしれません。 
少しでも動いたら物音でフクロウに気づかれ、狩られる危険性があります。 
謎の小動物は瞬きもしないので、野ネズミではなくカエルかな? 


シーン16:6/11・午後20:38(@14:44〜) 
フクロウは右を向いて本格的な水浴行動を始めました。 
振り向いて中洲にピョンと飛び乗り、身震いしてから左上に飛び去りました。 
謎の小動物は至近距離でもフクロウに気づかれず、九死に一生を得ました。 


シーン17:6/12・午後21:11(@15:29〜) 
翌日も晩にフクロウが水溜まりの左端で水浴に来ていました。 

監視カメラを固定したホオノキの樹上に別個体のフクロウが着地したのか、コツン♪と鈍い物音がしました。 
水溜まりに浸っていたフクロウはすかさず樹上を見上げました。 

コウモリが飛来しても、フクロウは全く気にしていません。 


シーン18:6/12・午後21:12(@16:29〜) 
いつの間にかフクロウは水溜まりの中洲に上陸していました。 
バサバサと羽ばたくと、右上へ飛び去りました。 

しばらくすると、フクロウが此岸の右に音もなくふわりと着陸しました。(@16:45〜) 
フクロウが水場に飛来する瞬間を初めて撮れました。 
同一個体が戻ってきたとは考えにくいので、順番待ちしていたつがいのパートナーが飛来したのでしょうか? 
観察歴の浅い私には、フクロウの個体識別が出来ません。 


シーン19:6/12・午後21:33(@16:50〜) 
画面左端の死角(手前のホオノキ幹の陰)でフクロウが水浴を始めたようです。 
身震いすると対岸にピョンと上陸して、再び身を震わせ羽根の水気を切ります。 


シーン20:6/12・午後22:24(@17:50〜) 
左端の死角に隠れてフクロウが水浴びしています。 


シーン21:6/14・午後19:53(@18:02〜) 
2日後に晩に、水浴を済ませてから対岸に上陸したフクロウの後ろ姿が写っていました。 
水浴後に珍しく羽繕いをしています。 
足の鉤爪で顎の下を器用に掻いたり、身震いしたりしています。 


シーン22:6/14・午後20:10(@19:02〜) 
中洲に降り立ったフクロウが、振り返って監視カメラを凝視。 
左死角の水溜まりに入水すると、行水を開始。 
対岸に上陸したところで録画終了。 



※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 


【考察】
フクロウがこれほど頻繁に水浴するとは知りませんでした。
雛にせっせと獲物を運んでいる時期ですから、狩りをする度に獲物の血を洗い流すのでしょうか?
この水場は浅い泥水でしかも止水ですから、我々の感覚では体の汚れが落ちるとは思えないのですけど、フクロウは繰り返し水浴に通ってきます。

フクロウの個体識別ができていないので、同一個体が何度も通っているのか、♀♂つがいが交互に水浴しているのか分かりません。
2羽のフクロウが同時に水浴することはありませんでした。

小宮輝之(監修)『鳥の落としもの&足あと図鑑』という本を読んでいたら、粉綿羽ふんめんうのことを学びました。
これはハト、サギ、フクロウのなかまの鳥のからだにある先端が粉末になる羽毛で、そのほかの鳥の尾脂腺からの分泌物と同じく、羽づくろいの際に使われます。くずして羽にぬりつけることでよごれをつきにくくし、防水効果もあるとか。(中略)鳥によっては(水浴び後に)粉綿羽で水がよごれることもあります。 (p143より引用)
しかし私が現場検証しても、フクロウが頻繁に行水した泥水溜りの水面に粉が浮いているのを見たことがありません。




【アフィリエイト】

2025/06/16

旧営巣地に日中戻って仰向けで毛繕いするニホンアナグマ♀【トレイルカメラ】

 



2024年6月上旬・午後12:15頃・晴れ・気温24℃ 

平地の二次林で、越冬中に死んだアナグマの旧営巣地(セット)を自動撮影カメラで監視し続けています。 

ある日の昼下がりに、ニホンアナグマMeles anakuma)が単独で来ていました。 
ミズキの下にリラックスして座り込み、仰向けになって毛繕いを始めました。
ときどき痒い体をボリボリ掻いています。 
昨年(2023年)ここで営巣していた個体で散々見慣れた行動ですが、今季は初見です。 

大股開きの股間に陰茎や睾丸が見えれば♂、腹面に乳首が見えれば♀と性別が分かります。 
ちょうど手前に生えた幼木の葉が邪魔で、肝心の股間がしっかり見えませんでした。 
顔つきからは♀だと思うのですが、どうですかね? 

今季産まれた幼獣を連れて、ここに転入(引っ越し)してくれないかと、密かに期待しています。


2025/06/11

ヤマキヒゲナガ♂(蛾)の身繕いと飛び立ち【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月中旬・午前11:50頃・晴れ 

山道の横で広葉樹幼木の若葉にヤマキヒゲナガ♂(Nemophora japonica)が留まっていました。 
翅の金色模様が美しく輝き、非常に細長い触角が春風になびいています。 
小さな蛾ですけど、蛾の苦手な方にぜひ一度見て欲しい美麗種の一つです。 

日の当たる木の葉(樹種不明)の上で方向転換し、少し歩きました。 
なぜかその場で360°ぐるっと向きを変えました。 
飛び立つ前に風向きを調べているのかと思ったのですが、飛び立ちません。 
日光浴しているのでしょうか? 

やがて、その場で身繕いを始めました。 
自慢の長い触角を前脚で拭って、きれいに掃除しています。 

葉の上からヤマキヒゲナガ♂が飛び立つ瞬間を狙って、240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@2:17〜) 
ところが、待てど暮せど飛んでくれません。 
近くで帽子を振り回しても、枝葉を揺らしても、まったく飛び立たないのです。 
痺れを切らした私が右手中差し指をゆっくり近づけ、翅の後端にそっと触れると、ようやく慌てて飛び立ちました。 
大型の蛾と異なり、小型の蛾は準備運動なしでも飛び立てるのが普通です。 

関連記事(12年前の撮影:220fps)▶ ヤマキヒゲナガ♂?(蛾)の飛び立ちハイスピード動画 


飛行中は長い触角の空気抵抗が明らかに大きくて、速く飛ぶのは無理そうです。 
鳥などの捕食者に襲われた時に明らかに不利だと思うのですが、このような形質がなぜ進化してきたのでしょう? 
♂だけが特に長い触角を持つのらしいので、性淘汰のハンディキャップ説ランナウェイ説で説明することができそうです。 
日本動物大百科9昆虫II』によると、
ヒゲナガガ類の♂では極端に長くなっていて、前翅長の2〜3倍の長さがある。これは群飛のときバランスをとるのに役立つのかもしれない。(p25より引用)
とのことですが、私はヒゲナガガ類の群飛をまだ一度も見たことがありません。 


木の葉の上で留まり、ぐるっと方向転換したり、飛びたがらなかったりしたことに何か意味があるのでしょうか? 
ただの日光浴だったのか、それとも交尾相手の♀を待ち伏せ、縄張りを張っていたのかな? 
本種の食草は解明されていないらしく、今回の止まり木の樹種をしっかり調べるべきだったかもしれません。 
(ヤマザクラ? キブシ?)
よくあるシナリオとしては、♀が産卵する樹種で♂が待ち伏せして交尾を挑むのかもしれません。

2025/06/05

春の草むらで身繕いして飛ぶモンスズメバチ創設女王(腹部斑紋の変異個体)

 

2024年5月上旬・午後15:45・晴れ 

郊外の道端の草むら(花壇?)でモンスズメバチ♀(Vespa crabro flavofasciata)を見つけました。 
この時期はまだワーカー♀(働き蜂)が羽化しておらず、越冬明けの創設女王が単独行動しています。 
単子葉の園芸植物(種名不詳)の葉にしがみついてよじ登ろうとするものの、つるつる滑って登りにくそうです。 

葉を登り切って体勢が水平に安定すると、身繕いを始めました。
触角や複眼を前脚で拭い、その脚を舐めています。 
左右の後脚の先を互いに擦り合わせました。 
化粧を済ませた女王蜂はどこかに飛び去りました。 
飛び立つ瞬間を1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@1:01〜) 

さて、このスズメバチの種類は何でしょう? 
初めはてっきりコガタスズメバチかと思ったのですが、肩(前胸背板)が赤褐色な点に違和感を覚えました。 
じっくり検討してみましょう。 
小楯板は真っ黒で、オオスズメバチのような茶色い斑紋はありません。 
単眼の周囲は黒色。 
モンスズメバチなら腹部にある黄色と黒の横縞模様が波打っているはずなのに、この個体では直線状です。 
頭楯の突起は2つでした。 (コガタスズメバチなら突起は3つ。)
同定する際にどの形質を優先して判定基準にすればよいのか、正式な検索表をもたない素人には分かりません。
例えば、「コガタスズメバチで肩が赤褐色の変異個体」である可能性を排除できるでしょうか?
Perplexity AIに相談してみると、モンスズメバチの創設女王で腹部の横縞模様がまっすぐな変異個体と判明しました。 
モンスズメバチでは結構よくある変異パターンらしいのですけど、私は初めて見ました。

いつも思うのですが、生物学の発展のために、あらゆる生物種の正式な検索表を誰でも自由に閲覧参照できるように分類学者は整備して欲しいものです。 (検索表だけ著作権を解除して、インターネット上のアーカイブをパブリックドメイン化)
女王蜂は次世代を残す使命があるので、一般的にひどく臆病です。 
下手に敵と戦うと反撃されて負傷するリスクがありますから、女王蜂は常に争いを避けます。
つまり、女王バチの戦略は「逃げるが勝ち」です。 
女王蜂の方からヒトを本気で襲ってくることもありませんし(自分の巣を守るために威嚇することはあります)、素手で強く握りしめたりしない限り、毒針で刺される心配もありません。 
たとえスズメバチ類であっても、毒針を持たない雄蜂♂の次に女王蜂は安全です。 
時期的に女王蜂だと確信できれば、リラックスして観察・撮影することができます。

2025/05/29

山中の水場に通って水浴するフクロウ【野鳥:トレイルカメラ:暗視映像】

 

2024年5月下旬 

シーン0:5/24・午後12:40・晴れ(@0:00〜) 
明るい昼間にたまたまフルカラーで撮れた現場の状況です。 
山中の林内にある浅い水溜りが野生動物の通う水場になっていると予想して、試しに自動撮影カメラを設置して見張り始めました。 
泥水が溜まった水溜りで、黒いオタマジャクシ(アズマヒキガエルの幼生?)の群れが泳いでいます。 


シーン1:5/27・午前3:05(@0:05〜) 
深夜の水場に現れたのは、意外なことにフクロウStrix uralensis)でした。 
後ろ向きで水溜りに浸かり、周囲をキョロキョロと見回しています。 
顔だけ振り返ってカメラ目線になると、瞳のタペータムに赤外線が反射して爛々と光ります。 
やがて警戒を解くと、水浴を始めました。 
翼を少し広げて震わせ、泥水を背中に跳ね上げます。 

録画時間の設定が1分間では、フクロウの水浴行動を最後まで見届けられませんでした。 


シーン2:5/27・午前3:24(@1:06〜) 
約20分後にまたフクロウが水場に来て、再び水浴していました。 
前回より少し左の水溜まりの方が少し深いようで、後ろ向きで水に浸っていました。 
頭を水中に突っ込んで左右に振り、顔を洗っています。 
水面で翼を広げて震わせ、行水しています。 

やがてフクロウは水溜まりの此岸に上陸しました。 
身震いして羽根の水気を切ったものの、なぜか羽繕いをしませんでした。 
身震いの合間に周囲をキョロキョロ見回しています。 
フクロウが水場から飛び去るまで見届けられませんでした。


シーン3:5/27・午後19:57(@2:06〜) 
同じ日の晩になって再びフクロウが水場に来ていました。 
左の水溜まりで水に浸る後ろ姿が写っています。 
横を向いて水浴してくれました。 
カメラ目線でちょっと警戒しています。 


シーン4:5/27・午後19:59(@3:06〜) 
次に監視カメラが起動したときにも、フクロウは泥水溜りで水浴を続けていました。 

やがて対岸にピョンと跳んで上陸しました。 
コウモリが水場の上空を低く飛び回っても、フクロウは無反応でした。 
身震いして羽根の水気を切ると、今回は羽繕いを始めました。 
首をねじって背中の羽根を嘴で整えています。 

すっきりしたフクロウは水場から右上に飛び去りました。 
音量を上げてもフクロウの力強く羽ばたく音が全く聞き取れません。 
フクロウの翼は噂通り、抜群の静音性能でした。 


シーン5:5/27・午後20:11(@3:57〜) 
11分後にフクロウがまた水溜りに脚を浸していました。 
前回と同じ位置で左を向いて水浴開始。 
対岸にピョンと跳んで上陸しました。 
今回は身震いも羽繕いもしないで、少し飛んで右に移動しました。 

最後はエッホエッホと歩いて右に立ち去りました。 
実はそちらにもう一つ別な水溜まりがあるのですが、そっちにフクロウは向かったのかもしれません。 


シーン6:5/27・午後21:16(@4:51〜) 
約1時間後にまたもやフクロウが水場で水浴していました。 
対岸にピョンと跳んで上陸すると、奥に向かって無音で飛び去りました。 


シーン7:5/27・午後21:32(@5:22〜) 
約15分後に、水溜りのいつもの場所でフクロウが後ろ向きで泥水に身を浸していました。 
此岸にピョンと跳んで上陸すると、カメラをちらっと見て警戒しています。 
すぐにまたピョンと入水しました。 
水浴すると、バサバサと羽ばたきながら対岸に上陸し、キョロキョロと周囲を見渡しています。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 
※ 水浴の水音が聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。 
フクロウの鳴き声は一度も聞こえませんでした。 


【考察】 
同じ日付の未明と晩に(昼間を挟んで)7回も夜行性のフクロウが水場に来て水浴していました。 
鳥は羽根や体についた汚れや寄生虫、脂粉などを落とすために水浴するというのが定説です。 
しかし私は、フクロウが狩りや給餌をする度に水浴して、獲物の返り血などで汚れた羽毛を洗い流すのかもしれない、と考えました。 

個体識別ができていませんが、同一個体のフクロウが水場に通ってきているのでしょうか。 
それともつがいのパートナーが代わる代わる登場しているのかもしれません。
5月下旬という時期は、フクロウの「育雛後期」にあたります。 
雛が巣立つか、その直前または直後の時期です。 
育雛初期は主に♂が♀と雛に給餌しますが、育雛後期になると雌雄♀♂ともに狩りを行い、雛や幼鳥に餌を運びます。 
巣立った後のフクロウ幼鳥を私は実際に見たことがないのですが、今回の動画に写っているのは、成鳥だけだと思います。
(間違っていたら、ご指摘ください。) 

なぜフクロウは泥水で水浴しても平気なのか、我々ヒトの衛生感覚では理解できません。 
この水場は流水ではなく止水なので、せっかく落とした汚れが水場にどんどん溜まる一方です。 
逆に水浴することで泥や汚れが付着しそうですけど、泥水が羽根に付着することはありません。 
鳥は頻繁に羽繕いして尾脂腺の分泌物を塗っているため、羽根の撥水性が高くなっているからです。
この山中では他に水浴に適した安全な水場が近くにないので、仕方なく泥水溜りに通ってきているのでしょう。 
暗い夜にフクロウは泥水だと気づいてないのかな?
しかし、同じ水場で昼行性の鳥も水浴することが後に判明しました。 (映像公開予定)

この水溜りには黒いオタマジャクシが泳いでいるのですが、フクロウはオタマジャクシを捕食するシーンは撮れていませんでした。 
これまで報告されているフクロウの食性情報からも、オタマジャクシを狩るとは考えにくいです。 






【アフィリエイト】

2025/05/28

ホウチャクソウの花で採餌するヒゲナガハナバチの一種♀?【FHD動画&ハイスピード動画】

 

2024年5月上旬・午後12:40頃・くもり 

里山の中腹にある樹林帯をトラバースする林道に沿って咲いたホウチャクソウの群落で訪花するハナバチ♀を見つけました。 
後脚の花粉籠に橙色の花粉を付けて運んでいます。 
したがって、ハキリバチ科ではなくミツバチ科の♀です。 
 過去の観察例ではトラマルハナバチ♀がホウチャクソウに訪花していたのですが、今回のハチはマルハナバチほど毛深くありません。 

関連記事(6,8,16年前の撮影)▶  


ホウチャクソウに忙しなく正当訪花を繰り返し、花蜜を吸っています。 
隣に咲いたカキドオシの花には見向きもしません。 
採餌の合間にホウチャクソウの白い花筒の開口部にぶら下がったまま身繕いし、体に付着した花粉をまとめて後脚の花粉籠に移しました。 
化粧が済むと、再び正当訪花でホウチャクソウの花の奥に潜り込みました。 

訪花シーンを240-fpsのハイスピード動画でも撮ってみました。(@0:44〜)
暗くなりますが、固定焦点のスローモーションでじっくり観察できます。

薄暗い林床なのでカメラのAFがなかなか被写体に合焦してくれず、焦りました。 

さて、この謎のハナバチの名前は何でしょう?
素人目にはスジボソフトハナバチ♀と似てるかな?とも思ったのですが、スジボソフトハナバチの出現時期は5月下旬からとされています。
2024年の冬は異常な暖冬少雪で、春の訪れも例年より早かったのですが、それにしても山形県の雪国で5月上旬にスジボソフトハナバチを見るのはかなり異例です。
また、スジボソフトハナバチなら胸背の毛色がもっと明るい茶色のはずです。
今回の個体の胸背はもっと暗くて白味がかった黄土色でした。
ツルンとした黒い腹部には白い横縞が3本あります。(腹部上部の4本目は中央で途切れている)

今回は動画撮影を優先したので、蜂の採集も出来ず、鮮明なストロボ写真も撮れませんでした。
動画だけから蜂を同定するのは難しいです。 
私としては、シロスジヒゲナガハナバチ♀(Eucera spurcatipes)やニッポンヒゲナガハナバチ♀(Eucera nipponensis)など、ヒゲナガハナバチ属の一種Eucera sp.)ではないかと推測しています。 
もし間違っていたら、ご指摘願います。

謎のハナバチを同定するためにGoogleレンズ(画像検索)やPerplexity AIを使って問い合わせてみたのですが、マイナーな種類のハナバチではAIが学習するデータがまだ充分に揃っていないという印象です。
その場合はAIの性能の向上を待っていても仕方なくて、日本全国の研究者やナチュラリストが寄って集って粛々と蜂の記録をインターネット上に蓄積するしかありません。


2025/05/02

山道の溜め糞場に昼も夜も排便に通うホンドタヌキの♀♂ペア(白毛ほか)【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年5月上旬〜中旬 

里山の山道に残された溜め糞場ltrが本当にホンドタヌキNyctereutes viverrinus)が残したものかどうか確かめるために、自動撮影カメラを設置してみました。 


シーン0:5/6・午後12:10・くもり(@0:00〜) 
明るい日中にたまたま撮れた現場の状況です。 
カメラの背後(画面の手前)がスギの植林地で、山道を挟んで反対側(画面の奥)は雑木林になっています。 
現場の区間は平坦ですが、基本的に画面の右から左に向かって坂を登る山道になっています。 
スギの落ち葉が敷き詰められた山道の中央に、溜め糞場ltrがあります。 


シーン1:5/7・午前7:26・くもり(@0:06〜) 
旧機種のトレイルカメラにしては珍しく、昼間でもフルカラーで録画されていました。 
左に立ち去りかけたタヌキが引き返して来て、溜め糞場ltrの匂いを嗅ぎました。 
毛皮の色が全体的に白っぽいので、老齢の成獣なのでしょうか? 
それとも、冬毛から夏毛に生え変わる途中、あるいは個体差なのかな? 
尻尾が真っ白で、明らかに初見の個体です。 
額は焦げ茶色なので、アルビノではありません。 

山道を右往左往しています 画面の右下に立ち止まって身震いすると、濡れた毛皮から水飛沫が飛び散りました。 


シーン2:5/8・午後13:29・くもり(@1:06〜) 
翌日の午後にも白毛のタヌキが再登場しました。 
溜め糞場ltrに跨がり、脱糞していました。 
カメラの方を向いていたので肛門が見えず、大便の状態は不明です。 
しばらく右を眺めてから、左上奥の藪に入って行きました。 


シーン3:5/8・午後18:58(@2:06〜)日の入り時刻は午後18:39。
その日の日没後に来たタヌキが左を向いて脱糞中でした。 
黒くてしっかりした固形糞を大小3個排泄しました。 
右に向き直ると、溜め糞場ltrの匂いを嗅いでいます。 
右へ立ち去るかと思いきや、途中で立ち止まって身震いすると、その場に座り込みました。 
右の方を頻りに気にしています。 
(後続個体が追いついてくるのを待っていたのだと、じきに判明します。) 


シーン4:5/8・午後18:59(@2:43〜) 
入れ替わりで別個体(パートナー?)が来たようで、右から来て左を向いたままタヌキが排便しました。 
左へ立ち去ったタヌキがぐるっと回り込んできたようで、下から再登場し、右へ向かいました。 


シーン5:5/9・午後13:12(@3:23〜) 
翌日も日中に白毛のタヌキが排便しに来ていました。 
カメラの方を向いて脱糞すると、手前(下)に立ち去る途中で立ち止まって右を見ました。 


シーン6:5/12・午前4:29(@4:02〜)日の出時刻は午前04:28。 
日の出直後に右から来た白毛のタヌキaが、溜め糞場ltrの横で左を向いて佇んでいました。 
すぐに後続個体bが右から登場しました。 
このペアには体格差があり、a>bでした。 
合流すると、白毛aが脱糞してから、相次いで左へ立ち去りました。 

生殖器が見えなかったのですが、体格だけから判断すると、白毛♀aと♂bのペアのようです。 
採餌のために行動を共にするタヌキのペアは、♀が先行して♂が後をついて歩く傾向があるようです。(一般論ではなく、あくまでも個人的な印象) 


シーン7:5/12・午後19:33(@4:49〜) 
同じ日の晩に、左から来たタヌキが右を向いて排便していました。
白毛ではなく、通常個体です。
右に少し前進してから山道に座り込んで、長々と毛繕いを始めました。 


シーン8:5/13・午前4:15・雨天(@5:49〜)日の出時刻は午前4:28。 
雨が降る未明に、タヌキがペアで右からやって来ました。 
1頭(白毛♀?)がそのまま左向きで溜め糞場ltrに跨がり、排便しました。 
その間、パートナーは先に左へ立ち去りました。 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


【考察】
予想通り、この溜め糞場ltrはタヌキが使っていました。

通ってくるタヌキの中で、白毛のタヌキだけは私でも個体識別できそうです。
夏毛に換毛しても白毛のままかどうか、要注目です。

巣穴が近くにありそうですが、辺りを闇雲に探し歩くしかないのでしょうか。
冬の積雪期なら足跡を辿って追跡できるのですが、雪が溶けてしまうとその手は使えません。
イヌの嗅覚が欲しいなぁ…。

2025/04/30

死んだアナグマの旧営巣地に夜な夜な通うホンドタヌキのペアが巣口で相互毛繕い【トレイルカメラ:暗視映像】

 



2024年4月下旬〜5月上旬 

死んだアナグマの旧営巣地(セット)に夜な夜な通ってくるホンドタヌキ♀♂(Nyctereutes viverrinus)の記録の余りものをまとめました。 
1〜2頭で登場し、2つの巣口L、Rの匂いを嗅ぎますが、巣穴の奥までは入ろうとしません。 


シーン1:4/23(@0:00〜) 


シーン2:4/25(@2:35〜) 


シーン3:4/29(@5:41〜) 
巣口Rを点検している2頭のタヌキが仲良く並び、相互毛繕いを始めました。(@6:50〜) 
仲睦まじいので、♀♂ペアなのでしょう。 


シーン4:5/1(@7:43〜) 


※ 動画の一部は編集時に自動色調補正を施しています。 


2025/04/26

春の草地で羽繕いしてから縄張り宣言の母衣打ち♪するキジ♂(野鳥)

 

2024年4月下旬・午後15:35頃・くもり 

郊外の農地の端で、ススキの枯れた群落から緑の若葉が伸び始めました。 
その草地で佇んでいたキジ♂(Phasianus versicolor)が、しばらくすると羽繕いを開始。 
まず、左肩の羽毛を嘴で整えます。 
このとき、翼の羽毛だけ少し逆立てていました。 
次は右側を羽繕い。 
頭部が痒くなったようで、右足と左足を順に使って掻きました。 
再び羽繕いに戻ります。 
尾羽を上に立てて、尾脂腺から分泌される油分を羽毛に塗り拡げています。 
全身の羽毛を逆立てて身震いしたら、羽毛が寝ました。 

身なりを整えてから首を上に伸ばし、ケンケーン♪と大声で絶叫しました。 
この個体は約3.5分間隔で鳴いて、縄張りを主張していました。 

母衣ほろ打ちを1/5倍速のスローモーションでリプレイ。(@3:07〜) 
左足を一歩前に踏み出し、ケンケーン♪と2回鳴きながらその場で4+11回も素早く羽ばたいていました。 
この羽ばたき回数は個体差なのか、そのときの体調や気分次第なのか、気になります。 

次はハイスピード動画に切り替えて母衣打ちを撮ろうとしたら、逃げられてしまいました。 


※ やや遠い鳴き声がしっかり聞き取れるように、動画編集時に音声を正規化して音量を強制的に上げています。


2025/04/23

ニワハンミョウ♂の求愛と♀による交尾拒否

 



2024年4月下旬・午後14:55・くもり 

田園地帯の舗装された農道で交尾を始めたばかりのニワハンミョウ♂♀(Cicindela japana)を見つけました。 
♀に背後からマウントした♂は、♀の胸部と腹部の間を大顎で咥えてしっかり掴まえ、腹端から茶色くて細長い交尾器(陰茎)を伸ばして♀の交尾嚢に挿入しようとしています。 

しかし、♀は激しく暴れて♂を振り落とそうとしています。 
この♀個体は、明らかに交尾拒否の行動をしています。 
前回の記事で観察した、♀が交尾を終了しようと暴れる行動(post-copulation struggle)よりも激しくて、横に転げ回る動き(ローリング)もしました。 
♂はじゃじゃ馬に振り落とされないように必死にしがみつき、まるで激しいロデオを見ているようです。 
♀も茶色の腹端を伸ばしながら下に屈曲しているのは、♂の交尾器が届かないようにしているのでしょう。 
普段は鞘翅の下に隠れている腹背が♀♂ともにメタリック・グリーンに美しく輝いて見えました。 
うまく交尾できた♀♂ペアの場合、♀は腹端を伸ばしていませんでした。 

激しく暴れている♀♂ペアに、左から別個体が登場しました。 
スロー再生すると(@2:49〜)あぶれ♂のようですが、♀の争奪戦にはならず、すぐに離れて行きました。 
獲物と誤認して近寄ってきたのかもしれません。 

♀に激しく抵抗された♂は結局交尾を諦めて、♀から離れて行きました。 
正面から見ると、♂の上唇および大顎は白いので容易に見分けられます。 
まるでホワイトニングした歯のように見えます。 
一方、♀は♂よりも体格が少し大きく、上唇と大顎が少し黄ばんで見えます。 
ハンミョウは肉食性ですが、怒った♀による性的共食いは起こりませんでした。 

♂から解放された♀が路上をうろつく様子をしばらく撮り続けていたのですが、しばらくするとさっきの♂(それとも別個体?)が別の♀個体の背中に挑みかかっていました。 
交尾する気満々の♂は腹端の交尾器を伸ばしていますが、この♀も激しく抵抗しています。 
今回の♀は、獲物(おそらくアリの一種)を咀嚼中でした。 
このペアも体格に明確な性差ありました(♀>♂)。 
交尾拒否されて一旦振りほどかれた♂が再び♀の斜め背後から近づこうとしたら、嫌がる♀は走って逃げました。 

ニワハンミョウの♀をひたすら動画に撮り続ければ、♂が駆け寄って交尾を挑むはずだ(効率よく撮れる)と気づきました。 
そこで、路上に立ち止まって身繕いしている個体を背側から撮り始めました。(@0:52〜) 
上から背側を見下ろすアングルでは顔色が見えにくくて撮影中は気づかなかったのですが、この個体は♂でした。 
さて、この♂はこれから獲物を狩りに行くのか、それとも♀を探すのでしょうか? 
ところが、背後から別個体(驚いたことに♀でした)がすばやく駆け寄りました。 
マウントしたかと思いきや、すぐに一旦離れました。 (背中を通り過ぎただけ) 
ところが直後に攻守交代で♂が♀に素早く駆け寄り、背後からマウントしました。
マウントされた♀が腹端を伸ばしてすのが交尾拒否の意思表示のようです。 
今回は♀が♂を振り落とそうと激しく暴れることなく、♂はあっさり諦めて離れて行きました。 

♂に解放された♀を撮り続けます。 
この♀個体の背中の中央付近に一対の黒い丸の斑紋があって(●●)、個体識別ができそうです。 
さっきの♂にはなかった目立つ模様です。 
♀は立ち止まって触角を前脚で拭い、化粧しました。 
同側の前脚と中脚を互いに擦り合わせる身繕いもしています。 
♀は再び路上徘徊。 

ところが私は途中で目移りしてしまい、少し離れた位置に佇んでいた♂に被写体を切り替えてしまいました。(@2:04〜) 
どんどん遠ざかる個体よりも、近くに来た個体をなるべく撮りたい、という理由もあります。 
この♂個体は大顎を大きく開閉し、クチャクチャと噛みほぐしていた獲物(クロアリ?)の残渣を吐き出して捨ててから、農道をうろつき始めました。 

ここまでのニワハンミョウ♀♂の行動を、1/5倍速のスローモーションでリプレイするので、じっくりご覧ください。(@2:16〜) 


【考察】 
ニワハンミョウの♂が出会った♀と交尾を始める瞬間をいつも見逃してしまいます。 
どうやら、ニワハンミョウには交尾前の儀式化された求愛行動というのはないようです。 
♀の背後から♂が隙を見て挑みかかり、いきなり交尾を試みるのでしょう。 
しかし交尾成否の決定権は♀にあり、♀が交尾拒否すれば♂はやがて諦めて離してくれます。 
♀が♂との交尾を受け入れる瞬間の撮影は、今後の課題です。 

ニワハンミョウの♀は、羽化後に一度交尾をするだけで、その後は♂に迫られてもひたすら拒否するのでしょうか? 
交尾後の♀は獲物(アリ)の捕食に努め、産卵に備えて栄養を蓄えるのでしょう。 
獲物を探し歩いている既交尾♀にとって、次々に交尾を挑んでくる♂の存在は煩わしいだけでしょう(セクハラ)。 
ここで問題になるのは、ニワハンミョウ♀の交尾回数です。
Perplexity AIに質問してみると、
ニワハンミョウ(Cicindela japana)の交尾回数に関する直接的なデータは限られていますが、ハンミョウ類全般の生態から推察すると、♀は複数回交尾する可能性が高いと考えられます。(後略)

日本のナミハンミョウでは、交尾後に再び同じ個体と交尾する事例が報告されています。 (参考ブログ記事 by 年金暮し団塊世代さん)

また、Perplexityが教えてくれた次の論文(Pseudoxycheila属の同所性ハンミョウ2種の交尾行動について)も面白そうなので、これからPDFをダウンロードして読んでみます。

TIGREROS, Natasha; KATTAN, Gustavo H. Mating behavior in two sympatric species of Andean tiger beetles (Cicindelidae). Bol Mus Entomol Univ Valle, 2008, 9: 22-28.

もしも♀が卵の遺伝的多様性を確保するために複数♂と何度も交尾するとしたら、今回見られたような交尾拒否行動は、交尾相手の♂を♀が厳しく選り好みしていることを示唆しています。 
その選別基準を知りたいものです。 
少し考えてみると、♂の体格でふるいにかけることは可能そうです。 
まず、大顎で♀の体をしっかり保定できない♂は論外でしょう。
体格があまりにもミスマッチ(♀>>♂)のカップルは、マウントした♂の交尾器が♀の交尾嚢に届きません。 
♀はちょっと交尾拒否してみて(precopulation struggle)、なるべく体格の大きな♂とだけ交尾するのかもしれません。 
交尾してもらえるように、小柄な♂が求愛給餌行動を進化させたら面白いのになー。 

♀を巡る♂同士の争いは、一度も見られませんでした。 

 一度だけ♂の背後から♀が駆け寄って一瞬マウントした(ように見えた)のが興味深く思いました。 
意中の♂を見つけて♀の方からモーションをかけた(ナンパした)のなら面白いのですが、その気になった♂が交尾を挑んでも♀は断固拒否して別れました。 
♀の尻を追いかけ回す探雌モードの♂と違って、狩りモードの♀は、動くものは全て獲物に見えてしまう(誤認)のかもしれません。 

今後は野外で片っ端から一時捕獲したニワハンミョウを個体標識(マーキング)した上で、配偶行動を観察すれば、もっと面白くなりそうです。 
しかし飼育下で♀♂ペアを交尾させる方が楽かもしれません。


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